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2016年12月

【入浴】 「乾燥肌」の入浴法 ~保湿とバリア機能が大切~


肌の潤いがなくカサカサする乾燥肌

冬の乾燥した季節になると乾燥肌になる人もいれば、年中乾燥肌に悩まされている人もいます。

乾燥肌とは、皮膚の一番表面に存在する角質層における水分含有量が低下してしまっている状態です。角質の天然保湿成分が減少することで保湿が保てなくなり乾燥肌になります。

保湿のカギを握るのは皮脂膜NMF(天然保湿因子)細胞間脂質の保湿成分たち。この保湿三銃士(勝手に命名)をいかに保つかが乾燥肌対策のポイントとなります。



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保湿成分が減少すると、水分を失うばかりでなく皮脂腺からの皮脂も不足して皮膚が乾燥してしまいますが、この状態を皮脂欠乏症(乾皮症)といいます。

保湿成分のひとつ細胞間脂質は、その大部分がセラミドからできていて、角質細胞間同士の隙間を埋めるセメントのような役割があります。そのため細胞間脂質が少ないと、細胞間が隙間だらけになってバリア機能が低下するので、外部からの刺激に弱くなりかゆみを感じやすくなります。

かゆみは痛みと違うため軽視しがちですが、放っておくとつい患部をかいてしまい、炎症を起こして湿疹が生じたり(皮脂欠乏性湿疹)、植物や薬、毛染めなどにかぶれてしまう接触皮膚炎を伴うことになります。
また、強い掻痒感のため不眠になったり生活に支障をきたす場合や、掻破痕(搔いてできた傷)が原因で感染症になる可能性もあります。

なお、皮膚のpHは皮脂膜などにより弱酸性に保たれていますが、乾燥肌の場合は弱酸性を維持できずアルカリ性に傾くので悪玉菌の繁殖を許してしまいます。これもかゆみの原因になります。


 
 
◆入浴上の問題リスト
 
 
#1 入浴中や入浴後にかゆみを感じる
#2 入浴剤が合わない
#3 搔痒感のため眠れない
 
乾燥肌になると温度やお湯も刺激となり、かゆみを感じることもあるので入浴を敬遠しがちになるかもしれません
しかし乾燥肌の原因は外的要因ばかりでなく、睡眠の状態やストレスの有無など生活習慣も関係しているので、入浴でリラックスして快眠へとつなげることはとても有効な乾燥肌対策です。
 
 
 
◆入浴法
 
 
<入浴上の問題>#1 入浴中や入浴後にかゆみを感じる
 
<入浴目標> 入浴で搔痒感が増強しない
 
 
入浴によって搔痒感が強くならないためには、注意点があります。

入浴法の注意点としては「刺激してはいけない」「保湿を重視する」の2点です。


具体的には

①お湯はぬるめの40℃以下
②入浴時間は15分以内
③肌はゴシゴシ洗わない
④ボディソープや石けんは肌に優しいものを使う
⑤体を拭くときは優しく押し当てる
⑥入浴後はすぐに保湿ケアをする
※入浴の前後に水分補給をする



熱い温度は刺激が強く、かゆみを増強して炎症を悪化させてしまいます。

長湯も禁物です。
湯船に浸かると角質がふやけて剥がれ落ちやすくなります。古くなった角質が落ちるのはよいのですが、保湿成分まで失いやすくなりますので、湯船に浸かるのは15分以内にしましょう。

体を洗うときも注意が必要です。
肌を強く擦ると角質が剥がれ過ぎて皮膚のバリア機能を失い、炎症や肌荒れに繋がります。
とりわけ湯船に浸かった後だと角質がふやけているので特に注意しましょう。

ボディソープや石けんは泡立ちのよいものを使用し、泡で撫でるように洗います。

また、すすぎは洗い残しがないようにしましょう。


最も重要なのは入浴後の保湿ケア

入浴によって一時的に肌の水分が潤っているようにみえても、すぐに蒸発してしまい入浴前よりも乾燥してしまうので保湿ケアは重要です。

ただし、保湿ケアにおいて念頭においておかなければならないことがあります。
それは保湿に一番良いのは、実は化粧水でも乳液でもないということ。
保湿に必要なのはあくまでも肌自身が作り出す皮脂膜NMF細胞間脂質などの天然保湿成分。

入浴や洗顔によって洗い流されたこれらの成分は睡眠中に回復されていきます。
ただし、回復されるまでの間は肌が無防備になるので、それまでの応急処置として化粧水や乳液が必要になるというわけ。

それが分かっていれば皮脂膜などの天然保湿成分が洗い流され過ぎないようにすることの重要性が理解しやすいはず。
化粧水や乳液などに頼り過ぎると、天然保湿成分の回復を邪魔してしまうかもしれませんよ。


 
 
<入浴上の問題>#2 入浴剤が合わない
 
<入浴目標> 入浴剤の成分を理解して使用する


乾燥肌の人には、保湿成分入りの入浴剤を使用することをおすすめします。

ただ、その前に入浴剤の成分表で「水」または「精製水」と書かれてある物は、あまりお勧めできません。
というのは、食品の原材料名の表示順と同じで、成分の表示は基本的には含まれている量の多い順に並んでいます。

「水」が先頭に表示されているとしたら、それはかなり有効成分の薄い入浴剤である可能性が高いということです。

さて。保湿力の高い成分には主にセラミド、オイル系、海藻エキスなどがあります。

【保湿成分リスト】
セラミド、流動パラフィン、コレステロールエステル、米胚芽油、エステル油、スクワラン、ホホバ油、ミネラルオイル、液状ラノリン、グリセリン、カゼイン、ステアリルアルコール、オリーブ油、大豆油、白色ワセリン、プロピレングリコール、脱脂粉乳、ポリエチレングリコール、コメ胚芽油、米発酵エキス、海藻エキス、ハチミツ、など


これらの成分が含まれている入浴剤を選ぶと良いでしょう。

なお、保湿成分が配合された入浴剤を使用する場合は、入浴後はシャワーなどで体を洗わない方が良いと思われます。
 
 
 
<入浴上の問題>#3 搔痒感のため眠れない
 
<入浴目標> 入浴により円滑に入眠できる
 
 
傷ついた肌の修復は睡眠中に行われています。
 
肌を修復する成長ホルモンは、就寝直後3時間にこそ最も分泌されるといいます。
いかに質の高い睡眠をするかが問題。
 
そのためにも、就寝の1時間前に体を温めておくと入眠しやすいので、入浴は就寝の1~2時間前に済ませると良いでしょう。
 
 
保湿ケアは入浴直後に行うことが最適なので、
 
「 入浴 → 保湿ケア → 睡眠 」
 
といった一連の流れが理想です。
 
 
また、入浴後はストレッチを行うと有効です。
 
ストレッチは血行を促進するだけでなく、溜まっている組織の水分を押し流し、不足している(乾燥している)組織に水分を送る効果があります。
 
質の高い眠り(深い眠り)につくことで、睡眠中にかゆみで覚醒する可能性も減少します。

 
 
◆サウナ浴
 

 
乾燥肌にはサウナ浴がおすすめです。

温浴施設などをご利用するときはサウナに入ってみましょう。

お湯に体を浸さないという点においてサウナ浴は肌を傷めない効果的な入浴方法といえるからです。

サウナには発汗作用があり、汗腺と皮脂腺の働きを活性化します。

汗(アルカリ性)と皮脂(酸性)が混ざることで弱酸性の皮脂膜ができますが、
皮脂膜にはバリア機能があり、肌を弱酸性に保つことで悪玉菌が繁殖するのを抑える役割があります。

誤解のないようにして頂きたいのですが、「皮脂膜は天然のクリームだから」といってそのままにしておくのはよくありませんよ。
毛穴に詰まっていた古い汗と皮脂がサウナによって強引に出されている場合もありますので、かいた汗と皮脂はちゃんと洗い流して下さい。
古い皮脂は酸化しやすく、また有毒物質を含んでいることもあります。

いけないのは、汗をかく習慣が無いために汗腺機能が低下しまい、皮脂膜ができなくなってしまうことです。


また、乾燥肌にとっては高温サウナよりも湿度の高い低温サウナやミストサウナが保湿的に向いています

ただし湿度が高いので熱伝導が早く、高温サウナに負けないくらい熱を感じますので長時間は入らず短時間の利用にとどめましょう。

汗を大量にかくと肌の水分量が減少するので、サウナ浴にとっても水分補給は重要です。





◆おすすめのアロマバス◆



乾燥肌に使用したい精油はたくさんあります。

精油によって作用が違うので、目的に応じて使い分けるとよいでしょう。


アロマバスの例
 

かゆみが強い場合
 ホホバ油 小さじ2
 
カモミール・ジャーマン 1滴
 ラベンダー 2滴

 (抗掻痒作用のあるカモミールと鎮静作用のあるラベンダーで「かゆい」という不快感から解放することが最優先)
 ※妊娠中・授乳中の使用は控えましょう


バリア機能が低下して炎症がある場合
 ホホバ油 小さじ2
 
カモミール・ローマン 1滴
 ティートゥリー 1滴
 ラベンダー 2滴

 (ティートゥリーには強い抗炎症作用がある。ローマンには炎症を抑え肌を強化し、保湿にも効果がある。ラベンダーはその両方に働く)
 ※妊娠中・授乳中の使用は控えましょう


乾燥肌の予防には
 天然塩 大さじ2
 ゼラニウム 2滴
 ベルガモット 2滴

 (乾燥から守るには皮膚の保護ばかりしていてもダメ。原因となるストレスを緩和したり、皮脂の分泌を調整したり、ターンオーバーの改善に努めて自己治癒力を高める必要がある。また、ふだんから汗をかく習慣がないと皮脂膜ができにくくなるので、発汗作用のあるバスソルトにして汗をかく習慣を身に付けよう
 ※妊娠中の使用は控えましょう。ベルガモットには光毒性があります。
 


(最終更新日:2017/04/08)


関連記事

『症状別の入浴法』


 

【入浴】 家庭でできる「炭酸風呂」


当館のような温浴施設でよく見られるようになった「人工炭酸泉」

ヨーロッパでは天然の炭酸泉が昔から「心臓の湯」と言われるほど入浴療法として定着していて、とても健康に良いことが分かっています。

冷え性や高血圧の改善はもちろん、詳しくは後述しますがリウマチや変形性膝関節症のような関節炎の抑制、椎間板ヘルニアや座骨神経痛のような疼痛の緩和、末梢血管障害や褥瘡の治癒力促進など、その効果は多岐に渡っています。

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そんな炭酸泉と同じような効果を家庭のお風呂でも実感できることはご存知でしょうか?

作り方はとても簡単。
用意する物は重曹クエン酸だけ。

目安は一般的な浴槽(200リットル前後)のお湯に重曹を大さじ3杯、クエン酸を大さじ2杯入れるだけ。
これだけで炭酸風呂の完成です。


炭酸風呂とは高濃度の炭酸ガス(二酸化炭素)が溶けたお風呂のこと。

炭酸ガスは水が高温になるほど溶けずに空気に抜けやすい性質があるので、お風呂の温度はぬるめの35~38℃程度に設定しましょう。
温浴施設の人工炭酸泉も温度はぬるめになっているはずです。

ちなみに重曹とクエン酸はそれぞれ単体でも重曹風呂やクエン酸風呂として入浴剤の役割を発揮します。


『【入浴】 家庭でできる「重曹風呂」』 参照

『【入浴】 家庭でできる「クエン酸風呂」』 参照

重曹とクエン酸を混ぜると炭酸風呂となりますが、重曹風呂とクエン酸風呂の両方の効果が得られるのかと思いきや、全く別の作用が働くため全然違う効果が得られます。



◆炭酸風呂の作用


●血管拡張作用

炭酸ガス(二酸化炭素)は水に溶けやすいだけでなく油にも溶けやすいという特性があります。
そのためヒトの皮膚や粘膜から浸透しやすく、浸透部位の血管を拡張させて血流をよくする作用があります

ふつうのお風呂に入るだけでも体が温まって副交感神経が優位になり血管は拡張されます。
しかし、炭酸風呂には炭酸ガス(二酸化炭素)自身に血管を拡張させる作用があるのでより血管が拡張され血流が促進されます。

ふつうのお風呂に入浴すると血流が2倍になるとしたら、炭酸風呂は10倍にもなるとさえ言われています。


●ボーア効果による酸素供給促進作用

炭酸風呂の最大の特徴は血管拡張よりもボーア効果かもしれません。

ボーア効果とは簡単に言うと「二酸化炭素の濃度が高くなることで酸素を取り込もうとする作用」のこと。

血管の拡張作用もボーア効果によるものと考えられますが、ボーア効果の最大の魅力は細胞への酸素の供給が促進されることです。


例えば人工炭酸泉による入浴実験で、閉塞性動脈硬化症や褥瘡などに対し改善効果があることが認められているんですが、これは単なる血流改善だけでは説明がつかず、改善された理由は炭酸浴によってボーア効果が得られたからだと考えられているんですね。

ちょっと分かりにくいと思うので、もう少し詳しく説明しますね。

ご存知のとおり、体の細胞は血液が運ぶ酸素と栄養をもらって働いていますよね。

酸素は赤血球内のヘモグロビンと結合して全身の組織に運ばれていますが、ヘモグロビンから分離されない限り細胞へは供給されません。

ヘモグロビンから酸素が分離されなければ細胞は酸素を得ることができず酸欠状態になります。
特に疲労している部位や怪我をしている組織周辺の細胞は十分な酸素が供給されないと回復が遅くなります。
炭酸ガス(二酸化炭素)にはヘモグロビンと結合している酸素を分離させる働きがあるので炭酸風呂は治癒力を促進すると考えられているんですね。

そもそもヘモグロビンから酸素が分離されやすくなるには、その細胞が酸素をたくさん必要となる状態にならなければなりません。

酸素をたくさん必要となる条件とは「二酸化炭素濃度が高くなる」「pHが低下する(酸性に傾く)」「体温が上昇する」などがありますが、運動をした時に呼吸が苦しくなることを連想すると分かりやすいかもしれません。

運動によって使われた筋肉の細胞は酸素をたくさん消費しているので、その周辺組織の二酸化炭素濃度は高くなります。
二酸化炭素濃度が高くなるとpHは低下します。
運動により増加する乳酸によってもpHは低下します。
しかも体温が上昇します。
これら一連の結果全てがヘモグロビンから酸素を分離する要因になります。

これがボーア効果。

炭酸浴によってこれと同じような効果が得られているということです。


ボーア効果の何が凄いかって、低温の入浴によっても血行促進や酸素の供給が促進されるってこと。

例えば急性の炎症を起こしたとき、その患部を温めると症状は悪化しますよね。ふつうは冷やさなければならない。

しかし冷やしてばかりいると、炎症を起こした部分は代謝抑制作用(細胞の働きを鈍らせること)によって炎症が抑えられますが、患部周辺の血流は悪く、細胞に十分な酸素が行き渡らないのでなかなか回復はしません。

ところが低温での炭酸浴では、動物実験ではありますが急性膝関節炎の治療に対して有効であることが示唆されているんです。

低温での炭酸浴をすることで炎症を抑えつつ、かつ炭酸浴による血流促進効果とボーア効果で患部に酸素が供給されるために治癒力を高めているものと推測されているんですね。



◆炭酸浴の効果


血管拡張作用による血流促進とボーア効果による酸素供給促進が、これまでに以下のような症状に好影響をもたらしていると考えられてきています。


●血管拡張作用による効果

・冷え性
・高血圧
・心不全

などをはじめとする、血管拡張による血流改善が影響する症状全般

心不全に対しては血管拡張作用により心臓の負担が軽くなるので炭酸浴は心臓に優しいとされています。
東欧では古来から炭酸泉が療法に活用されていたほどです。

『【入浴】 「心不全」の入浴法 ~ぬるめ、浅め、早め~』 参照



●酸素供給促進作用による効果

・リウマチ
・椎間板ヘルニア
・脊椎管狭窄症
・坐骨神経痛
・腰痛
・肩こり
・筋肉痛
・関節痛
・生理痛
・閉塞性動脈硬化症
・糖尿病
・褥瘡
・不眠症


などなど・・・

ボーア効果によって治癒力を高められるの、で炎症の抑制疼痛の緩和血行障害や損傷の回復に良い影響を与えるとされています。これが炭酸浴最大の魅力でしょう。


例えば肩こりは、原因の一つに肩の筋肉の酸素不足がありますが、このような場合の入浴は炭酸浴が適しています。

『【入浴】 「肩こり」の入浴法 ~炭酸ガス系の入浴剤やアロマで効果的に改善~』 参照


筋肉痛も炭酸浴によって酸素の供給が促進されれば回復が早まります。
そのためスポーツ選手の疲労回復に活用されています。

『【入浴】 「筋肉痛」の入浴法 ~温冷交互浴とHSP入浴~』 参照


糖尿病にも効果があると言われていますが、糖尿病の合併症である末梢血管障害に対しては特に有効だと思われます。
血管拡張作用に加えて酸素の供給促進作用により、治癒力を高めることが期待できます。

『【入浴】 「糖尿病」の入浴法② ~糖尿病患者の場合~』 参照


不眠症は炭酸浴によって疲労回復と自律神経の改善が見込めるので効果が期待できます。
※自律神経の改善が見込めるのは血管拡張作用によって副交感神経が優位になるから

『【入浴】 「不眠症」の入浴法 ~就寝の1~2時間前に入浴する~』 参照


炭酸浴の効果はまだまだ可能性を秘めています。
認知症の予防にまで研究が進んでいるようです。

美容と健康のために、今後はさらに注目と活用が広がっていくことでしょう。
 

【入浴】 家庭でできる「クエン酸風呂」


クエン酸(C₆H₈O₇)は、柑橘類や梅干し、スポーツドリンクなどに含まれているので疲労回復物質として有名ですが、その他にも健康や美容にも効果があると考えられています。

クエン酸による効果

・疲労回復効果
・美肌効果
・ミネラルの吸収を高める効果
・殺菌、体臭予防効果
・痛風の改善
・肝機能の向上



これらの効果は経口摂取した場合のものですが、実はクエン酸は皮膚からも吸収されることが分かっています。
そのためクエン酸風呂においても同様の効果が期待されているわけです。

ホームセンターなどでクエン酸を買ってきて、一般的な浴槽(200リットル前後)であれば、お湯にクエン酸を大さじ2~3杯程度入れるだけでクエン酸風呂のできあがりですから簡単です。


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ちなみにクエン酸に重曹を混ぜてから浴槽に入れると炭酸風呂になります。

『【入浴】 家庭でできる「炭酸風呂」』 参照



◆疲労回復効果


クエン酸が疲労の回復に効果があるといわれるのは、ヒトの細胞内のミトコンドリアにおいてクエン酸がクエン酸回路の間で働いているから。
もう少し詳しく言うと、糖質や脂質などをエネルギーへと変換する代謝経路の中にクエン酸回路というものがあって、そこでエネルギーを得ています。

ですので、クエン酸回路の働きが鈍くなると十分なエネルギーを作り出せない状態になります。これが俗にいう「代謝が悪い」状態です。

代謝が悪いと疲労はなかなか回復しないので、そこでクエン酸を摂ると良い・・・というわけです。

ところが、このクエン酸。本当に疲労回復に効果があるというエビデンスはまだ確立されていないとも言われています。
もっと言えば、外部から取り込まれたクエン酸がクエン酸回路に利用されるとは証明されていない(細胞内のクエン酸回路のあるミトコンドリアまで届かない)

基本的にはクエン酸は生体内において、オキサロ酢酸とアセチルCoAとの反応によって生成すると考えられています。

しかし、これまでの実験からはクエン酸を摂取した方が若干ながら疲労回復力が向上していることが認められていることも事実。
とりあえず、クエン酸にはグリコーゲンの再補充を早め、乳酸値の低下(回復)を促進しているということだけは分かっています(エネルギーにブドウ糖を使わず乳酸を利用、消費することで疲労前と同じ状態に戻している)

だからクエン酸を摂取することは疲労回復に一定の効果が期待できる。というのが一般的な常識となっています。



◆美肌効果


美肌効果というと大げさかもしれませんが、クエン酸によって代謝がよくなれば肌においては皮膚の新陳代謝の促進になります。
古い角質がなかなか剥がれない肌の人には期待したくなる効果です。



◆殺菌、体臭予防効果


皮膚上には常在菌がいて、善玉菌である表皮ブドウ球菌などが皮脂をエサにして分解された脂肪酸により皮膚が弱酸性に保たれることで悪玉菌(アルカリ性を好む)の繁殖を抑えています。
ボディソープや石鹸はアルカリ性であることが多いので、これらで体を洗うと皮脂などを洗い流すことができる代わりに善玉菌たちも殺菌されます。しかし正常な肌であればすぐに新たな皮脂の分泌と善玉菌の繁殖ができるので元の状態に戻ります。

ところがカサカサで汗や皮脂が十分に分泌されていない肌では、善玉菌は繁殖できないので肌を弱酸性に保つことができず弱アルカリ性に傾いた状態です。
これは黄色ブドウ球菌など悪玉菌にとって好都合な環境なので悪玉菌が繁殖、そして炎症を起こしてしまう原因となります。

『【入浴】 「乾燥肌」の入浴法 ~保湿とバリア機能が大切~』 参照


アトピー肌の人の肌はアルカリ性に傾いている場合が多く、クエン酸風呂に入ることで肌を一時的に弱酸性にし、悪玉菌を殺菌する効果が期待できます。

また、クエン酸が汗腺に吸収されると体臭の原因となるアンモニア(アルカリ性)を抑えるので体臭予防にもなります。

ただし、これらの効果はあくまでも一時的なもの。

これは正常な人の肌をアルカリ性の石鹸などで善玉菌を殺菌してもそのうち元の状態に戻るのと同じこと。
悪玉菌にとって好ましい環境の肌である限り、一度殺菌してリセットしても再び善玉菌ではなく悪玉菌が繁殖することになります。

とはいえ、入浴という行為は汗腺機能を改善することでもあり、しっかり汗をかく習慣を身に付けることで汗腺から質の良い汗が出るようになるだけでなく、皮脂腺からの皮脂分泌も正常化してきます。善玉菌は皮脂をエサとして活性化し、悪玉菌の繁殖を抑えます。

また、アンモニアは代謝が悪いときに発生しやすいので、クエン酸によって代謝機能が改善できればアンモニア臭も減少することになるでしょう。



◆肝機能の向上


肝機能と代謝は深い関係にあります。
基礎代謝が最も消費されるのは筋肉でも脳でもなく、実は肝臓

ちなみに基礎代謝の内訳は、以下の通りです。
 ・肝臓 :27%
 ・脳  :19%
 ・筋肉 :18%
 ・腎臓 :10%
 ・心臓 : 7%
 ・その他:19%

代謝を促進して肝機能の働きを助けてあげましょう。


『【入浴】 「脂肪肝」の入浴法 ~代謝機能を高める~』 参照

『【入浴】 「肝炎」の入浴法 ~肝臓に負担をかけないこと~』 参照




関連記事

『【入浴】 家庭でできる「炭酸風呂」』
『【入浴】 家庭できる「重曹風呂」』


 

【入浴】 家庭でできる「重曹風呂」


重曹とは「炭酸水素ナトリウム(NaHCO₃) 」のこと。

掃除の薬品に使用されているイメージが強いので「こんなのお風呂に入れて大丈夫かな」と思われるかもしれませんが、市販されている入浴剤に重曹(炭酸水素ナトリウム )が含まれていることが多いことからも分かるように、むしろ入浴剤として大活躍しています。

重曹のpHは8.4(水溶液では8.2)弱アルカリ性

重曹の特徴はこの弱アルカリ性に尽きるといっても過言ではありません。

弱アルカリ性であるために

・油脂を乳化する
・タンパク質を分解する
・酸性物質を中和する


といった特徴を持っています。


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◆美肌効果


皮脂や角質で覆われている皮膚表面は弱酸性に保たれているので、重曹によってこれらは柔らかくなって洗い落としやすくなります。

そのため重曹風呂は、体臭(皮脂が酸化すると嫌な臭いを出す)や背中ニキビ(皮脂の溜まり過ぎが原因)の予防に良いと言われています。

足の臭いが気になる場合は、重曹のお湯で足湯をすると消臭効果が期待できます。

また角質(タンパク質でできている)は古くなるとガサガサになりますが、重曹風呂によって角質を削りツルツルにします(ピーリング効果)

「重曹風呂には美肌効果がある」と言われるのはこうした理由によります。


ただし、「角質を削るということは、肌の弱い人には向いていないのでは?」という疑問があるかもしれません。

実は重曹はボディソープや石鹸よりもpHが低いので肌に優しいとも言えるんです。

ボディソープや石鹸で体を洗うと肌が荒れるという人もいますよね。そういう場合は、それらの使用をやめて重曹風呂に浸かるだけにすると良いかもしれません。

また、重曹には研磨作用によるスクラブ効果があるので、低刺激ではありますが重度の敏感肌の人は要注意かもしれません。

だから入浴の最後にはシャワーをして重曹を洗い流した方が良いですね。
そして入浴後は保湿ケアをしっかりすること。必要な皮脂まで落としているかもしれませんからね。


さて、家庭の風呂で重曹浴をする方法ですが、用意するものは市販の重曹を買ってくるだけ。

重曹は掃除用・工業用の物でも、食品用と成分は同じなので問題はありません(粒子の大きさが違うとかその程度の差)

一般的な浴槽(200リットル前後)のお湯に重曹を大さじ2~3杯程度入れるだけ。
乾燥肌やアトピー肌のような敏感肌体質の人は大さじ1杯から始めるとよいでしょう。

お湯は38~40℃のぬるめの方が良いと言われています。

重曹は無味無臭です。ですから入浴剤としてはつまらないかもしれません。
でも無味無臭のおかげで残り湯を洗濯(油汚れに強い)などに活用できるメリットもあります。

入浴剤らしくするなら重曹風呂にアロマ精油を数滴垂らしてみると良いでしょう。

さらなる消臭効果を期待するなら柑橘系やハーブ系などがおすすめです。
ただし柑橘系は少し肌がチクチクするかもしれません。

ちなみにアロマ精油を垂らすと、お湯に油が混ざるため残り湯は活用できません

 

【入浴】 「脂肪肝」の入浴法 ~代謝機能を高める~


肝臓の細胞の約3割以上に脂肪がたまると脂肪肝と診断されますが、放っておくと肝炎や肝硬変、さらには肝がんに至る危険性もあり、油断のできない状態と言えます。


肝臓には代謝機能や解毒機能などいくつもの役割がありますが、脂肪肝になるとこれらの肝機能が低下します。

脂肪肝は大きく「アルコール性」「非アルコール性」に分けられ、アルコール性の脂肪肝は肝機能が大量に摂取したアルコールの解毒作用に費やされ脂肪が代謝されず、そのため肝臓に中性脂肪が蓄えられます。

非アルコール性の原因は肥満、糖尿病、薬剤(ステロイド剤など)の影響などがあり、肝臓における中性脂肪の貯蓄が代謝を上回るために脂肪肝になります。


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◆入浴上の問題リスト◆
 
 
#1 血圧が高く、入浴すると疲労感を感じる
#2 血圧が低く、入浴すると疲労感を感じる
 
現在は脂肪肝の治療に直接作用する薬剤はないようで、ふだんの生活習慣に気を付ける必要があります。
入浴においても脂肪肝を改善するような入浴法はありませんが、肝機能に効果のある入浴を心がけると良いと思われます。
脂肪肝は代謝機能が低下している状態なので、入浴法のポイントとしてはその点を意識しましょう。
 
 
 
◆入浴法◆
 
 
<入浴法の問題>#1 血圧が高く、入浴すると疲労感を感じる
 
<入浴目標> 肝臓に負担をかける入浴は避ける
 

肝臓に負担をかけないために、「温度は熱くしない・長時間の入浴は避ける・食後や運動直後の入浴は避ける」といった注意を払いましょう。

・お湯の温度は38~40℃
・入浴時間は10~15分間
・食後や運動後の入浴は最低1時間は空けること


が目安となります。

負担をかけずに血流を良くすることで肝機能も高まります。
 
 
脂肪肝の人に多いのは肥満
食べ過ぎや飲み過ぎといった食生活の乱れにより脂肪が体内に蓄積されると、血液中にも脂質が多くなって血がドロドロになる可能性が高いものです。

そのため脂肪肝の人は高血圧を併発している場合が多く、心臓や動脈硬化に不安のある人には水圧の弱い半身浴をお勧めします。

さらに少しでも負担をかけない入浴法としては「反復浴(分割浴)」があります。

分割法(反復浴)とは、例えば5分入浴してから少し外気浴、また5分入浴してから少し外気浴を繰り返す入り方で、外気浴のタイミングで頭や体を洗うと良いでしょう。



『【入浴】 反復浴(中温反復浴)とは』 参照
 
 
水圧がかからないという意味ではサウナは肝臓に優しいといえます。

また、サウナに入ってしばらくすると汗腺から出る汗以外に、皮脂腺から皮脂が分泌されますので新陳代謝にも効果があります。

新陳代謝と言えば、体内の有害毒素である重金属(水銀、カドミウム、アルミニウム、鉛)は脂肪に溶けると肝臓や腎臓ではデトックスできず、皮脂と一緒に体外へ排出するしかないという点にも注目に値します。

サウナでかいた汗、それも皮脂腺から出たサラサラした汗(皮脂のこと)は肌の保護膜になるから拭かない方が良い、という風潮がありますが、この件に関してはしっかり洗い流した方が肌に良いと思われます。


『【健康】 サウナを科学する② デトックス効果(後編)』
 参照


 
肝機能の低下は肌荒れや肌のくすみの原因になったり、アトピー性皮膚炎の原因にもなると言われているのは、このようなことが関係している可能性があります。
 
 
 
<入浴上の問題> #2 血圧が低く、入浴すると疲労感を感じる
 
<入浴目標> 代謝機能を高めて体温を上げる
 
 
脂肪肝は高血圧ばかりでなく、低血圧とも大きく関係しています。
 
低血圧が脂肪肝を招く原因は冷えにあります。
 
体が冷えてくると体内の熱を外へ逃がさないようにするために、交感神経が作用して手足の血管が収縮され、血液を体幹部分(主に内臓)に集めて深部体温を維持しようと働きます。
 
ただし、自律神経の機能が低下していると血管の収縮が不十分になり深部体温を維持できず、体の中心部が冷えてきます。
これを「内臓型冷え性」といい、血管が収縮しないタイプ、つまり低血圧の人に多い症状です。
 
内臓が冷えるということは、肝臓も例外ではなく、肝臓が冷えると肝機能の低下につながります。
 
脂はお湯をかけると流れますが、冷たい水をかけると固まりやすい特性があるように、血液も冷えると血中の脂質がドロドロになり血流が悪くなります。
 
ただでさえ肝機能が低下すると中性脂肪の代謝が悪くなり、高血圧の場合と同様、血液中の脂質が多くなって血がドロドロになりやすい傾向にあるわけですから、低血圧による脂肪肝はもっと血液がドロドロになって血流が悪くなりやすいと考えられます。
 
 
このような場合、もともとの原因である冷えを改善しなければなりません。
 
ですが、内臓型冷え性は体の中心部は冷えていても手足はあたたかい場合が多いので、自分では気付かないことがあるようです。
 
手足があたたかくても、血圧が低く、疲労感があり、かつ肌のトラブル(肌荒れや乾燥肌など)がある場合は、内臓型冷え性による脂肪肝を疑ってみましょう。
 
 
通常は冷え性や低血圧に対しては、自律神経の正常化が期待できる「温冷交互(交代)浴」をお勧めするのですが、
 
 

 
疲労感を伴う脂肪肝の場合は、まず体を温めることと代謝機能を高めることを優先しましょう。
 
 
そこで、入浴剤として代謝機能を高めるクエン酸風呂をお勧めします。

家庭風呂でも市販のクエン酸を浴槽(180~200リットル)に大さじ3杯程度入れるだけで簡単に作れます。

クエン酸を多く含む食品としてレモンやお酢、梅干しなどがあるように、クエン酸には疲労回復の効果があるとして知られています。

これはヒトがエネルギーを生産するときにはクエン酸回路が中心的な役割をするからで、疲労の回復以外にも代謝機能の向上肌のトラブルにも効果があると言われています。

肝臓に中性脂肪を溜め込まないためにも代謝機能を高めることは大きな意味があります。

クエン酸は食品から経口摂取するだけでなく、嬉しいことに肌からも吸収できるようで、入浴によるクエン酸摂取は消化吸収をする過程がないので経口摂取よりも負担がかからないと考えられています。

加えてアロマ精油「ローズマリー・ベルベノン」「レモン」を数滴垂らすと肝機能に良いと言われています。


また、入浴により体内の水分が失われると、血液の粘度が増してドロドロになるので、入浴前後にはしっかりと
水分摂取をしましょう。


なお、風呂上りの直前に背中の肝臓にあたる部分に温かいシャワーを当てると良いでしょう。
肝臓は右胸の裏あたりに位置し、ここにシャワーを当てることで代謝機能の改善が期待できます。

 




関連記事

『症状別の入浴法』

【健康】 女性も注意!痩せているのに「脂肪肝」のワケ


最近は太ってもいないのに健康診断で「脂肪肝」と指摘されてビックリされる女性が多いそうです。

肥満でもないのに脂肪肝になるということで注目されているようです。


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脂肪肝とは肝臓がメタボのようになった状態を指します。

脂肪肝の原因は肥満飲酒が一般的な原因です。

しかし痩せていても脂肪肝になるその理由は栄養が偏っている栄養不足であると考えられています。

特に女性に多いのは糖質の摂り過ぎ

糖質を摂取すると血糖値が上がりインスリンが分泌されます。
インスリンが分泌されると血糖値が下げるだけでなく、タンパク質や脂質の合成も同時に行っています

これは、インスリンにはエネルギー源を蓄える役割があるからです(タンパク質や脂質は糖質が枯渇した時にエネルギー源として必要な栄養素)

通常、摂取した糖質は、消化されたのちブドウ糖などに分解され小腸で吸収されてまずは肝臓に取り込まれます(これはインスリンの作用によるものではない)

肝臓に取り込まれたブドウ糖の大部分はインスリンの作用によってグリコーゲンとして肝臓に蓄えられ、残りのブドウ糖は血中に放出されますが、インスリンが作用している間は肝臓からの糖放出を抑制します。
そして、肝臓にて余分なブドウ糖はインスリンによって中性脂肪に変換され貯蓄されます(インスリンが働くと血中のブドウ糖が減るので血糖値は下がるが肝臓に脂肪分が貯まる)


糖質の摂取 → 血糖値の上昇 → インスリンの分泌 → 中性脂肪の貯蓄


『【健康】 分かっているようで知らない「甘いものを食べると太るワケ」』 参照


そのためインスリンは「肥満ホルモン」と呼ばれることもありますが、たとえ肥満化しなくても肝臓にはしっかりと脂肪が蓄えられているはずです。

肥満化しなくても肝臓に脂肪がたまる理由はこうです。

肝臓から放出された中性脂肪は、血液を通して全身をめぐりますが、どの細胞にもエネルギー源として取り込まれなかった中性脂肪は再び肝臓に戻ってきます


また、そのような生活を続けていると、やがてインスリンの効きが悪くなって血糖値が下げられなくなり糖尿病になります。

糖尿病もまた脂肪肝の原因です。

それは、インスリンには血中の中性脂肪を分解するホルモン感受性リパーゼという酵素を抑制する働きがありますが、インスリンの効きが悪くなるとリパーゼの活性を抑制できず、中性脂肪より分解された脂肪酸が肝臓に取り込まれ、肝臓に脂肪が蓄積されるからです。

インスリンは働き過ぎても働かなくても肝臓に脂肪がたまるので、糖質の摂り過ぎは脂肪肝リスクを高めます。



では、糖質の摂取を制限すれば良いのか?

糖質の摂り過ぎが脂肪肝の原因になるというのなら糖質の摂取量を抑えれば良いということになりますよね。


ところが過度な糖質制限も実は問題ありなんです。

とりわけ女性に多いのが糖質制限ダイエット

これなら確かに痩せることができます。ダイエットとしては有効な方法です。

しかし、その代わりに脂肪肝になるリスクは高まるんですね。

なぜか。


それは、糖質が不足するとエネルギー不足にならぬよう、全身の血中から脂肪を肝臓に集めるため。

せめて糖質の代わりにタンパク質を摂取するのであればあまり問題にはなりませんが、
タンパク質まで制限するような過度なダイエットは脂肪肝リスクをさらに高めます。

先ほど、中性脂肪は肝臓から全身に運ばれるといいましたが、このときに中性脂肪はタンパク質と結びついて「リポタンパク」を形成してから血中に放出されるという特徴があります。

そのため、タンパク質まで不足していると、リポタンパクが作れないので中性脂肪が肝臓から放出されずたまり続けることになるんですね。

タンパク質は糖質が不足した場合のエネルギー源として消費されるので、糖質を制限するとタンパク質も不足しやすくなるため注意が必要です。


糖質は摂り過ぎても取らなさ過ぎても脂肪肝リスクになるということが分かります。

問題は摂取量ではなく、消費量なんです。

運動不足などにより中性脂肪が消費されない状態が続くと、肝臓にどんどん中性脂肪がたまるので脂肪肝リスクが高まります。

だからエネルギーを消費しないと脂肪肝になります。

女性に多い「○○制限ダイエット」や「○○抜きダイエット」は、痩せることはできても脂肪肝になる可能性を高めてしまうようです。


さらに女性が脂肪肝になりやすい理由が女性ホルモン。

女性の場合、肝臓の働きを助ける女性ホルモンが加齢によって減少することで脂肪肝のリスクになることが分かっています。

女性ホルモンであるエストロゲンには、血中の脂肪を皮下脂肪へとため込む作用があります。
閉経後はエストロゲンが減るので、血中の脂肪を皮下脂肪へとため込むことができず、その代わり肝臓にためてしまうようです。

マウスの実験では、エストロゲン欠損マウスは脂肪肝になり、エストロゲンを投与すると脂肪肝が抑制されることが分かっています。


女性に意外と多い脂肪肝の危険因子。

脂肪肝は放っておくと慢性肝炎や肝硬変に発展するので甘くみてはいけません。

特効的な予防方法はなく、食生活や運動習慣の改善で自分の身を守るしかなさそうです。



関連記事

『「脂肪肝」の入浴法 ~代謝機能を高める~』




 

【健康】 「寝る時にくつ下を履くのは冷え性対策には逆効果」というのは本当か?


どうもSHIBAです。

冷え性で困っている人の中には

「眠る時はくつ下を履かないと寝付かない」

と言う人は多いと思います。


しかし、最近では

「くつ下を履いて寝ると、冷え性には逆効果」

だという考え方が定着しつつあります。

よくテレビやネット、雑誌などで言われていることなので、冷え性に関心のある方なら一度は耳にしたことがあるかもしれません。

医療に携わる専門家ですら「くつ下を履くのはダメ」と言うことがあるので、何の疑いもなく鵜呑みにしている人も多いでしょう。


だけど本当にくつ下を履くのは逆効果なんでしょうかね???
僕には疑問に感じます。


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くつ下を履いて寝てはいけないという理由として挙げられる主な根拠は次のとおりです。


●足首が締め付けられて血行が悪くなるから
●くつ下の中でかいた汗が蒸れて冷えるから



くつ下を履くと血行が悪くなるんですか?

汗が蒸れて冷えるというのなら他の下着にも同じことが言えますがどんなんでしょう?
汗は全身から出るものですが、これでは全裸で寝なければいけないということになりますよ。

そんなことが理由であるというのなら、締め付けない物や通気性の良い物を履けば問題ありませんよね。

いまいち説得力に欠ける理由です。


唯一、それらしい理由が

●眠りにつくときは体温が下がるものである。しかし、くつ下を履くと熱がこもり、熱放散ができなくなるので体温調節が上手くいかず、逆に寝付きにくくなる。


というものです。

つまり、根拠はヒトの入眠メカニズムによるということです。

これは半分正解で、確かにヒトは深部体温が下がると眠たくなる習性があります。

※深部体温と言うのは臓器や脳など体の中心部の体温のこと

眠くなる時は深部体温が少し下がりますが、これは代謝を下げて体内のエネルギーを節約するためだと言われています。

この下がっている時こそ入眠のタイミングであることは間違いありません。

だから「くつ下を履くと熱がこもり、体温が下がりにくくなるから逆効果」であるというわけなのでしょうが、ここで大事なポイントが2つあります。


(1) 深部体温が下がる過程で眠たくなる

(2) 放熱をする時は手足が温かくなる


重要なのは「深部体温が下がる過程で眠たくなる」ということです。

ここが見誤りがちなんですが、冷え性の人が寝付きにくいのは深部体温の「下がる過程がない」ためなんですね。
もともと冷えている人は、一度体温を高めておいて、徐々に下がる過程を作る必要があります。

『【健康】 冷え性で寝付きが悪くなる理由と改善法』 参照


冷え性の人は手足が冷たい状態(皮膚血管が収縮していて血流が悪い状態)であり、つまりそれは熱放散ができずに深部体温が温かいままになっているか、もともと深部体温が低くてこれ以上下げることができない状態にあると考えられます。

冷え性にもタイプがあって、深部体温を下げようにも高血圧などが原因で末梢血管の血流が悪く、なかなか熱放散ができないタイプや、血行障害はないけれど深部体温が低いために低体温にならぬよう皮膚血管を収縮させて熱放散を防ぎ、その代わりとして手足が冷たくなるタイプなど人によって様々なんですね。

これを解決させるには 「皮膚血管を拡張させて血流を改善し、熱放散を促進する」か 「一度深部体温を高めて、深部体温が下がる過程を作り出す」のどちらか、もしくはその両方が必要になります。


皮膚血管が拡張すると熱放散も盛んになるので深部体温は下がります。
深部体温が下がっている過程においては手足が温かくなる(放熱中だから)ものであり、赤ちゃんが眠りにつくとき手足が温かくなることからも理解しやすいかと思います。

だから「くつ下を履くと熱がこもり、体温が下がりにくくなるから逆効果」というのは何か違うような気がします。

何度も言いますが、深部体温が下がる過程においては手足が温かくなるものなんですよ。
反対な言い方をすると、足が温かいということは深部体温を下げる条件でもあるということ。足が冷えてると下がらないんです。

ちなみに夏になると寝付きにくくなるのは深部体温が高いため。だから深部体温を下げるために足裏が熱いと感じることが夏にはよくある。
これは熱放散が行われている証拠です。

少なくとも、くつ下を履くことで足が温かい状況を作ることはできます。

だから直接的な冷え性改善にはならないにしても、「逆効果」だとまで言うのは誇張的だと思うわけです。


むしろ、それなりの効果は期待できると思いますよ。

足が冷たくてくつ下を履く人の心理って、入眠するために履くというよりも、「足が冷たい」ことが苦悶(ストレス)となっていて、とりあえずその状態から逃れたいという気持ちが大部分を占めているんじゃないでしょうかね?

足が冷たい。それ自体がストレスに感じていると交感神経が優位になり、より血管が収縮して血の巡りが悪くなります。
しかしくつ下を履いて足先を温めると、ストレスから解放されて副交感神経が優位となり血管が拡張すると予想できます。

冷え性の改善とまではいかなくても、血管が拡張すれば熱放散がしやすくなるので、 くつ下を履いた方が幾分寝付きやすいはずなんですけどね。

「くつ下を履くと熱がこもって放散できない」と言うけれど、実は熱放散ができるようになったから足が温かくなっているという側面もあるのではないでしょうか(これは僕の希望的推論)

とにかく、冷えを我慢しているよりはマシなはずですよ。


僕は冷え性ではありませんが、したり顔で「くつ下を履いて寝るのはダメだ」と簡単に言う人って冷え性で悩んでいる人の気持ちを考えていないのではないだろうかと勘ぐってしまいます

 

【健康】 冷え性の最大の原因は○○骨かも


女性に共通する悩みともいえる「冷え性」

冷え性対策としてあれこれ試しているが苦労が絶えない。

その理由は「体質が改善されない限りは解決しない問題」だからです。


女性が男性に比べて冷え性になる人が多い理由の一つが筋肉の量だと考えられています。

人が体温を維持するための熱を産生するのは主に筋肉での代謝によるものなので、筋肉量の少ない女性は発熱量があまりないために体温がりやすい傾向にあります。

そうなると、ヒトの体というのは大事な脳や内臓を守るために、手足の末端の血管が収縮して血液を体の中心部へ集めます

その代わりに手足の先が冷える。それが冷え性のメカニズムです。


『【健康】 脚の細い人には「冷え性」が多い?』 参照


こうなると血流が悪くなるので、手足の先まで血の巡りをよくしてあげなければいけません。

しかし女性の場合、とても大きな障壁があります。

それが「肩こり」


厚労省の調べ(平成22年国民生活基礎調査)によると、女性の最も訴えの多い自覚症状が「肩こり」であることが分かっています。


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肩こりは首から肩、背中にかけて大きく展開する「僧帽筋」の血流が悪くなることで感じる「コリ」で、女性にはやはりこの僧帽筋が男性に比べて少ないことが肩こりになりやすい原因となっているようです。

僧帽筋のような大きな筋肉がこってしまうと、僧帽筋による発熱量は減るばかりでなく、その周りの血流も悪くなるので冷え性になると考えられています。

では女性はあきらめなければならないのか?といえばそうでもない。


キーワードは「肩甲骨」

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僧帽筋と繋がっているのが肩甲骨で、肩こりの人の多くはこの肩甲骨が歪んでいるとも言われています。

姿勢が悪かったり同じ姿勢が続くと肩甲骨が歪んでしまうので、やがて僧帽筋がこったり血流が滞ったりするようです。

肩甲骨の歪み方は人によって違いがありまして、

●左右の肩甲骨の高さが違うタイプ
●両肩甲骨がおじぎするように前へ傾いているタイプ
●肩甲骨を背中側から見たとき、ハの字に開いているタイプ


など様々で、特にハの字タイプは肩が上まで上がらなくなる原因にもなります。


そういうわけで、肩甲骨を積極的に動かすことは、肩こりの解消になるばかりか、肩こりによる冷え性の改善にも効果が期待できます。

肩甲骨のストレッチはいろいろあるので、興味のある人は自分で調べてみるのもよいでしょう。

超簡単なストレッチとしては

1.両手をダラ~ンと垂らした状態で肩だけググゥ~っと上げる
2.5秒キープしてから、肩の力をストンと脱力する


又は

1.両手の指先を肩の上にチョコンと当てて
2.肩を軸に腕をクルクルと前回り、後ろ回りに回す


又は

1.両手を揃えて顔の前に出し、手のひらを顔に向ける
2.肘と肘をくっつける
3.そのまま両腕の手から肘までくっつけたまま、両腕を上にあげる


又は

1.両手を後ろ手で組む
2.組んだ状態で肘を伸ばしたまま腕を上に上げる
(両肩甲骨が寄せられる)



このように寄せたり離したり回したりするだけで、きっと筋肉がほぐれて血行が良くなるはずですよ。

場所を選ばないのでいつでもどこでも気軽に行えるのが嬉しいですね。


関連記事

『【健康】 「肩こり」の入浴法 ~炭酸ガス系の入浴剤やアロマで効果的に改善~』
『【健康】 「冷え性」の入浴法 ~誤解だらけの冷え性対策~』



 

映画レビュー『ツレがうつになりまして。』


アラピアでは毎月4作品の映画を上映しています、どうもSHIBAです。

12月の上映作品から僕がオススメするのは『ツレがうつになりまして。』


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主演は堺雅人さんと宮崎あおいさん。

堺雅人さんがうつ病患者で宮崎あおいさんがその妻を演じる夫婦の物語です。


テーマが「うつ病」なので、重い感じになりそうなものですが全然そんなことはなくて、笑えるところも挟みながらしかし、うつ病とはどんな病気かをさりげなく視聴者に伝えている絶妙なバランス感を持った作品です。

うつ病はよく「心の病気」と例えられますが、いい得て妙な表現でありながら、実は誤解を招く表現でもあり、そのへんの難しさが映画の中で上手く描写されていたと思います。

この作品はテーマがテーマだけに賛否両論の評価がありますが、「うつ病はこんなもんじゃない」とか「理解できない」という評価をしている人は、おそらく作り手の意図が伝わらなかったのかもしれません。


この作品では、うつ病のあるあるネタが満載となっていてうつ病経験者の共感を得ている一方で、うつ病について詳しくない人にとってみればうつ病の症状や心理状態を学ぶことができるように描かれています

気になったのは、そのように描くことでうつ病で苦労している人たちの力になろうとしているのか、はたまた社会にうつ病の理解を深めてもらおうとして作られたのか・・・

その答えはおそらく「両方とも」だとは思うんですが、メッセージ色があまりなく、

例えば

●「うつ病は治す」ばかりでなく「うつ病と上手く付き合う」という選択肢もある

●「うつ病になった原因は何か」を考えるのではなく「うつ病になった意味は何か」と意義を見出す


というように「こんな考え方もありますよ」と提示しているあたりが、うつ病で悩んでいる人たちに対し教訓めくことなく気持ちを軽くしてあげているような気がします。

そしてうつ病当事者以外の人に対し、「うつ病とはこうなんだ」という説教じみることなく、自然と「ああ、うつ病の人たちはこんな事で悩んでいるんだな」とその苦悩や葛藤を知ることで理解を深めることができる。


だから暗い作品にもなっていないし、押し付けがましくもなっていない嫌味の無い作品となっています。
この距離感が絶妙なんですよね。



そしてこの作品の真骨頂は作品中の宮崎あおいさんのセリフから読み取れます。

「うつのこと誰にも話せなかったのは“うつ病は偏見や誤解が多くて誰にも理解されない。同情されるのも嫌だった”からだと思っていたが違った。本当は“私がうつ病になったツレが恥ずかしくて隠してた” だから「ツレがうつになりました」って言えた自分が嬉しかった」


この言葉の持つ意味は深いですよ。


私たちはうつ病に限らず精神疾患を患っている人や障がい者、それに認知症の人など、およそ健常者と呼ばれる人から見れば理解しがたい症状で苦しんでいる人たちに対し偏見や差別をしてはいけない。ということは理解している。

しかし、そのような人たちに私たちは敢えて見ないようにしたり気付かない素振りをするような行動に出る。
自然に振舞うことで相手を気遣う意図がそこにはあるのだが、同時にそれは意識的に避けている」という意味に解釈できてしまう場合もある。

変に優しく接しればそれは偏見から来る行為であり、そのようなぎこちなさが生まれるのはやはり「無知」であることが原因だと思っています。

避けていればいつまで経っても無知のままであり、時に失礼な行為であっても積極的にかかわっていくことは、失敗もまた勉強になるのであれば僕は無関心でいるよりずっとマシだと思うんですね。


映画の作品の中ではうつ病を周りのみんなに隠していた理由が「どうせ理解されないから」と強がっていたものの本心は「恥ずかしかった」からだったと告白しています。

自分の殻を破ることで気持ちが軽くなりますよ。というメッセージでありながら、それは「頑張る」ことではなく「受け入れる」ことで可能になる境地ですよと。だからもっとありのままの自分でいきましょう・・・と、うつ病で自信をなくしている人たちに前へ進む方法を伝えているようにも思えます。


そして、うつ病の人たちが病のことを「恥ずかしい」と思ってしまう原因にはやはり「理解されないから」なんだなと気付かされるわけです。
社会がうつ病に対して無知であるうちは、うつ病患者も自分の殻を破ることは難しいだろうなと。


これはうつ病当人と社会の双方の理解と歩み寄りができて初めて前進する問題なんだなぁと考えさせられる作品でした。


余談ですが・・・

何か月か前に、うつ病や躁うつ病と診断された後も、自分らしく生きていくにはどうしたらよいのかを当事者本人の声を聞きながら、家族や専門家と共に考えるパネルディスカッションの模様がテレビで放映されていました。

そしてこの討論会に『ツレがうつになりまして。』の著者である細川貂々さんと、そのツレのモデルとなった望月昭さんが出席されていました。

その席で望月さんは、自分はうつ病になる以前は何でもできる自信家で、勝ち負けにこだわり、弱い人間に対して冷たい視線を向けるほどバリバリな仕事人間だったのに、うつになった時は「自分はダメな人間だ」と泣いてみたり、妻に「手を繋いでくれないと歩けない」と子ども帰りしたみたいな状態になったことを赤裸々に告白されていました。

うつ病は自分でも気づくのが難しく、重症になる前に診断して治療を行うためには、家族や周囲の人が気づくことがとても大切だと言います。

その様子は映画の中でも描かれていて、うつ病であるサイン(調子が悪くなる症状)はいくつもあったのに、そのことに全然気づかなかった妻がとても反省しているシーンは、この病の難しさを上手く表現していたと思います。

うつ病であることを診断された後に、会社を辞めようとうつ病であることを報告しても全然取り合ってくれない、理解してくれない場面なども、うつ病に対する社会の認識の乏しさが描かれていたと思います。


つくづくこの作品はうつ病のことを学ぶことができるように上手に作られていることが分かりますよ。

当館では今月の奇数日が上映日です。