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健康・入浴法

【入浴】 家庭でできる「炭酸風呂」


当館のような温浴施設でよく見られるようになった「人工炭酸泉」

ヨーロッパでは天然の炭酸泉が昔から「心臓の湯」と言われるほど入浴療法として定着していて、とても健康に良いことが分かっています。

冷え性や高血圧の改善はもちろん、詳しくは後述しますがリウマチや変形性膝関節症のような関節炎の抑制、椎間板ヘルニアや座骨神経痛のような疼痛の緩和、末梢血管障害や褥瘡の治癒力促進など、その効果は多岐に渡っています。

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そんな炭酸泉と同じような効果を家庭のお風呂でも実感できることはご存知でしょうか?

作り方はとても簡単。
用意する物は重曹クエン酸だけ。

目安は一般的な浴槽(200リットル前後)のお湯に重曹を大さじ3杯、クエン酸を大さじ2杯入れるだけ。
これだけで炭酸風呂の完成です。


炭酸風呂とは高濃度の炭酸ガス(二酸化炭素)が溶けたお風呂のこと。

炭酸ガスは水が高温になるほど溶けずに空気に抜けやすい性質があるので、お風呂の温度はぬるめの35~38℃程度に設定しましょう。
温浴施設の人工炭酸泉も温度はぬるめになっているはずです。

ちなみに重曹とクエン酸はそれぞれ単体でも重曹風呂やクエン酸風呂として入浴剤の役割を発揮します。


『【入浴】 家庭でできる「重曹風呂」』 参照

『【入浴】 家庭でできる「クエン酸風呂」』 参照

重曹とクエン酸を混ぜると炭酸風呂となりますが、重曹風呂とクエン酸風呂の両方の効果が得られるのかと思いきや、全く別の作用が働くため全然違う効果が得られます。



◆炭酸風呂の作用


●血管拡張作用

炭酸ガス(二酸化炭素)は水に溶けやすいだけでなく油にも溶けやすいという特性があります。
そのためヒトの皮膚や粘膜から浸透しやすく、浸透部位の血管を拡張させて血流をよくする作用があります

ふつうのお風呂に入るだけでも体が温まって副交感神経が優位になり血管は拡張されます。
しかし、炭酸風呂には炭酸ガス(二酸化炭素)自身に血管を拡張させる作用があるのでより血管が拡張され血流が促進されます。

ふつうのお風呂に入浴すると血流が2倍になるとしたら、炭酸風呂は10倍にもなるとさえ言われています。


●ボーア効果による酸素供給促進作用

炭酸風呂の最大の特徴は血管拡張よりもボーア効果かもしれません。

ボーア効果とは簡単に言うと「二酸化炭素の濃度が高くなることで酸素を取り込もうとする作用」のこと。

血管の拡張作用もボーア効果によるものと考えられますが、ボーア効果の最大の魅力は細胞への酸素の供給が促進されることです。


例えば人工炭酸泉による入浴実験で、閉塞性動脈硬化症や褥瘡などに対し改善効果があることが認められているんですが、これは単なる血流改善だけでは説明がつかず、改善された理由は炭酸浴によってボーア効果が得られたからだと考えられているんですね。

ちょっと分かりにくいと思うので、もう少し詳しく説明しますね。

ご存知のとおり、体の細胞は血液が運ぶ酸素と栄養をもらって働いていますよね。

酸素は赤血球内のヘモグロビンと結合して全身の組織に運ばれていますが、ヘモグロビンから分離されない限り細胞へは供給されません。

ヘモグロビンから酸素が分離されなければ細胞は酸素を得ることができず酸欠状態になります。
特に疲労している部位や怪我をしている組織周辺の細胞は十分な酸素が供給されないと回復が遅くなります。
炭酸ガス(二酸化炭素)にはヘモグロビンと結合している酸素を分離させる働きがあるので炭酸風呂は治癒力を促進すると考えられているんですね。

そもそもヘモグロビンから酸素が分離されやすくなるには、その細胞が酸素をたくさん必要となる状態にならなければなりません。

酸素をたくさん必要となる条件とは「二酸化炭素濃度が高くなる」「pHが低下する(酸性に傾く)」「体温が上昇する」などがありますが、運動をした時に呼吸が苦しくなることを連想すると分かりやすいかもしれません。

運動によって使われた筋肉の細胞は酸素をたくさん消費しているので、その周辺組織の二酸化炭素濃度は高くなります。
二酸化炭素濃度が高くなるとpHは低下します。
運動により増加する乳酸によってもpHは低下します。
しかも体温が上昇します。
これら一連の結果全てがヘモグロビンから酸素を分離する要因になります。

これがボーア効果。

炭酸浴によってこれと同じような効果が得られているということです。


ボーア効果の何が凄いかって、低温の入浴によっても血行促進や酸素の供給が促進されるってこと。

例えば急性の炎症を起こしたとき、その患部を温めると症状は悪化しますよね。ふつうは冷やさなければならない。

しかし冷やしてばかりいると、炎症を起こした部分は代謝抑制作用(細胞の働きを鈍らせること)によって炎症が抑えられますが、患部周辺の血流は悪く、細胞に十分な酸素が行き渡らないのでなかなか回復はしません。

ところが低温での炭酸浴では、動物実験ではありますが急性膝関節炎の治療に対して有効であることが示唆されているんです。

低温での炭酸浴をすることで炎症を抑えつつ、かつ炭酸浴による血流促進効果とボーア効果で患部に酸素が供給されるために治癒力を高めているものと推測されているんですね。



◆炭酸浴の効果


血管拡張作用による血流促進とボーア効果による酸素供給促進が、これまでに以下のような症状に好影響をもたらしていると考えられてきています。


●血管拡張作用による効果

・冷え性
・高血圧
・心不全

などをはじめとする、血管拡張による血流改善が影響する症状全般

心不全に対しては血管拡張作用により心臓の負担が軽くなるので炭酸浴は心臓に優しいとされています。
東欧では古来から炭酸泉が療法に活用されていたほどです。

『【入浴】 「心不全」の入浴法 ~ぬるめ、浅め、早め~』 参照



●酸素供給促進作用による効果

・リウマチ
・椎間板ヘルニア
・脊椎管狭窄症
・坐骨神経痛
・腰痛
・肩こり
・筋肉痛
・関節痛
・生理痛
・閉塞性動脈硬化症
・糖尿病
・褥瘡
・不眠症


などなど・・・

ボーア効果によって治癒力を高められるの、で炎症の抑制疼痛の緩和血行障害や損傷の回復に良い影響を与えるとされています。これが炭酸浴最大の魅力でしょう。


例えば肩こりは、原因の一つに肩の筋肉の酸素不足がありますが、このような場合の入浴は炭酸浴が適しています。

『【入浴】 「肩こり」の入浴法 ~炭酸ガス系の入浴剤やアロマで効果的に改善~』 参照


筋肉痛も炭酸浴によって酸素の供給が促進されれば回復が早まります。
そのためスポーツ選手の疲労回復に活用されています。

『【入浴】 「筋肉痛」の入浴法 ~温冷交互浴とHSP入浴~』 参照


糖尿病にも効果があると言われていますが、糖尿病の合併症である末梢血管障害に対しては特に有効だと思われます。
血管拡張作用に加えて酸素の供給促進作用により、治癒力を高めることが期待できます。

『【入浴】 「糖尿病」の入浴法② ~糖尿病患者の場合~』 参照


不眠症は炭酸浴によって疲労回復と自律神経の改善が見込めるので効果が期待できます。
※自律神経の改善が見込めるのは血管拡張作用によって副交感神経が優位になるから

『【入浴】 「不眠症」の入浴法 ~就寝の1~2時間前に入浴する~』 参照


炭酸浴の効果はまだまだ可能性を秘めています。
認知症の予防にまで研究が進んでいるようです。

美容と健康のために、今後はさらに注目と活用が広がっていくことでしょう。
 

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