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【入浴】 「慢性閉塞性肺疾患(COPD)」の入浴法 ~口すぼめ呼吸でゆっくりと~


別名「タバコ病」とまでいわれる慢性閉塞性肺疾患(COPD)

近年急増中の注意すべき疾患です。

タバコを主とする有毒粒子やガスの吸入が原因となります。
COPD患者の9割が喫煙が原因とも・・・





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肺気腫(肺胞壁が破壊されたために、肺胞が縮みにくく喚起障害を起こした状態)と慢性気管支炎をまとめてCOPDと呼んでいます。

通常、息を吐くときは肺胞が縮むことで吐けるわけですが、この疾患では肺胞が縮みにくく、また気管支炎のため気道が閉塞しているためにゆっくりでないと息が吐きにくいという特徴があります。

そのため、階段や坂道をあがったときに息切れを起こしやすくなります(労作性呼吸困難)



◆入浴上の問題リスト◆


#1 浴室や脱衣所が冷えている
#2 入浴中に息切れを起こしやすい


COPDは基本的に根本的な治療法はなく、症状を緩和する対症療法が主体とされています。
入浴においては、息切れや呼吸困難を起こさないようゆっくりとした動作で入浴することが重要です。



◆入浴法◆



<入浴上の問題>#1 浴室や脱衣所が冷えている

<入浴目標> 風邪予防ができる



COPDでは炎症により気管や気管支などの粘膜が傷ついているため、 風邪インフルエンザなどを起こす病原体に感染しやすいようです。

COPDの状態で感染すると症状はかなり増悪するはずですから、 浴室・脱衣所はあらかじめ暖かくしておいたり、 風呂上りにも湯冷めなどしないように気をつける必要があります。

また、感染症予防のために、入浴の際にはシャワーで口腔内をよくすすいだり、歯を磨くことも有効です。



<入浴上の問題>#2入浴中に息切れを起こしやすい

<入浴目標> 入浴方法を知ることで不安が軽減する



入浴中に息切れや呼吸困難を招かないことが最優先されます。

注意する点は
・熱い湯は危険(刺激になる)
・全身浴より半身浴(水圧は負担となる)
・長湯は負担になる(体力を消耗する)


具体的な入浴法は
・湯温は36~37℃
・湯船に浸かるのはみぞおちまで
・入浴時間は4~5分


あまり酸素を必要とするような状況を作らないよう、ぬるめ(36~37℃) の湯で短めに。

湯船に浸かるのはみぞおちまでにしておきましょう。

ただし体が温まらないまま上がると湯冷めしやすいので気をつける必要があります。


それから、 身体や頭を洗うときは、息切れをしないようにゆっくりと行う必要があります。

COPDには「口すぼめ呼吸」でゆっくりと息をはきながら行うことが有効と言われています。

また、安楽な姿勢を維持することも重要です。

前かがみになり、お腹を圧迫するような動作は息切れの原因となります。
高めのイスに座り、腕を高く上げないで行うと楽だということです。


ここまで読むと、息切れしないようにと動かない方が良いみたいに思われるかもしれませんね。しかし運動不足になり過ぎると心肺機能が低下してしまうらしいので、ウォーキングなどの適度な運動は必要でしょう。

いうまでもなく禁煙は絶対条件です。


(最終更新日:2017/05/17)


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