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【入浴】 「PMS(月経前症候群)」の入浴法 ~自分のPMSの状態を把握しよう~


PMS(月経前症候群)の症状は人それぞれで原因ははっきりとはしていません。

ただ、月経(生理)の3~10日前に起こりやすいことから「ホルモンバランスの乱れが関係している」とは言えるようです。

そこに女性特有の体質である冷えやむくみが症状を悪化させていると考えられています。

女性であればほとんどの人が経験する道で、そう考えると必要以上に気にすることはなさそうですが、そうはいっても体のあちこちが痛かったりだるかったりすると憂鬱な気分になりますよね。化粧のノリが悪くなったり、大事な仕事の途中で眠くなったり生活に支障をきたせばなおさらです。

PMSは生理現象なので、なくすことはできませんがお風呂で温まることで症状を緩和することができまると考えられています。

体調がすぐれない時はシャワーで済ましたくなるものですが、それでは問題を先延ばしになるだけですよ。


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◆入浴上の問題◆


#1 イライラしたり落ち込んだり情緒不安定なところがある
#2 浮腫、頭痛、下腹部のはりがあったり、疲れを感じやすい
#3 肌荒れやニキビ、吹き出物などの肌トラブルがある



症状は人それぞれ。体や心だけでなく肌にも不調が表れます。

対策としては、何よりもまず自分がPMSになりやすい時期を把握し、どのような症状が出やすいのかを知っておきましょう。
そうすることでPMSの症状が起きた時に慌てないで済みます。

共通して言えることは規則正しい食事や睡眠など生活のリズムを整えること。入浴に関して言えば、リラックスすること、血行を促進すること、そして質の高い睡眠へと繋げること。
お好みの入浴剤やアロマ精油でバスタイムを楽しむことも効果があります。



◆入浴法◆


<入浴上の問題>#1 イライラしたり落ち込んだり情緒不安定なところがある

<入浴目標> 自律神経系と内分泌系のバランスを整える



女性ホルモンの分泌バランスが乱れるとイライラしたり落ち着きがなくなったりする理由。それは、女性ホルモンの分泌を調整している司令塔は自律神経系のバランスも司っている脳の視床下部だからです。

視床下部からの分泌指令が上手く出なくなると、自律神経系のバランスもまた乱れることとなります。

自律神経は血圧や呼吸数、脈拍や体温調節などいろいろな生理作用をコントロールする役目があるので、これが自律神経系が乱れると小さなストレスに対しても対応が難しくなります。また冷え性の原因にもなります。

イライラしたり怒りっぽい。反対にボーっとしたり、集中できない。または落ち込みやすくなったり泣きたくなるのは、自律神経系が交感神経優位に傾き過ぎているから。


さらに、このような情緒不安定になる原因の一つとして考えられているのがセロトニンの不足と言われています。

セロトニンは「幸せホルモン」とも呼ばれている神経伝達物質で、交感神経が高ぶったときにイライラや不安などネガティブな感情を鎮める働きがありますが、PMSが発生するとセロトニンの分泌が低下する場合があるようです。

これには女性ホルモンのバランスが乱れることによる体調の不調がストレスとなって副腎から分泌されるストレスホルモンのコルチゾールが、脳内のセロトニンの分泌を抑制するからだと考えられています。


そういうことですから、とにかく入浴で体を温めてゆっくりしましょう。

入浴すると、浮力効果による筋肉の弛緩でリラックスできることで、副交感神経を刺激して自律神経系のバランスを整えることが期待できます。

リラックスするためのお湯の温度は38~40℃全身浴なら15~20分半身浴なら20~30分を目安にゆっくりと浸かりましょう。

半身浴を勧めている話をよくみかけますが、気分の優れない日が続くようでしたら全身浴に切り替えてみましょう。

自律神経は脊髄から伸びていますが、その脊髄は首の後ろあたりから背中にかけて通っているので、背中をしっかりと温めてあげる方が効果は期待できそうです。

しっかり温まることで、汗腺が開き発汗作用が亢進されます。
発汗そのものに余分な水分が排出されるという効果もありますが、何より体温調節機能をしっかりと働かせることで冷え性の体質を改善できることにあります(冷え性の原因は体温調節機能が働きにくいこと)

なお、入浴する時間帯は、就寝する1~2時間前に入浴しましょう。

そうすることで入眠しやすくなるだけでなく、質の高い睡眠が得られます。これはPMS改善には絶対に必要な条件です。


PMSの時期が来る前に事前に予防するなら「温冷交互(交代)浴」がお勧めです。


温冷交互浴とは水風呂と熱風呂を交互に入浴する方法です。


  【温冷交互(交代)浴】

  1.40~42℃のお湯に3分浸かる
  2.浴槽から出て、冷たい水シャワーを手足に10~20秒かける


  1と2を数回繰り返します。
  なお、最後は水で終わるのが鉄則です(皮膚が引き締まり保温効果になる)



この入浴法は血行を促進するだけでなく、自律神経系のバランスを整える効果があります。
「自律神経を鍛える」という意味もあります。




<入浴上の問題>#2 浮腫、頭痛、下腹部のはりがあったり、疲れを感じやすい

<入浴目標> 体液の循環を促進させて症状を緩和する



この時期の体は妊娠へ備えるために栄養を蓄える傾向があり、そのために栄養や水分がリンパに排出されなくなるためにむくみが起こるようです。

とりわけタンパク質は分子が大きいためにそのままでは血管へは吸収されません。そこで先ずリンパ管に取り込まれるわけですが、何らかの理由で(今回の場合はPMS)リンパ管に入れずに組織間にとどまると、タンパク質はどんどん溜まり、しかも周りの水分を取り込んで膨張するため浮腫になりやすいという性質があります(正確には、浮腫は、水分ではなくタンパク質の流れの停滞が直接の原因とも言える)

このような理由で浮腫は主に下肢に顕著ですが、脚だけでなく体のあちこちで不調の元となります。脳がむくめば頭痛、胸なら胸のハリ、下腹部なら腹痛、という具合に症状が表れます。

リンパの流れが悪くなるということは、体内に水分や老廃物が溜まりやすくなるということですからね。
老廃物には細菌やウイルスも含まれていますから、リンパの流れが悪いと免疫力も低下します。

入浴時間は全身浴で10~20分間。骨盤周りの血流を改善するだけなら半身浴でも構わないのですが、水圧効果を得るには半身浴よりも全身浴が適しています。

水分の摂取は重要です。むくみがあると「水分を摂らない方が良い」と誤解されがちですが、水分の摂り過ぎが浮腫の原因ではありません。
入浴の前と後にコップ一杯の水分を補給しましょう。


ここで一つ。お風呂でできる一番簡単(だと思う)お勧めなリンパストレッチを紹介します。

①まず湯船に浸かりながら体育座りをします。

②湯船の縁に片足の足首をかけて、ひざ裏を伸ばします。
 もう片方の脚は引き寄せたまま。

③そのまま10秒キープ。



これだけ。

逆の脚も同様に。左右5回ずつ。

どうです?簡単でしょ。

簡単すぎて今「はぁ?」と思いましたか?

ひざ裏は4大リンパ節の一つなんですよ。



<入浴上の問題>#3 肌荒れやニキビ、吹き出物などの肌トラブルがある

<入浴目標> 新陳代謝を促進する



肌荒れがひどい場合は、体を洗うときにゴシゴシ洗わないことはもちろん、タオルを使わずに手のひらで優しく撫でるように洗うのも良いでしょう。
洗浄力の強いボディソープの使用も控えましょう。

入浴法としては高温のお湯と長湯は肌へのダメージとなりますから、38~40℃のお湯で20分間まで。

熱いお湯は交感神経を刺激して寝付きも悪くなり、質の高い睡眠が得られなくなります。

食後すぐの入浴も肌に良くありません。食後すぐの入浴は血流が胃や腸に集まらず消化が悪くなります
消化が悪いと、これまた不眠の原因となったり肌に栄養が届かない要因にもなります。

質の高い睡眠にこだわるのは、肌のターンオーバーは、睡眠中に分泌される成長ホルモンによって行われているからです。

ターンオーバーとは新陳代謝のことで、古い細胞が新しいものと入れ替わること。

新陳代謝を活性化するには体温を上げること、血液やリンパの流れを改善することです。
だから入浴はとても効果的。サウナ浴も効果的。

入浴中は「三陰交(さんいんこう)」というツボを刺激しましょう。
内くるぶしから指4本分上に上がったところで、スネの骨の内くぼみに位置します。

PMSだけでなく、冷え性やむくみや生理痛、更年期障害などにも効果があると言われ、女性にとってとてもありがたいツボです。



◆おすすめのアロマバス◆


女性ホルモンの調整作用に働くアロマ精油はたくさんあります。
ここはアロマの得意分野なので、ぜひアロマバスを活用しましょう。


女性ホルモンのバランスを整える精油

イランイラン カモミール・ローマン クラリセージ グレープフルーツ サイプレス ゼラニウム パルマローザ マージョラム メリッサ ラベンダー ローズウッド など(アイウエオ順)

どの精油もPMSには効果があり、入浴に使用しても肌に優しいものが多いです。
ただし月経量に影響を与えるものがあるので、その点は注意しましょう。
月経量が多い場合はゼラニウム、少ない場合はクラリセージマージョラムラベンダーがお勧めです。

PMSによって感情のコントロールが難しい場合は、セロトニンの分泌を促す精油がお勧めです。
成分に酢酸リナリルなどエステル類を多く含まれる精油が該当します。


セロトニンを分泌させる精油

カモミール・ローマン クラリセージ ベルガモット ラベンダー など

これらセロトニンの分泌に働く精油には高い鎮静作用があります。
症状に合わせて女性ホルモンのバランスを整える精油と上手に組み合わせて利用しましょう。


そして紹介したこれらの精油は、エプソムソルトで希釈してバスソルトにするとさらなる効果が期待できます。
エプソムソルトに多く含まれるマグネシウムにはホルモンバランスを整える作用があると言われているからです。
マグネシウムは経皮吸収されるので、バスソルトとアロマ精油の組合せはPMSには理想的な入浴法と言えるかもしれません。



アロマバスの例


イライラしやすい場合
 エプソムソルト 50g
 ベルガモット 3滴
 カモミール・ローマン 1滴

 (ベルガモットは柑橘類で唯一酢酸リナリルを含む精油で精神を安定させる作用がある。カモミールはリラックス作用に加え保湿作用もあるのでスキンケアにも向く)
 ※ベルガモットは人によってピリピリした刺激を感じる場合があります。また光毒性があるので朝風呂などには使用しないで下さい。


月経量が多く、むくみや頭痛などの症状が強く出ている場合
 エプソムソルト 50g

 ゼラニウム 1滴
 サイプレス 2滴
 イランイラン 1滴

 (ホルモンバランスを調整しつつ腹痛や頭痛の痛みを和らげる組み合わせ。体液の循環促進と鎮痛に優れている)
 ※妊娠中・授乳中の使用は控えましょう


冷え性を改善するなら足浴
 エプソムソルト 小さじ1(冷え性対策に特化するならヒマラヤ岩塩 小さじ1)
 マージョラム・スイート 2滴
 サンダルウッド 1滴

 (42~43℃のお湯で約20分。血行を促すマージョラムと体液の循環を促すサンダルウッドの組み合わせは生理前の冷えを和らげる)
 ※妊娠中・授乳中の使用は控えましょう

なお、ネロリの精油は少々お値段が高いので紹介しませんでしたが、新陳代謝を促進する作用があり、ネロリドールというホルモン様作用のある成分が含まれているので、PMSによる肌荒れにお悩みの方や、セレブな気分でケアをしたい方にはいいかも。


『症状別の入浴法』