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【入浴】 「閉塞性動脈硬化症」の入浴法 ~足浴によるフットケア~

 
閉塞性動脈硬化症とは、動脈の血管の壁にコレステロールなどが付着して、動脈そのものが狭くなったり詰まってしまい、血液の流れをふさいでしまう病気です。
動脈硬化が進むことで生じますが、これが冠動脈で起これば狭心症や心筋梗塞、脳の血管で起これば脳梗塞になるわけですが、閉塞性動脈硬化症は主に下肢、つまり下半身の動脈に起こります。「足梗塞」と表現するとイメージしやすいかもしれません。
 
閉塞(血管が詰まること)を起こすと、その先の組織に酸素や栄養を送り届けることができなくなるので、当然さまざまな障害が現れます。
 
初めのうちは足が冷たく感じたり、足の血色が悪くなったりしますが、症状が進展すると最終的には足に潰瘍ができたり壊死に至ったりします
 
 
高血圧などの生活習慣病や喫煙の習慣が閉塞性動脈硬化症の原因として挙げられます。
 
加齢や肥満も危険因子となりますが、特に
 
・高血圧、脂質異常症の場合は通常の2~3倍
・糖尿病、喫煙者の人は通常の4倍
 
も発症リスクが高くなるとも言われています。
 
 


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◆入浴上の問題リスト◆

 
#1 動脈閉塞による冷感やしびれを感じる
#2 高血圧などの基礎疾患がある
#3 皮膚の局所において炎症症状がみられる
 
入浴には血管拡張作用があるので血流の改善が期待できますが、閉塞性動脈硬化症とは基本的に動脈硬化症なので、狭心症など他の動脈硬化症を併発することも多く、場合によっては入浴(全身浴)は心臓に負担がかかるので注意が必要になることもあります。
そのため下肢の閉塞性動脈硬化症には温熱療法として足浴(足湯)が有効とされています。
 
 
 
◆入浴法◆
 
 
<入浴上の問題>#1 動脈閉塞による冷感やしびれを感じる
 
<入浴目標> 早期の対応により血流が改善される
 
 
閉塞性動脈硬化症の治療には早期発見、早期治療が大切とされています。
初期症状である足のしびれや冷感を感じる場合は、早期の診断が求められますが、症状が坐骨神経痛にも似ているために自己判断しがちなので注意が必要です。
 
症状が軽い段階では、足浴(足湯)による温熱療法が有効です。
それも炭酸浴による足浴。
 
炭酸浴は血管拡張作用が高く、通常の入浴よりも血流が4~5倍にもなるという研究報告があります。
 
足浴には、足の清潔を保ちながら、血管拡張作用による血流の改善が期待できます。
 
また、炭酸浴には組織への酸素の供給を促進する作用が高く、これが血行障害への治療などにも応用できるとして、最近は人工炭酸泉による治療効果への研究が進んでいるようです。
 
 
 【閉塞性動脈硬化症の足浴法】
 
  37~38℃ 15分間
  39~40℃ 10分間
 
 
血行障害への温熱療法としてホットパックがよく用いられますが、血流が閉塞している局所においては熱が放散されず火傷を生じる危険性があるのに比べ、炭酸浴による温熱作用は安全性が高いという利点があります。
 
ただし、効果の持続性はないので、フットケアの一つとして行いましょう。
 
 
ちなみに足浴後にしびれを感じる場合があるようです。
 
血栓が詰まって症状が悪化している可能性もありますが、血流は悪化する過程だけではなく、改善される過程でもしびれを感じることがあります。
 
正座から立ち上がろうとした時のしびれをイメージすると分かりやすいかもしれませんが、それまで血の流れが滞っていた場所の血行が急に良くなった場合に、ジンジンと感じることがあるのと同じです。
 
 
 
<入浴上の問題>#2 高血圧などの基礎疾患がある
 
<入浴目標> 原疾患の治療、改善を行うことで閉塞状態を進展させない
 
 
閉塞性動脈硬化症の危険因子として、高血圧や糖尿病といった疾患が根本的な原因となることがあります。
 
このような場合、原疾患に対する治療や改善が必要となります。
 
高血圧や糖尿病には血圧のコントロールも大切で、入浴においては血圧の急上昇を防ぐため38~40℃の湯温を守りましょう。
また、心臓への水圧負荷の小さい半身浴がお勧めです。
 
入浴前後の水分補給も重要で、体内の水分が不足すると血液の濃度が増して血栓が詰まる危険性が高くなります。
 
 
 
 
 
 
<入浴上の問題>#3 皮膚の局所において炎症症状がみられる
 
<入浴目標> 皮膚の清潔を保ち、病変を観察した時は医師に知らせる
 
 
入浴でも足浴でも、血行促進することは疼痛を緩和し、感染を予防することでもあります。
血液には、酸素や栄養を運ぶ働きだけではなく、発痛物質を流したり、白血球(免疫細胞)の活性化を促進したりする役割もあるからです。
 
浴後は足をしっかりと乾燥させましょう。ただし、下肢の循環状態が悪化してくると皮膚が乾燥しがちになりますので、この場合は保湿ケアが重要となります。
 
爪の手入れも気を配り、深爪が原因で細菌が入り感染するということがないようにしましょう。
 
足の病変をよく観察し、白癬、カンジダやタコ、うおの目などを発見した場合は医師に報告するようにしましょう。
 



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