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2015年06月18日

【健康】 トランス脂肪酸とは。サルでも分かる超スーパートランス脂肪酸入門ガイド

どうもSHIBAです。

マーガリンやショートニング(お菓子などに使われている)に多く含まれている「トランス脂肪酸」が、米国で2018年以降、食品に加えることが禁止されました。

『【健康】 <最新のニュースから> 米国でマーガリンなどトランス脂肪酸が全廃へ』 参照

トランス脂肪酸には悪玉コレステロールを増やし、善玉コレステロールを減らすから、というのが禁止となった理由です。

ではなぜトランス脂肪酸はいけないのか。トランス脂肪酸って何?

誰しもが感じる疑問です。


トランスとは「狂った」という意味ではありません。「横切った」という意味です。

「狂った脂肪酸」なら確かに体にわるそうだ。

それにしても「横切った脂肪酸」とはどういうことなのか。

それを知るには脂肪酸の構造を理解する必要があります。

なんだか難しくなりそうですが、誰でも分かるように頑張ってみますのでついて来て下さい。


脂肪酸は、炭素(C)水素(H)酸素(O)から構成されています。

そしてそれぞれの分子にはお互いに結合するための「手」があります。

  |
 ―C―   H―  O=
  |


炭素(C)は4本、水素(H)は1本、酸素(O)は2本の「手」を持っています。

分子はこの手でお互いに結合します。

  例: 水(H2O)の場合  H-O-H


分子同士が結合する時に、1本の手同士で結合することを「単結合」
2本の手同士で結合することを「二重結合」といいます。

ここで2つの球体が串の両端に刺さっている様子を想像してみて下さい。

1本の串で結合している場合(単結合)は、その1本の串を軸にくるくると回ることが出来るので安定しません。

2本の串で結合している場合(二重結合)は、2本の串でガッチリ刺さっているために回転ができず安定します。


なぜこんな話をするのかと申しますと、脂肪酸を理解するにはこの二重結合のあり方が大きく関わっているからです。


脂肪酸は通常は炭素(C)が一直線に繋がった直鎖状に配列されています。

例えばこんな感じ

 tran1[1].jpeg
 

このように炭素同士がすべて単結合している脂肪酸を「飽和脂肪酸」といいます(水素で飽和されているから飽和脂肪酸)


これに対し、どこか一箇所でも二重結合がある場合は「不飽和脂肪酸」といいます。

例えばこんな感じ

tran2[1].jpeg


水素で飽和されていないから不飽和脂肪酸。


まとめるとこうなります。

 脂肪酸
 ・飽和脂肪酸(二重結合なし)
 ・不飽和脂肪酸(二重結合あり)




さて、一般的に不飽和脂肪酸は飽和脂肪酸と比べ融点が低く、溶けやすい性質をしています。

飽和脂肪酸は室温では固体で、不飽和脂肪酸は室温では液体である傾向があります。

生物にとって体内の脂肪が環境の温度によっていちいち固まると生きていけません。

哺乳類や鳥類など恒温性動物は、36℃前後を保つことができるので飽和脂肪酸で構いませんが、
変温動物や植物は、温度が低い環境下でも脂肪酸が固まらないように融点が低くないといけません

ちなみに融点とは物が溶け出す温度のことで、融点が低ければ低いほど液体の状態を維持できます。

溶ける>融点>固まる

だから魚は動物性でありながら冷たい海水でも固まらないように不飽和脂肪酸なんですよ。
魚の脂はサラサラでしょ。
DHAやEPAが身体に良いのはそのためです(同じ不飽和脂肪酸でも二重結合がたくさんあります)


では次に、なぜ二重結合があると固まりにくいのか?を考えてみましょう。

農水省のホームページに中性脂肪の構造を表した図があります。

fat_oil01.gif


中性脂肪はグリセンリンに3つの脂肪酸が結合した構造をしています。

右の3本の毛みたいな線が脂肪酸です(炭素などの元素記号は省略されています)

3本のうち、一番上の脂肪酸は炭素が全て単結合されていることを意味しています。
なのでこれは飽和脂肪酸です。

前述のとおり、炭素が直鎖状に単結合している場合、団子の串を軸に回すようにくるくる回してみても、3次元的に見ると立体的には何も変わりません。

2本目の脂肪酸は、二重結合が一箇所ありますよね。二重結合が一箇所でもあれば不飽和脂肪酸です。

そしてここで注目して欲しいのは、二重結合をしている部分で屈曲していること。

3本目の脂肪酸は二重結合が2個所あることでさらに屈曲しています。

このような不飽和脂肪酸では、屈曲部より先は回転によって円錐状を描くように動くので近くの分子にぶつかります。

その場で自転しているだけの飽和脂肪酸に比べ、あちこちぶつかりあって流動性のある不飽和脂肪酸は固まりにくいことになります

二重結合の数が多くなるほど融点が低くなります。つまり液状を維持しやすい。

よって飽和脂肪酸は固まりやすく、不飽和脂肪酸は固まりにくいと。そういうわけです。


ここまでの説明について来ていますか?

ここからが本題ですよ(長いな)


マーガリンの誕生を実現するには植物性の油脂をバターのように固体する必要がありました。

不飽和脂肪酸なんだけど固まりやすくしたい。

ここで注目したのは二重結合の一部を単結合にして屈曲を減らし直鎖状にできないか?ということ。

そこで二重結合に水素を付加させて単結合にすることで屈曲を減らす方法がとられました

しかし、一部の二重結合では、二重結合はそのままで炭素に結合している水素の位置だけが正反対に変化するだけの箇所が発生します。

これが、水素が横切っているように見えるので、この形をとってトランス(横切った)型と言います。

トランス型の二重結合が一つでもあれば、それはトランス脂肪酸です。

trans_katei01.gif


これによりトランス型不飽和脂肪酸は、流動性に乏しく融点を上げて溶けにくくすることができるようになりました

これがマーガリンの誕生です。

トランス脂肪酸は、限りなく飽和脂肪酸に近いけれども、若干歪な形をしているのでマーガリンはバター(飽和脂肪酸)よりは溶けやすいです。


まあ、トランス脂肪酸についてざっくり申し上げましたが、
だから何が健康に悪いんだ?って話になると、これが分からない。

それもそのはず、実際に農水省でも「十分な証拠がない」との見解ですからね。

一応、不飽和脂肪酸ではありながら飽和脂肪酸のような性質があるので、体内で代謝されにくく悪影響を及ぼすことが原因とされています。

しかしそれだったら飽和脂肪酸全般にも言えることですからね。なにもトランス脂肪酸ばかりが取り沙汰されるのはおかしい。

「悪玉コレステロールを増やし善玉コレステロールを減らす」とも言われていますが、詳細な情報がないのでこれも分からない。

ひょっとすると、飽和脂肪酸に似ているとかそういうことではなくて、人工的に作り出された脂肪酸であるところに問題があるのかも。

天然由来のトランス脂肪酸など殆ど存在しないらしいから。

トランス脂肪酸を加工する過程、例えば水素を添加する時や、不純物を取り除くための加熱処理が加わることとか。どこかそのへんに不都合なことがあったりしてね。


良くいえば「健康に悪いという証拠は無い」
悪く言えば「安全であるという証拠は無い」


だったら何か新しいことが分かるまでトランス脂肪酸は避ける方が賢明なのかな。という気がしますがはたして・・・


(マーガリン関係者は大変だな SHIBA)

【健康】 <最新のニュースから> 米国でマーガリンなどトランス脂肪酸が全廃へ

遂に!というか、以前からそういう動きはありましたが、
アメリカでは2018年にトランス脂肪酸を添加した食品の販売を禁止することが決定しました


http://www.asahi.com/articles/ASH6K23DPH6KUHBI006.html
朝日新聞:トランス脂肪酸の禁止、米が決定 「安全と認められぬ」

トランス脂肪酸が心臓病などのリスクを高めると考えられているため、食品での使用禁止に至りました。

a1180_015630.jpg


トランス脂肪酸はマーガリンや、お菓子や揚げ物に使われるショートニングなどに含まれています。

そのため、このアメリカの報道を受けて日本国内にどのような影響があるか注目されています。

特に毎日マーガリンを食している人たちにとっては、その動向が気になるところでしょう。

いやいや、それ以前に「マーガリンが健康に悪い」と判断されていることにショックを受ける人も多いかもしれません。

バターよりマーガリンの方が健康に良いと思っていた人は多いでしょうからね。

バターは動物性油脂。マーガリンは植物性油脂。

そりゃ普通に考えればバターの方が健康に悪そうな印象を受けますよ。

でもよくよく考えてみれば、確かにマーガリンが怪しく思えることに気付くかと思います。

というのは、そもそもマーガリンは、かつて世界でバターが欠乏していた時代にそのバターの代用品として誕生した食品です。

ここで不自然だな、と思えることに気付くでしょうか?

マーガリンの油脂は植物性なのに何故固体なんだろうか?と・・・

動物性の油脂は融点が高く、常温では固体であることが多いのに対し、植物性の油脂は融点が低く、常温では液体であることが多いもの(一部例外を除く)

厳密にいえば「飽和脂肪酸」と「不飽和脂肪酸」


イメージとしてはこうなります(一部例外あり)

 動物性油脂 = 飽和脂肪酸 = 固体
 植物性油脂 = 不飽和脂肪酸 = 液体



マーガリンは不飽和脂肪酸なのに固体であることの不自然さ
これは硬化処理といって、人工的に油脂の構造を変化させることで実現しています。

この時に構造が変化した油脂の一部がトランス脂肪酸というわけです。

『【健康】 トランス脂肪酸とは。サルでも分かる超スーパートランス脂肪酸入門ガイド』 参照


不飽和脂肪酸でありながら、その構造上からラードやバターなどの飽和脂肪酸と同じような性質を持つわけですから、
体内で代謝されにくく、人体の健康に様々な悪影響を及ぼす考えられているんですね。

具体的には悪玉コレステロールを増やし、善玉コレステロールを減らすと言われています。

そのため心臓病のリスクが高まるというわけです。


このへんの科学的根拠として、日本の農林水産省ではホームページにてこう見解を述べています。

「トランス脂肪酸による健康への悪影響を示す研究の多くは、トランス脂肪酸をとる量が多い欧米人を対象としたものであり、日本人の場合にも同じ影響があるのかどうかは明らかではありません」
 
「油脂の加工でできるトランス脂肪酸と天然にあるトランス脂肪酸では、健康に及ぼす影響に違いがあるのかどうか、また、たくさんの種類があるトランス脂肪酸の中でどのトランス脂肪酸が健康に悪影響を及ぼすのかについては、十分な証拠がありません

http://www.maff.go.jp/j/syouan/seisaku/trans_fat/
農水省:トランス脂肪酸に関する情報


つまり、アメリカと日本では、トランス脂肪酸に対する見解に違いがあり、ただちにアメリカの影響を受けるようなことは無さそうです。

ではなぜアメリカではトランス脂肪酸を禁止したんでしょうか・・・


おそらく現実はこう(僕の推測)

トランス脂肪酸が飽和脂肪酸と同じく、健康に害を及ぼすことがある。これは間違いない。

ただし、何事にも摂取量には閾値というものがあります。

閾値とは特定の影響を及ぼす境目のこと。

人体が浴びてもよい放射線量の考え方と同じですよ。

つまり少しぐらいはトランス脂肪酸を摂取しても健康には影響ないが、閾値を超えると悪影響があると。

そしてアメリカ人はその閾値を超える食生活を送っている人が多い。

アメリカ政府としては国民の健康を考えた時に、国民にトランス脂肪酸の過剰摂取を止めるよう呼びかけるだけでは効果がないので、法律的にこれを禁止するしかないと・・・

一方、日本ではトランス脂肪酸の平均摂取量はアメリカと比べて低いので閾値を超えているかどうか分からない。
実感としてそれほど危険性も感じていないし、そもそも閾値がどのへんかも分からない。

日本にはバター不足に陥っていることもあり、マーガリンの必要性が高く、そのへんの経済事情も関係しているのではないでしょうか。

そして真実はその裏に利権に絡んだ複雑な問題が関係していて。なんてことも十分に考えられます。

でなきゃ、健康の害を考えるんだったら真っ先ににタバコを禁止しているはずでしょ。

・・・そんなところだと思います。


まあ、あれでしょ。アメリカのマーガリンに含まれるトランス脂肪酸は日本のマーガリンよりも多いんじゃなかろうか。

マーガリンに限らず、ケーキでもアイスでも凄くこってりしていますもんね。

日本人から見てそんな印象を受けますよ。


(日本人にとっては塩分の方が問題かも SHIBA)