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2015年11月

【入浴】 子どもの入浴法 ~「夜尿症(おねしょ)」の場合~


幼児期はおねしょをするものですが、
5~6歳になるまでに自然とおねしょをしなくなるのが普通のようです。

これは尿をためる膀胱の大きさと睡眠中に溜まる尿量のバランスが、
成長とともに整えられてくるからだと考えられています。

しかし、5~6歳を過ぎてもおねしょが続く場合は、
この発達が遅れているということになり、「夜尿症」として生活指導や薬物療法などの対処が必要とされています。

生活指導としては、オシッコを我慢する「排尿抑制訓練」や、水分の摂り方を変える。例えば朝や昼に意識的に水分を摂取して、夕方からは水分摂取を制限するとか・・・

それから夜中にトイレに起こして排尿させるのは良くないようです。
おねしょは回避できますが、これが習慣になってしまうと自制する能力がますます弱くなるからです。

あとは冷え性対策。

冷え性になると頻尿になりやすくなります。

体外へ排泄される水分は尿だけではありません。
皮膚から蒸発される汗や蒸気もそれに該当するわけですが、
体が冷えると発汗などは減りますから、そのぶん尿量が増えますよね。

また、冷え性は交感神経が活発になります。
交感神経が活発になると血管や膀胱が収縮されるため、トイレが近くなるという理由もあります。


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冷え性対策になる入浴は夜尿症にはとても効果的です。


1.寝る前にゆっくり入浴する


睡眠中に冷え性で尿意を感じることがないよう、入浴でしっかり温まることはとても効果的です。

シャワーだけで済ますのではなく、ゆっくり浸かって汗を掻いてください

先に述べたとおり、ある程度の水分が発汗により体外へ排泄されれば、尿量は少なくて済むようになります。


ちなみに入浴剤を使用するなら炭酸浴剤系(シュワシュワ泡の出るヤツ)か漢方薬湯がオススメです。

合わせて布団も温めておけば熟睡へと繋げやすくなりますよ。


2.熱ければ良いわけではない

汗を掻く。温まる。それならば熱い湯が良いのか?というと、そうではありません。

体の芯から温まるには熱い湯は適していません。

熱さにより交感神経が刺激され、結果、血管が収縮し冷え性を招きます。

38℃ぐらいが適温でしょう。

適温でゆっくり入ってしっかり汗を掻く。
そうやって自律神経を整えることが大切です。


また、脱水を起こすと抗利尿ホルモンが働いて尿の排泄を抑制しようとします。

脱水することが夜尿症に良いという意味ではありませんが、
夜尿症の原因にはこの抗利尿ホルモンが正常に働かない場合もあります。

子どもよりも大人の方がおねしょに対する自制が働くのは、
成長とともにこの抗利尿ホルモンを上手に調節することができるようになるからです。


しかし中には大人でも夜尿症になる人がいます。

大人の夜尿症の主な原因として、不規則な生活やストレスによる自律神経の乱れがあります

自律神経が乱れると抗利尿ホルモンがコントロール出来なくなります。

なので大人も子どものおねしょの場合と同じように、
自律神経を整えることが大切です。


3.お風呂でオシッコをしない


これは推測レベルの話ですが、とても興味深い仮説です。

「お風呂でオシッコをする習慣があるとおねしょしやすい」というんです。

その理由は、シャワーや身体を洗いながらオシッコをする時の体感温度が、
睡眠中の体感温度に似ているからなんだそうです。

これは大人にも言えることらしい。
心当たりのある人は気をつけようね・・・


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【入浴】 子どもの入浴法 ~「水痘(水ぼうそう)」の場合~

水ぼうそうは、水痘ウイルスが原因で発症する感染症です。

発熱と同時に、紅班を伴う丘診が全身にみられます。

ここまでははしかや風疹と同じですが、
水ぼうそうの場合は発疹がのちに水疱(水ぶくれ)に変わり、強い痒みを伴うのが特徴的です。

また、風疹のような耳の後ろのリンパ節腫脹もありません。

丘診から水疱がみられる間は感染力が強く、空気感染もあるのが特徴です。

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◆水ぼうそうの特徴

【感染様式】空気感染、接触感染

【潜伏期】10~20日間

【好発年齢】2~8歳

【症状】発熱、丘診、水疱
    食欲低下、全身倦怠感

 

水疱は2~3日でかさぶたに変わり、最後の水ぶくれがかさぶたになれば感染の危険性はなくなります。

そのような観点から、入浴については、熱が下がって全ての水疱がかさぶたになってからにしましょう


ただしひとつ、注意しなければいけないことがあります。

それは「ゴシゴシ体を洗わない」こと。

かさぶたが剥がれないように優しく体を洗わなければいけません。
浴槽に浸かるときもゆっくりと。


かさぶたが剥がれると困る理由は次の2点。

・かさぶたが剥がれた跡が残る

・爪にいる目に見えない細菌が剥がれたかさぶた跡に入り込む

 

清潔を保つためにはシャワーで優しく洗い流すなど、かさぶたを壊さないよう工夫をしなければなりません。
ましてや掻きむしるなど論外。爪を短く切っておくことも必要です。


痒みを亢進させないよう、ボディソープなどの使用を控えることも有効です。


また、入浴後に体を拭くときもタオルを当てて優しく行なってください。


※なお、一度かかった水ぼうそうのウイルスが、長いあいだ潜伏して、何かのきっかけ(体力の低下や過労など)でウイルスが再び活発化し、「帯状疱疹」になる場合があります。

『【入浴】 「帯状疱疹」の入浴法 ~2つの疑問~』 参照


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【入浴】 子どもの入浴法 ~「おたふく(ムンプス)」の場合~

「おたふくかぜ(ムンプス)」とは、唾液腺(耳の下)が腫れるムンプスウイルスによる感染症です。

流行性耳下腺炎といいます。

唾液腺が腫れると、食事が摂りにくくなるほど痛みを伴い、多くの場合は同時に発熱します。

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◆おたふくの特徴

【感染様式】飛沫感染、接触感染

【潜伏期】2週間前後

【好発年齢】5歳~小学生低学年

【症状】発熱、頭痛、嘔吐、全身倦怠感
    耳下腺・顎下腺の腫脹



なかには腫れるだけで他の症状が出ない場合もあります。

しかし発症直後、特に2日目が一番ひどいといわれていますが、この状況下ではお風呂は控えましょう

はしかや風疹と違って、おたふくは腫れに熱を持っているので、
発熱時に入浴するのは控え、逆に氷嚢や冷却シートなどで冷やしてあげましょう。

どうしてもお風呂に入りたい場合はシャワーのみで。
腫れている部分にはシャワーを当てないようにすれば可能です。


熱が下がれば今度は入浴した方が免疫力も高くなりますから積極的に入ることをおすすめします


ですが、他の感染症の場合と同じく子どもの機嫌をみて判断しましょう。

長風呂は体力を消耗するので短時間であがること。


ごく稀に、髄膜炎や脳炎などの合併症を患うことがありますが、
だいたいは1週間ほどで回復します。
 

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【入浴】 子どもの入浴法 ~「風疹」の場合~

風疹は「3日はしか」とも呼ばれます。

はしかと共通点が多いが「3日程度で自然と治る」からそう呼ばれています。

しかし、すぐ治るからといって侮れないのが風疹です。

風疹とは風疹ウイルスによるものですが、これといった治療法もなく、解熱して安静にするなどの対症療法しかできません(それだけにワクチンによる予防が重要になっている)

咳やくしゃみ、会話などから飛沫感染でうつり、
1人の患者から5~7人に感染していると推定されているほど感染力が強いんですよ。

悪化するとごく稀ですが、血小板減少性紫斑病(3000人に1人)、脳炎(6000人に1人)などの合併症を併発することもあるのが特徴です。


風疹といえば子どもの病気と思われがちだが、
数年に一度は予防接種歴のない成人の間でも流行しています。

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◆風疹の特徴

【感染様式】飛沫感染、接触感染

【潜伏期】14~23日

【好発年齢】5~15歳

【症状】リンパ節腫脹、発熱、発疹



さて、お風呂ですが、入浴は熱がなければ問題はありません

ただし湯はぬるめにしないと発疹の影響でかゆみを感じるかもしれません。

体を洗う時も皮膚を刺激しないように、手で洗うくらいが安全策となります。

長湯はせずサッとあがるようにして下さい。


「風疹の人のあとのお風呂に入ったら感染するのか?」と気にする人がいますが、
風呂で感染する可能性は相当低いと思いますよ。

そもそもウイルスは湿気の多い環境では弱いものです。


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【入浴】 子どもの入浴法 ~「はしか(麻疹)」の場合~

一度罹ったら二度と罹らないといわれる「はしか(麻疹)」

しかしその感染力は強力で、年間数十人がはしかで命を落としている(かつては数千人だった)というくらい重い病気です。

はしかは様々な症状があります。

まず原因は麻疹ウイルスによる感染症です。

症状としては鼻水目の充血高熱、そして赤い発疹がみられます。

初期症状はかぜに似ているから、気付かないうちに感染が拡がってしまうおそれがあるのは、はしかに限らず小児ウイルス感染症の特徴でもあります。

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◆はしか(麻疹)の特徴

【感染様式】空気感染、飛沫感染、接触感染

【潜伏期】7~14日

【好発年齢】6ヶ月~3歳(1歳代が最も多い)

【症状】鼻水、咳、目の充血、発熱
    発疹(耳の後ろ、顔、全身へと拡大)
    コプリック班(口腔内ほほ側に小さな白い斑点が出る)




かぜと比べて症状が重いので入浴の判断は慎重に。

高熱時は体力の消耗が激しいので安静が保てる環境が必要です。

発熱時の入浴は控えましょう

ただし、こまめに水分補給をして、スキンケアに配慮する必要があります(発熱による発汗や発疹もあるから)

体を拭くかシャワーだけにして、皮膚を清潔に保ちながら様子をみましょう。


一般に、熱が下がって発疹が消えてくる回復期になれば入浴は大丈夫といわれています。

しかし、熱が下がったとしても子どもが元気であることが入浴OKの判断材料にして下さい。

最初のうちは疲れさせないために短時間で済ますようする気配りも肝心です。


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【入浴】 子どもの入浴法 ~「RSウイルス」の場合~

冬から春にかけて乳幼児に多く流行する「かぜに似た症状」として「RSウイルス」があります。

俗にいう「かぜ」とは、細菌やウイルスなどの病原体が上気道に感染する上気道感染症のこと。

その原因となる病原体には、細菌よりも大半はウイルスによるものであり、かぜの病原体となる主なウイルスにはライノウイルス、アデノウイルス、インフルエンザウイルス、RSウイルスが該当します

なのでRSウイルスはかぜの一種といえます。

しかしRSウイルスの厄介なところは、炎症が下気道にまで波及することがあり、細気管支炎などを発症する場合があることです。

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「上気道」とは喉頭(喉仏の位置)より上の空気の通り道のことで、「下気道」とはそれより下(気管支、細気管支、肺)の気道のことです。

※いわゆる「かぜ」とは感染による上気道の炎症(上気道症状)を意味し、下気道が炎症を起こす気管支炎などとは区別されます。しかし軽度な下気道の炎症は「かぜ」に含まれることもあり、その線引きははっきりしていません。



RSウイルスは、2歳頃までにほぼ100%の子どもがかかるといわれ、
潜伏期は2~8日と結構な幅があります。

通常は鼻水、咳、発熱などの上気道症状(かぜ症状)があり、多くの場合1~2週間で治るとされています。

しかし、うち30%程度は下気道にまで炎症がすすみ、気管支炎や細気管支炎を発症し、「ぜいぜい」という喘鳴(ぜんめい)という呼吸困難をきたすのが特徴です。

特に細気管支は空気の通り道が細いので、ここで炎症がおこるとさらに狭くなり呼吸困難になるんですね。
吸うよりも吐くほうが難しいという、喘息とよく似た症状がみられます。

RSウイルスが侮れないのはこの細気管支炎を起こすことで、
「RSウイルス感染症」とは「細気管支炎」だといっても過言ではありません。


初めて感染した場合ほど重くなりやすいといわれ、乳幼児期、特に生後6カ月以内の場合は注意が必要です。

冬季に乳児がかぜの症状から呼吸がぜいぜいと言いだしたらRSウイルス感染症を疑ってみる必要があります。


発熱を伴っている場合は、安静にした方が良いと思われますので入浴は控えましょう。

熱が下がるまではタオル等で身体を拭いてあげて下さい
汗をよく掻くからだけでなく、清潔にしておかないと細菌なども感染してう可能性があるからです。

※RSウイルスによって抵抗力が下がっていると、ふつうは感染しないようなレベルの細菌でも感染し、肺炎などを合併する場合もある。よく風邪をひいた時にウイルスには効かないはずの抗生物質を処方するのは、このような重複感染を警戒してのものです。


熱さえ下がれば入浴法は基本的にはかぜの場合と同じ

『【入浴】 子どもの入浴法 ~「かぜ」の場合~』 参照

お風呂は湿度が高いので鼻やのどの粘膜が潤って症状が楽になることもあります。

熱い湯と長風呂は避けて、風呂上がりのケア(湯冷め・水分補給)に注意して下さい。



ただし、熱が無くても

●ミルクを飲みたがらない・・・哺乳ビンなどを咥えながら呼吸するのが困難である可能性がある

●呼吸が多い(60回/分以上)・・・これも呼吸困難であることを意味する

このような場合は、下気道に炎症が波及していることが疑われますので、重症化しないうちに医師に診てもらってください。


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【入浴】 子どもの入浴法 ~「かぜ」の場合~


「風邪をひいたら風呂へは入るな」とはもう過去の常識となりました。

かつて「入浴が風邪によくない」という考えが定着していた背景には、
お風呂が家にはなかった家庭が多く、銭湯などを利用した帰りに湯冷めをしやすかったという背景が考えられています。

時代は変わりましたからね。今ではその常識は改められています。

/blog/2014/11/post-144.php
『【健康】 風邪を引いたらお風呂は禁止?』 参照

とはいえ、それは大人を基準にした見解。


子どもの場合はどうなんだろう?
大人と同じことが言えるだろうか?

子を持つ親としてはそこが気になるところです。

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その前に知っておかなければならないこととしては、

◆ 「風邪をひくと水分と体力を消耗する」

◆ 「風邪といってもいろいろある」

の2点。


風邪をひくと、思った以上に知らないところで水分と体力を失います。

そのため、かぜをひいた時は「保温、保湿、水分補給、栄養補給、安静(睡眠)」が鉄則になります。


また、そもそも何をもって「かぜ」というのか理解していないと、
入浴法を間違えてしまいます。

まず「かぜ」というのは病名ではありません。

一般的に「かぜ」と言われているのは急性の「上気道炎」または「上気道感染症」のことで、
鼻腔・咽頭・扁桃などの上気道が炎症をきたす疾患群の総称です。

炎症とは病原体に対する免疫細胞による防御反応のことですから、
「かぜ」の原因は病原体による感染によるものです(稀に寒冷やアレルギーなどの非感染性の場合もある)


病原体が上気道に感染すると、くしゃみや鼻水、咳、発熱といった症状があらわれます。

くしゃみも鼻水も咳も、これらは病原菌を生体外へ排除しようとする防御反応です。

ですから、子どもにこれらの反応が出たからといって慌てる必要はありません。正常な反応なのだと理解する必要があります。



1.発熱がない場合


入浴は問題ありません。

むしろ重要なのは風呂上りで、湯冷めをしないようにすることと水分補給がポイントです。


ちなみに感染した部位によってかぜの症状が違います。

鼻に感染すれば、くしゃみ、鼻水、鼻づまり。
のどの感染すれば、咳、痰、のどの痛み など。

くしゃみや咳はカロリーを消費しています。風邪が長引くと体力が低下してくる理由のひとつです。

熱い湯や長風呂は体力を消耗するので控えましょう。



2.発熱している場合


では発熱がある場合はどうでしょう。

「体温が1℃下がると免疫力が30%低下する」という言葉を聞いたことはありませんか?

ウイルスは熱に弱く、また免疫力は体温が上がったほうが活発化するので、
発熱とは免疫細胞がウイルスと闘うために有利な環境を作ろうとしている行為なんです。

つまり外敵によって熱が出るのではなく、自ら発熱しているということ。


寒気は「体が熱を求めているサイン」であり、鳥肌は血管を収縮させて熱を体内から逃がさないようにするための行為であり、こうして熱を作り出します。

ですから、微熱程度ですぐに解熱薬を飲むのは、体が頑張ろうとしているところを邪魔する行為になってしまいます。


咳止めなどのかぜ薬や発熱を抑える解熱薬は、症状が重くてこのままでは体力が奪われるというような時にこそ使用するべきです。


では発熱時の入浴はどうか。

入浴も、個人差はありますが微熱程度であれば問題なさそうです。

子どもは平熱が大人より少し高い傾向があります。
成人では一般的に37度以上が発熱とされていますが、子どもは平熱が37度を超える子もいますからね。

小児の体温が高いのは、基礎代謝が活発だからなんです。


単に体温で判断するのではなく、微熱があってもいつもと変わらぬ元気があったり食欲があるようならお風呂に入ったほうが良いでしょう。

赤ちゃんの場合は言葉で表現できないので、
機嫌が悪かったりミルクを飲まないといった場合は具合が悪くなる前触れである可能性もあるので、お風呂は控えましょう。

いつもどおりであれば基本的には入浴により37度台をキープしてあげる方が、免疫力を高く維持することになりますよ。


ただし38度を超える場合は、さすがに体力が心配ですし体調が急変する可能性もありますので、入浴は控え安静にして休ませるほうが良さそうです。

熱が高いとそれだけで体力を消耗するものですから。


ただ、温かく蒸らしたタオルで汗を拭くこと(清拭)は忘れずに。

汗をたくさん掻くので下着やパジャマを替えてあげることも必要です。


熱が下がったら様子を見てお風呂に入れてあげて下さい。


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