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2015年12月25日

【健康】 カフェインの中毒死が話題になっている件について(後編)

どうもSHIBAです。



カフェイン中毒って何?


カフェイン中毒と聞けばなんだかカフェインとは身体に毒なのかと思われるかもしれませんが、そういうわけではありません。

交感神経に働くのでカフェインを過剰に摂取すればリラックス状態の反対、つまり緊張状態が強くなります。これにより落ち着きがなくなり、感覚が過敏になります。

「あれ?コーヒーを飲んだらリラックスできるんじゃないの?」と思ったあなた・・・

それはコーヒーの香り成分による作用であって、カフェインによるものではありません。

落ち着こうと思ってコーヒーを何杯も飲めばカフェインによる作用が強くなって逆効果になります。


具体的には焦燥感や不安が強くなり不眠症などが生じます
悪化すればうつ病不安障害などの精神疾患にも影響が出るようです。

身体的にも胃痛頭痛などの症状が生じ、心拍数の増加、酷ければ不整脈などの心疾患を生じる場合も・・・

カフェイン中毒にも急性慢性があり、特に重篤な状態に発展するのは急性の方。

カフェインは代謝されてしまえば、その効力は無くなるそうですが、短時間で急激にカフェインを摂取することで体内でのカフェインの代謝が追い付かず、カフェイン中毒を起こすようです。



カフェインの致死量ってどのくらい?


ではどのくらい量を摂取すると危険なのかというと。

これがどうも公式な致死量ラインというものがないようでして、
それぞれ専門家による推定でしかなさそうです。

一般的には一度に3グラム(3,000ミリグラム)の摂取が致死量のようです。
もちろん見解は人によって違い、5~10グラムとする意見まで様々。

で、気になるコーヒーのカフェイン含有量はインスタントで1杯60~90ミリグラム
ドリップになると1杯100~150ミリグラムが含まれているようです。

これだと致死量(3グラムとした場合)に至るにはコーヒー約30杯ほどを一度に飲む計算になりますね。
さすがに現実的ではありません。

カフェイン中毒で死亡したとされている九州の男性は、遺体の解剖で胃からカフェイン錠剤の粉末が見つかったそうですね。

コーヒーやエナジードリンクの飲み過ぎだけでは致死量に至らないと思うので、
こうした薬品による影響も大きかったのではないかという意見も多いようです。

眠気覚ましのカフェイン錠剤は医薬品ですが、規制緩和でインターネットなどでも買えるようになっていますからね。
用法を無視して大量摂取した可能性はあります。

1年前くらいから体調不良を訴えていたらしいが、それも慢性のカフェイン中毒が影響していたのかもしれません。そこへきて元気を出そうとさらに一気にカフェイン大量摂取。重度の急性中毒を起こす悪循環に陥ったとも考えられますよね。

いずれにしても、いかにもエナジードリンクやコーヒーでカフェイン中毒死は起こるかのような、不安を煽る大げさな報道は止めて欲しいものです。

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食品別のカフェインの含有量は?


カフェインが含まれている食品は結構あります。
目安になる主なものを少し紹介します。

※以下はネットで調べたものなので正確ではないかもしれません。あくまで参考程度に。


【コーヒー】

コーヒー1杯(インスタント)・・・60~90mg
コーヒー1杯(ドリップ)・・・100~150mg
缶コーヒー(185ml程度)・・・100~150mg

【エナジードリンク】

リポビタンD ・・・50mg
メガシャキ ・・・100mg
眠眠打破 ・・・120mg
レッドブル(250ml) ・・・80mg

【その他】

紅茶1杯 ・・・30~60mg
ココア1杯 ・・・10~50mg
コーラ(500ml)・・・50mg
緑茶1杯 ・・・30mg
麦茶1杯 ・・・0mg(ノンカフェイン)


【医薬品】

眠気除去薬エスタロンモカ錠(1回)・・・100~200mg
イブやバファリンなどの頭痛薬(1回)・・・80mg前後


頭痛薬にカフェインが含まれているのは、偏頭痛などに鎮痛作用があるから。

『【健康】 カフェインの中毒死が話題になっている件について(前編)』 参照


まあ、致死量に至るまで食品からカフェインを摂取するのは現実的ではありませんが、
致死量に至らなければよいというわけでもありません。

一応、食品安全委員会によれば、1日のカフェイン摂取許容量の目安として400ミリグラムとしています(健康な成人の場合)

4~6歳の子供に関しては45ミリグラムまでとしていて、これはコーラ1本分でしかないため注意が必要になります。

カフェイン中毒は軽症でも吐き気など生じますから、中毒死を心配する必要はありませんが過度の摂取は気をつけたいものですね。


(そのうちカフェインレスコーヒーが流行るかも SHIBA)

【健康】 カフェインの中毒死が話題になっている件について(前編)

どうもSHIBAです。

エナジードリンクの飲み過ぎが疑われるカフェイン中毒死が日本でも報道されました。

このような報告は日本国内では初めてだということで話題になっています。

ふだんからエナジードリンクを愛飲している人に限らず、コーヒー好きにとっても関心の高い報道だったのではないでしょうか。

今年になって「コーヒーを1日3~4杯飲む人は、ほとんど飲まない人に比べて心臓や脳血管、呼吸器の病気で死亡する危険性が4割ほど減る」という報道もあったばかり。コーヒー好きは安心してせっせとコーヒーを1日に3~4杯飲んでいたところかもしれませんね。

さてさて。

このような報道を聞けばどうしても気になるのは以下の点ではないでしょうか。

 ・カフェインは体に良いの?悪いの?
 ・カフェイン中毒って何?
 ・カフェインの致死量ってどのくらい?
 ・食品別のカフェインの含有量は?



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カフェインは体に良いの?悪いの?


そもそもカフェインは体に良いものなのか、悪いものなのか。気になりますよね。

なんといってもカフェインは交感神経を刺激します。
交感神経が刺激されることでどんな影響があるか。それを考えるとイメージしやすいかも。

ヒトの全身には交感神経と副交感神経という自律神経が分布していて、
交感神経が優位だと緊張状態、副交感神経が優位だとリラックス状態になります。

カフェインには眠気覚ましのイメージが強いのは、交感神経による覚醒作用が働くためです。

通常、食後は消化管(胃腸など)に血液が集まるため、脳の血流が悪くなり血圧が下がります(食後に眠くなるのもそのため)

これを食後低血圧といいますが、食後にカフェインを摂取することで食後低血圧を予防できます。


『【健康】 「低血圧」の入浴法 ~交感神経を刺激する~』 参照


このようにカフェインには脳の血管を収縮することで血圧を上げる作用があるんですね。

脳の血管が拡張することで起こると考えられている片頭痛には、血管を収縮させることで改善が期待できるということでカフェインは片頭痛に有効な成分とされています。

また、気管支ぜんそくにもカフェインは有効な成分と考えられています。

それは交感神経が優位になると気管支の平滑筋が弛緩され気道が確保されるからです。

交感神経が刺激されて弛緩すると聞いて何だか違和感を感じられるかもしれませんね。
緊張状態になるということは体に力が入るために血管などは収縮しますが、と同時に呼吸が大きく早くなるため喉の空気の通りを良くしなければなりません。
気管支など気道などがキュッと収縮してしまっては呼吸し辛くなってしまいますよね。だから気管支の平滑筋が弛緩され気道が拡張されるんです。


『【健康】 「気管支ぜんそく」の入浴法 ~サッと入ってサッと上がる~』 参照


ただし、腸においては刺激を与えてしまい、大腸のぜんどう運動を亢進させてしまいます。

交感神経が優位になると大腸のぜんどう運動は抑制されるのがふつうなんですが、
カフェインは刺激物なので摂取したカフェインが直接腸を刺激し、ぜんどう運動を亢進させてしまうようです。

ぜんどう運動が活発化してしまうと、便が大腸を通過する時間が早すぎてしっかり便が形成されないまま排泄されてしまうことになってしまいます。
つまり下痢気味の人にとってはカフェインを摂取すると症状が悪化してしまう可能性があるということです。


『【健康】 「下痢」の入浴法 ~腸を落ち着かせる~』 参照


カフェインが刺激するのは腸ばかりでなく腎臓をも刺激し、腎臓における血流を増やすようです。
濾過される血液が増えることで尿量が増えます。つまりカフェインには利尿作用もあるということです。


『【健康】 「過活動膀胱」の入浴法 ~下半身を冷やさない~』 参照


また、膀胱括約筋の作用を抑制しているアデノシンにカフェインが似ているため、アデノシンの働きをカフェインが妨害することで頻尿になるという説もあるようです。

アデノシンといえば脳においてはアデノシン受容体と結合することで脳の活動を低下させ眠気を誘う働きがあります。これもアデノシンの構造と類似しているカフェインがアデノシン受容体と結合することでアデノシンの作用を妨害し、これもカフェインの覚醒作用としての要因となっています。



このようにカフェインは体に良いか悪いかなどとは一概に言えず、
身体の各組織を刺激する成分だということ。
主なところでは交感神経を刺激することによる影響が大きいといえます。

まとめるとカフェインの作用としては覚醒作用の他に、脳血管の収縮力増大心筋の収縮力増大気管支平滑筋の弛緩腸のぜんどう運動の亢進などがあります。


『【健康】 カフェインの中毒死が話題になっている件について(後編) 』 へ続く

(続きは次回 SHIBA)