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2016年03月04日

【健康】 「肩こり」には痛み止め(消炎解熱鎮痛剤)よりも入浴の方が効く理由


毎日しっかり入浴することで今では滅多に肩がこらない、どうもSHIBAです。
 
肩こりにお悩みの人は多いと思いますが、痛み止め(消炎解熱鎮痛剤)に頼っていたりしてませんか?
 
まだ運動やストレッチなど血流を促すことをした方が効果がありますよ。
 
・・・分かっているけど時間が無い?
 
ならば、入浴はどうでしょう。入浴は毎日することですし、わざわざ新たな時間を作る必要もありません。
 
・・・なに?毎日入浴しているけど肩こりが治らないだって?
 
それは入浴の仕方が問題かもしれませんよ。
そもそもシャワー浴で済ませていたりしていませんか?夏は特に。
 
ちゃんと浴槽浴でしっかり温まらなければなりませんよ。
 
具体的な入浴法は
 
 

ここではなぜ痛み止め(消炎解熱鎮痛剤)が肩こりに有効ではないのかをお話しします。

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痛み止めは、その痛みの原因となっているプロスタグランジンという物質の発生を抑制することで痛みを止める作用があります。
 
しかし、肩こりを解消するのに痛み止めは本当の意味では有効ではありません。
 
 
 
そもそも「肩こり」になる理由ですね。
これは大きく2つに分けられるかと思います。
 
ひとつは「ストレス・緊張状態が続いた場合」
もうひとつは「風邪をひいた場合」です。
 
ストレスや緊張状態が続くと交感神経が過剰に優位になります。
仕事などで同じ姿勢をとり続けた場合もずっと緊張状態にあると考えられ筋肉も緊張します。
 
交感神経が優位な状態が続けば、交感神経は血管を収縮させますから血流が悪くなり、こわばった筋肉への酸素や栄養が不足してしまい痛みを感じてしまいます。
 
風邪をひいた場合は、免疫が低下します。免疫力が低下すると脾臓の機能も低下します。
脾臓とはあまり聞き慣れない臓器かもしれませんが、リンパ球などの免疫細胞が集結している大きなリンパ器官です。
この脾臓のダメージが神経系を通して緊張してしまう筋肉がありまして、それが肩にある僧帽筋なんです。
筋肉が緊張した後の展開はストレスによる場合と同じです。
 
この脾臓が肩こりを招く反応を内蔵体性反射と言います。内蔵体性反射とは内蔵の異常が神経を介して特定の骨格筋などに影響を与える反応です。
例えば、腰が痛いのは原因が腰にあるのではなくて内臓が悪かったことによって腰に痛みを感じさせていた場合があるようなもの。
 
ストレスによる肩こりも風邪による肩こりも、筋肉の緊張と血行不良が原因だということ。
細胞に届く酸素と栄養が不足しているので痛みを感じます。
 
痛みを感じるのはプロスタグランジンというホルモン様の物質が発生しているからです。
 
プロスタグランジンは痛みの閾値を下げ、痛みの感受性を高めます。
どこか怪我をした時に「痛い!」と感じるのはプロスタグランジンによるものです。
 
プロスタグランジンの作用は痛みを感じさせるだけではありません。
 
プロスタグランジンの作用
 ①副交感神経を優位にする
 ②血管を拡張させる
 ③痛み・熱・腫れなどの炎症を起こす
 
つまりこういう流れになる。
 
交感神経が優位で筋肉は緊張し血管は収縮している
    ↓
血流が悪いので細胞への酸素や栄養が不足している
    ↓
このままじゃ危険だ!なんとかして酸素と栄養を届けなきゃ!
    ↓
そこでプロスタグランジンの登場だ!
まずは交感神経を抑え副交感神経を優位にして緊張を解いて血管を拡張させるんだ!
    ↓
よし。これで血流が改善され酸素や栄養が行き渡るようになるな。
    ↓
ん?待てよ。ここでムリされちゃ困るな。いっちょ痛みを感じさせてやるか。
今は休憩が必要だからおとなしくしていろよ。
 

おそらく体はこんな気持ちで肩こりを治そうとしているはず・・・たぶん。
 
仕事に集中していると肩がこっていても気付かないが、仕事が終わったりリラックスモードになると急に肩こりを感じることってありませんか?
あれは副交感神経が優位になって血管が拡張し、肩の血流が回復しているのと同時に痛みを感じてる状態だと言えます。
 
痛いけど回復するための好転反応なんですよ。
 
ここで痛いからといって痛み止め(消炎解熱鎮痛剤)を使ったらどうなるでしょう。
 
プロスタグランジンの発生を抑えるので痛みは治まります。
しかしプロスタグランジンの作用はそれだけではなかったですよね。
副交感神経を優位にする作用も血管を拡張する作用も抑えられてしまいます。
痛みは抑えられますがコリを取るわけではありません。血流の改善にもなりませんから酸素と栄養の不足は依然として続きます。
 
こんな状態で薬の効果が切れたらどうなるものか・・・想像に易いですよね。
 
重要なのは血流の改善なんです。
血行促進こそが肩こりを治す条件なんです。
 

だから入浴は痛み止めよりも肩こりに効果があるんです。
 
入浴という行為は、リラックスして副交感神経を高めますので、場合によってはより肩こりを感じやすくするかもしれません。
でもそれは回復過程によるもので、漢方でいうところの瞑眩作用(好転反応)と同じです。
 
一時的に痛みは感じますが、血行を促進させ酸素と栄養を行き渡らせ、結果的には回復を早めることに繋がります。
 
これは日常的にしっかり入浴していれば肩こりを予防できるという意味でもあります。
 
筋肉痛における対策と同じですね。
 
 

筋肉痛も肩こりもプロスタグランジンの作用による痛みであり、血管が拡張されることで回復していく点では共通しています。
筋肉痛の場合は筋組織の損傷によるものなので、組織を修復するために酸素や栄養がたくさん必要だということ。肩こりは筋組織が損傷しているわけではないという原因の違いはありますが、目的は同じです。
 

この原理を知っていると、葛根湯の薬理作用が簡単に理解できます。
 
「風邪をひいたら葛根湯」と言われるほど、かぜ薬としてのおなじみの葛根湯ですが、
風邪の他にも肩こりや筋肉痛にも効果があるって知っていますか?
 
これは葛根湯が抗生物質や抗ウイルス薬のような治療薬ではなく、病原菌に対抗するために血行を促進して熱を作りリンパ球らの免疫力を高めて回復を早めようとする作用を持っているからです。
 
痛み止めよりも入浴の方が根本的な回復に繋がるのと同じですね。
 

(SHIBA)