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2016年03月

【なるほど漢方】 漢方薬「葛根湯」 ~肩こりにも葛根湯~


風邪といえば葛根湯。と言われるほどの漢方薬「葛根湯」

風邪は風邪でも、悪寒、頭痛、肩から首筋のこり、関節痛などがあり、発熱はしても汗をかいていない初期症状の時に用いられます。

そして、かぜの初期症状なら誰でも効くかといえばそうでもなくて、体力が比較的ある人に向いています。
胃腸虚弱者に用いると稀に嘔心・食欲不振をきたすことがあるそうで、虚弱体質な人には葛根湯から麻黄と葛根を外した桂枝湯が用いられます。

桂枝湯にも血流を良くする作用がありますが、葛根湯に含まれる麻黄には、より血行を盛んにし発汗させる力が強い特徴があります。
なので、インフルエンザをふくむ重いかぜ症状には葛根湯よりも麻黄が主薬となっている麻黄湯が用いられます。

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葛根湯がかぜに効く理由


かぜをひいた時、西洋の薬(市販薬含む)では総合感冒薬をはじめ発熱には消炎解熱鎮痛薬、せきには咳止めなどいくつかの種類の薬を症状に合わせて使い分けしますが、かぜの原因となるウイルスや細菌などの病原体が体内にいる限り治りません

西洋の薬はいずれもかぜによる症状を緩和する薬であって治療薬ではありません。
病原体を退治するのは、あくまでも本来持っている体の免疫力

かぜをひいた時に体が発熱するのは、病原体が熱に弱く免疫細胞は熱に強い特性があるからです。
発熱は免疫細胞にとって有利な環境にして病原体を退治しようとする防御反応なんですね。


葛根湯も直接病原体を殺菌するわけではありませんが、葛根湯には血行を促進して熱を作り免疫力を高める作用があるので、一時的には発汗により悪化したように思えますが、結果的には早く治癒して回復します。

これは葛根湯に限らず、漢方薬には自己免疫力・自己治癒力を高める作用があります。
一時的に症状が悪くなったような現象は瞑眩(めんげん)作用といって、好転反応であり副作用とは違います。

また、葛根湯の作用機序が血行を促進させることにあるので、肩こりをはじめ、主に上半身の各症状、例えば神経痛頭痛炎症の類(結膜炎,角膜炎,中耳炎,蓄膿症,鼻炎等 )を軽減させる効果もあります。
この場合は悪寒や発熱などの所見がみられる必要はありません。

とりわけ肩こりへの効果は有名です。


肩こりにも葛根湯


肩こりはストレスやかぜが原因で肩の筋肉(僧帽筋など)が緊張し、血流が悪くなって痛みを感じる症状です。

ですから、痛み止め(消炎解熱鎮痛剤)で痛みを抑えても一時的な緩和に過ぎません。
肩こりを根本的に改善するには血流を良くする必要があり、そこに葛根湯が有効とされている理由があります

また葛根湯の葛根には肩から首筋の緊張を解く作用もあるそうです(作用機序は分からない)

なお、肩こりには別に薬に頼らなくても入浴でも血行促進はできます。

『【健康】 「肩こり」には痛み止め(消炎解熱鎮痛剤)よりも入浴の方が効く理由』 参照


ただし、肩の血流が回復する過程で、同時に痛みを感じる場合があります。
基本的に肩こりを感じる時は「肩の筋肉が痛い」と感じる時で、その痛みはプロスタグランジンという物質によるものです。

肩の筋肉が緊張して血流が悪くなると筋肉の細胞に酸素や栄養が行き渡らなくなります。
この状態が続くと体に悪影響を及ぼしますので、免疫細胞からサイトカインという指令が出てプロスタグランジンが発生します。
このプロスタグランジンは血管を拡張して血行を促進し、熱を作り免疫力を高めますが、痛みの感受性をも高めます

そのため、入浴により肩の血流が改善されると同時に、より肩こりを感じやすくなりますが、これは瞑眩作用であり、回復を早めるための好転反応なのでなんら心配は必要ありません。

そういう意味では入浴よりも葛根湯の方が効果があるかも

葛根湯にはプロスタグランジンの合成を阻害する生姜(ショウキョウ)が含まれているからです。
その一方で葛根湯に含まれる芍薬(シャクヤク)が血行を促進させ、桂皮・麻黄には発汗作用があります。
加えて主薬の葛根には肩から首筋の緊張を解く作用がある。

これらの作用が一体となったのが葛根湯で、プロスタグランジンの助けを借りることなく、つまり痛みを増強させることなく血行を促進して肩こりをとるわけです。

これからは「肩こりにも葛根湯」ですね。


なお、葛根湯にはドリンクタイプの物が普及しています。

これを冷蔵庫で冷やして飲む人は多いかもしれませんが、葛根湯の作用が体を温めることにあると知っていれば、冷蔵庫で冷やすのは間違っていると理解できますね。
保存は冷蔵庫でも使用する場合は早めに冷蔵庫から出しておきましょう。
 

【健康】 「肩こり」には痛み止め(消炎解熱鎮痛剤)よりも入浴の方が効く理由


毎日しっかり入浴することで今では滅多に肩がこらない、どうもSHIBAです。
 
肩こりにお悩みの人は多いと思いますが、痛み止め(消炎解熱鎮痛剤)に頼っていたりしてませんか?
 
まだ運動やストレッチなど血流を促すことをした方が効果がありますよ。
 
・・・分かっているけど時間が無い?
 
ならば、入浴はどうでしょう。入浴は毎日することですし、わざわざ新たな時間を作る必要もありません。
 
・・・なに?毎日入浴しているけど肩こりが治らないだって?
 
それは入浴の仕方が問題かもしれませんよ。
そもそもシャワー浴で済ませていたりしていませんか?夏は特に。
 
ちゃんと浴槽浴でしっかり温まらなければなりませんよ。
 
具体的な入浴法は
 
 

ここではなぜ痛み止め(消炎解熱鎮痛剤)が肩こりに有効ではないのかをお話しします。

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痛み止めは、その痛みの原因となっているプロスタグランジンという物質の発生を抑制することで痛みを止める作用があります。
 
しかし、肩こりを解消するのに痛み止めは本当の意味では有効ではありません。
 
 
 
そもそも「肩こり」になる理由ですね。
これは大きく2つに分けられるかと思います。
 
ひとつは「ストレス・緊張状態が続いた場合」
もうひとつは「風邪をひいた場合」です。
 
ストレスや緊張状態が続くと交感神経が過剰に優位になります。
仕事などで同じ姿勢をとり続けた場合もずっと緊張状態にあると考えられ筋肉も緊張します。
 
交感神経が優位な状態が続けば、交感神経は血管を収縮させますから血流が悪くなり、こわばった筋肉への酸素や栄養が不足してしまい痛みを感じてしまいます。
 
風邪をひいた場合は、免疫が低下します。免疫力が低下すると脾臓の機能も低下します。
脾臓とはあまり聞き慣れない臓器かもしれませんが、リンパ球などの免疫細胞が集結している大きなリンパ器官です。
この脾臓のダメージが神経系を通して緊張してしまう筋肉がありまして、それが肩にある僧帽筋なんです。
筋肉が緊張した後の展開はストレスによる場合と同じです。
 
この脾臓が肩こりを招く反応を内蔵体性反射と言います。内蔵体性反射とは内蔵の異常が神経を介して特定の骨格筋などに影響を与える反応です。
例えば、腰が痛いのは原因が腰にあるのではなくて内臓が悪かったことによって腰に痛みを感じさせていた場合があるようなもの。
 
ストレスによる肩こりも風邪による肩こりも、筋肉の緊張と血行不良が原因だということ。
細胞に届く酸素と栄養が不足しているので痛みを感じます。
 
痛みを感じるのはプロスタグランジンというホルモン様の物質が発生しているからです。
 
プロスタグランジンは痛みの閾値を下げ、痛みの感受性を高めます。
どこか怪我をした時に「痛い!」と感じるのはプロスタグランジンによるものです。
 
プロスタグランジンの作用は痛みを感じさせるだけではありません。
 
プロスタグランジンの作用
 ①副交感神経を優位にする
 ②血管を拡張させる
 ③痛み・熱・腫れなどの炎症を起こす
 
つまりこういう流れになる。
 
交感神経が優位で筋肉は緊張し血管は収縮している
    ↓
血流が悪いので細胞への酸素や栄養が不足している
    ↓
このままじゃ危険だ!なんとかして酸素と栄養を届けなきゃ!
    ↓
そこでプロスタグランジンの登場だ!
まずは交感神経を抑え副交感神経を優位にして緊張を解いて血管を拡張させるんだ!
    ↓
よし。これで血流が改善され酸素や栄養が行き渡るようになるな。
    ↓
ん?待てよ。ここでムリされちゃ困るな。いっちょ痛みを感じさせてやるか。
今は休憩が必要だからおとなしくしていろよ。
 

おそらく体はこんな気持ちで肩こりを治そうとしているはず・・・たぶん。
 
仕事に集中していると肩がこっていても気付かないが、仕事が終わったりリラックスモードになると急に肩こりを感じることってありませんか?
あれは副交感神経が優位になって血管が拡張し、肩の血流が回復しているのと同時に痛みを感じてる状態だと言えます。
 
痛いけど回復するための好転反応なんですよ。
 
ここで痛いからといって痛み止め(消炎解熱鎮痛剤)を使ったらどうなるでしょう。
 
プロスタグランジンの発生を抑えるので痛みは治まります。
しかしプロスタグランジンの作用はそれだけではなかったですよね。
副交感神経を優位にする作用も血管を拡張する作用も抑えられてしまいます。
痛みは抑えられますがコリを取るわけではありません。血流の改善にもなりませんから酸素と栄養の不足は依然として続きます。
 
こんな状態で薬の効果が切れたらどうなるものか・・・想像に易いですよね。
 
重要なのは血流の改善なんです。
血行促進こそが肩こりを治す条件なんです。
 

だから入浴は痛み止めよりも肩こりに効果があるんです。
 
入浴という行為は、リラックスして副交感神経を高めますので、場合によってはより肩こりを感じやすくするかもしれません。
でもそれは回復過程によるもので、漢方でいうところの瞑眩作用(好転反応)と同じです。
 
一時的に痛みは感じますが、血行を促進させ酸素と栄養を行き渡らせ、結果的には回復を早めることに繋がります。
 
これは日常的にしっかり入浴していれば肩こりを予防できるという意味でもあります。
 
筋肉痛における対策と同じですね。
 
 

筋肉痛も肩こりもプロスタグランジンの作用による痛みであり、血管が拡張されることで回復していく点では共通しています。
筋肉痛の場合は筋組織の損傷によるものなので、組織を修復するために酸素や栄養がたくさん必要だということ。肩こりは筋組織が損傷しているわけではないという原因の違いはありますが、目的は同じです。
 

この原理を知っていると、葛根湯の薬理作用が簡単に理解できます。
 
「風邪をひいたら葛根湯」と言われるほど、かぜ薬としてのおなじみの葛根湯ですが、
風邪の他にも肩こりや筋肉痛にも効果があるって知っていますか?
 
これは葛根湯が抗生物質や抗ウイルス薬のような治療薬ではなく、病原菌に対抗するために血行を促進して熱を作りリンパ球らの免疫力を高めて回復を早めようとする作用を持っているからです。
 
痛み止めよりも入浴の方が根本的な回復に繋がるのと同じですね。
 

(SHIBA)
 

よもぎ風呂を楽しんでみた

どうもSHIBAです。

昨晩の入浴は「よもぎ風呂」で楽しんでみました。


よもぎは食用としてだけでなく、「艾葉(がいよう)」という名の生薬として切り傷や擦り傷の治療に使用されるなど、民間医療としても日常生活になじみの深い薬草です。

日本では3月といえば「よもぎ風呂」というくらい入浴剤としても利用されている風習があります。

ということで僕も早速・・・



使用したのはよもぎの葉25g。

目の細かい洗濯ネットに入れて沸騰したお湯に5分間浸け置き。


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ほんのりとよもぎの香りが漂います。

その後、色の出た煮汁ごと浴槽へ投入。

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お湯の色は鮮やかな緑色に染まりましたが、
肝心のよもぎ独特の香りは正直少し物足りない感じでした・・・

25gではなく30gの方が良かったかも。


しかしよもぎの成分はしっかりとお湯に染み出しているはずで、
湯温は41℃。10分間じっくり浸かってみました。

よもぎは入浴剤で「ヨモギエキス」として発汗成分に利用されるだけあって、
入浴後の保温効果はバツグンでしたよ。

よもぎには殺菌作用があり、切り傷や擦り傷への治療に用いられるのはそのためで、
他も「にきび」や「あせも」、「アトピー」の改善にも効果が期待されています。

皮膚にトラブルを抱えている人にはお勧めですね。

加えて発汗作用もあるので肩こり冷え症にお悩みの人にもお勧めします。


ちなみにアラピアでは、今月の風呂の日(3/26)はよもぎ風呂をする予定です。
お楽しみに。

詳しくは
/contents/2016/02/post-440.php


(SHIBA)



 

認知症JR事故訴訟問題で争点となった監督責任について

どうもSHIBAです。
 
認知症の男性が列車にはねられ、鉄道会社に損害を与えたということで、認知症の妻と長男に「監督責任がある」として賠償責任が請求されていた件。
今後の認知症に対する介護のあり方に影響を与えるかもしれないということで世間の注目を集めていましたが、このたび最高裁は鉄道会社側の請求を棄却しました。

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で、
 
この 「監督責任」とは何ぞや?ということですが、
これは民法の第714条でいうところの
 
「 責任無能力者がその責任を負わない場合において、その責任無能力者を監督する法定 の義務を負う者は、その責任無能力者が第三者に加えた損害を賠償する責任を負う」
 
に記された「賠償する責任」のこと。
 
つまり「監督責任=賠償責任」という扱いになっているようです。
 
事故を起こしたのは認知症の男性ですが、この男性は責任無能力者に該当するので代わりに監督責任者が損害の賠償を負うというのが法的な解釈です。
 
そこで、この裁判で争点となっていたのは、賠償を請求された妻と長男は「監督責任者」に該当するのかどうか。また監督責任があったとしてその責任を果たせていたのかどうか。

 

 
ということだったんです、ポイントは。
 
「子どもが犯した責任は親権のある親にある。それが監督責任」というのと似ています。
 
昨年の今頃にも同じような問題がありましたよね。子どもが蹴ったボールが老人に当たって転倒事故を招いて、それが原因で死亡に繋がったとして裁判になった事案が。
 
この時も「子どもの両親に対する監督責任について民法の714条をどう適用するか」が争点になっていました。
 
 
しかし、今回の件は子どもではなくて認知症ですからね。
教育やしつけで管理できる問題ではありません。
 
認知症の人を教育できるわけではありませんので、100%管理するのは無理があります。
 
今回の最高裁の判断は、そうした事情を汲んでの「家族というだけで監督責任には当たらない」という判決になったのかな?
 
では誰に監督責任があるのか?
という問題が残ってしまいます。
 
今回は原告が鉄道会社だったからいいけど、仮に被害を被ったのが個人で、しかも死亡させてしまった場合はどうなるんでしょう。
加害者が認知症だからといって賠償する必要が無いで済まされては腑に落ちません。
そのような場合でも被害者は救済されるべきです。
 
そこで思うんですが、監督責任と賠償責任を分けて考えてはどうでしょうか。
 
例えばある会社の現場を任されている主任には監督責任はありますが、何か問題を起こした場合の結果責任はその上司である管理職の人が負うことってよくありますよね。
管理職である上司から「責任は俺が取るからお前は心配せずに全力で取り組んでくれ」と任務を託された主任にとってみれば心強いことでしょう。
 
認知症の介護もそうあるべきだと思うんです。
 
でなければこれから在宅介護をする者にとって、とても窮屈な時代になってしまいます。
 
監督責任は介護をしている当事者にある。
何があろうと介護者にある。
 
では賠償責任(結果責任)は誰にあるか?といえば、
これは社会が負うべきではないでしょうか。
 
今回のような件があった場合には社会が保障する政策の存在が必要なのではないかと思うのです。
 
つまり加害者側も被害者側も救済されるシステムです。
 
これは子育て支援や高齢者介護、障がい者介護にも当てはまる問題です。
これからの少子高齢化社会。今後同じような問題はますます増えるはずです。
社会全体でフォローする時代になって欲しいと考えます。
 
(SHIBA)