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2016年05月11日

【健康】 「免疫力のバランス」とはどういう意味?⑩ホルモンの影響

長く続いたこのテーマの話題も今回が最終回。

ヒトの体には、外部環境が変化しても、常に最適な状態に保たれるよう「恒常性(ホメオスタシス)」が働いています。

例えば体温が一定に保たれていたり、他にも血圧や体液の浸透圧など体が正常に機能するために維持するしくみのこと。

この維持機能の調節を司っているのが自律神経です。

交感神経と副交感神経が筋肉や血管などの各組織に働きかけて生体活動のバランスをとっています。

また、自律神経による神経性の調節以外にも「ホルモン」という液体調節が恒常性に作用しています。



免疫細胞・自律神経・ホルモン の相互バランス


ホルモンとは内分泌腺のある部位(視床下部・甲状腺・副腎など)から分泌され、血液を通って特定の器官に達し、特定的効果を発揮します。

有名なものではすい臓から分泌されるインスリンではないでしょうか。
血糖が上がるとインスリンが分泌されます。インスリンには血糖を低下させる作用があり、このおかげで血糖が一定に保たれているわけです。


副腎髄質から分泌されるアドレナリンは、交感神経の末端から分泌されるノルアドレナリンと同じ作用を持ちます(心拍出量増加・血圧上昇・気管支拡張・消化管運動抑制・血糖値上昇 )

また、副腎皮質から分泌されるコルチゾールは、ストレスと低血糖に反応し、血糖値を上げたり免疫力を低下させます。
強力なストレス下では顆粒球の働きすぎにより炎症性の疾患を招くことはすでに述べた通りですが、
コルチゾールにはその働きを抑制する作用があるということです。
つまり抗炎症性作用ですね。

実はコルチゾールはステロイドホルモンの一種で、よくアトピーや湿疹、発疹、などのアレルギー疾患や関節リウマチなどの薬用成分になっています。ステロイド薬として有名ですよね。

つまりホルモンの分泌が適正に行われることによって、自律神経と同じように恒常性の維持が保たれます。
そして免疫力も自律神経やホルモンの影響を受けることが分かりますね。

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免疫系はサイトカイン、神経系は神経伝達物質、ホルモン系はホルモンの分泌によって相互に影響し合い、そうやってバランスが取れていると考えられています

結局のところ、「免疫力のバランス」とは「顆粒球/リンパ球」や「細胞性免疫/体液性免疫」だけでは語ることが出来ず、「Th1/Th2」や「Th17/Treg」も含め、さらに自律神経やホルモンのバランスとの兼ね合いも考慮しなければならず、とても複雑な因子の絡み合いによって維持されていることが分かります。

これからは「免疫力のバランスを整えましょう」なんて簡単には言えませんね。


(SHIBA)


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