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2016年06月23日

【健康】 梅雨期の入浴法④ 原因は血行の悪さよりも酸素不足?


◆梅雨と肩こり・関節痛


梅雨になると「肩こり(首こり)」「関節痛」に悩まれやすいと言われています。

その根拠として良く挙がるのは以下の理由

・自律神経が乱れて血流が悪くなるから
・低気圧により血管が拡張されて血流が悪くなるから



どちらも「血流が悪くなること」を直接の原因としていますが、それにしても「自律神経が乱れる」とはとても曖昧で便利な言葉で、何だかよく分からないことは自律神経のせいにするのはもはや常套句になっている感がしてあまり感心できません。

「血管が拡張して血流が悪くなる」というのも「血管の拡張=血流の悪化」と一概に決めつけられるものではありません。血流の良し悪しは拍出量や血管の抵抗性によって決まるもの。もし血管が拡張した分だけ流れる血液量が増えるのなら、それは血行促進といい、血流が良いことを意味します。


血管が拡張して血流が悪くなるとすれば、それは低血圧によるものだといえます。

低血圧だとすれば身体の一番高い位置にある脳が影響を受けやすく、急に立ち上がるとめまいや立ちくらみを起こしやすいという特徴があります。ここまで悪化していれば血流が悪くなっていると判断できます。


確かに「血流が悪い」状態では、各組織に酸素や栄養素が行き渡らないので、僧帽筋への供給が悪ければ肩こり(首こり)、関節への供給が悪ければ関節痛を起こします。

なので「血流が悪いから」という理由も十分に考えられますが、それ以上に低気圧による空気の薄さ、つまり酸素の少なさが関係していると考えられます。

酸素量が物理的に少なくなることによる低酸素状態が、肩こり(首こり)や関節痛の原因だということです。

血流が悪くないとしても、酸素が欠乏すれば血流が悪いのと似た症状が起きます。

鉄の不足により体が酸素をうまく取り込めない鉄欠乏性貧血とも似ていますね。
実際、鉄欠乏貧血患者は、肩こり(首こり)や関節痛とも関連が深いと言われています。

梅雨の時期に「どうも寝ても寝ても寝足りない」という人は、脳に酸素が不足しているのかもしれませんね。

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◆梅雨の「肩こり(首こり)」「関節痛」の入浴法


「低酸素状態の低血圧」であると仮定した場合の入浴法を紹介します。

キーワードは「血流」「酸素」「鎮痛」

肩こり(首こり)や関節痛を改善するには少しでも血流を良くして数少ない酸素を患部へ行き渡るようにしなければなりません。

かといって、心拍数が高くなるようなことをすれば呼吸が苦しくなるので、そこがポイントとなってきます。


低酸素状態では、少しでも酸素を取り込める深呼吸が有効だそうです。

逆に浅くて早い呼吸は禁物。

・深くてゆっくりした呼吸 = 副交感神経
・浅くて早い呼吸 = 交感神経


ですから、入浴においては交感神経を刺激しないように気をつけましょう。


お湯の温度は交感神経を刺激しない38~40℃が良いでしょう。

低血圧に対しては本来は熱め(42℃)のお湯で交感神経を刺激するのが好ましいのですが、
肩こりや関節痛にとっては逆効果になりますし、なにより低酸素状態においては熱いお湯や長湯は動悸を激しくしますから、息苦しくなる要因となってしまいます。

時間も長湯は危険なので10分までとします。

問題なのは、時間が短いのにこんなぬるめの温度で体が温まるのか?ということ。

血流を良くするにはある程度の温熱効果が必要です。


さて。

ぬるめの温度でも体が温まり(血流改善効果)、かつ肩こり(首こり)や関節痛の痛みを取り除く(鎮痛解熱効果)、そんな薬のような入浴法なんてあるのでしょうか?

それがあります。

そのものずばり「薬湯」です。



◆薬湯で半身浴


家庭のお風呂においては生薬入りの入浴剤をご利用になると良いでしょう。

有効成分に貧血症に効果のあるセンキュウ(川?)、血行促進効果のあるトウキ(当帰)、鎮痛効果あるシャクヤク(芍薬)が配合されている物がお勧めです。

特に芍薬は、筋肉の痙攣や緊張を緩和する作用があるので、肩こりや関節痛のみならず、腰痛や神経痛など幅広く適応する生薬です。

入浴剤に用いられる生薬には保温効果の高いものが多いので、38~40℃で10分間の入浴でもポカポカ温まることができます。


なお、入浴方法としては全身浴よりも半身浴をお勧めします。

半身浴は「低血圧」と「低酸素状態」の両方に有効です。

全身浴は胸部にも水圧がかかり心臓に負担をかけるので、圧迫された心臓は力強く血液を拍出できなくなり、さらなる低血圧を招きます。

また、心肺に対するエネルギーが増えると酸素が不足して息苦しくなる可能性も出てきます。

そのような理由から、梅雨の時期は心臓発作の危険性が高いとも言われていますので、深くてゆっくりとした呼吸をするには半身浴の方が負担が軽くて向いています。


※食後すぐの入浴は控えて下さい。食後は血流が胃腸などの消化器に集中しますので入浴により血管が拡張しますと、より低血圧になりめまいやふらつきを起こす(脳が酸欠を起こす)場合がございます。


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