• イベント情報
  • メールフォーム

2016年06月26日

【健康】 お風呂で逆に疲れてしまうのはなぜ?


今日一日の疲れをお風呂で癒す。

疲労回復は入浴の大きな役割です。

しかし、入浴するとなぜかドッと疲れが出てしまうことってありますよね?

疲れをとるつもりだったのに逆にぐったりしてしまうこと・・・誰でも経験したことがあると思います。

なぜ逆に疲れてしまうのか、不思議に思ったことはありませんか?

2016626154532.jpg


実はその疲れの正体は「疲労感」というものです。

「だるいな」と疲れたように感じる感覚のことであって、本当の「疲労」とは違います。


確かに入浴によってもカロリーは消費しますからその分の疲労は溜まります。

でもストレスによる疲れや筋肉の疲労とは質が違います。

それなのにお風呂に入ると体が重たくなったように、それこそ「疲労感」を感じるのは副交感神経が優位になったためです。

そう。この疲労感の犯人は副交感神経。

自律神経は交感神経と副交感神経のバランスによって調整されていて、

交感神経が優位に傾けば「戦闘&緊張モード」
副交感神経が優位に傾けば「お休み&回復モード」

に働きます。

ヒトはお風呂で温まってリラックスを感じると副交感神経が働いて血管が拡張し血流が良くなります。
血流が良くなると脳・神経・筋肉などの各細胞に酸素や栄養が行き渡るので「疲労」が回復していきます。
ただし、副交感神経によって体はお休みモードになるために力が抜けたような感じになります。

そのために「疲労感」を感じてしまうわけですが、実際の「疲労」は回復に向かっているんですね。

入浴によって副交感神経が優位な状態なっていれば、入浴後は入眠へと導入しやすくなります。

疲れを取りたいのならこの流れを無駄にしてはいけません。

傷んだ組織の修復など本当の意味での疲労回復は睡眠中に行われているので、せっかくお風呂で気持ち良くなっても睡眠を疎かにしていると効果がありませんよ。

【健康】 梅雨期の入浴法⑥ まとめ:体調を崩しやすい本当の理由は?


梅雨は体調を崩しやすい原因とその症状はいくつも考えられることが分かりました。

梅雨にありがちな症状といえば、頭痛・めまい・むくみ・冷え性・喘息・倦怠感(疲労感)・関節痛・肩こり(首こり)・肺炎・肌のかゆみなどがあり、5回にわたってそれぞれの入浴法について考えてきました。

梅雨の時期の気候的な特徴として「低気圧」であることや「多湿」であることなどがこれらの症状の主な原因であり、それぞれの症状が互いに関係していることが分かります。

2016626112335.jpg


例えば気圧の変化を耳の器官がそれを感じ取りめまいを起こし、それが頭痛の原因となったり、低気圧による体への拡張作用がむくみを引き起こし、それが頭で起これば頭蓋内圧の亢進で脳の血管が締め付けられ頭痛を起こし、足のうっ滞に表れれば冷え性となりますし、逆に冷え性が足のうっ滞に表れむくみの原因ともなります。
また、湿度が高いことも水の代謝を悪くし、それが冷えやむくみの原因にもなりますし、カビが繁殖しやすい条件ですから、そのカビがアレルギー症状を引き起こして夏型過敏性肺炎や肌のかゆみを招きます。
さらに低気圧とは空気の密度が薄いことであり(上昇気流によって地表の空気が薄くなっていると考えると分かりやすいかな?)、それは酸素も少ないことを意味しますから、体が呼吸を最小限に抑えようと副交感神経が働いてお休みモードになります。
梅雨になるとなんとなく元気が出ないのも、実は気のせいではなくこのうような作用による倦怠感であったり疲労感であったりするわけです。
無理をすれば喘息患者にとっては呼吸が辛くなるでしょう。副交感神経が優位になることでより気管支が収縮されることも息苦しさの原因となります。
血流で各組織に運ばれる酸素が十分に行き渡らないと、肩こりや関節痛の原因にもなります。




◆梅雨とヒスタミン


さらに梅雨の時期はヒスタミンが分泌しやすいというのも各症状と関係しているように思います。

ヒスタミンとは、異物(非自己)と認識した物が体内に侵入した時やある刺激を受けた時に働く神経伝達物質で、主な作用に「血管拡張」「血管透過性亢進」「気管支の収縮」などがあります。

これらが作用する理由を簡単に説明します。

例えばカビを吸い込んだとします。するとこれを異物(非自己)と認識しますので体内にヒスタミンが分泌され、カビを排除するために免疫細胞たちを呼び寄せます。ふだん血管内をパトロールしている免疫細胞を素早く現場へ駆けつけさせるためにヒスタミンは「血管拡張」をして血流を早くしているんですね。
そして免疫細胞たちは最寄りの血管へ集まりますが、そこからさらに血管から飛び出して現場となる組織細胞に入らなければなりません。
しかし免疫細胞はタンパク質でできており、そう簡単には血管の壁を通過できるわけではありません。
そのためにヒスタミンが「血管透過性亢進」といって免疫細胞が血管から出やすくしているわけです。
このようにヒスタミンには体内に異常を感じた時に修復しようと働く物質であり、またその間は体を休ませようと視覚神経を刺激し、そこから副交感神経を介して体がお休みモードになるんです。「気管支の収縮」が起こるのはそのためです(知覚神経と副交感神経は神経系で繋がっている)

ちなみに花粉症の時に鼻水や鼻づまり、くしゃみが起きるのは、異物である花粉を排除しようと「血管拡張」が起こり鼻や目が充血します。
そして知覚神経を刺激し(これがかゆみとなる)、副交感神経を介してくしゃみが起きます。また鼻腔内の異物を洗い流そうとヒスタミンの「血管透過性亢進」作用によって鼻水が出ます(血管から水分が滲出しやすくなる)。同様の理由で涙も出ます。



なぜわざわざこんな話をするのかと言いますと、このヒスタミンによる作用が梅雨の時期に多い各症状とも関係していると仮定するのに十分な整合性があるからです。


【ヒスタミンの影響】

「血管拡張」・・・低気圧性頭痛(片頭痛)
「血管透過性亢進」・・・むくみ → 冷え性
「気管支の収縮」・・・喘息の悪化
「知覚神経の刺激して副交感神経」・・・肺炎・肌のかゆみ・喘息・倦怠感(疲労感)




◆ストレスにならないために


各症状によって入浴法は違ってきますが、共通する点があるとすれば入眠導入としての入浴でしょうか。

梅雨の時期には様々な症状を起こしますが、これらがストレスとなり不眠症になる場合もあるそうです。

たとえ不眠症にならないとしても、質の高い睡眠は各症状の緩和に大切な要素となります。

ということで、

入浴の時間は、就寝する1~2時間前に入りましょう。

一度温まった体温が時間と共に下がっていく過程で、ヒトは眠たくなる習性があるんです。


『「不眠症」の入浴法 ~就寝の1~2時間前に入浴する~』 参照


睡眠中には成長ホルモンの分泌が活発化され傷ついた皮膚や血管の修復などが行われています。
まさに睡眠に勝る回復薬はありません。


梅雨の時期の健康法は、体を冷やさないこと、しっかり食事をとること、適度な緊張感を持つこと、掃除や換気はこまめに行うこと、そしてしっかり寝ること・・・なんだか基本的なことばかりですね。


関連記事

『【健康】 梅雨期の入浴法① 体調不良の理由は様々』
『【健康】 梅雨期の入浴法② 冷えとむくみの関係』
『【健康】 梅雨期の入浴法③ お休みモードから脱する入浴法』
『【健康】 梅雨期の入浴法④ 原因は血行の悪さよりも酸素不足?』
『【健康】 梅雨期の入浴法⑤ カビとアレルギー』