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2016年07月13日

【健康】 高齢者が熱中症にかかりやすい本当の理由


かつては熱中症といえば炎天下でのスポーツや作業中に起こることが多いイメージでしたが、今では室内に居ながらにして発生する症状として認知されるようになってきました。
 
その原因として高齢者の熱中症患者の増加があげられます。
 
高齢者が熱中症にかかりやすい理由として広く認知されているのが「冷房が嫌い」「気温に対して鈍感になっている」というもの。
 
確かに高齢者は暑さに対して反応が鈍く、気が付いたら熱中症にかかっているというケースは多いようです。
 
これは体温調節機能が低下しているためで、体内に熱がこもっても暑さを感じないために熱中症の危険性は高くなります。
 

しかし・・・
 
暑さをしっかり感じることができたとしても、それでも熱中症にかかってしまうのが高齢者に多い特徴のようです。
 

その理由は3つ。
 
・能動汗腺の数が少ない
 
・筋肉量が少ない
 
・食事量が少ない
 
これこそが高齢者に熱中症が多い本当の理由です。

20167130538.jpgのサムネイル画像

 

体温調節機能には体温の変化や外部環境の温度変化を感知する機能だけでなく、その変化に体が対応するための機能も備わっています。
 
体温調節機能が低下するということは、暑いと感じることができても体がそれに対応できないということです。
 
暑いと感じた時のヒトの体の対応とは「発汗作用」のこと。
 
発汗作用は、暑い日や運動時における体温の上昇に対して、体温調整を行う上で最も効果の期待できる手段です。
 
脳の視床下部には体温調節中枢があり、ここで体が熱いと感じると、自律神経の交感神経を活発化させ、汗腺に体温を下げるように指示を出します。
 
そして血管から血液の成分を受け取って濾過をして汗腺から皮膚表面に汗となって出ます。
最終的には汗が蒸発する時に体表面の熱を奪って体温は下がるというわけです。
 
夏の熱い道路に水を打つと蒸発して少し涼しく感じるようになるのと似ていますね。
 


◆能動汗腺が少ないと「うつ熱」になる


さて、この一連の流れが発汗作用。
 
ところが高齢者は能動汗腺が少ないために汗をかきにくいのです。
 
能動汗腺とは、すべての汗腺のうち活動している汗腺のこと。
 
能動汗腺の数は加齢とともに減少するようです。
 
そのため高齢者は暑いと感じてもなかなか汗が出ないために熱がこもりやすいようです。
 
この熱がこもって起こる熱中症を「うつ熱」といい、熱中症の中でも一番症状が重く、頭痛や嘔吐・意識障害・けいれんに加えショック状態や多臓器不全などを起こすほど命にかかわる危険な症状で、高齢者に多いのがこの「うつ熱」による熱中症です。
 
日頃から汗をかく習慣を身につけることが重要です。
できれば有酸素運動が効果的ですが、入浴でじっくり汗をかくことのも良いですよ。
 


◆筋肉量が少ないと「熱疲労」になる


また、汗をかくためには汗となる体内の水分が必要で、水分が不足しているとすぐに脱水状態となり「熱疲労」と呼ばれる熱中症になります。
 
ヒトは人体の1~2%の水分を失われるだけで意識障害が起こると言われています。
 
水分の10%はいざという時のために筋肉に蓄えられているようですが、何しろ高齢者は筋肉の量が少ないために水分の備蓄が少ないことになります。
 
そのため高齢者はすぐに脱水状態となり熱疲労を起こしやすいと考えられます。
 
水分の備蓄ができないのであれば、こまめに水分補給するしかありません。
あまり喉が渇いていなくても面倒くさがらずに水分補給しましょう。
 

ちなみに、筋肉量が少ないと代謝力も落ちますから汗をかく習慣も少なくなりがち。汗腺は働く機会が無いと機能しなくなるので、汗をかく習慣が少ないと能動汗腺の数が減ることにもつながります。



◆食事量が少ないと「熱けいれん」になる
 

そして食事量の減少も熱中症と大きく関係しています。
 
実は飲み物だけでなく食べ物の中からもけっこうな水分を摂取しています。
脱水状態にならないために必要なミネラルや電解質も食事から摂取できます。
 
というわけで、食事量が少ないと汗をかくための材料が不足しがちになることに・・・
 
とはいえ、高齢者はたくさん食べようにもエネルギー消費するだけの代謝力がありません。
ですから、少ない食事でも熱中症に有効な栄養を効率よく摂取することが重要です。
 
熱中症対策に有効な栄養素はナトリウム、マグネシウム、カルシウム、カリウムといったミネラルです。
これらのミネラルが汗で失われ過ぎると「熱れいけん」と呼ばれる熱中症を起こしますので注意が必要です。
 
なお、ビールやアルコール飲料は逆に脱水状態になりやすいので注意しましょう。