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2016年12月04日

【健康】 「寝る時にくつ下を履くのは冷え性対策には逆効果」というのは本当か?


どうもSHIBAです。

冷え性で困っている人の中には

「眠る時はくつ下を履かないと寝付かない」

と言う人は多いと思います。


しかし、最近では

「くつ下を履いて寝ると、冷え性には逆効果」

だという考え方が定着しつつあります。

よくテレビやネット、雑誌などで言われていることなので、冷え性に関心のある方なら一度は耳にしたことがあるかもしれません。

医療に携わる専門家ですら「くつ下を履くのはダメ」と言うことがあるので、何の疑いもなく鵜呑みにしている人も多いでしょう。


だけど本当にくつ下を履くのは逆効果なんでしょうかね???
僕には疑問に感じます。


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くつ下を履いて寝てはいけないという理由として挙げられる主な根拠は次のとおりです。


●足首が締め付けられて血行が悪くなるから
●くつ下の中でかいた汗が蒸れて冷えるから



くつ下を履くと血行が悪くなるんですか?

汗が蒸れて冷えるというのなら他の下着にも同じことが言えますがどんなんでしょう?
汗は全身から出るものですが、これでは全裸で寝なければいけないということになりますよ。

そんなことが理由であるというのなら、締め付けない物や通気性の良い物を履けば問題ありませんよね。

いまいち説得力に欠ける理由です。


唯一、それらしい理由が

●眠りにつくときは体温が下がるものである。しかし、くつ下を履くと熱がこもり、熱放散ができなくなるので体温調節が上手くいかず、逆に寝付きにくくなる。


というものです。

つまり、根拠はヒトの入眠メカニズムによるということです。

これは半分正解で、確かにヒトは深部体温が下がると眠たくなる習性があります。

※深部体温と言うのは臓器や脳など体の中心部の体温のこと

眠くなる時は深部体温が少し下がりますが、これは代謝を下げて体内のエネルギーを節約するためだと言われています。

この下がっている時こそ入眠のタイミングであることは間違いありません。

だから「くつ下を履くと熱がこもり、体温が下がりにくくなるから逆効果」であるというわけなのでしょうが、ここで大事なポイントが2つあります。


(1) 深部体温が下がる過程で眠たくなる

(2) 放熱をする時は手足が温かくなる


重要なのは「深部体温が下がる過程で眠たくなる」ということです。

ここが見誤りがちなんですが、冷え性の人が寝付きにくいのは深部体温の「下がる過程がない」ためなんですね。
もともと冷えている人は、一度体温を高めておいて、徐々に下がる過程を作る必要があります。

『【健康】 冷え性で寝付きが悪くなる理由と改善法』 参照


冷え性の人は手足が冷たい状態(皮膚血管が収縮していて血流が悪い状態)であり、つまりそれは熱放散ができずに深部体温が温かいままになっているか、もともと深部体温が低くてこれ以上下げることができない状態にあると考えられます。

冷え性にもタイプがあって、深部体温を下げようにも高血圧などが原因で末梢血管の血流が悪く、なかなか熱放散ができないタイプや、血行障害はないけれど深部体温が低いために低体温にならぬよう皮膚血管を収縮させて熱放散を防ぎ、その代わりとして手足が冷たくなるタイプなど人によって様々なんですね。

これを解決させるには 「皮膚血管を拡張させて血流を改善し、熱放散を促進する」か 「一度深部体温を高めて、深部体温が下がる過程を作り出す」のどちらか、もしくはその両方が必要になります。


皮膚血管が拡張すると熱放散も盛んになるので深部体温は下がります。
深部体温が下がっている過程においては手足が温かくなる(放熱中だから)ものであり、赤ちゃんが眠りにつくとき手足が温かくなることからも理解しやすいかと思います。

だから「くつ下を履くと熱がこもり、体温が下がりにくくなるから逆効果」というのは何か違うような気がします。

何度も言いますが、深部体温が下がる過程においては手足が温かくなるものなんですよ。
反対な言い方をすると、足が温かいということは深部体温を下げる条件でもあるということ。足が冷えてると下がらないんです。

ちなみに夏になると寝付きにくくなるのは深部体温が高いため。だから深部体温を下げるために足裏が熱いと感じることが夏にはよくある。
これは熱放散が行われている証拠です。

少なくとも、くつ下を履くことで足が温かい状況を作ることはできます。

だから直接的な冷え性改善にはならないにしても、「逆効果」だとまで言うのは誇張的だと思うわけです。


むしろ、それなりの効果は期待できると思いますよ。

足が冷たくてくつ下を履く人の心理って、入眠するために履くというよりも、「足が冷たい」ことが苦悶(ストレス)となっていて、とりあえずその状態から逃れたいという気持ちが大部分を占めているんじゃないでしょうかね?

足が冷たい。それ自体がストレスに感じていると交感神経が優位になり、より血管が収縮して血の巡りが悪くなります。
しかしくつ下を履いて足先を温めると、ストレスから解放されて副交感神経が優位となり血管が拡張すると予想できます。

冷え性の改善とまではいかなくても、血管が拡張すれば熱放散がしやすくなるので、 くつ下を履いた方が幾分寝付きやすいはずなんですけどね。

「くつ下を履くと熱がこもって放散できない」と言うけれど、実は熱放散ができるようになったから足が温かくなっているという側面もあるのではないでしょうか(これは僕の希望的推論)

とにかく、冷えを我慢しているよりはマシなはずですよ。


僕は冷え性ではありませんが、したり顔で「くつ下を履いて寝るのはダメだ」と簡単に言う人って冷え性で悩んでいる人の気持ちを考えていないのではないだろうかと勘ぐってしまいます