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2016年12月21日

【入浴】 家庭でできる「クエン酸風呂」


クエン酸(C?H?O?)は、柑橘類や梅干し、スポーツドリンクなどに含まれているので疲労回復物質として有名ですが、その他にも健康や美容にも効果があると考えられています。

クエン酸による効果

・疲労回復効果
・美肌効果
・ミネラルの吸収を高める効果
・殺菌、体臭予防効果
・痛風の改善
・肝機能の向上



これらの効果は経口摂取した場合のものですが、実はクエン酸は皮膚からも吸収されることが分かっています。
そのためクエン酸風呂においても同様の効果が期待されているわけです。

ホームセンターなどでクエン酸を買ってきて、一般的な浴槽(200リットル前後)であれば、お湯にクエン酸を大さじ2~3杯程度入れるだけでクエン酸風呂のできあがりですから簡単です。


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ちなみにクエン酸に重曹を混ぜてから浴槽に入れると炭酸風呂になります。

『【入浴】 家庭でできる「炭酸風呂」』 参照



◆疲労回復効果


クエン酸が疲労の回復に効果があるといわれるのは、ヒトの細胞内のミトコンドリアにおいてクエン酸がクエン酸回路の間で働いているから。
もう少し詳しく言うと、糖質や脂質などをエネルギーへと変換する代謝経路の中にクエン酸回路というものがあって、そこでエネルギーを得ています。

ですので、クエン酸回路の働きが鈍くなると十分なエネルギーを作り出せない状態になります。これが俗にいう「代謝が悪い」状態です。

代謝が悪いと疲労はなかなか回復しないので、そこでクエン酸を摂ると良い・・・というわけです。

ところが、このクエン酸。本当に疲労回復に効果があるというエビデンスはまだ確立されていないとも言われています。
もっと言えば、外部から取り込まれたクエン酸がクエン酸回路に利用されるとは証明されていない(細胞内のクエン酸回路のあるミトコンドリアまで届かない)

基本的にはクエン酸は生体内において、オキサロ酢酸とアセチルCoAとの反応によって生成すると考えられています。

しかし、これまでの実験からはクエン酸を摂取した方が若干ながら疲労回復力が向上していることが認められていることも事実。
とりあえず、クエン酸にはグリコーゲンの再補充を早め、乳酸値の低下(回復)を促進しているということだけは分かっています(エネルギーにブドウ糖を使わず乳酸を利用、消費することで疲労前と同じ状態に戻している)

だからクエン酸を摂取することは疲労回復に一定の効果が期待できる。というのが一般的な常識となっています。



◆美肌効果


美肌効果というと大げさかもしれませんが、クエン酸によって代謝がよくなれば肌においては皮膚の新陳代謝の促進になります。
古い角質がなかなか剥がれない肌の人には期待したくなる効果です。



◆殺菌、体臭予防効果


皮膚上には常在菌がいて、善玉菌である表皮ブドウ球菌などが皮脂をエサにして分解された脂肪酸により皮膚が弱酸性に保たれることで悪玉菌(アルカリ性を好む)の繁殖を抑えています。
ボディソープや石鹸はアルカリ性であることが多いので、これらで体を洗うと皮脂などを洗い流すことができる代わりに善玉菌たちも殺菌されます。しかし正常な肌であればすぐに新たな皮脂の分泌と善玉菌の繁殖ができるので元の状態に戻ります。

ところがカサカサで汗や皮脂が十分に分泌されていない肌では、善玉菌は繁殖できないので肌を弱酸性に保つことができず弱アルカリ性に傾いた状態です。
これは黄色ブドウ球菌など悪玉菌にとって好都合な環境なので悪玉菌が繁殖、そして炎症を起こしてしまう原因となります。

『【入浴】 「乾燥肌」の入浴法 ~保湿とバリア機能が大切~』 参照


アトピー肌の人の肌はアルカリ性に傾いている場合が多く、クエン酸風呂に入ることで肌を一時的に弱酸性にし、悪玉菌を殺菌する効果が期待できます。

また、クエン酸が汗腺に吸収されると体臭の原因となるアンモニア(アルカリ性)を抑えるので体臭予防にもなります。

ただし、これらの効果はあくまでも一時的なもの。

これは正常な人の肌をアルカリ性の石鹸などで善玉菌を殺菌してもそのうち元の状態に戻るのと同じこと。
悪玉菌にとって好ましい環境の肌である限り、一度殺菌してリセットしても再び善玉菌ではなく悪玉菌が繁殖することになります。

とはいえ、入浴という行為は汗腺機能を改善することでもあり、しっかり汗をかく習慣を身に付けることで汗腺から質の良い汗が出るようになるだけでなく、皮脂腺からの皮脂分泌も正常化してきます。善玉菌は皮脂をエサとして活性化し、悪玉菌の繁殖を抑えます。

また、アンモニアは代謝が悪いときに発生しやすいので、クエン酸によって代謝機能が改善できればアンモニア臭も減少することになるでしょう。



◆肝機能の向上


肝機能と代謝は深い関係にあります。
基礎代謝が最も消費されるのは筋肉でも脳でもなく、実は肝臓

ちなみに基礎代謝の内訳は、以下の通りです。
 ・肝臓 :27%
 ・脳  :19%
 ・筋肉 :18%
 ・腎臓 :10%
 ・心臓 : 7%
 ・その他:19%

代謝を促進して肝機能の働きを助けてあげましょう。


『【入浴】 「脂肪肝」の入浴法 ~代謝機能を高める~』 参照

『【入浴】 「肝炎」の入浴法 ~肝臓に負担をかけないこと~』 参照




関連記事

『【入浴】 家庭でできる「炭酸風呂」』
『【入浴】 家庭できる「重曹風呂」』


 

【入浴】 家庭でできる「重曹風呂」


重曹とは「炭酸水素ナトリウム(NaHCO?) 」のこと。

掃除の薬品に使用されているイメージが強いので「こんなのお風呂に入れて大丈夫かな」と思われるかもしれませんが、市販されている入浴剤に重曹(炭酸水素ナトリウム )が含まれていることが多いことからも分かるように、むしろ入浴剤として大活躍しています。

重曹のpHは8.4(水溶液では8.2)弱アルカリ性

重曹の特徴はこの弱アルカリ性に尽きるといっても過言ではありません。

弱アルカリ性であるために

・油脂を乳化する
・タンパク質を分解する
・酸性物質を中和する


といった特徴を持っています。


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◆美肌効果


皮脂や角質で覆われている皮膚表面は弱酸性に保たれているので、重曹によってこれらは柔らかくなって洗い落としやすくなります。

そのため重曹風呂は、体臭(皮脂が酸化すると嫌な臭いを出す)や背中ニキビ(皮脂の溜まり過ぎが原因)の予防に良いと言われています。

足の臭いが気になる場合は、重曹のお湯で足湯をすると消臭効果が期待できます。

また角質(タンパク質でできている)は古くなるとガサガサになりますが、重曹風呂によって角質を削りツルツルにします(ピーリング効果)

「重曹風呂には美肌効果がある」と言われるのはこうした理由によります。


ただし、「角質を削るということは、肌の弱い人には向いていないのでは?」という疑問があるかもしれません。

実は重曹はボディソープや石鹸よりもpHが低いので肌に優しいとも言えるんです。

ボディソープや石鹸で体を洗うと肌が荒れるという人もいますよね。そういう場合は、それらの使用をやめて重曹風呂に浸かるだけにすると良いかもしれません。

また、重曹には研磨作用によるスクラブ効果があるので、低刺激ではありますが重度の敏感肌の人は要注意かもしれません。

だから入浴の最後にはシャワーをして重曹を洗い流した方が良いですね。
そして入浴後は保湿ケアをしっかりすること。必要な皮脂まで落としているかもしれませんからね。


さて、家庭の風呂で重曹浴をする方法ですが、用意するものは市販の重曹を買ってくるだけ。

重曹は掃除用・工業用の物でも、食品用と成分は同じなので問題はありません(粒子の大きさが違うとかその程度の差)

一般的な浴槽(200リットル前後)のお湯に重曹を大さじ2~3杯程度入れるだけ。
乾燥肌やアトピー肌のような敏感肌体質の人は大さじ1杯から始めるとよいでしょう。

お湯は38~40℃のぬるめの方が良いと言われています。

重曹は無味無臭です。ですから入浴剤としてはつまらないかもしれません。
でも無味無臭のおかげで残り湯を洗濯(油汚れに強い)などに活用できるメリットもあります。

入浴剤らしくするなら重曹風呂にアロマ精油を数滴垂らしてみると良いでしょう。

さらなる消臭効果を期待するなら柑橘系やハーブ系などがおすすめです。
ただし柑橘系は少し肌がチクチクするかもしれません。

ちなみにアロマ精油を垂らすと、お湯に油が混ざるため残り湯は活用できません