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2019年06月24日

【入浴】 「乾燥肌」の入浴法 ~保湿とバリア機能が大切~


肌の潤いがなくカサカサする乾燥肌

冬の乾燥した季節になると乾燥肌になる人もいれば、年中乾燥肌に悩まされている人もいます。

乾燥肌とは、皮膚の一番表面に存在する角質層における水分含有量が低下してしまっている状態のこと。角質の天然保湿成分が減少することで保湿が保てなくなり乾燥肌になります。

保湿のカギを握るのは皮脂膜NMF(天然保湿因子)細胞間脂質の保湿成分たち。この保湿三銃士(勝手に命名)をいかに保つかが乾燥肌対策のポイントとなります。



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保湿成分が減少すると、水分を失うばかりでなく皮脂腺からの皮脂も不足して皮膚が乾燥してしまいますが、この状態を皮脂欠乏症(乾皮症)といいます。

保湿成分のひとつである細胞間脂質は、その大部分がセラミドからできていて、角質細胞間同士の隙間を埋めるセメントのような役割があります。そのため細胞間脂質が少ないと、細胞間が隙間だらけになってバリア機能が低下するので、外部からの刺激に弱くなりかゆみを感じやすくなります。

かゆみは痛みと違うため軽視しがちですが、放っておくとつい患部をかいてしまい、湿疹やかぶれを伴うことになります。
また、強いかゆみのため不眠になったり生活に支障をきたす場合や、かいてできた傷が原因で感染症になる可能性もあります。

なお、皮膚のpHは皮脂膜などにより弱酸性に保たれていますが、乾燥肌の場合は弱酸性を維持できずアルカリ性に傾くので悪玉菌の繁殖を許してしまいます。これもかゆみの原因になります。

 
 
◆入浴上の問題リスト
 
 
#1 入浴中や入浴後にかゆみを感じる
#2 入浴剤が合わない
#3 かゆみのため眠れない
 
乾燥肌になると温度やお湯も刺激となり、かゆみを感じることもあるので入浴を敬遠しがちになるかもしれません
しかし乾燥肌の原因は外的要因ばかりでなく、睡眠の状態やストレスの有無など生活習慣も関係しているので、入浴でリラックスして快眠へとつなげることはとても有効な乾燥肌対策です。
 
 
 
◆入浴法
 
 
<入浴上の問題>#1 入浴中や入浴後にかゆみを感じる
 
<入浴目標> 入浴でかゆみが増強しない
 
 
入浴によってかゆみが強くならないためには、注意点があります。

入浴法の注意点としては「刺激してはいけない」「保湿を重視する」の2点です。


具体的には

①お湯はぬるめの40℃以下
②入浴時間は15分以内
③肌はゴシゴシ洗わない
④ボディソープや石けんは肌に優しいものを使う
⑤体を拭くときは優しく押し当てる
⑥入浴後はすぐに保湿ケアをする
※入浴の前後に水分補給をする



熱い温度は刺激が強く、かゆみを増強して炎症を悪化させてしまいます。

長湯も禁物です。
湯船に浸かると角質がふやけて剥がれ落ちやすくなります。古くなった角質が落ちるのはよいのですが、保湿成分まで失いやすくなりますので、湯船に浸かるのは15分以内にしましょう。

体を洗うときも注意が必要です。
肌を強く擦ると角質が剥がれ過ぎて皮膚のバリア機能を失い、炎症や肌荒れに繋がります。
とりわけ湯船に浸かった後だと角質がふやけているので特に注意しましょう。

ボディソープや石けんは泡立ちのよいものを使用し、泡で撫でるように洗います。

また、すすぎは洗い残しがないようにしましょう。

ここで乾燥肌を防ぐコツをひとつ。
それは体を洗うのは浴槽浴の後に行うこと。

湯船に浸かった後は角質がふやけているのでそれから体を洗うのはバリア機能を低下しやすく確かに注意が必要ではありますが、体を洗った後に湯船に浸かる方がバリア機能が低下している状態で入浴するわけですから保湿成分が流れ出やすく、「体を洗うのは浴槽浴の後」とした方が良いと思われます。


最も重要なのは入浴後の保湿ケア

入浴によって一時的に肌の水分が潤っているようにみえても、すぐに蒸発してしまい入浴前よりも乾燥してしまうので保湿ケアは重要です。

ただし、保湿ケアにおいて念頭においておかなければならないことがあります。
それは保湿に一番良いのは、実は化粧水でも乳液でもないということ。
保湿に必要なのはあくまでも肌自身が作り出す皮脂膜NMF細胞間脂質などの天然保湿成分。

入浴や洗顔によって洗い流されたこれらの成分は睡眠中に回復されていきます。
ただし、回復されるまでの間は肌が無防備になるので、それまでの応急処置として化粧水や乳液が必要になるというわけ。

それが分かっていれば皮脂膜などの天然保湿成分が洗い流され過ぎないようにすることの重要性が理解しやすいはず。
化粧水や乳液などに頼り過ぎると、天然保湿成分の回復を邪魔してしまうかもしれませんよ。

 
 
<入浴上の問題>#2 入浴剤が合わない
 
<入浴目標> 入浴剤の成分を理解して使用する


乾燥肌の人には、保湿成分入りの入浴剤を使用することをおすすめします。

ただ、その前に入浴剤の成分表で「水」または「精製水」と書かれてある物は、あまりお勧めできません。
というのは、食品の原材料名の表示順と同じで、成分の表示は基本的には含まれている量の多い順に並んでいます。

「水」が先頭に表示されているとしたら、それはかなり有効成分の薄い入浴剤である可能性が高いということです。

さて。保湿力の高い成分には主にセラミド、オイル系、海藻エキスなどがあります。

【保湿成分リスト】
セラミド、流動パラフィン、コレステロールエステル、米胚芽油、エステル油、スクワラン、ホホバ油、ミネラルオイル、液状ラノリン、グリセリン、カゼイン、ステアリルアルコール、オリーブ油、大豆油、白色ワセリン、プロピレングリコール、脱脂粉乳、ポリエチレングリコール、コメ胚芽油、米発酵エキス、海藻エキス、ハチミツ、など


これらの成分が含まれている入浴剤を選ぶと良いでしょう。
 
 
 
<入浴上の問題>#3 かゆみのため眠れない
 
<入浴目標> 入浴により円滑に入眠できる
 
 
傷ついた肌の修復は睡眠中に行われています。
 
肌を修復する成長ホルモンは、就寝直後3時間にこそ最も分泌されるといいます。
いかに質の高い睡眠をするかが問題。
 
そのためにも、就寝の1時間前に体を温めておくと入眠しやすいので、入浴は就寝の1~2時間前に済ませると良いでしょう。
 
 
保湿ケアは入浴直後に行うことが最適なので、
 
「 入浴 → 保湿ケア → 睡眠 」
 
といった一連の流れが理想です。
 
 
また、入浴後はストレッチを行うと有効です。
 
ストレッチは血行を促進するだけでなく、溜まっている組織の水分を押し流し、不足している(乾燥している)組織に水分を送る効果があります。
 
質の高い眠り(深い眠り)につくことで、睡眠中にかゆみで覚醒する可能性も減少します。

 
 
◆サウナ浴
 

 
乾燥肌にはサウナ浴がおすすめです。

温浴施設などをご利用するときはサウナに入ってみましょう。

お湯に体を浸さないという点においてサウナ浴は肌を傷めない効果的な入浴方法といえるからです。

サウナには発汗作用があり、汗腺と皮脂腺の働きを活性化します。

汗(アルカリ性)と皮脂(酸性)が混ざることで弱酸性の皮脂膜ができますが、
皮脂膜にはバリア機能があり、肌を弱酸性に保つことで悪玉菌が繁殖するのを抑える役割があります。

誤解のないようにして頂きたいのですが、「皮脂膜は天然のクリームだから」といってそのままにしておくのはよくありませんよ。
毛穴に詰まっていた古い汗と皮脂がサウナによって強引に出されている場合もありますので、かいた汗と皮脂はちゃんと洗い流して下さい。
古い皮脂は酸化しやすく、また有毒物質を含んでいることもあります。

いけないのは、汗をかく習慣が無いために汗腺機能が低下しまい、皮脂膜ができなくなってしまうことです。


また、乾燥肌にとっては高温サウナよりも湿度の高い低温サウナやミストサウナが保湿的に向いています

ただし湿度が高いので熱伝導が早く、高温サウナに負けないくらい熱を感じますので長時間は入らず短時間の利用にとどめましょう。

汗を大量にかくと肌の水分量が減少するので、サウナ浴にとっても水分補給は重要です。




◆おすすめのアロマバス◆



乾燥肌に使用したい精油はたくさんあります。

精油によって作用が違うので、目的に応じて使い分けるとよいでしょう。


アロマバスの例
 

かゆみが強い場合
 ホホバ油 小さじ2
 
カモミール・ジャーマン 1滴
 ラベンダー 2滴

 (抗掻痒作用のあるカモミールと鎮静作用のあるラベンダーで「かゆい」という不快感から解放することが最優先)
 ※妊娠中・授乳中の使用は控えましょう


バリア機能が低下して炎症がある場合
 ホホバ油 小さじ2
 
カモミール・ローマン 1滴
 ティートゥリー 1滴
 ラベンダー 2滴

 (ティートゥリーには強い抗炎症作用がある。ローマンには炎症を抑え肌を強化し、保湿にも効果がある。ラベンダーはその両方に働く)
 ※妊娠中・授乳中の使用は控えましょう


乾燥肌の予防には
 天然塩 大さじ2
 ゼラニウム 2滴
 ベルガモット 2滴

 (乾燥から守るには皮膚の保護ばかりしていてもダメ。原因となるストレスを緩和したり、皮脂の分泌を調整したり、ターンオーバーの改善に努めて自己治癒力を高める必要がある。また、ふだんから汗をかく習慣がないと皮脂膜ができにくくなるので、発汗作用のあるバスソルトにして汗をかく習慣を身に付けよう
 ※妊娠中の使用は控えましょう。ベルガモットには光毒性があります。
 


(最終更新日:2019/06/24)


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