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2019年07月22日

【入浴】 「変形性膝関節症」の入浴法 ~温熱下膝ストレッチング訓練が有効~

膝の痛みとして最も多い疾患「変形性膝関節症」

ひざ関節の軟骨が擦り減ることで痛みが出る症状です。

原因ははっきりしていないようで、加齢肥満など膝への負担が増加することなどが考えられています。
また、女性に多いのも特徴です。

症状としては、初期段階では朝起きた時、立ち上がった時、歩き始めた時に痛みを感じ、
中期になると階段や正座が苦痛に感じるようになり、だんだん痛みの出る時間が長くなるようです。
最終的には膝の変形が目立つようになり、歩行困難に至ることも。

いずれにしても、これらの症状はADL(日常生活動作)が低下する原因となっています。

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さて、変形性膝関節症の治療法といえば「保存療法」と「手術療法

保存療法には薬物療法の他に「生活指導」や「装具療法」などがあります。

生活指導とは、例えば肥満の人であれば減量への取り組みを指導することなどがそうです。


実は温熱療法もまた保存療法の一つであると広義で解釈できると思います。

膝に腫れや熱がある時は患部を冷やす必要がありますが、そうではない時は関節周りを温めることが有効になるからです。

関節を冷やしてしまうと筋肉や腱がこわばりますので、より関節や筋肉が硬くなります。

ですから、入浴によって患部を温めてやることは、血行が良くなり患部周りがほぐれ、痛みが和らぐのでとても効果的な療法だといえます。

また、朝にこわばりが強くなる場合もあるかと思いますが、それは関節痛の特徴として、関節内に水が溜まることで腫れたり炎症を起こしていると考えられていて、日中に動いている間に楽になってくるのは血流が良くなって水が血液に流れ出ることで腫れが引いたり、炎症による発痛物質が流れていくからです。

このような観点からも血流を促進する入浴は効果が期待できます。
 


1.湯温は38~39℃ 半身浴・部分浴でも可

38~39℃程度が妥当。熱いと患部を刺激するので、それは避けて下さい。

膝関節周り温めることが目的なので、半身浴でも可。部分浴でも効果が期待できます。

入浴以外では、温湿布ホットパック温めたタオルを使うのも温熱療法になります。



2.ぬるい温度の炭酸浴が効果あり


「お風呂に入ると悪化するよ」と言う人には炭酸風呂を試してみると良いかもしれません。それもぬるい温度で。

ある程度温まらないと通常は血流が良くならないものですが、炭酸浴の場合は低温でも血流が増加します。

軟骨細胞は関節液から酸素と栄養をもらっていて、酸欠になると軟骨は減少してしまいますが、炭酸浴は酸素の供給を促しますので関節炎や関節痛の治癒に効果があるという研究報告があります。

一般的な家庭の浴槽で炭酸浴をする場合は、浴槽のお湯に「重曹を大さじ3杯、クエン酸を大さじ2杯」入れると炭酸風呂になります。



3.温熱下膝ストレッチング訓練

温熱療法のほかに運動療法もまた、軽症から重症までいかなる重症度にも有効な手段です。

運動療法は膝関節を支えている筋肉を鍛えることで膝への負担が軽減されることが目的です。

しかし、発症前の予防法としてならともかく、痛みが増してしまってからだと運動も難しくなります。

また、運動の結果、膝関節周囲の筋肉を痛めて、そこがトリガーポイント(引き金箇所)となって膝が痛いと感じている症例もあるそうです(トリガーポイントは太ももだったりふくらはぎだったり、人によって違ってくるそうです)
 

そこで温熱療法を組み合わせた運動療法「温熱下膝ストレッチング訓練」です。

浴槽のなかで運動することで膝への負担をいくぶん軽減できますし、トリガーポイントがある人はそこの筋肉の血流を改善することで膝への痛みを緩和することが期待できます。

まず、入浴し膝関節周りを温めて柔軟性を向上させます。

それから浴槽の中で膝に痛みのない範囲で屈伸運動を行います。

15~20秒間続けて膝の屈曲と伸展(屈伸運動)すること5回、これで1セットとし、
1日1~2セット行うという治療プログラム
がありますので、
興味のある人は無理のない程度で試してみて下さい。


また、水中ウォーキングも浮力で膝に負荷がかかりにくい運動としてオススメですよ。



(最終更新日:2017/06/23)


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