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2019年09月26日

【入浴】 「下肢静脈瘤」の入浴法 ~脚を伸ばしてマッサージ~


下肢静脈瘤とは、下肢の皮下を走行する静脈が拡張・蛇行した状態で、女性に多い症状です。

日常生活に支障がなくても 、血管が詰まって浮き上がるために美容的な訴えも多いのが特徴のようです。

脚の静脈を通っている血液は重力に逆らって上まで持ち上げなければなりません。
そのため脚の静脈のいたる所には、血液が逆流せずに心臓まで戻るための「」が付いています。
逆流防止弁と言われ、この弁が壊れると弁を閉じることができずに逆流を許してしまうことになります。

その結果、静脈に血液が溜まって膨らんでいくのが下肢静脈瘤です。

特に立ったままの時間が長いと溜まりやすく、脚のだるさやむくみも伴いやすくなります。

命にかかわる病気ではありませんが、そのまま放置して治るわけでもなく、
それが原因で血栓が詰まって死にいたることもあるというから見過ごすわけにもいきません。

入浴は生活習慣の改善に役立ちます。

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1.温熱効果ではなく水圧効果


入浴による効果といえば、真っ先に挙げられるのは温熱効果による血行促進でしょう。

しかし、血流を良くするのと下肢静脈瘤の改善とは直接な関係はありません。
むしろ血流が増えることによって静脈に溜まりやすくなる可能性もあります。

とはいえ、下肢静脈瘤が原因でむくむこともあり、血液やリンパの流れを良くしてむくみ解消を図るうえでは温熱の効果はあります。


しかし入浴が下肢静脈瘤に期待できるのは水圧効果

弾性ストッキング着用による保存療法と似ています。
弾性ストッキングは伸縮性があり、足全体を圧迫してふくらはぎのポンプ機能を助けることによって静脈に血液が溜まるのを防ぎます。

医療用の弾性ストッキングは足首に一番圧がかかり、段階的に弱くなっているので血液が下から上に上がるような設計になっている工夫がなされています。

弾性ストッキングの着用は、下肢静脈瘤を治すことはできませんが進行を遅らせたり予防できる方法として有効だとされています。

入浴による水圧効果にもこれと同じ原理を利用できます。



2.脚を伸ばして入浴する


具体的には脚全体に均一に水圧がかかるように脚を伸ばして入浴すること。

膝を曲げて浸かっても効果は得られにくいようです。

浴槽の関係で脚を伸ばして浸かれない場合は、足を浴槽の縁にかけると良いでしょう。

水圧は弱くなってしまいますが、足の静脈の循環を改善する方法として有効です。

生活習慣改善法の一つに「足を高くして就寝する」こともあるくらいですからね。



3.ふくらはぎを下から上へマッサージ


足首あたりからふくらはぎにかけて、両方の手で上方向に向けてマッサージするとより効果が得られると考えられています。

揉むというよりさする感じで、2~3分行うのが目安です。

入浴時以外でも、こまめにふくらはぎをマッサージすると良いとされています。とにかく足の静脈に血液を溜めさせないことです。

ただし、強く圧をかけることは控えましょう。
強く揉むことでふくらはぎの血栓がはがれて詰まる可能性があるからです。


最後に。

湯船から出る時はゆっくりと立ち上がりましょう。

下肢静脈瘤が原因で、急に立ち上がるとめまいがする起立低血圧になる場合もあるからです。


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