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【健康】 お風呂上がりの立ちくらみは「貧血」ではない

湯船に浸かっている状態から急に立ち上がるとクラっとよく立ちくらみすることはありませんか?

それってね、貧血みたいですけど違うんですよ。


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「貧血」は一般的に赤血球などが少ないこと。
酸素の運搬能力が弱いので息切れ、動悸、めまいなどの症状を引き起こします。


お風呂上がりの立ちくらみは、貧血ではなく別の原因で起こります。

立ち上がった時に血圧が下がり、頭まで血を送り上げられない。
とっさに脳に酸素が送り込めないことが原因で起こる立ちくらみです。

正式には「起立性低血圧」と言います。

別名「脳貧血」というため誤解を受けやすいんです。

でも貧血と違って血液には問題ありません。

血圧の問題です。

でもいわゆる「低血圧」とも違います(低血圧は常時血圧が低い状態のこと)




起立性低血圧のメカニズムはこうです。

湯船に浸かってリラックスしていると自律神経の副交感神経が優位になり血管は拡張され全身の血流が良くなりますよね(正確には副交感神経が直接血管を拡張させているわけではない)

その状態で急に立ち上がると、重力で血液は脚や下半身へドッと下がります。

その際、心臓に戻る血液の量が少なくなるので、自動的に心臓から送り出される血液の量も減少します。

先程言ったように血管は拡張された状態ですから血圧は低下します。

正常な状態であれば、自律神経はこの血圧の低下にすぐ反応して血管を収縮させたり、心拍数も増加させて血圧の低下を抑えるはずなんです。

ところが自律神経がうまく反応できないと、血圧は低下し血液を脳へ送り込めなくなり、脳が虚血状態になって酸素不足になってしまいます

これが起立性低血圧の現象です。

だからこれ、自律神経の問題でもあるんです。

もちろん、もともと普段から低血圧の人は起立性低血圧になりやすいようです。

だから貧血気味の人や低血圧の人であり、かつ起立性低血圧という人もいて、一部重なっている人もいるでしょう。


では高血圧の人は安心かというと、そうでもない

特に熱いお湯に入った場合。

身体の体温調節のために熱を発散させようと発汗・血液循環が活発化します。

心臓がバクバクし、心拍数・血圧ともに上昇します。

これは「のぼせ」に近い状態です。

この状態で急に立ち上がるとどうなるか。

自律神経がうまく働かない場合、血圧は急降下しますから、その落差は低血圧の人の場合よりも大きいでしょう。

だから「のぼせてるな」と感じたら特に気をつけないといけませんよ。

『【健康】 「高血圧」の入浴法 ~安全な入浴法と症状別の工夫~』 参照


立ちくらみへの対処法としては、「ヤバイな」と思ったらその場でしゃがめば無問題ですが、そもそも長湯しないことや熱すぎるお湯に浸からないことが予防策になります。

湯船から出る時は急に立ち上がらずに、一旦湯船のへりに腰かけて(足湯のような状態)ひと息おいてから湯船から出るなど、ゆっくりと立ち上がるのが良いでしょうね。

基本的に起立性低血圧に対する治療の必要はないそうです。


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『健康に役立つ入浴講座』