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【健康】 入浴中または入浴後に「手のしびれ」を感じたときに疑うべき疾患 (後編)


手にしびれを感じる原因はたくさんありますが、入浴中や入浴後にだけ手がしびれるのは何故でしょう?

入浴によって手がしびれる理由を考えるには、入浴が体にどのような影響をもたらすかを考えてみる必要があります。

入浴による影響とは、例えば血圧が変化します。特に冬場などは脱衣場と浴室の室温の違いなどにより血圧が変化しますよね。

それからお風呂に浸かると血管が拡張されて血流が良くなります。

それに温まるともかきます。体温だって上昇しますよね。

これらの何らかの生理的な変化が手の痺れの誘因となっていると考えられます。



1.血圧の変化による原因


脱衣場と浴室の室温に差がある時や衣服を脱いだ時、さらにはいきなり熱い湯船に浸かった時などは急激に血圧が変化します。

特に血圧が急激に上がることで脳卒中の原因になる場合もありますよね。

高血圧をお持ちの方で手がしびれたのなら注意しましょう。しびれ以外に頭痛・吐き気・めまいはありませんか?


また、湯船から出ようとして急に立ち上がるとクラッと立ちくらみを起こすことがあります。

これは起立性低血圧(脳貧血)といって、血液がドッと下半身の方へ下がることで脳に酸素が不足するために起こります。

『【健康】 お風呂上がりの立ちくらみは「貧血」ではない』 参照



2.血流の変化による原因


血流が悪いと体の各細胞に酸素や栄養が行き渡りにくくなります。

これが神経細胞に対して不足することでしびれを感じている可能性は十分に考えられます。
薬剤の副作用(神経障害を起こす抗がん剤など) として手がしびれる場合も考えられます。

そもそも手のしびれの原因は神経を圧迫しているか血行不良によるものが大半。
血流障害による手のしびれであれば、通常は血流を改善することでしびれは緩和されるものです。

そのため入浴は血管が拡張され血行が促進されるのでとても効果が期待できます。

しかし、今回の件では入浴すると逆にしびれを感じるわけですから話が矛盾しています。

これは血流が改善されるためにしびれを感じているからだとも考えることもできます。

「え・・・?」 と感じるかもしれませんが、血流は悪化する過程でも改善される過程でもしびれは起きることがあるからなんです。

正座した時を思い出してもらうと理解しやすいかもしれません。
正座で足がしびれてやがて感覚が無くなり、正座から解放されたときに再びしびれを感じてから正常な状態に戻る感じです。

そういうわけで、急に血行が良くなって一時的にしびれを感じることは別に驚くことはありません。
好転反応とも言い、漢方でいうところの瞑眩作用です。
肩こりの人がお風呂に入ると血行が良くなって一時的に肩がジンジン感じることがあるのと同じです。


他に血行が良くなって手にしびれを感じる原因として、可能性は低いですが片頭痛の関連痛である「アロディニア」という症状があります。

アロディニアとは、片頭痛によって脳が過敏になることで、通常では痛みの内に入らない些細な刺激をも痛みと感じる異痛症で、手や足にピリピリとしたしびれを感じることがあるようです。
片頭痛は血管が拡張することで痛みを感じる症状なので、入浴は片頭痛にとって逆効果となりアロディニアを誘発する可能性があります。
もともとの片頭痛持ちでなければアロディニアの可能性は除外できますね。

ちなみに神経を圧迫されることによる手のしびれへの対策として、これまではぬるま湯で副交感神経を刺激して血管が拡張されることで神経細胞に栄養や酸素を行き渡らせる血流改善が常套手段でしたが、最近ではHSP入浴も注目されています。

HSP入浴とは、体温を2℃上げることでHSP(ヒートショックプロテイン)という「傷ついた細胞を修復するタンパク質」を発生させることで回復を早める入浴法です。

目安は
40℃のお湯で20分間
41℃のお湯で15分間
42℃のお湯で10分間


で体温が2℃上がると言われています。

ただし、高血圧や循環器疾患、炎症疾患のある人は控えて下さい。


『【健康】 HSP入浴法(ヒートショックプロテイン)』 参照




3.発汗による原因


発汗と手のしびれがどう関係すると思われますか?

考えられているケースとしては電解質の喪失です。
発汗により電解質が失われることで一時的にしびれを生じることがあります。

熱中症の一種で、多量の発汗時に水だけを補給し、発汗によって失われた塩分を補給しなかったために起こる「熱けいれん」も同じ原理です。
要は脱水症状によるもの。



4.体温の上昇による原因


急性の炎症系の基礎疾患がある状態で患部を温めると炎症が悪化することがあります。

また体温が上がることで手のしびれが起こるのは多発硬化症のサインである可能性も考えられます。

多発硬化症とは、神経細胞間をつないでいる軸索を包む鞘(さや)のようなもの(「髄鞘」という)が炎症により壊され、神経間の情報伝達がうまくいかず、そのせいでしびれや麻痺が起こる症状です。

多発硬化症には、しばしば体温上昇によって神経症状が悪化する徴候(ウートフ兆候という)がみられることが知られています。

もし多発硬化症だとすれば、他にサインとして他に視界のぼやけがあります。



5.その他


検査しても何も異常がない場合は自律神経の乱れが考えられます。

ストレスによるうつ病パニック障害などの精神的な問題がある場合にも手のしびれが現れる場合があります。
過換気症候群(または過呼吸)もまた精神的ストレスによって発症すると考えられています。

普通に考えれば精神的なストレスには入浴はとても効果があるので、入浴によって手がしびれるのは不思議に思うかもしれません。

過換気症候群(過呼吸)によって手がしびれるのは、体内の酸素が増え二酸化炭素が不足することで血液がアルカリ性に傾き、血中のカルシウムが低値(低カルシウム血症)になるため。

入浴が過換気症候群(過呼吸)を誘発するのは、入浴によって血管が拡張され血圧が下がるから。それにより血圧維持機能が働いて心拍数が増加するので呼吸が乱れると・・・

このように風呂に入って動悸が激しくなるようなら、過呼吸の他に不整脈パニック障害にも同様のことが言えそうです。



手のしびれといってもこれだけ考えられる要因があるわけで、「入浴」という条件付きでもいろいろな疾患が疑われます。

思い当たる疾患名をいくつも挙げましたが、少なからず他にも可能性のある疾患はあるはずです。

一時的なしびれならともかく、いや、一時的でも後に脳卒中のサインだったということもあり得ますから、気になるようでしたら医療機関を受診した方が良いでしょう。


(最終更新日:2017/07/01)


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『【健康】 入浴中または入浴後に「手のしびれ」を感じたときに疑うべき疾患 (前編)』