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【入浴】 「脂漏性皮膚炎(脂漏性湿疹)」の入浴法 ~生活習慣と洗髪方法を見直す~

脂漏性皮膚炎とは、皮脂の分泌が盛んな場合に起こる炎症、湿疹のことで、かゆみを伴ったりフケが出たりします。
 
皮脂の分泌が多い頭皮や顔のTゾーン、わきの下、太ももの付け根などによく起こります。
 
好発年齢は幼児20代以降の成人で、それぞれ原因は違ってきます。
 
幼児の場合は生まれて2週間~4週間に多くみられ、代謝が活発で皮脂の分泌も盛んなうえ、皮脂腺の発達が未熟なために詰まりやすく、そのために炎症を起こしやすいようです。
軽症な場合は成長と共に治っていきますが、アトピー性皮膚炎に変化する場合もあります。


『【入浴】  「アトピー性皮膚炎」の入浴法 ~掻痒感の軽減を優先する~』 参照
 
 
成人における脂漏性皮膚炎の原因は、マラセチア真菌と呼ばれるカビの一種が皮脂をエサとし、その時に分解して出た遊離脂肪酸が酸化されて毛穴が詰まったり、汗に混じった脂肪酸が皮膚を刺激すると考えられています。
つまり、マラセチア真菌の増殖が原因となります。
 
皮脂分泌は男性ホルモン(テストステロン)が司っているため、成人の脂漏性皮膚炎の原因は皮脂をエサとするマラセチア真菌によるわけです(男性ホルモンは女性にもあります)
 
マラセチア真菌はカビの一種ですから、高温多湿の環境を好み、梅雨の時期などに増殖しやすいという特徴があります。
症状がニキビと似ているため間違えやすいかもしれませんが、皮膚科へ行かないで自己判断をしていると悪化する可能性があります。

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◆入浴上の問題リスト◆
 
 
#1 入浴しても湿疹が治らない
#2 洗髪するとかゆみを感じたりフケが出る
 
脂漏性皮膚炎を悪化させる因子には皮脂の過剰分泌やストレス、脂っこい物の摂り過ぎなどがあります。
お風呂に入ることで皮脂を洗い流し皮膚を清潔にすることや、浴槽に浸かってリラックスすること、そして温まることで血行を促進して脂質の代謝を促進するなど、入浴には様々な効果が期待できます。
しかし、最終的には体質を改善しない限り、症状は繰り返されると考えられます。
 
 
 
◆入浴法◆
 
 
<入浴上の問題>#1 入浴しても湿疹が治らない
 
<入浴目標> 生活習慣の改善と併せて行う
 
 
マラセチア真菌によって分解された脂肪酸を放置していると脂漏性皮膚炎が悪化します。
 
そのため入浴によって皮膚を清潔にすることはとても大切で、ストレスを緩和したり血行を促進するなど、入浴には脂漏性皮膚炎にとってとても効果が期待できます。
 
ところが、処方された抗真菌薬を使用しているにもかかわらず、入浴しても症状が良くならない。あるいは、反対に湿疹や炎症が悪化してしまうという場合もあります。
 
抗真菌薬でも副作用として?痒感や接触性皮膚炎になる場合もありますので、まずは医師に相談することをお勧めします。

 
それから入浴法の前に生活習慣の見直しをしましょう。
 
たとえどんなに入浴によるケアにによって症状が良くなったとしても、生活面に問題があればそれを改善しないことにはまた悪化を繰り返すので、生活習慣の改善は必要条件となります。
 
 
・脂っこい物、甘い物、辛い物の食べ過ぎ
  【根拠】 皮脂の過剰分泌の原因になる
・ストレス
  【根拠】 自律神経系やホルモンのバランスが乱れる
・便秘
  【根拠】 腸の運動が悪くなり、腸から血中に有害物質が吸収されやすい
・ビタミンB群(特にビタミンB?)の不足
  【根拠】 脂質の代謝が悪くなる
・睡眠不足や疲労の蓄積
  【根拠】 免疫力が低下する
・運動不足
  【根拠】 汗や皮脂が汗腺や皮脂腺に詰まりやすくなる

 
入浴には上記の問題に対して、皮脂を洗い流し、自律神経系やホルモンのバランスを整え、老廃物を流し、代謝を良くし、免疫力を高め、発汗する作用がありますが、全て入浴で解決できるわけではなく、生活習慣の改善も併せて行うことが重要です。
 
 
入浴法としては、ぬるめの38~40℃のお湯に15~20分間の入浴が目安です。
 
リラックスしてしっかり温まることが目的です(熱めのお湯は皮膚と交感神経を刺激するので逆効果となります)
 
リラックスすることの重要性は、脂漏性皮膚炎がストレスによる影響が大きいことからも明確です。
 
ストレスによって自律神経系やホルモンのバランスが乱れることが、どうして脂漏性皮膚炎の原因となるのか?
 
それはストレスによって自律神経が交感神経優位に傾くと、ストレスに対抗するホルモンであるコルチゾールが副腎皮質より分泌されますが、このコルチゾールには男性ホルモン(テストステロン)の分泌を増やす作用もあるので、そのため皮脂の過剰分泌に及ぶというわけです。
 
さらにストレスの慢性化による免疫力の低下はマラセチア真菌の増殖を許してしまいます。
 
 
また、しっかりと発汗する習慣を身に付けることも重要です。
 
運動不足で汗をかく習慣がないと、皮脂も詰まりやすくなり、そこにマラセチア真菌が増殖する原因となります。
カビは湿気のこもったところが好きなので、入浴で発汗して、毛穴に詰まった古い皮脂はしっかりと出してしまいましょう。
 
 
 
<入浴上の問題>#2 洗髪するとかゆみを感じたりフケが出る
 
<入浴目標> 正しい洗髪を行う
 
 
頭皮湿疹は脂漏性皮膚炎によくある症状で、大粒のフケが出ることがあります。
 
頭皮湿疹への対処は、洗髪を丁寧に行うことです。
 
ところが「しっかりと洗髪していてもかゆい。フケが出る」というようなことがあります。
 
このような場合はいくつか確認すべきポイントがあります。

 
・お湯の温度はぬるめにしましょう。

・シャンプーは低刺激性のものを使用しましょう。

・爪を立てないで、頭皮を傷つけないよう優しく洗いましょう。

・整髪剤やカラーリング剤が刺激の原因になる場合もあります。

・1日に何度も洗髪をする必要はありませんが、中には2回洗髪することで症状が緩和される人もいるようです。ただし、皮脂欠乏性による頭皮湿疹だった場合は皮脂の洗いすぎになってしまうので逆効果になります。

・シャンプーやリンスのすすぎ残しも原因となります。

・洗髪後はドライヤーで完全に髪を乾かしましょう。濡れているとカビが繁殖しやすい条件となります。


 
シャンプーを変えたり正しい洗髪を行っても同じ症状が続く場合は医師に相談しましょう。



◆おすすめのアロマバス◆


成人の脂漏性皮膚炎の場合、入浴する時にはマラセチア真菌の増殖を抑える作用のある精油はもちろん、マラセチア真菌のエサとなる皮脂の過剰な分泌を抑えるための精油を用いたいものです。
皮脂の過剰分泌の要因であるストレスを緩和する精油も有効です。

また、脂漏性皮膚炎は女性よりも男性が多い理由として男性ホルモンとの関係が示唆されていますが、女性においても
月経前(生理前)には女性ホルモンのバランスが乱れるために、皮脂の分泌が増えて脂漏性皮膚炎になることがあるようです。イライラしやすくなったりしてストレスの影響を受けやすいのも関係があるのかもしれません。
このような場合は、女性ホルモンのバランスを整えてくれる精油をブレンドしてみるといいでしょう。

精油は直接浴槽に垂らすより、基剤で希釈して用いましょう。
ただし基剤にキャリアオイルを使用する場合は、どのキャリアオイルでも良いわけではありません。
酸化しやすいオイルはかゆみの原因になりますし、酸化しにくいオリーブ油でもベタつきやすく脂性肌には向いていません。
脂性肌にはサラサラしたオイルが向いていますが、しかしそれ以前に油はマラセチア真菌のエサとなってしまうという話もあります。
そこでお勧めは
ホホバ油
ホホバ油はサラサラしていて、皮脂の分泌バランスを整える働きがあると言われています。そしてなにより、主成分はワックスでありマラセチア真菌のエサとなることはありません。


アロマバスの例


皮脂の分泌が過剰な場合
 ホホバ油 小さじ2
 
シダーウッド 2滴
 パルマローザ 2滴
 ゼラニウム 2滴

 (皮膚を引き締める精油たち。またどの精油にも抗真菌作用があり、特にシダーウッドはマラセチア真菌に強い。)
 ※妊娠中・授乳中・乳幼児の使用は控えましょう。シダーウッドを
ティートゥリーに替えても可。


月経前に症状が表れたり悪化する場合
 ホホバ油 小さじ2
 
クラリセージ 2滴
 サイプレス 3滴

 (女性ホルモンのバランスを整える相性の良い組み合わせ。月経前の不快な気分をクラリセージが抑え、皮脂の分泌過多をサイプレスが抑える)
 ※妊娠中・授乳中の使用は控えましょう。敏感肌の人はサイプレスを
ゼラニウムに替えても可。炎症の程度が強いときはカモミール・ジャーマンを1滴加えてもいいですよね。


肌が乾燥しているのに脂漏性皮膚炎になる場合、またはしっかり洗って皮脂を落としているのに脂漏性皮膚炎になる場合①
 天然塩 大さじ2
 
ラベンダー 2滴
 サンダルウッド 2滴

 (幼い子の肌にも優しい組み合わせ。サンダルウッドは保湿に働き、ラベンダーが免疫を強化し、皮膚のターンオーバーを正常化させる)
 ※妊娠中・授乳中の使用は控えましょう


肌が乾燥しているのに脂漏性皮膚炎になる場合、またはしっかり洗って皮脂を落としているのに脂漏性皮膚炎になる場合②
 天然塩 大さじ2
 
ローズウッド 1滴
 フランキンセンス 2滴

 (乾燥肌の改善に効果が期待できるだけでなく、荒れた皮膚状態の正常化を促進する。スキンケアの定番ブレンド。しかも抗真菌作用あり)
 ※妊娠初期の使用は
控えましょう。炎症の程度が強いときは天然塩に
カモミール・ローマン1滴に替えると、炎症を抑えつつ保湿に作用します。


乾燥しているのに湿疹が出る理由は、マラセチア真菌だけではなく正常な皮膚を守ってくれている他の
常在菌までもいなくなってしまっていることが考えられます。しかも乾燥すると皮膚バリア機能も免疫機能も低下するためにマラセチア真菌の増殖を許してしまうようです。
ここは発汗作用のある
天然塩を使用して毛穴に詰まっている皮脂を出してしまう方が良さそうです。毛穴に詰まっている皮脂がマラセチア真菌のエサとなっている場合が考えられますからね。



【アロマバスの注意点】
・人によってはアレルギー反応が出る場合があります。
・精油によっては皮膚や粘膜への刺激が強いものがあります。パッチテストを行ってから使用しましょう。



(最終更新日:2017/4/5)



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