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【入浴】 「高血圧」の入浴法 ~安全な入浴法と症状別の工夫~


高血圧には原因不明の「本態性高血圧」と他の病気が原因で血圧が上がる「二次性高血圧」とがあります。

そのため二次性高血圧の場合は、まずその原因となっている病気を治すことが先決とされています。

とはいえ、一般にはほとんどが原因不明の本態性高血圧だと言われていて、また高血圧は自覚症状が乏しいので、なかなか自分が高血圧であることに気付きません。

例えば、肩こりが高血圧の原因となることがありますが、原因が肩こりからきていると分かっていてもこれは本態性高血圧のうちに含まれると考えれています。しかしその肩こりが更年期障害から起こているとなれば、この高血圧は二次性高血圧となるので、その線引きの難しさが分かるかと思います。

ですので、本態性高血圧か二次性高血圧かを厳密に区別するのではなく、本態性であっても些細な自覚症状が高血圧の原因となっていることがよくあるので、これを手がかりに入浴法を工夫して体質を改善していくことは有意義なことと思われます。


そこで、ここでは

1.高血圧の安全な入浴法
2.高血圧の手がかりとなる症状


とに分けて紹介します。

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1. 高血圧の安全な入浴法


高血圧の方にとって、入浴は血圧を下げる効果があると同時に、
入り方次第では危険な行為でもあります。

特に高齢者の方にとって入浴が危ないのは、
入浴前後で血圧が急変動する場合です。

ヒートショック現象とも呼ばれ、
入浴中の死亡事故の原因は約50%が心筋梗塞によるものと言われています。
脳出血や脳梗塞などの脳卒中も例外ではありません。

特に冬場、暖かい部屋から寒い脱衣所へ移動しするだけでも体温に影響があります。
さらに服を脱ぐとなるとなればなおさら。

寒さにより交感神経が刺激され、血管を収縮させ血流が悪くなることで血圧を上げてしまいます。

しかも浴室に入った後も、熱い温度の湯船に入るとさらに交感神経が刺激され、
ますます血圧が上がります。

寒い脱衣所から熱い湯船(42℃以上)に入るだけで、
血圧が20mmHg以上も上がると言われています。

これらすべて、交感神経を刺激してしまうために起こる現象です。

では交感神経とは何ぞや?

ということになるわけですが、
人の自律神経には覚醒・緊張を促す「交感神経」
リラックスを促す「副交感神経」とがあり、
急激な温度の変化は交感神経を刺激します。

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血管の中膜平滑筋という筋肉で構成されていて(図参照)
その周りを交感神経が張り巡らされています。

そのため交感神経を刺激すると血管の筋肉(平滑筋)が収縮し、
血圧が上がります


また、血圧が高いと脳卒中や虚血性心疾患にならなくとも「のぼせやすい」という特徴もあります。
熱いお湯、または長湯は脳内の血流の増加を招きめまいや失神などの症状を引き起こします。

『【健康】 風呂でのぼせる原因と予防策』 参照

ということで、

さあ。高血圧の方にとって良い入浴方法とは?

もうお分かりですよね。

リラックスできる入り方。つまり副交感神経を高める入浴法が良いということです。

具体的にいえば、


①脱衣所や浴室を温めておく

浴室は事前に熱めのシャワーを出しておいて室内を温かくしておきます。


②かけ湯をしてから湯船に入る

血圧の急上昇を防ぐため、足元から順にかけ湯をすると良いでしょう。
湯船に入るときも心臓への負担をさけるため、足先からゆっくり入ります。


③お湯は39℃がベスト

湯温は38~40℃にしましょう。

これは諸説あって、個人差もあるでしょうが、少なくとも42℃は熱すぎです。
42℃以上は交感神経が刺激され血圧が上昇、心拍数もあがります。


④半身浴をする

高血圧の方には心臓への水圧負荷の小さい半身浴が良いと言われています。

半身浴はもともと高血圧などの生活習慣病の患者向けに推奨されてきた入浴方法です。

半身浴に慣れていない、あるいは湯船の形が半身浴に向いていないという場合は、
半身浴用の椅子なども販売されていますので湯船に入れて利用すると良いでしょう。


⑤湯船から上がるときも注意する

湯船で急に立ち上がった時、または浴室から出る時も急激な温度変化による立ちくらみなどがありますので注意が必要です。


⑥補足

発汗により体の水分が不足し、血液の濃度が増して血栓がつまりやすいので、
入浴の前と後にコップ一杯ぐらいの水分補給をすると良いと言われています。

また、飲酒後の入浴は厳禁。これは言わずもがなです。


なお、入浴中は、より効果的に血圧を安定させるために深呼吸やストレッチ、血圧を下げるツボ圧しなどを取り入れてみてはいかがでしょうか?

『【健康】 超簡単!血圧を下げるためにお風呂でできる8つのこと』
 参照



2. 高血圧の手がかりとなる症状


高血圧の原因は肥満や飲酒、喫煙、塩分の過剰摂取に運動不足など生活習慣によるものや遺伝的な体質が関係していることが多いものですが、以下の症状があるときは入浴法も少し工夫することで改善が期待できます。


①肩こりと高血圧の関係

高血圧のために肩こりになるのではなく、肩こりのために高血圧になることはあると考えられています。

肩こりとは一般的には肩の筋肉(僧帽筋)がこわばっているために、血流が悪くなります。

そのため血流を良くしようと心臓が血液を多く送り出すために血圧が上がってしまうわけです。

ですので、肩こりを伴っている高血圧の場合は、まず肩のこりをほぐしてみましょう。


『【入浴】 「肩こり」の入浴法 ~炭酸ガス系の入浴剤やアロマで効果的に改善~』 参照


血圧が高いからと言って降圧剤を使用するのは得策とは限りません。

血流が悪いために、体がなんとか肩の筋肉へ酸素と栄養を届けようとして血圧を上げているところへ薬によって血圧を下げてしまうと、かえって肩こりが解消されにくくなるからです。そのため、より高血圧を招くおそれがあります。

ヒトの体は意味があって血圧を上げたり下げたりして調節しているのであって、数値だけ見てむやみやたらに「下げれば良い」というわけでもないということも意識しておくといいですね。


②頭痛と高血圧の関係

頭痛は本来、脳血管が拡張して神経を刺激することで起こることが多いもの。
しかし、高血圧では血管は拡張しません
それでいて頭痛が起こるということは、脳血管に何らかの異常か動脈硬化が生じている可能性が考えられます。

なので血圧が高い人が頭痛を感じる場合は動脈硬化、ひいては脳卒中に注意しましょう。
とりわけ入浴時にはことさら注意が必要です。

入浴には上記の「1.高血圧の安全な入浴法 」を参考にして下さい。

何か異変を感じた時は迷わず医療機関で診てもらいましょう。


③心不全と高血圧の関係

高血圧になると心臓が肥大して心不全を起こすことがあります。

これは心臓は血液を送り出すポンプの役割があるためで、
高血圧により血流が悪くなると、勢いよく血液を押し出さないといけないので心臓は大きく動こうと頑張ります。

そのため心筋が厚くなって心臓が肥大化するというわけです。

このような状態が続くと、やがて心臓は柔軟性を失いポンプ機能も低下し、不整脈の原因となることがあるので気を付けましょう。

心不全になってしまうと、入浴するときは心臓に負荷のかからないよう、ぬるめで短時間で済ますことが肝心となります。


『【入浴】 「心不全」の入浴法 ~ぬるめ、浅め、早め~』 参照


また、心不全により心臓から押し出される血液量が低下すると、心臓へ戻ってくる静脈の血液が停滞を起こしてうっ滞状態になります。
それが脚のむくみとなって現れ、さらなる高血圧の原因にもなります。


『【入浴】 「脚のむくみ」の入浴法 ~炭酸泉が効果あり~』 参照


さらに、高血圧は動脈硬化の原因にもなりますが、これが冠動脈で起これば心筋に送られる血液が不足して狭心症に発展します。

狭心症における入浴法は、基本的に上記の「1.高血圧の安全な入浴法 」と同じですが、それに加えて狭心症を起こしやすい食後の入浴は控え、食後の入浴は1時間以上空けてからにしましょう。

『【入浴】 「狭心症」の入浴法 ~半身浴はこのためにある~』 参照


④便秘と高血圧の関係

便秘が高血圧の原因になることはご存知でしょうか?

便秘になると排便時に力みがちになりますよね。その時にお腹に腹圧がかかり血圧が上がると考えられています。
この時に60mmHg以上も血圧が上がるとも言われています。120mmHgだった人なら、いきんだ瞬間に180mmHg以上にまで急上昇するということですからね。

そんなの瞬間的な上昇でしょ・・・と侮るなかれ。慢性の便秘になると腸内環境が悪化して自律神経のバランスが交感神経優位に傾き血管を収縮させる、つまり高血圧の原因になる場合もあるからです。

『【入浴】 「便秘」の入浴法 ~お腹を温めリラックスする~』 参照


⑤糖尿病と高血圧の関係

糖尿病患者は高い確率で高血圧になることが知られています。

その理由は血糖が血管を傷つけることがまず一つ。

それから糖尿病になると血糖値を下げるインスリンの効きが悪くなりますが、そのためにより大量に分泌されたインスリンが腎臓においてナトリウムの再吸収を促進し、結果血管のナトリウム濃度を高めるために、この濃度を薄めようと細胞間液から水分を取り込み血液量が増加するために血圧が上がります。

40℃前後のぬるめのお湯に入浴すると副交感神経が働き、インスリンの分泌されやすくなり、また全身の血行も促進されるのでインスリンの効きも早くなる傾向にあるので糖尿病を予防するうえでは効果が期待できます。

しかし糖尿病患者においてはすでにインスリンの効きが悪くなってしまっているので、入浴によって分泌を促進しても効果はあまり期待できません。むしろ薬による低血糖に注意する必要があります。

それよりも高血圧による合併症に気を付けなければならないでしょう。

『【入浴】 「糖尿病」の入浴法② ~糖尿病患者の場合~』 参照


⑥冷え性と高血圧の関係

冷え性も高血圧の原因となる場合があります。

一般的な冷え性とは手足に冷えを感じる症状ですが、これは皮膚表面の末梢血管の血流が悪くなっているために手足が冷たくなる状態です。
そうすると、体は熱を逃がさないようにするために末梢血管を収縮させて放熱を抑えようとします。

血圧とは血液が血管の壁を押す圧力のことですが、冷え性の場合は血液量が少ないために末梢血管の血流が悪くなっているわけではないので、当然血圧は高くなります。


『【健康】 女性に多い?飲酒もタバコもしないし太ってもいないのに血圧が高いのは「冷え」が原因かも』 参照


冷え性の場合は一般的に自律神経の乱れなどが原因であることが多いので、「温冷交互(交代)浴」など体質改善をはかる入浴法をお勧めします。


『【入浴】 「冷え性」の入浴法 ~誤解だらけの冷え性対策~』 参照



⑦ストレスと高血圧の関係

ストレスは高血圧の代表的な原因のひとつです。

とはいえ、ストレスが原因で高血圧になっているという自覚は難しいものです。

しかし、ストレスによって身体的な変化がある場合もあるので、これを見逃さないようにしましょう。

例えば過敏性腸症候群

過敏性腸症候群はストレスが原因で便秘や下痢など便通に異常が起こる症状です。

逆に便秘や下痢がストレスとなることもありますが、いずれにしてもストレスは高血圧の大敵です。

入浴でリラックスすることは過敏性腸症候群を落ち着かせ、ひいては血圧を安定させることにもなるのです。

『【入浴】 「過敏性腸症候群」の入浴法 ~腸脳相関に注目する~』 参照

『【健康】 血圧が正常値でもストレスによる「職場高血圧」は危険らしい』 参照


不眠症も高血圧の原因となります。

不眠症は自律神経のバランスの乱れによるものだと考えられていますが、その背景にあるのはストレスです。
不眠症が続くと血圧のコントロールができなくなって高血圧の原因となります。

逆に高血圧が原因で不眠症になる場合もありますが、共通しているのはストレスです。

高血圧の原因として不眠症が疑われる場合は、まず入眠しやすくするために就寝の1~2時間前に入浴を済ませ体を温めておくと良いでしょう。

『【入浴】 「不眠症」の入浴法 ~就寝の1~2時間前に入浴する~』 参照


⑧ホルモン異常と高血圧

ヒトの恒常性を保つために働いているのは血圧や自律神経の他に、ホルモンがあります。
これらは相互に影響し合うので、ホルモンのバランスが乱れると血圧も乱れる要因になります。

分かりやすい例でいえば更年期障害です。

女性が閉経を迎えるころになると、女性ホルモンであるエストロゲンの分泌が低下し、ほてりやのぼせ、発汗、冷え、肩こり、睡眠障害、動悸、頭痛、めまいといった身体的なものから意欲低下、物忘れ、イライラといった精神的なものまで実に様々な症状を引き起こします。

肩こりが高血圧の原因だと思っていても、その背景に更年期障害が関係しているとしたら、それはホルモン異常が根本的な原因だということになります。

『【入浴】 「更年期障害」の入浴法 ~気持ちを安定させる~』 参照


他にホルモン異常が原因で高血圧になる疾患には甲状腺機能亢進症や原発性アルドステロン症などがあります。



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『【健康】 これで高血圧が改善!生活習慣を見直す6つの項目』
『【健康】 お風呂で高血圧改善!自分で押せるツボ6つ+α』

『症状別の入浴法』



 

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