• イベント情報
  • メールフォーム

【入浴】 「脂肪肝」の入浴法 ~代謝機能を高める~


肝臓の細胞の約3割以上に脂肪がたまると脂肪肝と診断されますが、放っておくと肝炎や肝硬変、さらには肝がんに至る危険性もあり、油断のできない状態と言えます。


肝臓には代謝機能や解毒機能などいくつもの役割がありますが、脂肪肝になるとこれらの肝機能が低下すると言われています。



20161216194239.jpg

 

 
 
◆入浴上の問題リスト◆
 
 
#1 血圧が高く、入浴すると疲労感を感じる
#2 血圧が低く、入浴すると疲労感を感じる
 
現在は脂肪肝の治療に直接作用する薬剤はないようで、ふだんの生活習慣に気を付ける必要があります。
入浴においても脂肪肝を改善するような入浴法はありませんが、肝機能に効果のある入浴を心がけると良いと思われます。
脂肪肝は代謝機能が低下している状態なので、入浴法のポイントとしてはその点を意識しましょう。
 
 
 
◆入浴法◆
 
 
<入浴法の問題>#1 血圧が高く、入浴すると疲労感を感じる
 
<入浴目標> 肝臓に負担をかける入浴は避ける
 

肝臓に負担をかけないために、「温度は熱くしない・長時間の入浴は避ける・食後や運動直後の入浴は避ける」といった注意を払いましょう。

・お湯の温度は38~40℃
・入浴時間は10~15分間
・食後や運動後の入浴は最低1時間は空けること


が目安となります。

負担をかけずに血流を良くすることで肝機能も高まります。
 
 
脂肪肝の人に多いのは肥満
食べ過ぎや飲み過ぎといった食生活の乱れにより脂肪が体内に蓄積されると、血液中にも脂質が多くなって血がドロドロになる可能性が高いものです。

そのため脂肪肝の人は高血圧を併発している場合が多く、心臓や動脈硬化に不安のある人には水圧の弱い半身浴をお勧めします。

さらに少しでも負担をかけない入浴法としては「反復浴(分割浴)」があります。

分割法(反復浴)とは、例えば5分入浴してから少し外気浴、また5分入浴してから少し外気浴を繰り返す入り方で、外気浴のタイミングで頭や体を洗うと良いでしょう。


『【入浴】 反復浴(中温反復浴)とは』 参照
 
 
水圧がかからないという意味ではサウナは肝臓に優しいといえます。

また、サウナに入ってしばらくすると汗腺から出る汗以外に、皮脂腺から皮脂が分泌されますので新陳代謝にも効果があります。

新陳代謝と言えば、体内の有害毒素である重金属(水銀、カドミウム、アルミニウム、鉛)は脂肪に溶けると肝臓や腎臓ではデトックスできず、皮脂と一緒に体外へ排出するしかないという点にも注目に値します。

サウナでかいた汗、それも皮脂腺から出たサラサラした汗(皮脂のこと)は肌の保護膜になるから拭かない方が良い、という風潮がありますが、この件に関してはしっかり洗い流した方が肌に良いと思われます。


『【健康】 サウナを科学する② デトックス効果(後編)』
 参照


 
肝機能の低下は肌荒れや肌のくすみの原因になったり、アトピー性皮膚炎の原因にもなると言われているのは、このようなことが関係している可能性があります。
 
 
 
<入浴上の問題> #2 血圧が低く、入浴すると疲労感を感じる
 
<入浴目標> 代謝機能を高めて体温を上げる
 
 
脂肪肝は高血圧ばかりでなく、低血圧とも大きく関係しています。
 
低血圧が脂肪肝を招く原因は冷えにあります。
 
体が冷えてくると体内の熱を外へ逃がさないようにするために、交感神経が作用して手足の血管が収縮され、血液を体幹部分(主に内臓)に集めて深部体温を維持しようと働きます。
 
ただし、自律神経の機能が低下していると血管の収縮が不十分になり深部体温を維持できず、体の中心部が冷えてきます。
これを「内臓型冷え性」といい、血管が収縮しないタイプ、つまり低血圧の人に多い症状です。
 
内臓が冷えるということは、肝臓も例外ではなく、肝臓が冷えると肝機能の低下につながります。
 
脂はお湯をかけると流れますが、冷たい水をかけると固まりやすい特性があるように、血液も冷えると血中の脂質がドロドロになり血流が悪くなります。
 
ただでさえ肝機能が低下すると中性脂肪の代謝が悪くなり、高血圧の場合と同様、血液中の脂質が多くなって血がドロドロになりやすい傾向にあるわけですから、低血圧による脂肪肝はもっと血液がドロドロになって血流が悪くなりやすいと考えられます。
 
 
このような場合、もともとの原因である冷えを改善しなければなりません。
 
ですが、内臓型冷え性は体の中心部は冷えていても手足はあたたかい場合が多いので、自分では気付かないことがあるようです。
 
手足があたたかくても、血圧が低く、疲労感があり、かつ肌のトラブル(肌荒れや乾燥肌など)がある場合は、内臓型冷え性による脂肪肝を疑ってみましょう。
 
 
通常は冷え性や低血圧に対しては、自律神経の正常化が期待できる「温冷交互(交代)浴」をお勧めするのですが、
 
 

 
疲労感を伴う脂肪肝の場合は、まず体を温めることと代謝機能を高めることを優先しましょう。
 
 
そこで、入浴剤として代謝機能を高めるクエン酸風呂をお勧めします。

家庭風呂でも市販のクエン酸を浴槽(180~200リットル)に大さじ3杯程度入れるだけで簡単に作れます。

クエン酸を多く含む食品としてレモンやお酢、梅干しなどがあるように、クエン酸には疲労回復の効果があるとして知られています。

これはヒトがエネルギーを生産するときにはクエン酸回路が中心的な役割をするからで、疲労の回復以外にも代謝機能の向上肌のトラブルにも効果があると言われています。

肝臓に中性脂肪を溜め込まないためにも代謝機能を高めることは大きな意味があります。

クエン酸は食品から経口摂取するだけでなく、嬉しいことに肌からも吸収できるようで、入浴によるクエン酸摂取は消化吸収をする過程がないので経口摂取よりも負担がかからないと考えられています。

加えてアロマ精油「ローズマリー・ベルベノン」「レモン」を数滴垂らすと肝機能に良いと言われています。


また、入浴により体内の水分が失われると、血液の粘度が増してドロドロになるので、入浴前後にはしっかりと水分摂取をしましょう。


なお、風呂上りの直前に背中の肝臓にあたる部分に温かいシャワーを当てると良いでしょう。
肝臓は右胸の裏あたりに位置し、ここにシャワーを当てることで代謝機能の改善が期待できます。
 




関連記事

『症状別の入浴法』