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2016年06月

【健康】 お風呂で逆に疲れてしまうのはなぜ?


今日一日の疲れをお風呂で癒す。

疲労回復は入浴の大きな役割です。

しかし、入浴するとなぜかドッと疲れが出てしまうことってありますよね?

疲れをとるつもりだったのに逆にぐったりしてしまうこと・・・誰でも経験したことがあると思います。

なぜ逆に疲れてしまうのか、不思議に思ったことはありませんか?

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実はその疲れの正体は「疲労感」というものです。

「だるいな」と疲れたように感じる感覚のことであって、本当の「疲労」とは違います。


確かに入浴によってもカロリーは消費しますからその分の疲労は溜まります。

でもストレスによる疲れや筋肉の疲労とは質が違います。

それなのにお風呂に入ると体が重たくなったように、それこそ「疲労感」を感じるのは副交感神経が優位になったためです。

そう。この疲労感の犯人は副交感神経。

自律神経は交感神経と副交感神経のバランスによって調整されていて、

交感神経が優位に傾けば「戦闘&緊張モード」
副交感神経が優位に傾けば「お休み&回復モード」

に働きます。

ヒトはお風呂で温まってリラックスを感じると副交感神経が働いて血管が拡張し血流が良くなります。
血流が良くなると脳・神経・筋肉などの各細胞に酸素や栄養が行き渡るので「疲労」が回復していきます。
ただし、副交感神経によって体はお休みモードになるために力が抜けたような感じになります。

そのために「疲労感」を感じてしまうわけですが、実際の「疲労」は回復に向かっているんですね。

入浴によって副交感神経が優位な状態なっていれば、入浴後は入眠へと導入しやすくなります。

疲れを取りたいのならこの流れを無駄にしてはいけません。

傷んだ組織の修復など本当の意味での疲労回復は睡眠中に行われているので、せっかくお風呂で気持ち良くなっても睡眠を疎かにしていると効果がありませんよ。

【健康】 梅雨期の入浴法⑥ まとめ:体調を崩しやすい本当の理由は?


梅雨は体調を崩しやすい原因とその症状はいくつも考えられることが分かりました。

梅雨にありがちな症状といえば、頭痛・めまい・むくみ・冷え性・喘息・倦怠感(疲労感)・関節痛・肩こり(首こり)・肺炎・肌のかゆみなどがあり、5回にわたってそれぞれの入浴法について考えてきました。

梅雨の時期の気候的な特徴として「低気圧」であることや「多湿」であることなどがこれらの症状の主な原因であり、それぞれの症状が互いに関係していることが分かります。

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例えば気圧の変化を耳の器官がそれを感じ取りめまいを起こし、それが頭痛の原因となったり、低気圧による体への拡張作用がむくみを引き起こし、それが頭で起これば頭蓋内圧の亢進で脳の血管が締め付けられ頭痛を起こし、足のうっ滞に表れれば冷え性となりますし、逆に冷え性が足のうっ滞に表れむくみの原因ともなります。
また、湿度が高いことも水の代謝を悪くし、それが冷えやむくみの原因にもなりますし、カビが繁殖しやすい条件ですから、そのカビがアレルギー症状を引き起こして夏型過敏性肺炎や肌のかゆみを招きます。
さらに低気圧とは空気の密度が薄いことであり(上昇気流によって地表の空気が薄くなっていると考えると分かりやすいかな?)、それは酸素も少ないことを意味しますから、体が呼吸を最小限に抑えようと副交感神経が働いてお休みモードになります。
梅雨になるとなんとなく元気が出ないのも、実は気のせいではなくこのうような作用による倦怠感であったり疲労感であったりするわけです。
無理をすれば喘息患者にとっては呼吸が辛くなるでしょう。副交感神経が優位になることでより気管支が収縮されることも息苦しさの原因となります。
血流で各組織に運ばれる酸素が十分に行き渡らないと、肩こりや関節痛の原因にもなります。




◆梅雨とヒスタミン


さらに梅雨の時期はヒスタミンが分泌しやすいというのも各症状と関係しているように思います。

ヒスタミンとは、異物(非自己)と認識した物が体内に侵入した時やある刺激を受けた時に働く神経伝達物質で、主な作用に「血管拡張」「血管透過性亢進」「気管支の収縮」などがあります。

これらが作用する理由を簡単に説明します。

例えばカビを吸い込んだとします。するとこれを異物(非自己)と認識しますので体内にヒスタミンが分泌され、カビを排除するために免疫細胞たちを呼び寄せます。ふだん血管内をパトロールしている免疫細胞を素早く現場へ駆けつけさせるためにヒスタミンは「血管拡張」をして血流を早くしているんですね。
そして免疫細胞たちは最寄りの血管へ集まりますが、そこからさらに血管から飛び出して現場となる組織細胞に入らなければなりません。
しかし免疫細胞はタンパク質でできており、そう簡単には血管の壁を通過できるわけではありません。
そのためにヒスタミンが「血管透過性亢進」といって免疫細胞が血管から出やすくしているわけです。
このようにヒスタミンには体内に異常を感じた時に修復しようと働く物質であり、またその間は体を休ませようと視覚神経を刺激し、そこから副交感神経を介して体がお休みモードになるんです。「気管支の収縮」が起こるのはそのためです(知覚神経と副交感神経は神経系で繋がっている)

ちなみに花粉症の時に鼻水や鼻づまり、くしゃみが起きるのは、異物である花粉を排除しようと「血管拡張」が起こり鼻や目が充血します。
そして知覚神経を刺激し(これがかゆみとなる)、副交感神経を介してくしゃみが起きます。また鼻腔内の異物を洗い流そうとヒスタミンの「血管透過性亢進」作用によって鼻水が出ます(血管から水分が滲出しやすくなる)。同様の理由で涙も出ます。



なぜわざわざこんな話をするのかと言いますと、このヒスタミンによる作用が梅雨の時期に多い各症状とも関係していると仮定するのに十分な整合性があるからです。


【ヒスタミンの影響】

「血管拡張」・・・低気圧性頭痛(片頭痛)
「血管透過性亢進」・・・むくみ → 冷え性
「気管支の収縮」・・・喘息の悪化
「知覚神経の刺激して副交感神経」・・・肺炎・肌のかゆみ・喘息・倦怠感(疲労感)




◆ストレスにならないために


各症状によって入浴法は違ってきますが、共通する点があるとすれば入眠導入としての入浴でしょうか。

梅雨の時期には様々な症状を起こしますが、これらがストレスとなり不眠症になる場合もあるそうです。

たとえ不眠症にならないとしても、質の高い睡眠は各症状の緩和に大切な要素となります。

ということで、

入浴の時間は、就寝する1~2時間前に入りましょう。

一度温まった体温が時間と共に下がっていく過程で、ヒトは眠たくなる習性があるんです。


『「不眠症」の入浴法 ~就寝の1~2時間前に入浴する~』 参照


睡眠中には成長ホルモンの分泌が活発化され傷ついた皮膚や血管の修復などが行われています。
まさに睡眠に勝る回復薬はありません。


梅雨の時期の健康法は、体を冷やさないこと、しっかり食事をとること、適度な緊張感を持つこと、掃除や換気はこまめに行うこと、そしてしっかり寝ること・・・なんだか基本的なことばかりですね。


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『【健康】 梅雨期の入浴法⑤ カビとアレルギー』

 

【健康】 梅雨期の入浴法⑤ カビとアレルギー


梅雨になるとよく風邪をひく、咳が出るといった症状はありませでしょうか。

梅雨だから気分が沈んでいるせいなのかな?気持ちの問題かな?と簡単に決めつけてはいませんか?

実はそれ、カビが原因で起こる「夏型過敏性肺炎」かもしれませんよ。



◆梅雨と肺炎


梅雨ならではの湿度の高さによる季節性の疾患です。

まるで風邪に似た症状のため間違えやすいようですが、自宅のカビ(トリコスポロン)によってアレルギー症状を引き起こすことを夏型過敏性肺炎と呼んでいます。
肺炎といっても感染症ではなくアレルギー症状ですので他人に感染するということはありません。

面白いことに、外出中は問題ないのに帰宅すると具合が悪くなるという特徴があります。まあ家のカビが原因ですからね。

当然湿気の多いところや水回り(洗面所やお風呂)にカビは繁殖しやすいので、予防法としては風通しを良くすることとまめに掃除することになります。特にエアコンに潜んでいることが多いそうです。

入浴で気を付けたいことといえば、風呂上りは湯船の栓を抜くこと。追い炊きは禁止。
ふだんからこまめに壁の湿気を取るだけでも効果はあるそうです。

梅雨の時期は低気圧のために酸素が薄くなりがちなため、酸素交換がうまくできずに呼吸が苦しくなる可能性もあるので、梅雨の風邪症状には注意しましょう。

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◆梅雨と肌のかゆみ


梅雨にありがちな体の異変といえば、アレルギー反応。

前述の夏型過敏性肺炎もカビによるアレルギー反応ですが、梅雨の時期はアレルギー反応を起こしやすいと考えられていて一説では低気圧そのものが引き金になっているとも言われています。

いずれにしても、アレルギー反応によってヒスタミンが分泌しやすいのが梅雨の時期。

肌のかゆみはこのヒスタミンの影響によるものですが、かゆいからといってかけばかくほどヒスタミンを刺激してしまいさらにかゆくなります。

こんな状態の時は抗ヒスタミン薬(かゆみ止め)を使いましょう。

気をつけたいのは、アレルギー性のかゆみには放っておくと「じんましん」が起こる場合があることです。

アレルギー性のじんましんは、熱いお湯や冷たい空気ですらもアレルギーの対象となりますので、梅雨の時期は低気圧や冷房の空気や熱いお風呂に注意しましょう。


また、梅雨から夏にかけて多いのが「脂漏性(しろうせい)皮膚炎」です。

皮脂の多い部分(頭皮や鼻の周辺)に起こりやすい皮膚炎です。
この疾患も炎症を起こした部分が肌が赤くなってかゆみを伴います。
頭皮で炎症を起こせば、かさつきだけでなくフケが多くなるようです。

そしてこの脂漏性皮膚炎の原因は、これまた「カビ」だということです。


さらに加えて梅雨から急増するのは「水虫」ですよね。
これも原因はカビ。一般に「白癬菌(はくせんきん)」と呼ばれるカビです。

やはり高温多湿の環境で多い疾患です。



◆梅雨の「肌のかゆみ」の入浴法


かゆみを刺激してはいけませんから、当然ですが熱いお湯は禁止です。

シャワーも湯船の温度も40℃以下にしましょう。

ボディシャンプー(又は石鹸)は肌にやさしいものを選び、場合によっては使用しないことです。

よく泡立てて泡でなでるようにすることが大切で、間違ってもこすってはいけません。

当たり前ですがナイロンタオルは必要ありません。
肌荒れがひどい場合はタオルを使わず手でやさしく洗います

足の水虫においても同様にやさしく洗いましょう。
ゴシゴシやると皮膚が傷ついて、そこから白癬菌が入りかえって悪化する可能性があります。

脂漏性皮膚炎で頭皮に影響が出ている人はシャンプーにも気を使った方が良いですよ。
シャンプーには抗真菌剤の入った物もありますので、医師や薬局でお問合せしてみて下さい。


風呂上りもバスタオルはやさしく扱うこと。肌に押し当てるようにして拭き取りましょう。


カビが原因による疾患の共通点は多湿の環境です。

注意すべきは入浴後は換気をすること。使用後の湯船のお湯は捨てること。バスマットをこまめに換えること(水虫が感染する原因になるから)

また、意外と盲点なのは脱衣カゴ
汗など湿気を含んだ衣類が放り込まれる脱衣カゴも、カビは繁殖しやすい環境です。
脱衣カゴにもこまめな手入れをしておきましょう。


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◆梅雨と肩こり・関節痛


梅雨になると「肩こり(首こり)」「関節痛」に悩まれやすいと言われています。

その根拠として良く挙がるのは以下の理由

・自律神経が乱れて血流が悪くなるから
・低気圧により血管が拡張されて血流が悪くなるから



どちらも「血流が悪くなること」を直接の原因としていますが、それにしても「自律神経が乱れる」とはとても曖昧で便利な言葉で、何だかよく分からないことは自律神経のせいにするのはもはや常套句になっている感がしてあまり感心できません。

「血管が拡張して血流が悪くなる」というのも「血管の拡張=血流の悪化」と一概に決めつけられるものではありません。血流の良し悪しは拍出量や血管の抵抗性によって決まるもの。もし血管が拡張した分だけ流れる血液量が増えるのなら、それは血行促進といい、血流が良いことを意味します。


血管が拡張して血流が悪くなるとすれば、それは低血圧によるものだといえます。

低血圧だとすれば身体の一番高い位置にある脳が影響を受けやすく、急に立ち上がるとめまいや立ちくらみを起こしやすいという特徴があります。ここまで悪化していれば血流が悪くなっていると判断できます。


確かに「血流が悪い」状態では、各組織に酸素や栄養素が行き渡らないので、僧帽筋への供給が悪ければ肩こり(首こり)、関節への供給が悪ければ関節痛を起こします。

なので「血流が悪いから」という理由も十分に考えられますが、それ以上に低気圧による空気の薄さ、つまり酸素の少なさが関係していると考えられます。

酸素量が物理的に少なくなることによる低酸素状態が、肩こり(首こり)や関節痛の原因だということです。

血流が悪くないとしても、酸素が欠乏すれば血流が悪いのと似た症状が起きます。

鉄の不足により体が酸素をうまく取り込めない鉄欠乏性貧血とも似ていますね。
実際、鉄欠乏貧血患者は、肩こり(首こり)や関節痛とも関連が深いと言われています。

梅雨の時期に「どうも寝ても寝ても寝足りない」という人は、脳に酸素が不足しているのかもしれませんね。

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◆梅雨の「肩こり(首こり)」「関節痛」の入浴法


「低酸素状態の低血圧」であると仮定した場合の入浴法を紹介します。

キーワードは「血流」「酸素」「鎮痛」

肩こり(首こり)や関節痛を改善するには少しでも血流を良くして数少ない酸素を患部へ行き渡るようにしなければなりません。

かといって、心拍数が高くなるようなことをすれば呼吸が苦しくなるので、そこがポイントとなってきます。


低酸素状態では、少しでも酸素を取り込める深呼吸が有効だそうです。

逆に浅くて早い呼吸は禁物。

・深くてゆっくりした呼吸 = 副交感神経
・浅くて早い呼吸 = 交感神経


ですから、入浴においては交感神経を刺激しないように気をつけましょう。


お湯の温度は交感神経を刺激しない38~40℃が良いでしょう。

低血圧に対しては本来は熱め(42℃)のお湯で交感神経を刺激するのが好ましいのですが、
肩こりや関節痛にとっては逆効果になりますし、なにより低酸素状態においては熱いお湯や長湯は動悸を激しくしますから、息苦しくなる要因となってしまいます。

時間も長湯は危険なので10分までとします。

問題なのは、時間が短いのにこんなぬるめの温度で体が温まるのか?ということ。

血流を良くするにはある程度の温熱効果が必要です。


さて。

ぬるめの温度でも体が温まり(血流改善効果)、かつ肩こり(首こり)や関節痛の痛みを取り除く(鎮痛解熱効果)、そんな薬のような入浴法なんてあるのでしょうか?

それがあります。

そのものずばり「薬湯」です。



◆薬湯で半身浴


家庭のお風呂においては生薬入りの入浴剤をご利用になると良いでしょう。

有効成分に貧血症に効果のあるセンキュウ(川?)、血行促進効果のあるトウキ(当帰)、鎮痛効果あるシャクヤク(芍薬)が配合されている物がお勧めです。

特に芍薬は、筋肉の痙攣や緊張を緩和する作用があるので、肩こりや関節痛のみならず、腰痛や神経痛など幅広く適応する生薬です。

入浴剤に用いられる生薬には保温効果の高いものが多いので、38~40℃で10分間の入浴でもポカポカ温まることができます。


なお、入浴方法としては全身浴よりも半身浴をお勧めします。

半身浴は「低血圧」と「低酸素状態」の両方に有効です。

全身浴は胸部にも水圧がかかり心臓に負担をかけるので、圧迫された心臓は力強く血液を拍出できなくなり、さらなる低血圧を招きます。

また、心肺に対するエネルギーが増えると酸素が不足して息苦しくなる可能性も出てきます。

そのような理由から、梅雨の時期は心臓発作の危険性が高いとも言われていますので、深くてゆっくりとした呼吸をするには半身浴の方が負担が軽くて向いています。


※食後すぐの入浴は控えて下さい。食後は血流が胃腸などの消化器に集中しますので入浴により血管が拡張しますと、より低血圧になりめまいやふらつきを起こす(脳が酸欠を起こす)場合がございます。


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【健康】 梅雨期の入浴法③ お休みモードから脱する入浴法


梅雨の時期は低気圧によって体がむくみやすいと考えられています。

そのむくみが頭で起これば片頭痛のような痛みを伴います(低気圧性頭痛)が、のどで起これば喘息を悪化させる要因となる可能性もあります。



◆梅雨と喘息


梅雨に喘息が起きやすい理由。

それは喘息患者においては、低気圧によって気道を通る血管から水分が血管外へ滲み出すようなことがあると、そこにむくみが生じ気道が狭くなってしまい息苦しくなる可能性があるからです。


梅雨の時期に気道が狭くなりやすい理由にはもう一つ心あたりがあります。

それは副交感神経が関与しているのではないか?ということ。


副交感神経には気管支を収縮させる作用があるのをご存知でしょうか?

反対に交感神経には気管支を拡張させる作用があります。
交感神経といえば血管を収縮させる作用があるので、なんだか「交感神経=収縮」というイメージがありますが気管支へは拡張に作用します。

これは交感神経は主に活動量の多い日中に働き、副交感神経は主に体を休ませる夜間に働くことからも分かるように、活動量が多い時ほど呼吸が早くなりますので交感神経は気道を確保するために気管支を拡張させる働きがあるんですね。

なので反対に副交感神経が優位になると気道は狭くなるので喘息患者は息苦しくなります


梅雨になると天気の悪い日が多いので活動的な交感神経よりも休息的な副交感神経が優位になりやすいと考えられています。

また、低気圧においては、気圧とは空気の重さのことであり「気圧が低い」とは「空気が薄い」という意味であるから、それは同時に「酸素が少ない」という意味でもあるので、酸素が少ない状況では当然呼吸しづらいという物理的な要因と、身体が活動を最小限に抑えるために副交感神経を優先してお休みモードになってしまうという生理的な要因も考えられます。


梅雨になると決まってなんとなく「だるいなぁ」と倦怠感疲労感を感じることが多いのは、それは偶然でも気のせいでもなく、低気圧によって副交感神経が優位になっているからだとも説明ができちゃうわけです。



◆梅雨期の「喘息」「倦怠感」「疲労感」の入浴法


梅雨に悪化しがちな喘息、倦怠感、疲労感の共通点は、自律神経のバランスが副交感神経に過剰に傾いていること。

入浴はいつものように心地よい温度のお湯にリラックスして入るとさらに副交感神経が優位になるので逆効果です。

この場合は通常はあまりお勧めしない42~43℃の熱めの湯に3~4分浸かり、交感神経を刺激するほうが良いでしょう。

時間が短いので満足できないと思いますが、満足するほど浸かってしまうと副交感神経が働きますからね。

くつろぐために入浴するのではなく、気持ちを前向きにシャキッとするために入りましょう。

『【健康】 「気管支ぜんそく」の入浴法 ~サッと入ってサッと上がる~』 参照


入浴剤は爽快感のあるメントール系がお勧めです。

またアロマ精油(エッセンシャルオイル)を湯船に垂らすのも良いでしょう。
ローズマリーは気分を高めてくれるので朝や昼向きですよよ。
ただし、ラベンダーのような気分が落ち着くリラックス系は逆効果になるので注意して下さい。


朝、身体や気持ちがシャキッとしない時やヤル気を出したい時は、42℃くらいの熱めのシャワーをさっと浴びて、交感神経を刺激すると気持ちが前向きになれます。
朝は喘息発作が出やすいので喘息患者にとって熱めの朝シャワーは有効かもしれません。

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◆HSP入浴で前向きに


HSP(ヒートショックプロテイン)入浴法は、あえて熱いお湯に浸かることで体に熱ストレスを与え、「HSP」という傷ついた細胞を修復するタンパク質を産生する入浴法。

体温が2℃上がるとHSPが産生されることが分かっています。

体温が上がれば免疫力が高まりますし、HSPが産生されることで疲労が回復しやすくなります

倦怠感や疲労感を解消するにはHSP入浴法が適しています。

また、熱によるストレスで交感神経が刺激されますので気管支が拡張され喘息患者にとってはのどが楽になります。

ちなみに体温を2℃上げるための目安は、一般的には

40℃のお湯で20分間
41℃のお湯で15分間
42℃のお湯で10分間


と言われています。

(豆知識)
体温を2℃上げるためには上記のとおり「40℃で20分間」でも「42℃で10分間」のどちらでも可能ですが、同じHSPでも産生される量は「40℃で20分間」の方が多くなるという研究報告があります。
しかし、今回の場合はあえて交感神経を刺激したいので「42℃で10分間」を推奨します。


ただし、HSP入浴法は負荷の大きな入浴法です。無理はなさらないようにご注意して下さい。


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【健康】 梅雨期の入浴法② 冷えとむくみの関係


梅雨の時期に体調を崩しやすいその理由の一つに「低気圧」があります。

気圧が低くなると私たちの体は膨張しようとする力が働きます。
その影響が顕著に表れる症状の一つが「むくみ(浮腫)」です。

低気圧により血管が拡張されてむくみやすくなるという説が目立ちますが、医学的な根拠は乏しいようです。

ですが、実際に梅雨期にむくみやすいという現実があり、低気圧が何らかの形で影響していると考えるのが自然です。



◆梅雨とむくみ


梅雨期は天気の悪い日が多く、体を動かす機会も減りがちで筋肉が低下しやすいという環境要因もあるでしょう。

加えて梅雨ならではの湿度の高さが汗をかきにくくするので、体内に水分が溜まりやすくなることもむくみの要因となります。と同時に冷え性の原因です。

むくみが足に表れれば、これは静脈がうっ滞を起こし、血流が悪くなっている状態です。
下半身の静脈血が重力に逆らって心臓に戻るにはそれ相応の血流が必要です。

静脈血がうっ滞を起こして血流が悪くなればむくみはできますし、その逆もしかりで、血流が悪くなれば静脈血がうっ滞してむくみができます。

この静脈がうっ滞を起こす(むくみができる)ことを「還流障害」ともいい、むくみの対策としては還流障害を改善することとなります。

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むくみの起きる原因は他にも心臓や肝臓、腎臓などの疾患による場合も多いものですが、気圧の変化によるむくみはなんら深刻なものではありません。

とはいえ、そのむくみが脳で起きれば頭痛、足のうっ滞に表れれば冷え性を伴うことが多いので、放っておいても良いというわけでもありません。


そこで入浴です。

改善法としては食事や運動なども有効ですが、ここでは入浴法を紹介します。



◆梅雨期の「むくみ」「冷え性」「頭痛」の入浴法


梅雨の時期のむくみは、低気圧と湿度が関係しており、冷え性を伴うことが多いという点をふまえて、
「老廃物をためこまないこと」「冷やさないこと」「しっかり発汗すること」をポイントとします。

そのために入浴に求められるのは温熱効果による血行促進、そして発汗作用です。

シャワー浴だけではまず無理で、必ず浴槽に浸かる習慣にしましょう。

ヒトの深部体温は一定に保たれるようになっているので、入浴で体が温まり、体内の熱が深部体温を超えそうになると熱を体外へ逃がすため、皮膚の血管が拡張され血流が増えます。

冷え性とは皮膚の血管が収縮してしまって(血管が細くなっていて)血の巡りが悪い状態ですから、温熱効果によって皮膚の血管が拡張されることで冷え性に有効です。

そのための入浴温度は38~40℃が適当です(それ以上の熱いお湯になると熱刺激が交感神経に作用し、逆に皮膚の血管が収縮してしまい逆効果になります)

血流が促進されることにより足のうっ滞が解消できますし、代謝も促進され老廃物を排出できるのでむくみの改善になります。
またシャワー浴にはない水圧効果も手伝って、足のむくみ改善にはとても有効です。
さらに水圧効果には利尿作用もあり、これもまたむくみ改善に働きます。

水圧効果を得るには半身浴よりも全身浴が適しています。


入浴時間は10~20分間。しっかり温まることで、汗腺が開き発汗作用が亢進されます。
発汗そのものに余分な水分が排出されるという効果もありますが、何より体温調節機能をしっかりと働かせることで冷え性の体質を改善できることにあります(冷え性の原因は体温調節機能が働きにくいこと)

むくみと一緒に低気圧性頭痛(片頭痛)のある方は、額を冷やして下さい。顔を冷水で洗うのも良い。
ただし脳の血管は拡張しやすく、それが低気圧性頭痛(片頭痛)には悪い影響を与えかねないので、入浴時間は短めにしましょう。



◆炭酸泉で温冷交互浴


上記の入浴法を最大限に発揮するのが炭酸泉です。

炭酸泉は血管を拡張し血流を促進するのに効率的なお湯です。
実際の温度よりも1~2℃温かく感じるのが特徴です。

実際に炭酸泉がむくみ解消に効果があるという研究報告もあります。

家庭のお風呂では炭酸ガス入り(シュワシュワ系) の入浴剤を入れると同じ効果が得られますよ。


『【健康】 「炭酸泉」のススメ』 参照


さらに、温冷交互浴といって、温かいお湯に浸かったあと冷たい水を浴びて、また温かいお湯に浸かることを繰り返すと効果的。

血圧を上げることなく体を温めることができ、体温調節機能を正常に働かせるための入浴法です。

自律神経のバランスが整うので、体温調節機能が正常化する他、冷え性の改善や免疫力の向上にも役立ちます。

また、この入浴法を梅雨の時期のうちに続けることで、梅雨明けの熱中症対策にもなります

なお、温冷交互浴は最後は「冷」で終わること。お風呂で温まった熱を体内に閉じ込めて保温効果にもなります。


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【健康】 梅雨期の入浴法① 体調不良の理由は様々


梅雨どきは、ジメジメと気分が晴れないばかりでなく、実際に体調を崩しやすい時期でもあります。

そんな体調不良の改善に入浴はとても効果があります。

しかし、梅雨期にありがちな体調不良といっても

・頭痛
・めまい
・むくみ
・冷え性
・喘息
・倦怠感(疲労感)

・関節痛
・肩こり(首こり)
・肺炎
・肌のかゆみ
・不眠症


などその症状は様々。

梅雨の時期の入浴法といえば「ぬるめのお湯でリラックスしましょう」というのが一般的ですが、症状によってそれぞれ原因があり、また入浴法も違ってきますので一概には当てはまるわけではありません

そのため症状別に適した入浴法があり、まずは梅雨の時期に体調を崩す理由を理解しなければなりません。



◆梅雨に体調が崩れやすい理由


梅雨になると体調を崩しやすいその最もたる原因は気圧の変化です。

梅雨特有の低気圧によって体調のバランスが崩れます。

空気にも質量(重さ)があり、地球の重力に引き寄せられています。

日常では実感することはありませんが、「気圧」とは私たちがいつも全身に受けている空気の重さ(圧力)のこと。

重力が強く働く地表(海面)付近では空気の密度が濃いので気圧は高く(高気圧)、 空高い上層になるほど空気の密度は薄くなる(低気圧)

この仕組みは標高の高い所ほど呼吸が辛くなることからも理解しやすいかと思います。

よって、普段は高い気圧によって全身が押されているわけですが、私たちの体が気圧で押し潰されないのは全身が気圧に対し抵抗しようとする力が働いているからです。

この気圧と体の抵抗力のバランスが保たれていることで私たちは健康を維持しているわけですね。


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◆梅雨と「頭痛」


それが梅雨のような低気圧になると、大気からの圧力が低下するので今度は体が膨張しようとしてしまいます

この膨張側へと働く力が「むくみ」「頭痛」などを起こす原因と考えられています。

この低気圧が原因で起こる頭痛を「低気圧性頭痛」とも呼ばれています。

なお、低気圧で起こる頭痛の原因を「気圧の変化によるストレスが交感神経を刺激することで血管が収縮し、血流が悪くなるため」と一部では考えられているようですが、血管が収縮することによる頭痛は緊張型頭痛でのことであり、低気圧による頭痛とは違います。

緊張型頭痛の場合はそれこそ「ぬるめのお湯でリラックスしましょう 」という入浴法が血管を拡張させ血流を改善するので効果的ですが、低気圧性の片頭痛では逆効果になるのでご注意下さい。

低気圧性頭痛はズキンズキンと脈打つような片頭痛様の痛みが特徴です。
そのため大義では「低気圧性頭痛=片頭痛」と解釈することもできますが、厳密には違いがあります。

片頭痛は拡張された血管が炎症を起こし、そこが脈打つたびにズキンズキン感じる痛みだと考えられています。

低気圧性頭痛も低気圧によって血管が膨張しようと働くので拡張するようにも思えますが、おそらく拡張しているわけではない(拡張しているという説もある)

低気圧において液体は血液から身体組織に移行します
まあこれが「むくみ」の原因でもあるわけですが、これが脳内で起こると頭蓋内の圧が高まり、その結果三叉神経を圧迫するとも考えられます。

なので低気圧性頭痛は、起こる過程は違うけど症状としては片頭痛に近い。少なくとも交感神経が刺激されて血管が収縮して血流が悪くなるために起きる頭痛(緊張型頭痛)ではない。


低気圧性頭痛に対して有効な入浴法としては、むくみを取ることを心がけるのが肝心です。

むくみ解消のためには、「老廃物をためこまないこと」「冷やさないこと」「しっかり発汗すること」などのポイントがありますが、そのための入浴法については次回で紹介します。


◆梅雨と「めまい」


さて。

実は、頭痛には違う理由によるものもあります。

気圧が低下すると三半規管がそれを感じ取るらしいのです。
三半規管は平衡感覚を司る器官なので、通常は三半規管が影響を受ける時といえば体が揺れたり傾いたりした時です。

それが気圧の低下
    ↓
三半規管が揺れる
    ↓
でも目から入る情報は揺れていない
    ↓
「あれ?」と脳が混乱
    
これが「めまい」や「頭痛」の原因となる場合もあるそうです。


入浴する場合は、入浴中にめまいを起こさないように注意しましょう。

浴室内外の温度差熱い風呂は刺激になり、めまいを誘発する原因となります。

また、洗髪時は頭を下げるとめまいを起こす可能性もあります(良性発作位性頭位めまい症)

そして浴槽から出る時はゆっくりと立ち上がりましょう
急に立ち上がるとめまい(起立性低血圧)を起こす場合があります。


ちなみに、この場合のめまいや頭痛には頭痛薬よりも酔い止め薬が有効だと言われています。


『乗り物酔いの対策法 あれこれ』 参照


関連記事

『【健康】 梅雨期の入浴法② 冷えとむくみの関係』
『【健康】 梅雨期の入浴法③ お休みモードから脱する入浴法』
『【健康】 梅雨期の入浴法④ 原因は血行の悪さよりも酸素不足?』
『【健康】 梅雨期の入浴法⑤ カビとアレルギー』
『【健康】 梅雨期の入浴法⑥ まとめ:体調を崩しやすい本当の理由は?』

 

【健康】 サウナを科学する⑥ まとめ


サウナ浴による健康や美容に対する効果について振り返ってみると、
サウナに関する間違った認識がかなりあるように思います。

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●サウナに関するありがちな間違い


・「発汗=デトックス」でない

「デトックス」という言葉の意味は実は曖昧です。毒素を分解するという意味であればそれは主に肝臓の役割であり、毒素や老廃物の排出であれば大半が便(75%)と尿(20%)によって行われ発汗による排出は体全体の3%でしかありません。

しかも汗に含まれる成分の99%は水。残り1%の大半も塩化ナトリウム(食塩)。

そもそも毒素とは何か?というのもはっきりしておらず、一応汗の成分には尿素、乳酸、硫化物、アンモニア、尿酸なども含まれていますがデトックス効果を期待するには微量すぎると思われます。

サウナ浴に美肌効果があるのは、デトックス効果によるものではなく、血流が促進されて肌のターンオーバーが活性化されることによるもの。


・「発汗=ダイエット」ではない

発汗で失った水分の量だけ体重は減りますが、これを「痩せた」とは言いません。水分補給をすれば元に戻ります(当たり前)

ダイエットで大事なのは体重ではなく体脂肪


・熱いのを我慢してはいけない

どうしても「熱いのを我慢しなければいけない」という風潮がサウナにはありますが、心臓や血圧に負担がかかりますので無理はしないで下さい。

また、心臓や血圧に心配のある方は低温サウナ岩盤浴などをお勧めします。
そんな低い温度ではかったるいのではないかと思われるかもしれませんが、湿度が高ければ高温サウナにも匹敵する体温の上昇が期待できます。

温度が低くても湿度が高ければ体温が上昇する理由についてはこちらを参照下さい。

『【健康】 サウナを科学する④ ダイエット効果』 参照


・酔い覚ましのサウナは超危険

「ちょっくら汗かいてアルコールを抜こう」としてサウナに入る人がいますが危険な行為なのでやめましょう。

ただでさえアルコールには利尿作用があるのにサウナで発汗すれば脱水症状の原因にもなりますし、水分量が減ったドロドロな血液は脳梗塞や心筋梗塞の原因にもなります。



●正しいサウナ浴法


サウナの入り方は目的によって違ってきます。

共通するのはサウナ浴の前後に水分補給をすること。

入浴前はコップ1杯の水でかまいませんが、入浴後は失われたミネラルも補給したいので水よりもスポーツ飲料かフルーツ飲料が最適です。

水分補給を怠ると脱水症状の原因となるので忘れずに行いましょう。


サウナに入る前には体を洗っておいたり、先に湯船に入浴しましょう。毛穴の汚れを落としたり汗腺を開いておくことで、サウナの効果を効率よく得られます。またサウナに発汗作用を求めるなら体表面の水分は拭いてからサウナに入りましょう。体がぬれたままだと汗が出にくくなります。

ではいよいよサウナの入り方です。

基本的には高温サウナによる短時間浴でも健康にとって有益ですが、
より目的別に効果的な入浴法があるのでここにまとめてみます。


【低温サウナ浴】
約15分のサウナ浴

・鼻づまりの解消
・夏バテ防止
・冷え性の改善
・ストレス解消
・血圧の安定
・疲れ目の解消


低温サウナは温度が低い代わりに湿度が高いのが主流です。
湿度が高いことで汗が蒸発しにくく熱が奪われないために熱が体に籠りやすくなります。そのため温度が低くてもしっかり温まることができます。

意外かもしれませんが、サウナ浴の習慣のある人はない人よりも心疾患のリスクが低いという研究報告があります。
これは血管が拡張され血圧が下がることと関係していると考えられています。
もちろん、そのような効果はサウナでなくとも普通の入浴(浴槽浴)でも得られるわけですが、水圧がかからないという点でサウナは心臓に対する負担が軽いと考えられます。


【HSP入浴】
?分のサウナ浴(時間はよく分からない)

・肥満体質の改善
・筋肉の疲労回復
・かぜ予防
・肩こりの改善


体温を2℃上げると産生されるHSP(ヒートショックプロテイン)
傷ついた細胞を修復するタンパク質と言われています。
敢えて熱ストレスを与えることで筋肉の疲労回復を早めたり免疫力を向上させる作用があります。

また、褐色脂肪細胞を活性化させる働きもあるので、脂肪が燃焼しやすい体質への改善ができるとして期待されています。
ただし、入浴時間や継続期間がどのくらいだと体脂肪がどのくらい減るかといった具体的なデータは存在しない。


【反復浴(分割浴)】
約10分のサウナ浴 → 約5分の外気浴 (3~4回繰り返し)

・冷え性の改善
・疲れにくい体質への改善


体に負担をかけずに効率よく体を温める方法。
毛細血管の隅々まで酸素や栄養を運ぶので血行促進に最適です。


【温冷交互浴】
約10分のサウナ浴 → 1~2分の冷水浴(水風呂or冷水シャワー) (数回繰り返し)

・花粉症の改善
・冷え性の体質改善
・熱中症の予防
・かぜ予防
・自律神経失調症の改善


血管の拡張と収縮を繰り返すことで血行促進にもなるし、なにより自律神経が鍛えられます
自律神経のバランスを整えることで改善される様々な症状に有効です。
体温調節機能も改善されるので熱中症や冷え性の対策に最適です。



関連記事

『【健康】 サウナを科学する① デトックス効果(前編)』
『【健康】 サウナを科学する② デトックス効果(後編)』
『【健康】 サウナを科学する③ 疲労回復効果』
『【健康】 サウナを科学する④ ダイエット効果』
『【健康】 サウナを科学する⑤ 体温調節機能の改善効果』

 

【健康】 サウナを科学する⑤ 体温調節機能の改善効果


サウナ浴による効果といえば、意外とこれが一番かもしれません「体温調節機能の改善」

体温調節機能とは、暑い時は発汗して体温を下げたり、寒い時は体温を温存したりして、体温を一定に保とうとする働きのこと。

暑い時に暑い。寒い時に寒いと判断するのは脳(視床下部)にある体温調節中枢ですが、その指令を受けて実際に体温を調節する役割りを司るのが自律神経である交感神経と副交感神経です。

通常、暑い時は皮膚の血管を拡張させて発汗を促します。発汗により放熱され体温の上昇を抑えます。
一方、寒い時は皮膚の血管を収縮させ、熱を外に逃がさないようにします。皮膚の筋肉が緊張し毛穴を閉じるのでいわゆるトリ肌が起こるのはそのためです。

この体温調節は脳の指令を自律神経を介して、自律神経が支配する臓器や器官(効果器という)を調節します。血管を拡張したり収縮したりするのも自律神経による調節です。

こうして体温は一定に保たれるわけですが、体温調節機能が正常に働かないと単に体温を一定に保てないばかりか、あらゆる不調に繋がります。

冷え性の悪化、免疫力の低下(風邪をひきやすくなる)、熱中症、自律神経失調症などは体温の調節が上手く働かない人に多い症状だと言われています。

これらの原因は全て自律神経のバランスの乱れによるもの。

ゆえに、体温調節機能を改善するには自律神経のバランスを整えることだと言えます。

そしてサウナには体温調節機能を改善するうえで効果的な入浴法がありますので紹介します。

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●温冷交互浴で自律神経を鍛える


まずシャワーを浴びてサウナに約10分間入ります(軽くでも毛穴の汚れを落としておいたり汗腺を開いておいた方が汗をかきやすいです)

しっかり汗をかいたら、一度サウナから出て、冷水浴(水風呂か冷水シャワー)で1~2分体の熱をとり、再びサウナに入ります。

水風呂は心臓への負担が大きいので冷水シャワーを手足にかけるだけでも効果はあります。

そしてまた冷水浴で熱をとり、サウナへ入ることを繰り返すのが温冷交互浴


温冷交互浴により血管が拡張・収縮を繰り返すことで血行が促進されますが、温冷交互浴の真の目的は血行促進ではありません。

現代の生活環境は空調設備が良すぎるために、暑い日でも冷房に慣れてしまって体温調節機能の働きが鈍くなりがちですからね。
そんな人にとって温冷交代浴は、意図的に自律神経を刺激し、血管を拡張・収縮させることで本来持っている生理機能を高める効果があります

これが温冷交互浴の真の目的である「自律神経を鍛える」ということ。

もちろん、一回きり温浴施設へ足を運んでサウナに入ったからといって体質が改善されるわけではありませんよ。

定期的に続けることが大事。サウナの連浴により暑さに馴れる(暑熱馴化)ことと発汗機能の向上が期待でき、熱中症予防にもなりますからね。


もちろん冷え性の改善にもなります。 

この場合、温冷交互浴の最後は冷水浴で締めて下さい。
最後に冷水で引き締めることで血管が収縮されるので保温効果があります。

また、冷え性の改善には、温冷交互浴でなくても低温サウナに15分間ほど入るだけでも効果が期待できます(副交感神経が優位になって血管が拡張され血流が改善されるから)



●結論


サウナの温冷交互浴を習慣化することにより、自律神経を鍛え、体温調節機能を改善させる効果が期待できる。

体温調節機能がしっかり働くことで以下のメリットが得られる

・低体温症の予防
・風邪の予防
・熱中症の予防
・自律神経失調症の改善
・冷え性の改善


他にもめまいや肩こり、頭痛の改善なども期待できます。


関連記事

『【健康】 サウナを科学する① デトックス効果(前編)』
『【健康】 サウナを科学する② デトックス効果(後編)』
『【健康】 サウナを科学する③ 疲労回復効果』
『【健康】 サウナを科学する④ ダイエット効果』
『【健康】 サウナを科学する⑥ まとめ』

【健康】 サウナを科学する④ ダイエット効果


サウナに期待されている効果はいくつかありますが、意外と?関心が高いのが「ダイエット効果」ではないでしょうか。

サウナで大量の汗をかくことで体内の水分を抜くことがダイエットだと思われがちですが、水分を失っただけではダイエットにはなりません。

サウナでダイエットはできるのか?いろいろ調べてみましたが、学術的に説明のつくものは見当たりません。

ただし、いくつか「説」と呼べるものは存在しますので、科学的根拠は乏しいものの一応ダイエット効果の可能性はあるという前提で話を進めます。

サウナで痩せるための入り方と、痩せやすい体質を作るための入り方は違うので、そのへんは分けて考えなければなりません。

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●皮脂の分泌を促進する


分かっているはずなのに、ダイエットでつい忘れがちなのが、
「ダイエットで重要なのは体重ではなく体脂肪」であること。

サウナでいっぱい汗をかけば失った水分の量だけ体重は減量します。
しかし体脂肪は減っていませんし、水分補給すれば体重は元に戻るだけです

汗をかくこと自体は間違っていないのですが、汗腺から出る汗をかいただけでは不十分で、その先にある皮脂腺の活性化による皮脂の分泌が必要となります。

サウナの熱によって汗が出るのは体温調節のため。
やがて汗腺から汗が出尽くしますが、だからといって体温調節を止めるわけにはいきません。
そこで今度は第二の汗と言っても良いかは分かりませんが、皮脂腺から皮脂が分泌されます。脂肪を含んだ汗という認識でよろしいかと。
(まあ、汗腺にはエクリン腺とアポクリン腺があるので通常「第二の汗」といえばどちらかを指すでしょうが・・・)

要するに汗の代わりに皮脂が分泌されるわけです。これはデトックス効果の回でも触れました。

『【健康】 サウナを科学する② デトックス効果(後編) 』 参照


と、ここまで言っておいて、実は皮脂の分泌がダイエット効果になるという証拠はありません(なんと無責任な!)

ただ、サウナでダイエット効果を示している実験が存在している以上、何らかの要因があるはずで、それが皮脂と関係があるのではないかという推測です。


仮に皮脂の分泌量とダイエットが関係あるとして、ダイエット効果を得るにはかなりの発汗量と皮脂の分泌量が条件なはず。
結構な時間と体力が必要であると予想されます。

そのため、実践するには身体的負担の少ない低温サウナであること。
高温サウナは負荷が高く、効果を得るまで入っていることが難しいと思われます。
そして低温でも体の温まるミストサウナ岩盤浴が効率的。とにかく湿度が重要です。

湿度が高いほどその効果は高い

例えばロウリュでは、サウナストーンに水をかけた瞬間はサウナの室温は下がりますが、体感としては逆に熱くなりますよね。

湿度が高いほど暑く感じる理由は発汗による体温調節機能を理解すると分かりやすいです。

ヒトは体温が上がると汗をかき、皮膚から汗が蒸発する時に体が冷えることで体温を下げることができます。

汗が蒸発する時に体表の熱を奪っていくんですね(気化という)

しかし湿度が高いと、蒸発しにくいので、冷えません。熱が体に籠り体温が上がりやすいというわけ。

梅雨の時期は気温以上に暑く感じますよね。そう考えれば理解しやすいかもしれません。


さらに、もっと身体的負担を軽減したサウナの入浴法としては、途中でサウナを出て何度か繰り返し入る反復法があります。
なにも一度に汗を出し切る必要はありません。



●痩せやすい体質を作る


サウナに入ることで得られるダイエット効果としては、「痩せる」というよりも「痩せやすい体質に改善できる」ことの方が注目度は高いかもしれません。

何度も言うように、サウナで直接痩せるのは可能性が無いわけではありませんがハードルは高く、サウナはダイエットのツールとして活用するのには向いていません。

ただし、日常的にサウナに入る(連浴)ことによって痩せやすい体質へと改善できるなら、これもダイエット効果と言えるでしょう。

痩せやすい体質というのは基礎代謝が活発になること。


基礎代謝を活性化させる方法としては「HSP(ヒートショックプロテイン)入浴法」が有効です。

HSPとは、傷んだ細胞を修復する働きを持つタンパク質のこと。
熱ストレスを受けると産生されますが、具体的には体温が2℃上がると産生されると言われています(例えば平熱が36.5℃の人ならば38.5℃まで体温を上げる必要があります)

HSP入浴は筋肉の疲労回復免疫力の向上に役立ちますが、基礎代謝の向上にも効果があります。


『【健康】 「筋肉痛」の入浴法 ~温冷交互浴とHSP入浴~』 参照

『【健康】 免疫力を高める入浴法(後編)』 参照



HSPが基礎代謝を上げる理由は、HSPによって褐色脂肪細胞が活性化されるからだと考えられています。

褐色脂肪細胞は脂肪を燃焼させる作用があるので、褐色脂肪細胞を活性化させることで痩せやすい体質に変えることができます。

とはいうものの、お風呂でのHSP入浴と違い、サウナ浴で体温を2℃上げるために必要な温度・湿度・時間の目安を示すデータがありません。


また、ストレスによる疲れを感じている場合は高温サウナによるHSP浴は逆効果になる恐れがあります。

ストレスが溜まっている状態のときにHSP入浴をすると、ただでさえ交感神経が優位すぎるところへさらに交感神経を刺激する行為となり、これでは自律神経のバランスを崩すことになるからです。



●結論


サウナによるダイエット効果は、実際に成果を得られたという実験報告はあるものの因果関係までは分からず、また理論上可能ではあるがそれを裏付けるエビデンスはありません。

また、サウナの連用によって体質改善することも可能ではあるが、ダイエット効果の場合は数値化できなければ意味がありません
サウナ室の温度が何℃で湿度が何%で時間は何分のサウナ浴で、それを何日間続けることで何キロダイエットできるのか?または体脂肪が何%減少するのか?何一つ数値化できない以上、効率よくサウナを活用するのは難しいと判断できます。

よって、ダイエットのためにサウナ浴をするくらいなら他の方法を試した方が好ましいと思われます。


関連記事

『【健康】 サウナを科学する① デトックス効果(前編)』
『【健康】 サウナを科学する② デトックス効果(後編)』
『【健康】 サウナを科学する③ 疲労回復効果』
『【健康】 サウナを科学する⑤ 体温調節機能の改善効果』
『【健康】 サウナを科学する⑥ まとめ』