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【健康】 サウナを科学する④ ダイエット効果


サウナに期待されている効果はいくつかありますが、意外と?関心が高いのが「ダイエット効果」ではないでしょうか。

サウナで大量の汗をかくことで体内の水分を抜くことがダイエットだと思われがちですが、水分を失っただけではダイエットにはなりません。

サウナでダイエットはできるのか?いろいろ調べてみましたが、学術的に説明のつくものは見当たりません。

ただし、いくつか「説」と呼べるものは存在しますので、科学的根拠は乏しいものの一応ダイエット効果の可能性はあるという前提で話を進めます。

サウナで痩せるための入り方と、痩せやすい体質を作るための入り方は違うので、そのへんは分けて考えなければなりません。

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●皮脂の分泌を促進する


分かっているはずなのに、ダイエットでつい忘れがちなのが、
「ダイエットで重要なのは体重ではなく体脂肪」であること。

サウナでいっぱい汗をかけば失った水分の量だけ体重は減量します。
しかし体脂肪は減っていませんし、水分補給すれば体重は元に戻るだけです

汗をかくこと自体は間違っていないのですが、汗腺から出る汗をかいただけでは不十分で、その先にある皮脂腺の活性化による皮脂の分泌が必要となります。

サウナの熱によって汗が出るのは体温調節のため。
やがて汗腺から汗が出尽くしますが、だからといって体温調節を止めるわけにはいきません。
そこで今度は第二の汗と言っても良いかは分かりませんが、皮脂腺から皮脂が分泌されます。脂肪を含んだ汗という認識でよろしいかと。
(まあ、汗腺にはエクリン腺とアポクリン腺があるので通常「第二の汗」といえばどちらかを指すでしょうが・・・)

要するに汗の代わりに皮脂が分泌されるわけです。これはデトックス効果の回でも触れました。

『【健康】 サウナを科学する② デトックス効果(後編) 』 参照


と、ここまで言っておいて、実は皮脂の分泌がダイエット効果になるという証拠はありません(なんと無責任な!)

ただ、サウナでダイエット効果を示している実験が存在している以上、何らかの要因があるはずで、それが皮脂と関係があるのではないかという推測です。


仮に皮脂の分泌量とダイエットが関係あるとして、ダイエット効果を得るにはかなりの発汗量と皮脂の分泌量が条件なはず。
結構な時間と体力が必要であると予想されます。

そのため、実践するには身体的負担の少ない低温サウナであること。
高温サウナは負荷が高く、効果を得るまで入っていることが難しいと思われます。
そして低温でも体の温まるミストサウナ岩盤浴が効率的。とにかく湿度が重要です。

湿度が高いほどその効果は高い

例えばロウリュでは、サウナストーンに水をかけた瞬間はサウナの室温は下がりますが、体感としては逆に熱くなりますよね。

湿度が高いほど暑く感じる理由は発汗による体温調節機能を理解すると分かりやすいです。

ヒトは体温が上がると汗をかき、皮膚から汗が蒸発する時に体が冷えることで体温を下げることができます。

汗が蒸発する時に体表の熱を奪っていくんですね(気化という)

しかし湿度が高いと、蒸発しにくいので、冷えません。熱が体に籠り体温が上がりやすいというわけ。

梅雨の時期は気温以上に暑く感じますよね。そう考えれば理解しやすいかもしれません。


さらに、もっと身体的負担を軽減したサウナの入浴法としては、途中でサウナを出て何度か繰り返し入る反復法があります。
なにも一度に汗を出し切る必要はありません。



●痩せやすい体質を作る


サウナに入ることで得られるダイエット効果としては、「痩せる」というよりも「痩せやすい体質に改善できる」ことの方が注目度は高いかもしれません。

何度も言うように、サウナで直接痩せるのは可能性が無いわけではありませんがハードルは高く、サウナはダイエットのツールとして活用するのには向いていません。

ただし、日常的にサウナに入る(連浴)ことによって痩せやすい体質へと改善できるなら、これもダイエット効果と言えるでしょう。

痩せやすい体質というのは基礎代謝が活発になること。


基礎代謝を活性化させる方法としては「HSP(ヒートショックプロテイン)入浴法」が有効です。

HSPとは、傷んだ細胞を修復する働きを持つタンパク質のこと。
熱ストレスを受けると産生されますが、具体的には体温が2℃上がると産生されると言われています(例えば平熱が36.5℃の人ならば38.5℃まで体温を上げる必要があります)

HSP入浴は筋肉の疲労回復免疫力の向上に役立ちますが、基礎代謝の向上にも効果があります。


『【健康】 「筋肉痛」の入浴法 ~温冷交互浴とHSP入浴~』 参照

『【健康】 免疫力を高める入浴法(後編)』 参照



HSPが基礎代謝を上げる理由は、HSPによって褐色脂肪細胞が活性化されるからだと考えられています。

褐色脂肪細胞は脂肪を燃焼させる作用があるので、褐色脂肪細胞を活性化させることで痩せやすい体質に変えることができます。

とはいうものの、お風呂でのHSP入浴と違い、サウナ浴で体温を2℃上げるために必要な温度・湿度・時間の目安を示すデータがありません。


また、ストレスによる疲れを感じている場合は高温サウナによるHSP浴は逆効果になる恐れがあります。

ストレスが溜まっている状態のときにHSP入浴をすると、ただでさえ交感神経が優位すぎるところへさらに交感神経を刺激する行為となり、これでは自律神経のバランスを崩すことになるからです。



●結論


サウナによるダイエット効果は、実際に成果を得られたという実験報告はあるものの因果関係までは分からず、また理論上可能ではあるがそれを裏付けるエビデンスはありません。

また、サウナの連用によって体質改善することも可能ではあるが、ダイエット効果の場合は数値化できなければ意味がありません
サウナ室の温度が何℃で湿度が何%で時間は何分のサウナ浴で、それを何日間続けることで何キロダイエットできるのか?または体脂肪が何%減少するのか?何一つ数値化できない以上、効率よくサウナを活用するのは難しいと判断できます。

よって、ダイエットのためにサウナ浴をするくらいなら他の方法を試した方が好ましいと思われます。


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『【健康】 サウナを科学する① デトックス効果(前編)』
『【健康】 サウナを科学する② デトックス効果(後編)』
『【健康】 サウナを科学する③ 疲労回復効果』
『【健康】 サウナを科学する⑤ 体温調節機能の改善効果』
『【健康】 サウナを科学する⑥ まとめ』