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2019年11月

【入浴】 「脂肪肝」の入浴法 ~代謝機能を高める~


肝臓の細胞の約3割以上に脂肪がたまると脂肪肝と診断されますが、放っておくと肝炎や肝硬変、さらには肝がんに至る危険性もあり、油断のできない状態と言えます。


肝臓には代謝機能や解毒機能などいくつもの役割がありますが、脂肪肝になるとこれらの肝機能が低下すると言われています。



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◆入浴上の問題リスト◆
 
 
#1 血圧が高く、入浴すると疲労感を感じる
#2 血圧が低く、入浴すると疲労感を感じる
 
現在は脂肪肝の治療に直接作用する薬剤はないようで、ふだんの生活習慣に気を付ける必要があります。
入浴においても脂肪肝を改善するような入浴法はありませんが、肝機能に効果のある入浴を心がけると良いと思われます。
脂肪肝は代謝機能が低下している状態なので、入浴法のポイントとしてはその点を意識しましょう。
 
 
 
◆入浴法◆
 
 
<入浴法の問題>#1 血圧が高く、入浴すると疲労感を感じる
 
<入浴目標> 肝臓に負担をかける入浴は避ける
 

肝臓に負担をかけないために、「温度は熱くしない・長時間の入浴は避ける・食後や運動直後の入浴は避ける」といった注意を払いましょう。

・お湯の温度は38~40℃
・入浴時間は10~15分間
・食後や運動後の入浴は最低1時間は空けること


が目安となります。

負担をかけずに血流を良くすることで肝機能も高まります。
 
 
脂肪肝の人に多いのは肥満
食べ過ぎや飲み過ぎといった食生活の乱れにより脂肪が体内に蓄積されると、血液中にも脂質が多くなって血がドロドロになる可能性が高いものです。

そのため脂肪肝の人は高血圧を併発している場合が多く、心臓や動脈硬化に不安のある人には水圧の弱い半身浴をお勧めします。

さらに少しでも負担をかけない入浴法としては「反復浴(分割浴)」があります。

分割法(反復浴)とは、例えば5分入浴してから少し外気浴、また5分入浴してから少し外気浴を繰り返す入り方で、外気浴のタイミングで頭や体を洗うと良いでしょう。


『【入浴】 反復浴(中温反復浴)とは』 参照
 
 
水圧がかからないという意味ではサウナは肝臓に優しいといえます。

また、サウナに入ってしばらくすると汗腺から出る汗以外に、皮脂腺から皮脂が分泌されますので新陳代謝にも効果があります。

新陳代謝と言えば、体内の有害毒素である重金属(水銀、カドミウム、アルミニウム、鉛)は脂肪に溶けると肝臓や腎臓ではデトックスできず、皮脂と一緒に体外へ排出するしかないという点にも注目に値します。

サウナでかいた汗、それも皮脂腺から出たサラサラした汗(皮脂のこと)は肌の保護膜になるから拭かない方が良い、という風潮がありますが、この件に関してはしっかり洗い流した方が肌に良いと思われます。


『【健康】 サウナを科学する② デトックス効果(後編)』
 参照


 
肝機能の低下は肌荒れや肌のくすみの原因になったり、アトピー性皮膚炎の原因にもなると言われているのは、このようなことが関係している可能性があります。
 
 
 
<入浴上の問題> #2 血圧が低く、入浴すると疲労感を感じる
 
<入浴目標> 代謝機能を高めて体温を上げる
 
 
脂肪肝は高血圧ばかりでなく、低血圧とも大きく関係しています。
 
低血圧が脂肪肝を招く原因は冷えにあります。
 
体が冷えてくると体内の熱を外へ逃がさないようにするために、交感神経が作用して手足の血管が収縮され、血液を体幹部分(主に内臓)に集めて深部体温を維持しようと働きます。
 
ただし、自律神経の機能が低下していると血管の収縮が不十分になり深部体温を維持できず、体の中心部が冷えてきます。
これを「内臓型冷え性」といい、血管が収縮しないタイプ、つまり低血圧の人に多い症状です。
 
内臓が冷えるということは、肝臓も例外ではなく、肝臓が冷えると肝機能の低下につながります。
 
脂はお湯をかけると流れますが、冷たい水をかけると固まりやすい特性があるように、血液も冷えると血中の脂質がドロドロになり血流が悪くなります。
 
ただでさえ肝機能が低下すると中性脂肪の代謝が悪くなり、高血圧の場合と同様、血液中の脂質が多くなって血がドロドロになりやすい傾向にあるわけですから、低血圧による脂肪肝はもっと血液がドロドロになって血流が悪くなりやすいと考えられます。
 
 
このような場合、もともとの原因である冷えを改善しなければなりません。
 
ですが、内臓型冷え性は体の中心部は冷えていても手足はあたたかい場合が多いので、自分では気付かないことがあるようです。
 
手足があたたかくても、血圧が低く、疲労感があり、かつ肌のトラブル(肌荒れや乾燥肌など)がある場合は、内臓型冷え性による脂肪肝を疑ってみましょう。
 
 
通常は冷え性や低血圧に対しては、自律神経の正常化が期待できる「温冷交互(交代)浴」をお勧めするのですが、
 
 

 
疲労感を伴う脂肪肝の場合は、まず体を温めることと代謝機能を高めることを優先しましょう。
 
 
そこで、入浴剤として代謝機能を高めるクエン酸風呂をお勧めします。

家庭風呂でも市販のクエン酸を浴槽(180~200リットル)に大さじ3杯程度入れるだけで簡単に作れます。

クエン酸を多く含む食品としてレモンやお酢、梅干しなどがあるように、クエン酸には疲労回復の効果があるとして知られています。

これはヒトがエネルギーを生産するときにはクエン酸回路が中心的な役割をするからで、疲労の回復以外にも代謝機能の向上肌のトラブルにも効果があると言われています。

肝臓に中性脂肪を溜め込まないためにも代謝機能を高めることは大きな意味があります。

クエン酸は食品から経口摂取するだけでなく、嬉しいことに肌からも吸収できるようで、入浴によるクエン酸摂取は消化吸収をする過程がないので経口摂取よりも負担がかからないと考えられています。

加えてアロマ精油「ローズマリー・ベルベノン」「レモン」を数滴垂らすと肝機能に良いと言われています。


また、入浴により体内の水分が失われると、血液の粘度が増してドロドロになるので、入浴前後にはしっかりと水分摂取をしましょう。


なお、風呂上りの直前に背中の肝臓にあたる部分に温かいシャワーを当てると良いでしょう。
肝臓は右胸の裏あたりに位置し、ここにシャワーを当てることで代謝機能の改善が期待できます。
 




関連記事

『症状別の入浴法』

【入浴】 「蕁麻疹(じんましん)」の入浴法 ~原因が分からなくても大丈夫~


蕁麻疹といっても様々な種類(タイプ)の蕁麻疹があり、それぞれの原因も複雑でかつ発生機序が明らかになっていない部分も多いので、これぞ蕁麻疹の入浴法だと一概に特定するのは無理があります。

蕁麻疹は様々な種類(タイプ)があるといいましたが、それらを大きくカテゴライズするにも急性蕁麻疹と慢性蕁麻疹に分けたり、アレルギー性のものと非アレルギー性の蕁麻疹に大別したり、原因が特定できるものと特定できない特発性の蕁麻疹とに大別することもでき、見方の角度によって違ってくるので詳細を知りたい方は蕁麻疹の専門サイトを参照してみて下さい。


入浴法においては、蕁麻疹の種類や原因によって全然違ってきますので、それぞれの入浴法を紹介してもよいのですが、そもそも蕁麻疹の約70%は原因不明だと言われるくらいなので、ここでは入浴法を考慮するうえでのアプローチとなるポイントに絞ってみるとよいでしょう。

そうすることで、原因が特定できなくても解決法がみえてきます。

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◆入浴上の問題リスト◆


#1 アレルギー体質である
#2 冷え性により血行不良で代謝が悪い
#3 慢性的なストレスがある
#4 入浴すると皮疹や痒みが出る
#5 入浴後に皮疹や痒みが出る


入浴で掻痒感が強くならないようにすることが優先されます。
お湯はぬるめにすることが鉄則です。
アレルギー性の蕁麻疹に対しては、アレルギーの素因を除去するのはもちろん、他の原因による蕁麻疹においてもその原因により症状が悪化することがないようにしなければなりません。
また、自律神経のバランスを整え、蕁麻疹になりにくい体質に改善することも効果的です。



◆入浴法◆


<入浴上の問題>#1 アレルギー体質である

<入浴目標> 自律神経のバランスを整え免疫機能を高める


もともと花粉症やアトピー性皮膚炎などアレルギー体質である人は、免疫機能のバランスが乱れているために蕁麻疹にもなりやすい傾向があると考えられています。

蕁麻疹には非アレルギー性のものもありますが、アレルギー体質の人はそうでない人よりもアレルギー性の蕁麻疹になる可能性は当然高くなります。

アレルギー性の蕁麻疹においては、その発症メカニズムは花粉症と類似していると考えてよいでしょう。

そのため花粉症によって蕁麻疹になる人もいるくらいです。

アレルギー性蕁麻疹の発生機序はこうです。
まず外部から体内に侵入してきた異物に対し、免疫細胞はこれら有害な物(抗原)であると認識し、その抗原に対する抗体を作ります。
その抗体がマスト細胞(肥満細胞)の表面に張り巡らされ、その抗体に抗原が結合するとマスト細胞からヒスタミンが放出されます。
ヒスタミンには血管を拡張させ血管透過性を亢進させる作用があるため、それが皮膚表面の浅い所で働くと赤く腫れる蕁麻疹の症状が出るわけです。

蕁麻疹の原因がアレルギー性のもので原因物質(抗原)が特定できている場合は、対処法としてはその原因物質を避けることであり、入浴法としては特別なことはありません。入浴と蕁麻疹にはなんら因果関係がないので、むしろいつも通りに入浴して構わないでしょう。


ただし、花粉症などにかかりやすいアレルギー体質の人は免疫機能のバランスを乱していることが原因ですので、免疫バランスを整える必要があります

免疫機能の乱れは自律神経の乱れでもあります(免疫と自律神経は密接な関係にある)


『【健康】 「免疫力のバランス」とはどういう意味?⑦「自律神経のバランス」との関係(前編)』 参照

『【健康】 「免疫力のバランス」とはどういう意味?⑧「自律神経のバランス」との関係(後編)』 参照


そこでお勧めなのは「温冷交互浴(温冷交代浴)」

温冷交互浴とは熱いお湯と冷たい水(温度差30℃くらい)を交互に浴びて身体を刺激する入浴法。

「冷水を浴びる ⇒入浴⇒冷水を浴びる⇒入浴⇒冷水を浴びる」を繰り返し、最後は冷水で終わること。

交感神経と副交感神経を交互に刺激することで自律神経がのどちらかに偏ることなくバランスが整われます。

「自律神経を鍛える」という意味もあります。

この温冷交互浴は、アレルギー疾患なら全般的に効果が期待できる入浴法なので覚えておいて損はありません。


なお、一番風呂は止めた方が良いと思われます。

例えばプールに入ると蕁麻疹になる人がいます(プールサイドにいるだけで発症する人もいる)

これは消毒に使用されている塩素に反応していることが原因で、入浴においても同じことが起こりえます。

ご存知のとおり水道水にも塩素が含まれています。

健康面には問題はありませんが、プールに入ると髪がパサつくことがあるように、髪や皮膚などの弱い組織は影響を受けることがあります。

ちなみに塩素の濃度は一番風呂より二番風呂、二番風呂より三番風呂と段々薄まっていきます。

ですので蕁麻疹になりやすい人だけでなく花粉症やアトピー性皮膚炎、喘息などアレルギー症状を起こしやすい人は一番風呂を避ける方が賢明だと言えます。

『【健康】 一番風呂はアトピーや花粉症などのアレルギー性疾患の原因になる?』 参照


その他、気を付けることとしては体をゴシゴシ洗わないこと。

それから入浴剤の成分がアレルギーの原因となることもあるので、できれば入浴剤は使用しないというのもアリです。



<入浴上の問題>#2 冷え性により血行不良で代謝が悪い

<入浴目標> 血流を改善して代謝機能を高める


冷え性になりやすい人も要注意です。

冷え性とは体のどこかに冷えを感じている状態ですが、これは血行が悪くなっているという状態でもあります。

「体温が1℃下がると免疫力は30%下がる」と言われているように、まあ冷え性は低体温と違って本当に体温が下がっているわけではなく冷えを感じているだけかもしれませんが、それでも血行が悪いことで末端まで必要な栄養や酸素が行き渡らなくなるので、結果的には免疫力は低下します。

冷えとは余分な水分の代謝が悪くなることでもあります。そのため毒素を体外へ排出する機能も弱くなります。

つまり、冷え性になることで免疫力が下がり、その状態が続くことでアレルギー症状が出て毒素を出そうとしているのかもしれません。

蕁麻疹の種類の一つに、例えば冷たい水で顔を洗ったり、冷房へあたったり、かいた汗が冷えた時などに反応を起こす「寒冷蕁麻疹」があります。

寒さや冷たさを感じると起こるのが特徴ですが、なぜ蕁麻疹になるのかそのメカニズムは不明ですが、どうも冷え性による蕁麻疹発症の構図と関係があるように思えます。

ですので、冷え性を伴っている場合の入浴法は38~40℃のお湯にゆっくりと15分全身浴をお勧めします。

冷え性にも「温冷交互浴」は効果があるのですが、免疫力が低下していることと寒冷蕁麻疹が冷たさに反応することを考慮すれば冷水を浴びることはしない方が良いでしょう。



<入浴上の問題>#3 慢性的なストレスがある

<入浴目標> リラックスしてストレスを緩和する


気になるのは、その状態が慢性化している場合。つまり慢性蕁麻疹の場合です。

慢性蕁麻疹は原因不明である場合が多いものですが、

蕁麻疹の症状が続く慢性蕁麻疹においてはずっと何かに反応しているわけですから、食べ物(卵や小麦、エビ、そばなど)や花粉・ハウスダストといった何か外来抗原によるものとは考えにくいものです。
外因性の蕁麻疹であれば一過性であるのが普通だからです。

慢性蕁麻疹の発生機序は解明されていませんが、その原因は外来抗原によるものではなく、持続性の高い内因性のものであるとすれば、その最も背景にありそうなのはストレスによる原因でしょう。

精神的ストレスのみならず肉体的ストレス(疲労)もまた慢性蕁麻疹の原因と考えることができます。

ストレスが慢性蕁麻疹の原因となる理由には、ストレス防衛物質である副腎皮質ホルモン(コルチゾール)が関係しているからだと考えられています。

ストレスにずっと晒されているとホルモンバランスは乱れます。自律神経も交感神経が優位な状態が続くことになり、結果として免疫機能のバランスが乱れ、マスト細胞の活性化を招きヒスタミンが放出されるようです。

このような場合の入浴法としては、もうお分かりですよね。・・・そう。リラックスすることです。

自分が心地良いと感じる入浴を試みてはいかがでしょうか?

・音楽を聴きながら入浴する
・好きな入浴剤を使用する
・好きなアロマ精油(エッセンシャルオイル)を使用する
・湯船に浸かりながらストレッチをしてみる



方法はその人によって違ってくると思いますが、気持ちいいからといって長湯のしすぎで疲労を増悪させないように気を付けましょう。



<入浴上の問題>#4 入浴すると皮疹や痒みが出る

<入浴目標> 急激な温度変化に注意する


お風呂に入っていると赤いブツブツができる場合は、お風呂の中に原因があると考えるのが普通です(ただし、直前に食べた物にアレルギー反応を起こし入浴中に症状があらわれる可能性もあります)

お風呂に入るという行為は、血圧が乱高下しやすいことからも分かるように寒暖差の影響を受けやすいものです。

寒い所(脱衣場で裸になる)から温かい所(浴室または浴槽に浸かる)へ移動したときの温暖差に反応して発症するのが「温熱蕁麻疹」

逆に暖かい所(暖かい居間)から寒い所(冷えた浴室)へ移動したときの温暖差に反応して発症するのが「寒冷蕁麻疹」

寒冷蕁麻疹に対しては体を温めるのが有効なので浴槽浴は効果が期待できますが、風呂上りで体が冷えないよう気を付けなければなりません。

一方、温熱蕁麻疹の症状では、蕁麻疹部分の皮膚温度は40~50℃になることが特徴です。

ですので温熱蕁麻疹の予防法は熱いお風呂には入らないことです。

もし入浴中に温熱蕁麻疹が起こったら、冷水をかけるか冷たいタオルを当てて冷やすと良いでしょう。


さて、温熱蕁麻疹と寒冷蕁麻疹の入浴法ですが、

どちらも38~40℃のお湯にゆっくりと15分全身浴をお勧めします。

「あれ?これって冷え性を伴っている場合の入浴法と同じ?温熱蕁麻疹でも?」と思われるかもしれませんが、

意外なことに冷え性が温熱蕁麻疹の原因となっているかもしれません。

温熱蕁麻疹と寒冷蕁麻疹とでは対処法が真逆でなければならない気がするかもしれませんが、

大事なのは「どちらも寒暖差に反応している」ということ。


ややこしいのは「コリン性蕁麻疹」と診断された場合です。

コリン性蕁麻疹は発汗した時に発症しやすいのが特徴です。
運動や温熱の刺激によって汗腺支配交感神経からアセチルコリンが放出されて蕁麻疹になると考えられています。

汗腺支配交感神経から放出されたアセチルコリンが汗腺細胞のアセチルコリン受容体(ムスカリン受容体)に結合することで発汗するわけですが、コリン性蕁麻疹になる人は結合できなかった過剰のアセチルコリンが肥満細胞(マスト細胞)を刺激し、ヒスタミンの放出を招いているとも考えられています。

何らかの理由で汗腺機能が衰えると汗腺細胞に存在するアセチルコリン受容体(ムスカリン受容体)の機能は低下します。
つまり汗腺機能が衰えている人ほどコリン性蕁麻疹になりやすいと考えることができるのです。


『【健康】 お風呂に入ると赤いブツブツができるのは蕁麻疹?それとも・・・』 参照


ですので、コリン性蕁麻疹の対処法としては「汗をかかないようにする」のではなく、逆に「しっかり汗をかく」ことだといえます。

しっかり汗をかいて汗腺機能を鍛えることで、アセチルコリンが受容体と正常に結合できるようにしてあげることが肝心です。

ということで、入浴法としては高温浴を試してみるとよいでしょう。

体験談によれば、入浴で温まって汗が出るころにコリン性蕁麻疹による刺激に襲われますが、そこをグッと耐えてやり過ごすとやがて開放感が待っているようです。

どうしても我慢できなくなった場合は冷たいシャワーを当てて発汗作用を鎮めるとよいでしょう。



<入浴上の問題>#5 入浴後に皮疹や痒みが出る

<入浴目標> 蕁麻疹を発症するパターンを理解する


風呂上りに遅れてやってくる蕁麻疹の原因は、遅れて反応があらわれる遅延性の温熱蕁麻疹か、体が冷えたことで起こる寒冷蕁麻疹、もしくは体を拭くときに使用したタオル、またはタオルで体を拭く行為が刺激となる機械性蕁麻疹であると考えられます。

毎回なる場合は、どの条件によって蕁麻疹があらわれるのか絞り込んでみると解決すると思われます。



◆おすすめのアロマバス◆



好きな香りのアロマ精油を使用するだけでもストレスの緩和になりますが、中には抗アレルギー作用や抗ヒスタミン作用のある精油もあります。

蕁麻疹に適した精油といえばカモミール・ローマンカモミール・ジャーマンが定番です。

ローマンには抗アレルギー作用が、ジャーマンには抗ヒスタミン作用があるので、これに不快感を鎮める作用のあるラベンダーを足して患部に塗布するのが一般的に行われていますが、どの精油も肌に優しいのでアロマバスにも向いています。


ちなみに抗アレルギー作用と抗ヒスタミン作用の違いは

抗アレルギー作用・・・ 脂肪細胞がアレルゲンに反応するのを抑制する(予防として有効)
抗ヒスタミン作用・・・反応した脂肪細胞から放出されるヒスタミンをブロックする(かゆみ止めとして有効)

このような違いがありますが、まあ薬と違って精油の場合は両方同時に使用しても構わないので、ブレンドして使用することをお勧めします。

ただし、ごく稀に、精油そのものに反応してしまう場合があるので、敏感肌の人はパッチテストを行ってから使用する方が良いでしょう。


●カモミール・ローマン
青リンゴのような香り。保湿作用があり、肌に優しく、子どもと一緒に入浴する場合にもお勧めです。抗炎症作用があるのでアレルギー症状全般に対して有効。心を落ち着かせる優しさがあり、安眠したい時にも適しています。

●カモミール・ジャーマン
カモミール・ローマンと似ていますが、ジャーマンに豊富に含まれているカマズレン(アレルギー症状に有用な成分)が綺麗な青色をしていることから、精油の色も青いという特徴があります。ハーブティーとして知られるカモミールティーとは通常このジャーマンのことを指す。


アロマバスの例


ローマンとジャーマン、そしてラベンダーをブレンドするとき、そのまま混ぜるよりも天然塩に希釈してバスソルトにすると良いでしょう。
というのは、バスソルトには高い発汗作用がありますが、蕁麻疹(特にコリン性蕁麻疹)は汗をしっかりかくことが重要だからです(上記参照)


蕁麻疹のファーストチョイスブレンド
 天然塩 大さじ2
 カモミール・ローマン 1滴
 カモミール・ジャーマン 1滴
 ラベンダー 2滴

 (ローマンがアレルギー抑制、ジャーマンがかゆみ止めとして作用します。ジャーマンの香りが苦手な場合はローマンを2滴、かゆみが強い場合はジャーマンを2滴にするなどして調整して下さい)
 ※妊娠中・授乳中の使用は控えましょう。キク科アレルギーの人は注意して下さい


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『症状別の入浴法』



 

【入浴】 「腱鞘炎」の入浴法 ~薬湯やバスソルトがお勧め~


腱鞘炎には、指を伸ばそうとすると痛みカクンとはねる「ばね指」と呼ばれる症状と、手首の親指側に炎症が起こる「ドケルバン病」があります。

どちらも発症時は痛みと腫れがみられるため冷やした方が好ましいですが、急性期(熱をもっているとき)を過ぎた数日後からは積極的に患部を温めてあげた方が血流が良くなって痛みを軽減するので良いとされています。

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◆中間期は漢方の薬用入浴剤がおすすめ


腫れはひいているがまだ痛みが残っている中間期における入浴には、鎮痛作用血行促進作用のある生薬が成分に含まれている薬用入浴剤を使用すると良いでしょう。

血行促進と鎮痛に作用する生薬としては、例えば当帰(トウキ)芍薬(シャクヤク)などが有名です。



◆慢性期はバスソルトがおすすめ


患部に熱感はないが手や指先が冷えていて血行が悪くなっている慢性期には、バスソルトに入浴すると良いでしょう。

末梢血管まで酸素と栄養が行き渡らなくなっている状態なので、血行を促進することが条件ですが、このような状態の時には葛根湯が用いられるように、発汗を促し冷えによってこわばっている筋肉を緩めることが先決です(葛根湯は肩こりの緩和にも効果があるほど弛緩作用がある)

ただし、発汗を促した方が良いからといって、お風呂の温度を熱くすれば良いわけではありません。


そこでお勧めなのがバスソルト。

バスソルトは塩のもつ浸透圧の影響で、通常のお湯の約4倍も汗をかくとさえ言われるほど発汗作用があります。

つまり通常の温度でもしっかり汗が出ます。

しかもバスソルトにはマグネシウムが含まれていて、マグネシウムには筋肉の緊張を解く働きがあります。

筋肉は収縮するときにカルシウムが使用され、弛緩するときにマグネシウムが使用されているので、冷えによって筋肉がこわばっている人にはマグネシウムが含まれたバスソルトがお勧めなのはそういう理由によります。


さらにラベンダーやカモミールなどのリラックス効果のあるアロマ精油を垂らすとより効果が得られるはずです。



◆マッサージとツボ圧し


マッサージも効果があるとされていますが、患部に熱を持っていて腫れや痛みが強い急性期にマッサージをすると腱鞘炎が悪化します。

そんな時は肘まわりの筋肉をほぐすようにします(肘まわりの筋肉は手首とつながっている)

ある程度痛みが弱くなってから入浴中に湯に浸かりながらマッサージをするとよいでしょう(ただし入浴中は血流が良いので軽めでよい)


腱鞘炎に効果のあるツボもありますので、入浴中に圧すこともお勧めです。


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腱鞘炎に効果のある主なツボ

大陵(だいりょう) ・・・ 手のひら側の手首のちょうど真ん中
陽谿(ようけい) ・・・ 親指を反らしたときに浮き出る2本のスジの間のくぼみ
陽池(ようち) ・・・ 手首(手の甲側)にある横ジワ中央の小指よりのくぼみ
外関(がいかん) ・・・ 陽池から指3本分肘方向に離れた中央


手首にある「大陵・陽谿・陽池」は痛みを軽減させる作用があります。
「外関」は水分代謝に働く三焦経の経絡に属しているので、むくみの改善にも効果があるとされています。「水分の代謝=老廃物の排出」でもあり、外関は腱鞘炎の回復を早める作用があると考えられています。


ただし、患部に熱があったり痛みが強いうちは、これら患部に近いツボではなく肘まわりにある手三里(てさんり)曲池(きょくち)を圧すと良いでしょう。


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