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【健康】 梅雨期の入浴法③ お休みモードから脱する入浴法


梅雨の時期は低気圧によって体がむくみやすいと考えられています。

そのむくみが頭で起これば片頭痛のような痛みを伴います(低気圧性頭痛)が、のどで起これば喘息を悪化させる要因となる可能性もあります。



◆梅雨と喘息


梅雨に喘息が起きやすい理由。

それは喘息患者においては、低気圧によって気道を通る血管から水分が血管外へ滲み出すようなことがあると、そこにむくみが生じ気道が狭くなってしまい息苦しくなる可能性があるからです。


梅雨の時期に気道が狭くなりやすい理由にはもう一つ心あたりがあります。

それは副交感神経が関与しているのではないか?ということ。


副交感神経には気管支を収縮させる作用があるのをご存知でしょうか?

反対に交感神経には気管支を拡張させる作用があります。
交感神経といえば血管を収縮させる作用があるので、なんだか「交感神経=収縮」というイメージがありますが気管支へは拡張に作用します。

これは交感神経は主に活動量の多い日中に働き、副交感神経は主に体を休ませる夜間に働くことからも分かるように、活動量が多い時ほど呼吸が早くなりますので交感神経は気道を確保するために気管支を拡張させる働きがあるんですね。

なので反対に副交感神経が優位になると気道は狭くなるので喘息患者は息苦しくなります


梅雨になると天気の悪い日が多いので活動的な交感神経よりも休息的な副交感神経が優位になりやすいと考えられています。

また、低気圧においては、気圧とは空気の重さのことであり「気圧が低い」とは「空気が薄い」という意味であるから、それは同時に「酸素が少ない」という意味でもあるので、酸素が少ない状況では当然呼吸しづらいという物理的な要因と、身体が活動を最小限に抑えるために副交感神経を優先してお休みモードになってしまうという生理的な要因も考えられます。


梅雨になると決まってなんとなく「だるいなぁ」と倦怠感疲労感を感じることが多いのは、それは偶然でも気のせいでもなく、低気圧によって副交感神経が優位になっているからだとも説明ができちゃうわけです。



◆梅雨期の「喘息」「倦怠感」「疲労感」の入浴法


梅雨に悪化しがちな喘息、倦怠感、疲労感の共通点は、自律神経のバランスが副交感神経に過剰に傾いていること。

入浴はいつものように心地よい温度のお湯にリラックスして入るとさらに副交感神経が優位になるので逆効果です。

この場合は通常はあまりお勧めしない42~43℃の熱めの湯に3~4分浸かり、交感神経を刺激するほうが良いでしょう。

時間が短いので満足できないと思いますが、満足するほど浸かってしまうと副交感神経が働きますからね。

くつろぐために入浴するのではなく、気持ちを前向きにシャキッとするために入りましょう。

『【健康】 「気管支ぜんそく」の入浴法 ~サッと入ってサッと上がる~』 参照


入浴剤は爽快感のあるメントール系がお勧めです。

またアロマ精油(エッセンシャルオイル)を湯船に垂らすのも良いでしょう。
ローズマリーは気分を高めてくれるので朝や昼向きですよよ。
ただし、ラベンダーのような気分が落ち着くリラックス系は逆効果になるので注意して下さい。


朝、身体や気持ちがシャキッとしない時やヤル気を出したい時は、42℃くらいの熱めのシャワーをさっと浴びて、交感神経を刺激すると気持ちが前向きになれます。
朝は喘息発作が出やすいので喘息患者にとって熱めの朝シャワーは有効かもしれません。

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◆HSP入浴で前向きに


HSP(ヒートショックプロテイン)入浴法は、あえて熱いお湯に浸かることで体に熱ストレスを与え、「HSP」という傷ついた細胞を修復するタンパク質を産生する入浴法。

体温が2℃上がるとHSPが産生されることが分かっています。

体温が上がれば免疫力が高まりますし、HSPが産生されることで疲労が回復しやすくなります

倦怠感や疲労感を解消するにはHSP入浴法が適しています。

また、熱によるストレスで交感神経が刺激されますので気管支が拡張され喘息患者にとってはのどが楽になります。

ちなみに体温を2℃上げるための目安は、一般的には

40℃のお湯で20分間
41℃のお湯で15分間
42℃のお湯で10分間


と言われています。

(豆知識)
体温を2℃上げるためには上記のとおり「40℃で20分間」でも「42℃で10分間」のどちらでも可能ですが、同じHSPでも産生される量は「40℃で20分間」の方が多くなるという研究報告があります。
しかし、今回の場合はあえて交感神経を刺激したいので「42℃で10分間」を推奨します。


ただし、HSP入浴法は負荷の大きな入浴法です。無理はなさらないようにご注意して下さい。


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