カルシウムと言えば骨、というイメージが強いですが、いろんな生理作用に役立っているミネラルです。
「Ca」と書いてカルシウム。 キャビンアテンダントではない!
かくいう自分は「JK」を「ジョン・カビラ」の略だと思っていた、どうもSHIBAです。
カルシウムには人体にとって「構成成分」と「機能成分」の役割を果たしています。
体内のカルシウムのうち99%は、骨や歯の構成成分となっています。
残り1%は血液や組織中にカルシウムイオン(機能成分)として存在し、血液の凝固や筋肉の収縮、神経刺激の伝達などに作用しています。
よくイライラしている時に「カルシウム不足」だと言われるのは、カルシウムイオンによる神経伝達作用が上手く働いていないからなんです。
そして意外と思われるかもしれませんが、カルシウム不足は高血圧とも関係しています。
高血圧の要因として、血管が収縮し血管内腔が狭くなった状態があります。
血管の壁は平滑筋という筋肉で構成されています。
平滑筋は、骨格筋を形成している横紋筋と違って、自分の意志で自由に動かすことが出来ません。
平滑筋は自律神経の支配下にあり、自分の意思とは関係なく働いています。
血管は平滑筋の収縮や伸びによって内腔を広くしたり狭くしたりしてポンプのように血液を送り出しているわけです。
平滑筋が収縮するためには、その細胞の中にカルシウムが入らなければなりません。
カルシウムが入り込むことによって、筋肉の繊維の形が変わり収縮することになります。
そう、血中カルシウムの機能成分としての役割には「筋肉の収縮」があるわけです。
逆に筋肉細胞の中のカルシウムが外に出ることによって弛緩します。
カルシウムを細胞の外に出すのはマグネシウムの役割で、カルシウムとマグネシウムは拮抗した関係にあります。
この2つのミネラルが入れ替わるたびに血管が収縮したり弛緩したりしているんですね。
なのでカルシウムとマグネシウムの濃度差が保たれることで正常な血圧を維持できるわけです。
このバランスが何らかの理由で乱れた場合、
特に血中カルシウムの濃度が高くなり過ぎて、平滑筋を収縮した状態が続くことで高血圧の原因となるんです。
さて。
血圧を下げる、いわゆる降圧剤には「カルシウム拮抗剤」があります。
高血圧患者は血管の平滑筋細胞内のカルシウム濃度が、血圧正常者と比べると高い傾向にあります。
カルシウム拮抗剤は、カルシウムが細胞内に入っていかないようにして血圧を下げようというものです。
名前こそ拮抗剤ですが、効果としては抑制剤としての作用があります。
なぜ血中カルシウムの濃度が高くなるのか。
その原因のひとつに考えられているのがカルシウム不足です。
カルシウムの摂取が不足すると、骨からカルシウムが取り出されます。
血中のカルシウム濃度を正常に戻すために骨から血管に溶け出すんですね。
普通に考えれば、カルシウムが不足すればカルシウムの血中濃度が低くなりそうな気がするかもしれませんが、実は逆で、血液に溶け出したカルシウムが増えすぎてしまい、結果として高血圧に繋がるんです。
この一見矛盾した現象を「カルシウムパラドックス」と言います。
※カルシウムパラドックスには「カルシウムの摂取が逆に骨を弱くする」という別の意味もあります。
カルシウムが血管壁に入り込んだ状態、もしくは付着した状態が続くと、そのうち石灰化してしまい動脈硬化となります。
このことからも高血圧の場合は積極的にカルシウムを摂取した方が良さそうです。
もちろん、それで高血圧が改善されるとは限りませんが・・・
少なくとも、血中カルシウム濃度が高いからといって、カルシウムの摂取を抑える必要はありません。
※ただし、カルシウムのサプリは止めた方が良いらしい。食事由来のカルシウムと違ってイオン化されているので骨の成分とはならないようです。つまり、血中カルシウム濃度を上げるおそれがあります。
(あ、マグネシウムの摂取もね SHIBA)