「漢方薬」と「生薬」は同じようなものだと思われるかもしれません。
ところが実際は別物。
いくつかの「生薬」を組み合わせたものが「漢方薬」です。
料理名と食材の関係をイメージすると分かりやすいかも。料理名が漢方薬でその材料となるのが生薬というふうに。
麻黄湯(まおうとう)を例に挙げれば、構成している生薬は麻黄(まおう)・甘草(かんぞう)・杏仁(きょうにん)・桂皮(けいひ)の4種類があり、それぞれには役割があります(生薬が甘草のみの甘草湯のような単一成分の漢方薬もある)
ただ、生薬は料理の食材と違ってあらかじめ加工されています。
薬効を持つ薬草などが「生薬」になりますが、そのまま直接薬になるわけではなく、乾燥させたり加熱したりすり潰したりして薬効成分を凝縮させてはじめて生薬となります。
生薬によっては同じ性質や薬効を持っているものがあり、それらを組み合わせることで効果を増強出来たり、逆に異なっているものを組み合わせれば抑制し合っったり欠点を補い合ったりします。
どのような組み合わせが最大限に効果を引き出し、また副作用を抑えられるか。長年に渡って試行錯誤し、築き上げられた組み合わせによって今の漢方薬があるという歴史があります。
漢方薬の魅力は、この長い歴史が作り上げた絶妙な配合にあるといっても過言ではありません。
症状に対してピンポイントで効くのが西洋の薬。しかし、同じ薬効のある薬を併用すると効き過ぎて危険だったり、副作用に対処するため別の薬を併用したりしなければならないことがあります。
漢方薬では最初からそうならないように、いくつかの生薬がバランスよく配合されている点で違いがあります。
(ただし漢方薬には副作用がないわけではありません)
漢方薬では最初からそうならないように、いくつかの生薬がバランスよく配合されている点で違いがあります。
(ただし漢方薬には副作用がないわけではありません)
また、漢方薬は使われる生薬の種類は同じでも、分量が変わると違う漢方薬になることもあります。
例えば桂枝湯(けいしとう)という漢方薬があります。メイン成分の桂枝が体を温める作用があり、体の弱い人のかぜ薬として用いられています。
その成分は、
その成分は、
【桂枝湯】
桂枝4.0g
芍薬4.0g
大棗4.0g
甘草2.0g
生姜1.0g
桂枝4.0g
芍薬4.0g
大棗4.0g
甘草2.0g
生姜1.0g
ところが、この中の芍薬の量を2g増やしただけで、桂枝加芍薬湯(けいしかしゃくやくとう)という胃腸薬になってしまうから面白い。
【桂枝芍薬湯】
桂枝4.0g
芍薬6.0g
大棗4.0g
甘草2.0g
生姜1.0g
桂枝4.0g
芍薬6.0g
大棗4.0g
甘草2.0g
生姜1.0g
芍薬の持つ便秘や下痢などの腸の具合を整える作用が主体の胃腸薬という全く別の作用の薬となってしまうんですね。
まさに配合の妙ですね。