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【入浴】 「更年期障害」の入浴法 ~気持ちを安定させる~


女性の更年期障害に対する入浴法です。

女性の更年期とは閉経を挟んだ前後10年間のことで、主に40歳~60歳。

閉経に伴い女性ホルモンのエストロゲンの分泌量が低下することと関係しているようです。

更年期症状としては、ほてりのぼせ、発汗、冷え、肩こり、睡眠障害、動悸、頭痛、めまいといった身体的なものから意欲低下、物忘れ、イライラといった精神的なものまで実に様々な症状があり、また人によっても違います。

身体的な症状は生理の変化、つまりエストロゲンの変化や低下が自律神経中枢のある視床下部に影響していて、自律神経が乱れることで生じます。

また精神的な症状は、ストレスが大脳辺縁系に影響し、気分の落ち込みや情緒不安定になることで生じます。

自律神経を司る視床下部は大脳辺縁系の制御を受けているので、更年期障害の対策としては自律神経のバランスを整えるだけでは不十分で、気持ちを安定させることの方が重要になってきます。

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入浴法としてのポイントは、気持ちを安定させる入浴法。具体的には脳への血流を促進すること

例えばうつ病患者は健常者と比べると脳の血流が不足していることが分かっています。
脳の血流が悪いと意欲の低下や気分の落ち込みを招き、それが自律神経の乱れにも繋がっていきますから、なによりも脳への血流改善が求められます。

エストロゲンには血管拡張作用があるので、更年期になるとこの作用が弱くなってどうしても血流が悪くなりやすくなりますから、自分で血流を促進させていくしかありません。



1.毎日決まった時間に入浴し、睡眠すること


脳の血流と睡眠は密接な関係にあります。

睡眠中は副交感神経が優位になり血管が拡張され血行が良くなります。
脳内においては、睡眠中に老廃物が洗い流されていて、これが物忘れや認知症の予防とも関係していると考えられています。

また、睡眠中は心拍数も下がり体温も下がっている状態ですが、これは体温が下がらないと質の高い睡眠が得られないことを意味します。

体温は末梢の皮膚血管から放熱されることで下げられますが、血行が悪いとうまく放熱ができずなかなか寝付くことができません。

そこで就寝1~2時間前の入浴はとても有効になります。
お風呂で血行を促進し、入浴後に一度温まった体温がゆっくりと放熱されて下がっていく過程でヒトは眠たくなります。

そういうわけで入浴と睡眠はセットで考えましょう。


また、気持ちを安定させる方法のひとつに生活のリズムを安定させることが挙げられます。
不規則な生活は気持ちをも不安定にしますからね。

できれば毎日同じような時間に入浴して、同じような時間に入眠すると良いでしょう。



2.38~40℃のぬるめお湯で15~20分間


入浴には言うまでもなくリラックス効果があります。

熱いお湯は逆効果になりますから、ぬるめ(38~40℃)のお湯でシャワー浴ではなくじっくり浴槽浴に浸かって15~20分間

時間を長めに設定しているのは、ぬるめのため時間が短いと体が温まらないことと、リラックス効果をしっかりと得るためです。

でも20分間はさすがに長いので、体に負担を感じるようなら半身浴にしたり、「10分+10分」の2回に分けた分割浴でも良いでしょう。

入浴中、あるいは入浴後に簡単なストレッチを取り入れるとさらに効果が見込めます。


また、更年期障害の入浴剤としてクラリセージのアロマ精油が有名です。

数滴湯船に垂らすだけ。

クラリセージはハーブ系の香りで心を落ち着かせる効果がありますので、苦手な香りでなければ試してみると良いでしょう。



3.キーワードはオキシトシン?


更年期障害の症状にほてりやのぼせ、発汗があると言いましたが、これは「ホットフラッシュ」といって局所的に大量の汗が出る多汗症に似た症状で別名「更年期の多汗症」とも呼ばれています。

多汗症もまた体温調節中枢のある視床下部のみならず、その上位である大脳辺縁系に問題があると考えられ、そのため情動が不安定なために発汗する精神性発汗が汗の主体となっています。

『【入浴】 「多汗症」の入浴法 ~情動の安定をはかる~』 参照


そのせいか、更年期障害と多汗症は共通している部分が多いと考えられます。

多汗症との違いがあるとすれば、その原因が更年期であるということ。エストロゲンの減少ですね。

減少する女性ホルモンであるエストロゲンは更年期である以上、自分で増やすことはできませんが、このエストロゲンの働きを助け、かつエストロゲンの働きに類似したホルモンなら自分で増やすことは可能だと言われています。

そのホルモンとは「オキシトシン」

オキシトシンは視床下部で産生される別名「幸せホルモン」とか「愛情ホルモン」と呼ばれる神経伝達物質のひとつで、大脳辺縁系の情動を司る扁桃体に作用してストレスを打ち消すと考えられています。

しかもストレスを抑えるどころか幸福感を感じ、心拍や血圧を調整し、骨や筋肉の形成にも関与しているというから、まさにエストロゲンの代わりです。

オキシトシンはスキンシップで増えるので、好きな人と一緒にお風呂に入ると効果があるかもしれません。いや冗談抜きで。

また、先に述べたアロマ精油なども自分に合った物であればオキシトシンが増えると考えられています。要は幸福感が得られるような入浴タイムにすれば良いわけです。

 

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『症状別の入浴法』