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【入浴】 子どもの入浴法 ~「ネフローゼ症候群」の場合~


ネフローゼ症候群とは、何らかの理由で尿から大量のタンパク質が出てしまい、それによって血液中のタンパク質(特にアルブミン)が少なくなった病態のことです。

小児に多く発症し、好発年齢は2~6歳で、男子に多いのが特徴です。

主な症状は尿の泡立ち浮腫体重増加など。


通常、血液中のタンパク質は、腎臓の糸球体を通過できないので、血液中にとどまります。
ところが、ネフローゼ症候群では何らかの異常でタンパク質が糸球体を通過してしまい尿とともに流れ出てきます(タンパク尿という)

タンパク尿は泡立つ特徴があるので、おしっこの「泡立ち」はネフローゼ症候群のサインとされています(ただし、健康な人でも激しい運動や入浴後、発熱時には、一時的にタンパク尿が出ることがあると言われている)

尿から大量のタンパク質が流れ出すと、血液中のタンパク質(特にアルブミン)が減少します。
これを「低タンパク血症低アルブミン血症)」といい、膠質浸透圧(こうしつしんとうあつ)が低くなるため血管の水分が血管外(組織間液)へ滲みだして体に浮腫(むくみ)が現れます。

※膠質浸透圧とは、簡単に言えば「水分を血管内に保持する力」のこと。

体がむくめば、その分だけ体重は増加します。

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ネフローゼ症候群の場合、お風呂に入ってよいかどうかは医師に相談して下さい。

「タンパク尿が落ち着いているときなら入ってもよい」というのが一般の見解ですが、その判断を自分で判断してはいけません。

かといって、入浴しないのも問題です。

むくんでいる皮膚の細胞は細菌に対する免疫力が低下しやすいので、お風呂に入って清潔を保ち、また負担のない程度に体を温めてやることで免疫力を下げないようにすることはとても意味があります。

気を付けなければいけないのは、小児の場合、ネフローゼ症候群により血管内の水分が血管外へ滲み出すことで血圧が低下しやすい可能性があるということ(成人の場合は逆に血圧が高くなることもある)
めまいや貧血のようなふらつきには注意しましょう。とりわけ、湯船から出る時に急に立ち上がることで起こりやすい起立性低血圧には注意が必要です。


そこで足浴(足湯)ケア。足浴(足湯)は体に負担をかけずに、浴槽浴と同じく血管を拡張させ組織間液の還流を促します。

静脈還流(心臓に戻る静脈の血流のこと)が阻害されると浮腫が増強するので、足浴(足湯)は安全な療法として有効です。


なお、むくみを改善しようとマッサージしても、通常のむくみに対するマッサージと同じような効果は期待できません
一般にはリンパマッサージなどは血流やリンパの流れを改善してむくみを解消する方法として有効ですが、ネフローゼ症候群によるむくみはリンパの流れが悪いために起こるわけではないからです(ネフローゼ症候群の浮腫は低タンパク血症に起因する)


浴槽浴に最適なお湯の温度と入浴時間については、病態によって個人差があるので医師の指示に従って下さい。



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