反復浴(中温反復浴)とは、例えば15分間の入浴を途中に休憩を挟みながら3回に分割して入る入浴法です。
ですから「分割浴」とも言います。
浴槽に浸かる時間を複数回に分けることで、体への負担を軽くできるのが反復浴の特徴です。
◆よくある誤解
反復浴を紹介している記事の大半は「反復浴はダイエットになる」というふうに紹介されています。
そのため「反復浴=ダイエット」と認識している人も多いかと思われますが、はっきりいってダイエット効果は期待しない方が良いでしょう。
「反復浴を行うと血行が良くなって、ジョギングを20分行ったときと同じカロリーを消費する」というのがその根拠のようですが、それを証明する研究報告を見たことはありません。
最初にそれを言ったのは誰なのかは知りませんが、そもそもお風呂でダイエットを期待する方が間違っています。
本当にエネルギー(カロリー)を燃焼して代謝を促進するのであれば、外から温めるのではなく内から温めなければ効果はありません。
つまり運動によるエネルギーの消費こそがダイエットに必要です(当たりまえですが)
なぜ運動をすると身体が温まるのか考えてみて下さい。
運動をすると筋肉が伸縮します。この時に発生する熱(エネルギー消費の一部)で身体が温まります。
ちなみに発汗は温まった体温を調節するために放熱する現象です。
筋肉には血液を流すポンプの役割があるのをご存知でしょうか。
心臓は血液を送り出すことはしますが、下半身に流れている血液を吸い上げるということはありません。
実は下半身(ふくらはぎ)の筋肉が血液を上半身へ送り上げているんですね。
「ふくらはぎは第2の心臓」という言葉を聞いたことありません?
つまり、運動をするから代謝が盛んになって血行が良くなるわけです。
反対に運動不足になると血行は悪くなります。
もう何故だか分かりますよね。血液のポンプ役である筋肉が働いていないからです。
入浴によって血行が良くなって代謝が少し盛んになるというのは本当です。
しかし、ここで言うところの「代謝」というのは「基礎代謝」のこと。
運動によってエネルギーを消費する「活動代謝」とは違います。
ここにこの手の意見の誤解があるように思います。
しかも運動することによって筋肉量も増えますが、基礎代謝は主に筋肉で行われていますから、運動によって筋肉量が増えることは基礎代謝も盛んになるということになります。
筋肉の使用を伴わない入浴が、なぜ「ジョギングを20分行ったときと同じカロリーを消費する」と言えるのか。その根拠が分かりません。
◆反復浴の効果
・冷え性の改善
・疲れにくい体質への改善
反復浴の特徴は体に負担がかかりにくいことです。
冷え性の人は血流の悪さが原因となっている場合が多く、入浴によって血行を促進して体を温めることはとても有効な手段となりますが、入浴時間が短すぎると体が十分に温まりません。
例えば入浴で体温を1℃上げようとするならば、お湯の温度が40℃であれば15分ほど浴槽に浸かることが目安となります。
しかし全身浴で15分間も入浴しようとすると、途中で湯疲れを起こしたり体に負担を感じる場合があります。
そんな場合にこそ、短時間の入浴と休憩を繰り返す反復浴がお勧めです。
反復浴をすることで無理なく体が温まりますので、冷え性の改善が期待できます。
また、体温を2℃上げると、体内でHSP(ヒートショックプロテイン)というタンパク質が産生され、免疫力が向上したり疲れにくい体質へと改善されます。
この「体温を2℃上げて意図的にHSPを作り出す入浴法」を「HSP入浴法」といいますが、体温を2℃上げるわけですから当然1℃上げる場合よりも入浴時間を要します。
『【入浴】 HSP入浴法(ヒートショックプロテイン入浴法)とは』 参照
『【入浴】 HSP入浴法(ヒートショックプロテイン入浴法)とは』 参照
入浴時間が長い分だけ体に負担がかかりますから、このような場合にも反復浴は有効です。
ちなみにダイエット効果は期待しないで下さい。
繰り返しになりますが、反復浴によって「ジョギングを20分行ったときと同じカロリーを消費する」と証明できるものはありません。
もし仮に、本当にそれだけのエネルギーを消費するとすれば少し疲労が溜まるはずです。疲れを取るのが入浴の目的であるのに、反対に疲れてしまっては入浴する意味がありません。
しかも入浴回数を分割することで疲れにくくするのが反復浴であるのに、ジョギングをした場合と同じカロリーを消費するなんて支離滅裂です。
でも実際は反復浴では疲れません。それは血行が促進されることで、疲労の原因となる老廃物が流れやすくなるからです。
◆入浴方法
【反復浴(中温反復浴)】
お湯の温度が39℃の場合
1.かけ湯
2.入浴(5分)
3.休憩(5分)
4.入浴(8分)
5.休憩(5分)
6.入浴(5~8分)
7.風呂上がりの休憩
(出典 : 『中温反復入浴法』白井朝子著 ソニー・マガジンズ より)
一般的に認知されている中温反復浴は上記のとおりとなりますが、体力には個人差もあるので時間は目安とすのが良いでしょう。
「休憩」というのは、いわゆる外気浴のことで、浴室から出るわけではありません。
シャンプーをしたり体を洗ったりするのは休憩の時間帯を利用して行います。
なお、入浴の前後には水分補給をしっかりと行いましょう。
◆反復浴のポイント
風呂上がりの休憩をしっかりと取ることが大切です。
そうすることで質の高い睡眠へと繋ぐことができます。
湯冷めをしないように気を付けることと、水分補給を忘れずに行うこともポイントです。