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【健康】 良い油、悪い油、普通の油

昔「良い子、悪い子、普通の子」というのがありましたよね。欽ちゃんの番組で。

油にも良いものや悪いものがあるとよく言われていますが、実際どんな感じなのでしょうか。

あ、油と言っても石油やガソリンの話ではありませんよ。

普段僕たちが摂取している「食物油」のことね。または食物脂。

ところで「」と「

どちらも「アブラ」ですが、違い分かりますか?

常温で液体状のものは「油」、常温で固体状のものは「脂」とされていますよ。

「油」はサラダ油やごま油などで、「脂」はバターや肉の脂身など動物性のものが多いです。

どちらも「脂質」として人体には必要な栄養素ですが、高カロリーのため肥満になりやすく、
また脂質のなかでもいろいろ種類があるので、その違いを知っておく必要があります。

脂質の主成分は「脂肪酸

脂肪酸にグリセリンなどのアルコールが結合したものが脂質です。

 脂質=脂肪酸+アルコール


ちなみに「中性脂肪」は「脂肪酸+グリセリン」のこと。

「コレステロール」は脂質が分解されてできるものです。



では脂肪酸の種類について。

説明するうえで、文章だけだとおそらく分かりにくいと思いますので、
図を用意しました。

といってもニッスイさんのホームページから拝借したものですけどね(これがかなり見やすい)

shibousan.gif
 出典元:http://www.nissui.co.jp/academy/market/20/


「脂」は基本的に「飽和脂肪酸」のこと(マーガリンやショートニングは不飽和脂肪酸)

飽和脂肪酸は摂りすぎると血液中の中性脂肪やコレステロールを増やし、血液をドロドロにして血流を悪くすると言われています
摂り過ぎに注意の脂肪酸です。


一方、「油」は基本的に「不飽和脂肪酸」のこと。

不飽和脂肪酸は、血液の余分な中性脂肪やコレステロールを減らしたり、血栓を防ぐなどの作用があると言われています

マーガリンやショートニングに含まれる「トランス脂肪酸」は不飽和脂肪酸の一種ですが、摂りすぎると悪玉(LDL)コレステロールを増やし動脈硬化の原因となるので注意が必要といわれています。
「マーガリンはバターより健康的」とはもう過去の話だったんですね。


さらに不飽和脂肪酸には、その構造上からさらに「一価不飽和脂肪酸」と「多価不飽和脂肪酸」にわけられます(構造上の説明は専門的になるので端折ります)

一価不飽和脂肪酸は、酸化しにくいため比較的長期間の保存ができるのが特徴的。
だから調理油に向いています。

サラダ油の主流であるキャノーラ油(菜種油)が代表的。
オリーブ油やひまわり油も一価不飽和脂肪酸に該当します。

余談ですが「サラダ油」という油は存在しませんよ。
サラダ油とは、日清オイリオが大正13年に発売した商品名が発端で、
それ以降は食物油のことを総称して使うようになったらしいです。
今では指定された9種の原材料のうち、いずれかを用いた日本の食用油類の総称を指すようになっています。

多価不飽和脂肪酸は一価不飽和脂肪酸と違って体内で合成できません。
なので多価不飽和脂肪酸は食品から摂るしかない必須脂肪酸です。

多価不飽和脂肪酸には、これまた構造上の違いから「n-3系」と「n-6系」とがあり、
n-3系には「α-リノレン酸」(亜麻仁油、シソ油など)や「DHA」や「EPA」(特に青魚に多い)が該当し、
n-6系には「リノール酸」(大豆油、ごま油など)が該当します。

うち、特に健康的に良いとされているのがn-3系の方で、
オメガ3脂肪酸」とも呼ばれています。

単に悪玉コレステロールや血液が凝固するのを抑えたりするだけではなく、
脳を活性化することで知られていますよね(魚を食べると頭が良くなる説)

最近の研究では、アトピー、花粉症、慢性気管支炎などアレルギー性疾患の予防や改善にも効果があるという報告もあります。

そんなわけで今とても注目されていますからね「オメガ3脂肪酸」
積極的に摂りたい脂肪酸ではあります。


とはいっても、脂質である以上、摂り過ぎはカロリーオーバーの原因になるので注意は必要。

ただ、もともと不足しがちな脂肪酸なので摂れる時は積極的に摂る方が良さそうです。


と、ここまで一般的に飽和脂肪酸は悪い油で不飽和脂肪酸は良い油みたいな表現になりましたが、実際はどちらも人体の細胞壁やホルモン、神経物質の材料になるなど栄養素であります。

また、飽和脂肪酸の中でもココアバター(カカオバター)やココナッツオイルなどは健康に良いとの研究報告もあり一概に飽和脂肪酸は身体に悪いとは言えません。

厚生労働省によれば、
「飽和脂肪酸:一価不飽和脂肪酸:多価不飽和脂肪酸」を
「3:4:3」の割合で摂るのが生活習慣病の予防に効果的である
としています。


意識して摂取したほうが良い脂肪酸、摂りすぎにならないよう気をつけなければならない脂肪酸というのはあっても、
単純に「良い脂肪酸、悪い脂肪酸」と決め付けるものではなさそうです。

(なんでもバランスが大事 SHIBA)