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【健康】 トランス脂肪酸とは。サルでも分かる超スーパートランス脂肪酸入門ガイド

どうもSHIBAです。

マーガリンやショートニング(お菓子などに使われている)に多く含まれている「トランス脂肪酸」が、米国で2018年以降、食品に加えることが禁止されました。

『【健康】 <最新のニュースから> 米国でマーガリンなどトランス脂肪酸が全廃へ』 参照

トランス脂肪酸には悪玉コレステロールを増やし、善玉コレステロールを減らすから、というのが禁止となった理由です。

ではなぜトランス脂肪酸はいけないのか。トランス脂肪酸って何?

誰しもが感じる疑問です。


トランスとは「狂った」という意味ではありません。「横切った」という意味です。

「狂った脂肪酸」なら確かに体にわるそうだ。

それにしても「横切った脂肪酸」とはどういうことなのか。

それを知るには脂肪酸の構造を理解する必要があります。

なんだか難しくなりそうですが、誰でも分かるように頑張ってみますのでついて来て下さい。


脂肪酸は、炭素(C)水素(H)酸素(O)から構成されています。

そしてそれぞれの分子にはお互いに結合するための「手」があります。

  |
 ―C―   H―  O=
  |


炭素(C)は4本、水素(H)は1本、酸素(O)は2本の「手」を持っています。

分子はこの手でお互いに結合します。

  例: 水(H2O)の場合  H-O-H


分子同士が結合する時に、1本の手同士で結合することを「単結合」
2本の手同士で結合することを「二重結合」といいます。

ここで2つの球体が串の両端に刺さっている様子を想像してみて下さい。

1本の串で結合している場合(単結合)は、その1本の串を軸にくるくると回ることが出来るので安定しません。

2本の串で結合している場合(二重結合)は、2本の串でガッチリ刺さっているために回転ができず安定します。


なぜこんな話をするのかと申しますと、脂肪酸を理解するにはこの二重結合のあり方が大きく関わっているからです。


脂肪酸は通常は炭素(C)が一直線に繋がった直鎖状に配列されています。

例えばこんな感じ

 tran1[1].jpeg
 

このように炭素同士がすべて単結合している脂肪酸を「飽和脂肪酸」といいます(水素で飽和されているから飽和脂肪酸)


これに対し、どこか一箇所でも二重結合がある場合は「不飽和脂肪酸」といいます。

例えばこんな感じ

tran2[1].jpeg


水素で飽和されていないから不飽和脂肪酸。


まとめるとこうなります。

 脂肪酸
 ・飽和脂肪酸(二重結合なし)
 ・不飽和脂肪酸(二重結合あり)




さて、一般的に不飽和脂肪酸は飽和脂肪酸と比べ融点が低く、溶けやすい性質をしています。

飽和脂肪酸は室温では固体で、不飽和脂肪酸は室温では液体である傾向があります。

生物にとって体内の脂肪が環境の温度によっていちいち固まると生きていけません。

哺乳類や鳥類など恒温性動物は、36℃前後を保つことができるので飽和脂肪酸で構いませんが、
変温動物や植物は、温度が低い環境下でも脂肪酸が固まらないように融点が低くないといけません

ちなみに融点とは物が溶け出す温度のことで、融点が低ければ低いほど液体の状態を維持できます。

溶ける>融点>固まる

だから魚は動物性でありながら冷たい海水でも固まらないように不飽和脂肪酸なんですよ。
魚の脂はサラサラでしょ。
DHAやEPAが身体に良いのはそのためです(同じ不飽和脂肪酸でも二重結合がたくさんあります)


では次に、なぜ二重結合があると固まりにくいのか?を考えてみましょう。

農水省のホームページに中性脂肪の構造を表した図があります。

fat_oil01.gif


中性脂肪はグリセンリンに3つの脂肪酸が結合した構造をしています。

右の3本の毛みたいな線が脂肪酸です(炭素などの元素記号は省略されています)

3本のうち、一番上の脂肪酸は炭素が全て単結合されていることを意味しています。
なのでこれは飽和脂肪酸です。

前述のとおり、炭素が直鎖状に単結合している場合、団子の串を軸に回すようにくるくる回してみても、3次元的に見ると立体的には何も変わりません。

2本目の脂肪酸は、二重結合が一箇所ありますよね。二重結合が一箇所でもあれば不飽和脂肪酸です。

そしてここで注目して欲しいのは、二重結合をしている部分で屈曲していること。

3本目の脂肪酸は二重結合が2個所あることでさらに屈曲しています。

このような不飽和脂肪酸では、屈曲部より先は回転によって円錐状を描くように動くので近くの分子にぶつかります。

その場で自転しているだけの飽和脂肪酸に比べ、あちこちぶつかりあって流動性のある不飽和脂肪酸は固まりにくいことになります

二重結合の数が多くなるほど融点が低くなります。つまり液状を維持しやすい。

よって飽和脂肪酸は固まりやすく、不飽和脂肪酸は固まりにくいと。そういうわけです。


ここまでの説明について来ていますか?

ここからが本題ですよ(長いな)


マーガリンの誕生を実現するには植物性の油脂をバターのように固体する必要がありました。

不飽和脂肪酸なんだけど固まりやすくしたい。

ここで注目したのは二重結合の一部を単結合にして屈曲を減らし直鎖状にできないか?ということ。

そこで二重結合に水素を付加させて単結合にすることで屈曲を減らす方法がとられました

しかし、一部の二重結合では、二重結合はそのままで炭素に結合している水素の位置だけが正反対に変化するだけの箇所が発生します。

これが、水素が横切っているように見えるので、この形をとってトランス(横切った)型と言います。

トランス型の二重結合が一つでもあれば、それはトランス脂肪酸です。

trans_katei01.gif


これによりトランス型不飽和脂肪酸は、流動性に乏しく融点を上げて溶けにくくすることができるようになりました

これがマーガリンの誕生です。

トランス脂肪酸は、限りなく飽和脂肪酸に近いけれども、若干歪な形をしているのでマーガリンはバター(飽和脂肪酸)よりは溶けやすいです。


まあ、トランス脂肪酸についてざっくり申し上げましたが、
だから何が健康に悪いんだ?って話になると、これが分からない。

それもそのはず、実際に農水省でも「十分な証拠がない」との見解ですからね。

一応、不飽和脂肪酸ではありながら飽和脂肪酸のような性質があるので、体内で代謝されにくく悪影響を及ぼすことが原因とされています。

しかしそれだったら飽和脂肪酸全般にも言えることですからね。なにもトランス脂肪酸ばかりが取り沙汰されるのはおかしい。

「悪玉コレステロールを増やし善玉コレステロールを減らす」とも言われていますが、詳細な情報がないのでこれも分からない。

ひょっとすると、飽和脂肪酸に似ているとかそういうことではなくて、人工的に作り出された脂肪酸であるところに問題があるのかも。

天然由来のトランス脂肪酸など殆ど存在しないらしいから。

トランス脂肪酸を加工する過程、例えば水素を添加する時や、不純物を取り除くための加熱処理が加わることとか。どこかそのへんに不都合なことがあったりしてね。


良くいえば「健康に悪いという証拠は無い」
悪く言えば「安全であるという証拠は無い」


だったら何か新しいことが分かるまでトランス脂肪酸は避ける方が賢明なのかな。という気がしますがはたして・・・


(マーガリン関係者は大変だな SHIBA)