筋肉痛に入浴は効果があるかどうか。
そもそも筋肉痛の時に入浴してもよいのか。
一度は疑問に感じたことがあるかもしれませんね。
筋肉痛の基本的な治療は自然回復です(治療とは言わないか)
ですが、入浴は筋肉痛の回復を早める方法として、
また予防する方法としてとても効果があるんです。
◆入浴上の問題リスト◆
#1 激しい運動直後でズキズキする痛みを感じる
#2 筋肉痛がなかなか回復しない
お風呂が筋肉痛に良いとはいえ、運動直後の入浴は避けましょう。
程度にもよりますが、筋肉を酷使した場合は特に時間を空けてから入浴しなければなりません。
例えば野球でピッチャーが試合後に肩をアイシングで冷やしている光景を見たことありませんか?
あれは肩などが炎症をおこしているので、筋肉を冷やして炎症をおさえているんです。
ただし、痛みがおさまれば入浴して筋肉をケアする方が早い回復の期待ができます。
また、運動直後に筋肉痛を感じていなくても、痛みはその場ではなく1~2日後にやってくることが多々あります。
ですので、痛みがなくてもその日のうちに筋肉のケアを心がけましょう(30分は空けて下さい)
◆入浴法◆
<入浴上の問題>#1 激しい運動直後でズキズキする痛みを感じる
<入浴目標> 適切なタイミングで血行を促進して回復を図る
運動直後は筋肉における炎症が激しいので入浴は避けますが、数時間経ってズキズキ感が少し治まれば入浴して血行促進を図りましょう。
筋肉を冷やすという行為は炎症を抑えることはできても、回復を遅らせることになるからです。
湯温は39~40℃で20分あればじゅうぶん。
血行促進が筋肉痛に良いのは、筋肉の細胞へ酸素や栄養が行き届きやすくなるので回復が早くなるから。
湯に浸かりながら、疲労している筋肉を軽くマッサージすれば、血行はさらに促進されます。
ただし湯温が40℃を超えると、体熱を放散するために皮膚血管へ血流が集まり、その代わりに骨格筋の血管が収縮し血行が悪くなりますので注意して下さい。
使用する入浴剤は炭酸ガス系がお勧めです。
また、血行を促進する入浴法として「温冷交互(交代)浴」が有効です。
「温冷交互(交代)浴」とは熱いお湯と冷たい水(温度差30℃くらい)を交互に浴びて身体を刺激する入浴法。
普通の湯と水風呂を交互に浸かる全身浴のやり方と、
シャワーなどで主に下半身へ熱い湯と冷たい水を交互浴びせるやり方とがあります。
心臓に負担がかからないようにするなら後者がおすすめです。
温と冷、交互に刺激を与えると末梢血管が拡張しやすくなり、
より酸素や栄養が筋肉へ供給され、老廃物は排泄されるので疲労回復に効果が期待できます。
よく「筋肉に溜まった疲労物質である乳酸が排泄されるから」という理由をみかけますが、
乳酸は疲労物質ではありませんし、本当に血行とともに排泄されているのかどうか疑問です。
【温冷交互(交代)浴】
1.40~42℃のお湯に3分浸かる
2.浴槽から出て、冷たい水シャワーを手足に10~20秒かける
1と2を数回繰り返します。
なお、最後は水で終わるのが鉄則です(皮膚が引き締まり保温効果になる)
<入浴上の問題>#2 筋肉痛がなかなか回復しない
<入浴目標> 効果的な回復方法を実践する
効率的に筋肉痛を回復させるなら、体温を2℃上昇させる入浴法もあります。
体温が2℃も上がるとストレスを感じますが、それを逆手にとった入浴法が「ヒートショックプロテイン(HSP)入浴」
HSPとは、傷んだ細胞を修復する働きを持つタンパク質のこと。
身体に熱ストレスがかかることでHSPが増加することが分かっています。
目安は40℃(20分)か41℃(15分)の湯に浸かることで、
体温が38℃ぐらいに上昇し、HSPが増えるようですよ。
免疫力が上がって筋肉痛の回復を早める期待ができるこのHSP入浴法、
毎日実践する必要はなさそうです。
というのは、入浴後2日後にHSPの量が最大に増加し、3日は効果が持続するとのこと。
逆算して激しい運動をする2日前にHSP入浴をすると良いとも言われ、
実際に大会の2日前に実践しているアスリートもいるようです。
【HSP入浴法】
1.入浴前に水分補給をしておく
2.浴槽に浸かって体温を2℃上げる(体温を2℃上げるとHSPは産生される)
時間の目安は
40℃のお湯で20分間
41℃のお湯で15分間
42℃のお湯で10分間
※炭酸系の入浴剤を使用すれば時間は短縮できる
3.入浴後は10~15分間は保温に努める(体を冷やさないこと)
効果のピークは2日後といわれているので3~4日に1回の入浴で十分。
ちなみにHSPは熱ストレスで増加するので、
普通にウォーキングなどの運動によっても体温が上がるほど続ければ同じ効果が得られるようですが、まあ入浴ほど簡単ではなさそうですね・・・
その他、水分の補給はしっかりと摂る。HSP入浴を試すなら特に。
また睡眠も重要な要素です。
睡眠中に分泌される「成長ホルモン」には新陳代謝を活性化して傷んだ細胞を修復する作用があるので、筋肉痛の回復に働きます。
ですから就寝の1~2時間前ほどに入浴すると、質の高い睡眠が期待できます。
◆おすすめのアロマバス◆
精油選びのポイントは2段階に分けて考える。
筋肉に負担をかけたばかりの段階では抗炎症作用や鎮痛作用、乳酸除去作用のある物を選び、回復期には組織に酸素と栄養を行き渡らせるために血行促進作用のある物を選びたいものです。
抗炎症作用・鎮痛作用・乳酸除去作用のある物
●ウインターグリーン
強い清涼感のある樹木の香り。湿布にも含まれる成分「サリチル酸メチル」が筋肉痛の痛みから解放してくれる。
●ペパーミント
ミント系のクールな香り。「痛み」に働きかけ、冷却作用がある。
●マージョラム・スイート
甘くてスッキリとしたハーブ系の香り。鎮痛作用と血行促進作用を併せ持つ。
●ラバンジン(又はラベンダー)
ラバンジン、ラベンダーは共に鎮痛効果に優れている。
●ローズマリー
クリア&シャープな香り。筋肉弛緩作用があるのでこわばった筋肉を解す効果がある。
●レモングラス
見た目はススキ、香りはレモン。乳酸の除去作用がある。
血行促進作用のある物
●オレンジ
さわやかで甘いオレンジの香り。主成分であるリモネンに血行促進作用がある。柑橘系では一番鎮静・鎮痛作用成分が含まれている。
●レモン
フレッシュなレモンの香り。こちらもリモネンを多く含む。
これらの中でもぜひ試してみて欲しいのがマイナーな精油のウインターグリーン。
成分の96~99%が湿布や鎮痛剤にも含まれるサリチル酸メチルで、まるでサロンパスという珍しい精油。
ウインターグリーンの香りはメントール系だが、ペパーミントのような冷却作用はないのでスース―する刺激はない(ここ大事)
(最終更新日:2017/03/02)
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