コタツに入ってみかん、冬の風物詩でいいですよね。
僕はコタツを使っていませんが・・・どうもSHIBAです。
「風邪予防にみかんを食べよう!」という話はよく聞きます。
おそらくその根拠は「風邪にはビタミンCが効果的だから」というものだと思います。
確かにみかんにはビタミンCが豊富です。
しかしビタミンCが風邪予防に効果があるかどうかの科学的根拠は、今のところはっきりしていないそうです。
風邪にはビタミンCが良いという説を否定する説さえ存在します。
とはいえ、ビタミンCには抗酸化作用がありますし、コラーゲンの生成を促進するために美肌効果がありますからね。
間接的にではあっても風邪予防にはなっていると思いますよ。
ただ・・・みかんのビタミンCって特別多いってほどでもないんですよね。
他にもビタミンCが豊富な食材はたくさんのに、
なぜかビタミンCといえばレモンやみかんなど柑橘類を思い浮かべるもの。
それは「柑橘類 = 酸っぱい = ビタミンC」というイメージからきているのだと思います。
でもビタミンCは黄色くて酸っぱい成分ではありません。
どちらかといえば白くてほとんど味は無いそうです。
『【健康】 知ってるようで知らないビタミンC』 参照
柑橘類の酸っぱさは実はクエン酸によるものです。
【クエン酸】
クエン酸には疲労回復作用があります。
ヒトは細胞のミトコンドリアでブドウ糖をエネルギーに変換する時に、その過程の中でクエン酸を必要とします。
そのクエン酸が無いとブドウ糖は完全燃焼できません。
つまりクエン酸が不足すると、運動してもすぐにエネルギー産生が低下することになります。これが疲労。
みかんが疲労回復に期待できるのは、このクエン酸による効果と、みかんは果糖なのでエネルギーへの変換が早いということもあるんでしょう。
また、クエン酸は疲労の原因になる乳酸(実際は疲労物質ではない)の生成を抑えたり、
筋肉痛を予防する効果もあります。
それから、みかんが黄色いのはビタミンCによるものではなくβークリプトキサンチンによるもの。
【βークリプトキサンチン】
βークリプトキサンチンはみかんに含まれるだいだい色の色素で、カロテノイドの一種です。
免疫系を活性化させ、がんを予防する効果があることがわかり、注目されている成分です。
代表的なカロテノイドといえばニンジンやカボチャに多いβーカロテンですが、
βークリプトキサンチンはβ-カロテンよりもがん予防の効果が高いそうです。
『【健康】 カロテノイドって何?』 参照
また、βークリプトキサンチンは古くなった骨を壊す破骨細胞の数を減少させる(骨吸収の抑制)だけでなく、骨形成を促進する働きもあるんですよ。
つまり骨密度の改善により骨粗しょう症の予防が期待できるってこと。
実際、βークリプトキサンチンを多く含む温州ミカンでは、昨年より導入された機能性表示食品制度に「この温州ミカンはβ-クリプトキサンチンを含み、骨の健康を保つ食品です」と表示して活用されています。
みかんの実にはこのように、ビタミンC、クエン酸、βークリプトキサンチンなどが健康の役に立っています。
でもみかんの栄養は、実よりも皮や白いスジに多く含まれています。
よく「みかんの白いスジは取るな」と言われていますよね。
ではみかんの皮やスジにはどのような成分が多いのかというと・・・
【ペクチン】
まずは水溶性食物繊維であるペクチン。
整腸作用が期待できるということは説明するまでもないでしょう、食物繊維ですから。
それにコレステロール値を下げる働きもあるようです。
【シネフィリン】
酸味成分であるシネフィリン(シネフリン)
聞きなれない名前ですが、柑橘類のなかでも特に温州ミカンに多いようです。
交感神経を刺激して気管支を拡張させる働きがあるとのことで、
のどの調子が悪い時には良いかもしれません。
【ヘスペリジン】
みかん由来のポリフェノール。
毛細血管を丈夫にする働きがあるので、高血圧や冷え性の改善に効果があると期待されています。
本来みかんは体を冷やすと考えられていて、そのため「みかんは風邪予防には良いが、風邪をひいてしまった場合は体を冷やすために食べない方が良い」なんて言われますよね。
でもヘスペリジンには逆に体を温める作用があるので、漢方薬ではそういう健康効果を狙った「陳皮」というみかんの皮を乾燥させたものがあります。
陳皮には胃に働いて消化不良や食欲不振から助けてくれる作用もあります。
こうして総合的に見ていけば、やはりみかんは栄養価が高いなと。
栄養価が高い食べ物は基本的に風邪予防にはなるものですから、みかんも例外ではないでしょう。
ビタミンCだけを取り上げて「風邪予防になる、ならない」と論ずるのはナンセンスだということです。
(今みかんを食べながら考えた SHIBA)