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【入浴】 免疫力を高める入浴法(前編)


お風呂で免疫力を高めることができると知ったら、入浴に対する見方が変わるでしょうか。

入浴と免疫力は関係なさそうで実はおおいに結び付いています。

免疫力が高くなる理由は主に3つ

 ●体温が上がる
 ●副交感神経を刺激する
 ●質の高い睡眠に繋げやすい


この3つが免疫力を高めます



体温が上がると免疫力が高まる


「体温が1度下がると免疫力は30%低下する 」という言葉は今や常識となりつつあるので聞いたことがあるという人は多いでしょう。

体温が下がると免疫力は低下し逆に細菌やウイルスなどの病原体は活性化されますので、ヒトの体は常に体温が保たれる仕組みを持っています。

一方、では体温が上がるとどうなるかといいますと、

「体温が1度上がると免疫力は5~6倍高まる 」と言われています。

本当に6倍も高まるのかどうかは知りませんが、体温が上がると免疫力が高まるというのは風邪をひいた時に発熱するのと同じ原理です。熱が出すことで免疫機能が高め、病原菌を撃退しやすくするのが発熱する理由。

そういうわけで、体温を上げるために入浴は効果的です。
問題は免疫力を高めるための効果的な入浴法。

ただやみくもに入浴すれば良いわけではありません。

重要なのは体の表面体温ではなく深部体温

通常ヒトの平熱は36度台ですが、それは表面体温の数値であって、深部体温の平熱はそれより若干高く、人によっては37度台にもなります。

ちなみに免疫細胞にとってベストな温度は37度台らしい。

深部体温で37度台がベストなら風邪をひいた時に、それ以上熱を高くする必要はなさそうなものですが、それは病原体にとって不利な状況にするためです。

ただし、熱が高ければ高くなるほど病原体は弱くなりますがこちらの体力も奪われますので要注意となります。

この原理を入浴に当て嵌めると、入浴によって体温を上げることは効果的ですが上げ過ぎは要注意だということになりますね。

また、表面体温ではなく深部体温を上げることを意識しなければなりません。



何度の湯温に何分間浸かると体温が何度上がるか?


何度の湯温に何分間浸かると体温が何度上がるか?

これが意外と知られていません。

で、実際にこれを計測した大学の研究があります。

それによると、
被験者に38℃のお湯に5分間入浴してもらい、出浴直後出浴30分後にそれぞれ体温を計測したところ、出浴直後で平均0.45℃、出浴30分後で平均0.60℃の体温上昇がみられたそうです。
ちなみに15分間入浴した場合、出浴直後で0.65℃、出浴30分後で0.70℃の体温上昇が計測されました。

一般的にぬるいと思われている38℃でも、入浴後はわずかながら体温が上がることが分かります。
まあ人によっては「38℃なんて風邪をひく」と思われるかもしれませんが、38℃でも一応平熱よりも高いわけですからね。

で、面白いのは入浴時間が5分間であろうと15分間であろうと、出浴直後よりも30分後の方が体温が上がっているということ。

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これは38℃では体感ではあまり体温の上昇は感じられないが、深部体温は1℃くらい上がっている可能性を示唆します。



一方で、入浴時の湯温が42℃の場合は以下のとおりになりました。

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我々はよく健康番組や健康記事で、「42℃以上の熱い温度では交感神経が刺激され血管が収縮し、かえって体温が上がりにくい」という情報を目にしますが、この実験では確実に体温が上昇しています。

ただし、出浴直後と出浴30分後を比べると明らかな差があり、面白いのは出浴30分後では38℃での入浴と同等かそれ以下の体温になってしまっているということ。

せっかく熱い温度で入浴しても出浴30分後にはぬるい温度で入浴した場合と同じことになっています。
しかも出浴直後の高い体温は表面体温の数値であり、これは体表面ばかりが温度上昇していただけである可能性が示唆されます。

熱い温度ではやはり交感神経を刺激して血管が収縮し、深部体温は十分に上がらなかったとも考えられます。


しかし、偶然かもしれませんが、湯温が38℃と42℃での出浴後30分後の体温がどちらも同じ+0.70℃だったのは興味深いですね。

しかし、どちらも表面体温は0.70℃の上昇ですが、おそらく深部体温は湯温が38℃であった場合の方が高いと推測されます。

その理由は自律神経にあります。


(SHIBA)


参考資料 「入浴法および入浴習慣が心身に及ぼす影響に関する研究」 金沢大学


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『【入浴】 免疫力を高める入浴法(後編)』