最近、夜中に息苦しくて目が覚めちゃうんだよなぁ・・・という方は、心不全のサインかもしれないので注意した方が良いかもしれません。
心臓の病気には不整脈や急性心疾患(狭心症や心筋梗塞)などがありますが、
不整脈のサインとしては、急に心臓がドキドキし始めたり、脈が乱れるがやがて治まり、同じ症状を何度も繰り返すという特徴があります。
急性心疾患のサインとしては、狭心症であれば胸が締め付けられるような胸の痛みが数分~10分ほど続くという特徴が。また心筋梗塞であれば狭心症から進行する場合が多く、心臓以外にも左肩や背中が痛むことが多いようです。
不整脈にしても急性心疾患(狭心症・心筋梗塞)にしても、その前兆となるサインは病名からイメージしやすいですよね。
これに対し「心不全のサイン」と言われもあまりピンと来ないかもしれません。
●心不全とは
そもそも心不全とはどんな病気か分からないという人は多いと思います。
というより、「心不全」とは病名ではないんですよね。
心不全とは心臓の機能が低下して血液が十分に送れない状態のこと。
病名ではなく状態を表す言葉。だから急性心疾患も心臓の機能を低下させるので心不全の原因となりえます。
心臓の機能が低下するとは、具体的にいえば「十分な量の血液を全身に送り出せない状態」のことで、なにも急性心疾患のような血管に問題がある場合だけとは限りません。
心臓を構成している心筋や心膜、弁などどこかに問題があっても心臓の機能を低下させます。
そのため心筋症や心臓弁膜症も心不全の原因となります。
高血圧も血管や心臓の壁を厚く硬くする要因となり、そのため心臓の伸び縮みが難しくなり心不全の原因となります。
●心不全のサイン(左心不全の場合)
心臓には左心と右心がありますよね。
それぞれの役割は、
左心・・・肺から戻ってきた血液を受け取り、全身に送り出す(ポンプ機能)
右心・・・全身から戻ってきた血液を受け取り、肺へ送り出す
ですから、左心の機能が低下すると肺から戻ってきた血液を十分に受け取ることが出来ません(心臓が膨らみにくいため)
そのため肺に血液がうっ血(溜まること)して呼吸が苦しくなるのが左心不全です。
日中の起きている時間帯は、重力の関係で全身の血液が下半身に溜まりやすく心臓に戻りにくいため、左心への負荷は少し和らぎます。
ところが就寝すると全身の血液がドッと心臓(右心)に戻りだし、右心から肺へもドッと流れますが(右心が正常な場合)、肺から左心へはうっ血のため肺に血液が溜まりやすくなるので、昼と比べて夜は呼吸が辛くなる傾向があります。
夜中に息苦しくて目が覚めると心不全かもしれないとは、そういう理由からです。
ちなみに肺うっ血により、かぜでもないのに血液の成分が混じったピンク色の痰が出ることもあります。
『【健康】 風邪でもないのにピンク色の痰が出る原因』 参照
また、左心が不全になると夜間頻尿も盛んになります。
血液を全身へ送り出すポンプ機能が低下しているので、全身に十分な血液を送ることができません。
しかも血流に勢いがないため、日中は血液が重力に負けて下半身に溜まり血液の循環が悪くなります。
そのため、腎臓へ流れる血液量も減り、その結果として尿があまり作られません。
しかし就寝すると重力から解放された血流が良くなり、腎臓へも血流が増えるため尿が作られるようになります。
日中に作られなかった分、夜間の尿量が増えるのが特徴です。
「過活動膀胱」や男性の「前立腺肥大」によっても頻尿にはなりますが、これらの場合昼夜問わず頻尿になりますから、
夜だけ頻尿になり逆に昼の尿が減ったという場合は心不全である可能性が出てきます。
夜、息苦しくて目が覚めるだけであれば「気管支喘息」や「COPD」も疑われますが、同時に尿意も頻繁であれば心不全の可能性が高くなりますのですぐに医療機関で診察してもらいましょう。
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『【健康】 「心不全」の入浴法 ~ぬるめ、浅め、早め~』