睡眠時無呼吸とは、眠っている間に無呼吸を繰り返す病気のことです。
一般的には睡眠時無呼吸と言えば、のどの周りや舌についた脂肪によって気道が塞がって呼吸ができなくなってしまう「閉塞性睡眠時無呼吸」のことを指します。
主な原因は肥満で、舌の根元に脂肪がたまると仰向けで寝た時に気道が狭くなることで、無呼吸と呼吸を繰り返してしまい、眠りが浅くなってしまいます。
睡眠の質が低下してしまうので、睡眠時間が取れているのに日中に強い眠気を感じるようであれば睡眠時無呼吸の疑いが考えられます。
しかも睡眠時に大きないびきをかいていると他人から指摘されるようであれば、一度検査を受けてみた方が良いかもしれません。
無呼吸になると酸素不足を招きますので、心疾患(心筋梗塞など)や脳卒中(脳梗塞など)の危険性が高くなることが分かっています。
また、脳が酸素不足により覚醒状態になると交感神経が刺激されるので、血管が収縮して心疾患や脳卒中のリスクを高めます。
◆入浴上の問題リスト◆
#1 睡眠時間は取れているのに、日中に眠くなる
#2 夜中にトイレに起きることが多い
睡眠時無呼吸で注意しなければならないのは高血圧との合併で、心疾患や脳卒中のリスクを下げるには睡眠時無呼吸の治療が必要になります。
睡眠時無呼吸と高血圧のカギを握っているのは交感神経です。
入浴では睡眠時無呼吸を治すことはできませんが、交感神経の活動を抑えることで合併の影響を少なくしましょう。
◆入浴法◆
<入浴上の問題>#1 睡眠時間は取れているのに、日中に眠くなる
<入浴目標> 血圧や心拍数の安定をはかる
ヒトの体は日中は交感神経優位で血圧が高く、夜は副交感神経優位で血圧は低くなるものです。
ところが睡眠時無呼吸が原因で熟睡できなくなると、体や脳が休まらずに血圧が夜間の間も高い状態になります。
睡眠の質が悪いと、睡眠時間が足りていても日中に眠気を感じたり疲れがたまりやすくなります。
そして何より高血圧による心疾患や脳卒中に注意しなければなりません。
入浴で気をつけなければいけないのは、交感神経を刺激しないことです。
交感神経の活動を抑制し、血圧や心拍数の安定を図りましょう。
簡単に言えばリラックスすることです。
熱いお湯と長湯は交感神経の活動を亢進させてしまうので、
浴槽のお湯は39~40℃のぬるめで、半身浴で15~20分。
半身浴は水圧による心臓への負担がかかりませんのでお勧めです。
忘れてはいけないのが水分の摂取。
入浴で汗をかくと血液が水分を失いドロドロになりやすくなります。
心疾患や脳卒中のリスクが高くなりますので水分補給はしっかりと行って下さい。
<入浴上の問題>#2 夜中にトイレに起きることが多い
<入浴目標> 朝までしっかり寝られる
眠りが浅く、トイレに行きたくて起きるのか、目覚めたからトイレに行きたいのか自分でも分からなくなる。
このような睡眠障害は、不眠症が原因の場合もありますが、睡眠時無呼吸が原因で熟睡できず、途中で目が覚めてしまうこともあります。
特に高齢者になると途中で目が覚めやすくなりますからね。「年のせいだ」なんて決めつけると危険ですよ。
少しでも途中で目が覚めることがないよう、深い眠りにつきたいものです。
そのためには入浴は就寝前の1~2時間前に入りましょう。
入浴により一度上がった体温が、時間をかけて下がっていく過程でヒトは眠たくなる習性があります。
入浴で副交感神経優位のリラックスした状態で、スムーズに入眠することで少しでも睡眠の質を高めることができます。
◆おすすめのアロマバス◆
精油選びのポイントは安眠効果があるもの。そして鼻の通りを良くするものが良いでしょう。
安眠効果が得られる精油はたくさんありますが、とりわけ鎮静作用が強い酢酸リナリルという成分が多く含まれているラベンダー、クラリセージ、ベルガモットなどが定番となっています。酢酸リナリルと同じエステル類を多く含むカモミール・ローマンも肌に優しくアロマバスに向いています。
これらの精油を浴槽のお湯に3~5滴垂らしてよく混ぜて入浴しましょう。
気持ちが静まって入眠しやすくなることが目的です。
しかし、これで逆にいびきが激しくなった場合は、これらの精油が原因となってしまっている可能性があります。
鎮静作用のある精油には気持ちを落ち着かせることで副交感神経を優位にする働きがありますが、そのために舌の筋肉が弛緩し、かえって気道を狭くしている可能性があるからです。
いびきは口呼吸である場合が多く、改善するためには鼻呼吸をするのが一番ですが、鼻づまりなどがあると口呼吸になりがちです。
そこで「いびきが激しい」「鼻づまりがある」という場合には鼻の通りを良くする精油がお勧めです。
鼻づまり解消に働く精油はユーカリ、ラヴィンサラ、ニアウリなどがアロマバスとしてお勧めです。
『症状別の入浴法』