めまいとは実は曖昧な表現で、病気によるもの以外でも例えば乗り物酔いや酒で酔った時にも起こります。
しかし乗り物や酒によるめまいは原因がはっきりしているので問題にはなりません。
気になるのは理由が分からないめまいが起きたときです。
めまいの種類やめまいが起こる原因はたくさんあるので、状況に応じて判断する必要があります。
・めまいのタイプによる分類
・耳からくるめまいと脳からくるめまい
・めまいの起こり方による分類
◆めまいのタイプによる分類
まずめまいのタイプは「回転性めまい」と「非回転性のめまい」大きく2つに分けられます。
「回転性のめまい」・・・自分の周りや自分自身がグルグル回っているかのようなめまい。難聴を伴うことがある。代表的な回転性めまいにはメニエール病、良性発作性頭位めまい症、前庭神経炎などが該当する。耳の異常による場合が多いが、脳梗塞や脳出血といった脳の異常でも起こる。
「非回転性のめまい」・・・主に、回転はしないが身体がぐらぐら揺れる「動揺性」と、地に足が着いていないかのようにフワッとする「浮動性」の2種類がある。その他、立ちくらみのような症状もこちらに含まれる。
『【健康】 「めまい」とは何なのか?なぜ起こる?』 参照
◆耳からくるめまいと脳からくるめまい
また、めまいの原因となる大元は「耳からのめまい」と「脳からのめまい」があります。
「耳からのめまい」・・・平衡感覚を司る三半規管や前庭に異常があった場合に起こるめまい。一般に回転性のめまいが多い。
「脳からのめまい」・・・体のバランスを判断するのは耳だけではなく、視覚からの情報、骨や筋肉・皮膚からの情報を総合して脳が判断している。例えば正座のし過ぎで足が痺れたとき、立ち上がった時に足の感覚が脳に伝わらず上手く立てないはずです。その場合はめまいではありませんが、それに似ためまいが起きた時は脳(脳血管)に問題がある場合があります。
◆めまいの起こり方による分類
どんな状況でめまいが起きたかでも分類することができます。
「突然起こるとき」・・・特に何もしていないのにグルグル回転性めまいがしたり、ぐらぐら、ふわふわする自発性のめまい。メニエール病、前庭神経炎、突発性難聴に多く、内耳・小脳・脳幹に問題があって起こる場合もある。一時的に脳が酸欠状態になった場合(一過性脳虚血発作)でも起こる。
「体や頭を動かしたとき」・・・頭や体をある一定の位置に動かしたときに起こる誘発性のめまい。頭を動かしたときに起こる場合を頭位性といい、良性発作性頭位めまい症などがこれに当たる。
「朝起きたとき」・・・朝、起きた時に回転性のめまいがする場合は脳梗塞の恐れあり。脳梗塞でなくてものへの血流が悪い場合が多い。脳腫瘍による可能性もあるが、脳腫瘍の場合は急性ではなく徐々に悪化していく傾向があります。
『健康】 「朝起きたときに頭痛がする」それって脳腫瘍かも』 参照
「急に立ち上がったとき」・・・急に立ち上がると目の前が真っ暗になったり気を失ったりするのは「起立性低血圧」といって、低血圧が原因で立ち上がった時に瞬間的に脳へ血流が送り込めず酸素の供給が間に合わなくなることで起こります。貧血と間違えやすい。
『【健康】 お風呂上がりの立ちくらみは「貧血」ではない』 参照
さてさて。
入浴法に進む前に、代表的なめまいであるメニエール病、良性発作性頭位めまい症、前庭神経炎について簡単なまとめを。
【メニエール病】
突然グルグル目が回る回転性の強いめまいが数分~数時間続くのが特徴。
ストレスと大きく関係していると考えられていて、神経質でまじめな性格でストレスを抱えている人に多いようです。
吐き気や嘔吐を伴い、耳鳴りや難聴も併発します。
一度メニエール病に罹ると再発する可能性があり、季節の変わり目など気圧の変化にも注意が必要なめまいです。
1日に水分を1.5~2リットル摂ると良いと言われています。
【良性発作性頭位めまい症】
めまいで一番多い症状がこれ。頭がある特定の位置になったときに起こるのが特徴(頭位性)。
棚などから物を取ろうと上を向いた時やかがんで下を向いた時、寝返りをうった時や洗髪や洗顔で顔を下に向けた時など、めまいが起こる条件は人それぞれ。
グルグル目が回る回転性のめまいが起こる場合もあれば、ふらつくのような軽い非回転性のめまいが起こる場合もある。
いずれにしても数秒から2分程度で治まります。
吐き気や嘔吐はあるが、耳鳴りや難聴は伴いません。
平衡機能である内耳の耳石が剥がれ落ちて三半規管の中をコロコロ動くことが神経を刺激しているのではないかと考えられている。
【前庭神経炎】
前触れもなく突然起こる激しい回転性のめまい。
発症直後の強い回転性のめまいは数日で治まりますが、体を動かしたときにふらつく体動性のめまいが残り、完全に治るまで数か月かかることもあるのが特徴です。
吐き気や嘔吐を伴うが、耳鳴りや難聴は伴いません。
原因は解明されていませんが、過労やストレスの他、ウイルス感染が引き金になっているとも考えられています。
再発はありません。
◆入浴上の問題リスト◆
#1 血流が悪くなるとめまいが悪化する
#2 入浴により発汗し、水分が不足する
#3 不安やストレスがめまいの誘因となる
#4 めまいによる転倒の危険がある
入浴する際に気をつけることは、まず「入浴時にめまいを誘発しないようにすること」が優先され、そのうえで「めまい体質の改善につながる入り方」を心がけるように努めましょう。
◆入浴法◆
<入浴上の問題>#1 血流が悪くなるとめまいが悪化する
<入浴目標> 耳の血流を良くする
第一に優先されるのは耳の血流を良くすることです。
熱い温度は交感神経を刺激し、かえって血流が悪くなります。
お風呂の温度は38~40℃、入浴時間は10~15分を目安にしましょう。
耳鳴りを伴う場合は15~20分。耳鳴りはメニエール病などストレスが原因である場合も多いので、じっくり温まってリラックスしましょう。
わりと長めの入浴なので基本的には半身浴で構いませんが、首や肩のこりによって頭部の血流が悪くなることもめまいや耳鳴りの原因になり、首や肩のこりがあれば、半身浴よりも全身浴で首や肩のこりをとることをオススメします。
実は、逆に耳を温めることで首や肩のこりが改善されるようです。
耳には血流を良くするツボがたくさんあり、直接耳を温める方法も有効です。
<入浴上の問題>#2 入浴により発汗し、水分が不足する
体内の水分が失われると血液に粘り気が増えドロドロになり、結果血流が滞りめまいを起こしやすくなります。
入浴前にコップ1杯の水を飲んでから入浴すると良いでしょう。
<入浴上の問題>#3 不安やストレスがめまいの誘因となる
<入浴目標> リラックスして自律神経のバランスを整える
何度も言いますが過労やストレスなどにより自律神経のバランスが乱れていること(交感神経が優位な状態)がめまいの原因になることが多いです。
しっかりと湯に浸かりましょう。
なお、就寝の1~2時間前に入ると安眠へと繋がります。
例えば夜10時に就寝するつもりなら8時か8時半に入浴すると良い計算になります。
<入浴上の問題>#4 めまいによる転倒の危険がある
<入浴目標> 入浴中にめまいを起こさないように気をつける
入浴中にめまいを起こすと危険です。
良性発作性頭位めまい症の人は、洗髪時に頭を下げるとめまいを起こす場合があるので注意して下さい。
また、湯船から出るときはゆっくりと。
◆おすすめのアロマバス◆
めまいの種類にもよりますが、ストレスはめまいの誘因となることは間違いないので、鎮静作用のある精油をメインに考えることが基本かと思います。
鎮静作用のある精油
●ラベンダー
最も使用用途の多い精油。緊張や心配事があり、心を落ち着かせたいときにお勧め。ども精油とも相性が良い。
●ネロリ
不安やショックから抜け出せない時に用いられる。セロトニンが分泌され、安心と平和な気持ちを取り戻す。
●プチグレン
ビターオレンジの木。高ぶった気持ちを静めて精神状態を安定させる。
ラベンダー、ネロリ、プチグレンは何れもアロマバスに向いている精油です。
朝風呂ならプチグレンが向いていると思われます。
外出するときは、ハンカチやティッシュに1滴垂らして持って出ると、いざめまいを感じた場合に香りを嗅ぐと良いでしょう。
鎮静作用のある精油は他にもたくさんあり、副交感神経を優位にするマージョラム・スイートや、使う人を選ばなさそうな柑橘系のマンダリンもお勧めです。
体液循環促進、リンパうっ滞除去、利尿作用のある精油
体の余分な水分を排泄させるのが得意。リンパうっ滞除去が期待できる。 よく、むくみ防止アロマとして使用される。
体液循環を促進する作用がある。 利尿作用、鎮静作用もあり、肌にも優しいのでアロマバスにも向いている。
これもうっ滞除去作用がある。同じユーカリでもグロブルスほどではないが刺激があるのでアロマバスにするときは使用量を少なくするかバスソルトなどに希釈するとよい。
サイプレスやサンダルウッドには女性ホルモン様の成分も多く含まれているので、更年期によるめまいにも効果が期待できます。
これら体液の循環促進系の精油は鎮静作用のある精油とブレンドして使用すると良いでしょう。
【アロマバスの注意点】
・人によってはアレルギー反応が出る場合があります。
・精油によっては皮膚や粘膜への刺激が強いものがあります。刺激に弱い方は使用を控えるか希釈して使用しましょう。
(最終更新日:2017/03/07)
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