最近耳にすることが増えてきた「ケトン体(式)ダイエット」
糖質制限ダイエットと似たダイエット法ですが、
体脂肪を効率よく燃焼することができることが注目されている理由です。
『【健康】 「脂肪の吸収を抑える?」甘い言葉の疑問』
の回で、脂肪は無理に吸収を抑えるのではなく、代謝させることを考えなければいけないという話をしました。
ケトン体ダイエットは、その観点からみれば理に適っていると言えます。
しかし。
ケトン体ダイエットのデメリットというものを把握して行わないといけないダイエットでもあります。
よくケトン体は臭い。体臭が気になるなどといったデメリットが挙げられますが、
本当のデメリットはそんな生易しいものではありません。
気を付けなければ命取りになるダイエットでもあるんです。
ケトン体ダイエットとは一体何なのか・・・
通常、僕たちの身体は糖質をエネルギー源としていますよね。
しかし空腹時、つまり糖が不足している時は、脂肪細胞から血中に取り出された遊離脂肪酸がエネルギーを必要とする細胞へ運ばれます。
その脂肪酸は取り込まれた細胞の中で酸化を受けたのち、完全燃焼されます。
ただし、これには条件があって、燃焼されるには糖質から供給される物質を必要とするため、
飢餓状態などで糖質供給がストップした場合には酸化されず、肝臓にてケトン体となります。
特に糖尿病患者の場合、糖質を摂取してもインスリンの働きが悪く、細胞に取り込めないために糖質不足状態(飢餓状態)となります。
なので糖尿病患者には血中のケトン体が増えやすい傾向にあります。
さて、
このケトン体を「脂肪の燃えたカス」と例える人もいます。
実際には完全燃焼していないので、不完全燃焼した残り物質みたいなものかな。余計たちが悪いね。
以前、糖質をガソリン、脂質を軽油に例えたことがありましたが、
『【健康】 有酸素運動と無酸素運動の違いを「車」に例えてみた』 参照
走っている車がディーゼル車ばかりになったら大気汚染が問題になりますよね(クリーンディーゼル車は例外)
先程も言いましたようにケトン体は酸化された酸性物質。
血中の酸性度はpH7.4の弱アルカリ性に保たれていますから、
ケトン体の血中濃度が増えると血液が酸性になる可能性が出てきます。
行き過ぎた酸性は、腹痛、頭痛、食欲の減退、多尿、口渇、吐き気などを引き起こし、
最悪な場合は昏睡、さらには死に至る場合もあるそうです。
血液が酸性に傾くことをアシドーシスと言いますが、
この状態が続くと膵臓のインスリンが働きにくくなるらしい。
インスリンの分泌が低下すれば糖質代謝が滞り、代替エネルギー源を供給するために脂肪酸を酸化させ、より多くのケトン体が産生されるという無限ループが出来上がります。
こうしてみると、ケトン体ダイエットは人工的に糖尿病に似た状態を作り出しているみたいで、なんだか不自然に感じるのは僕だけだろうか。
そうは言っても、健常者がケトン体ダイエットでアシドーシスに陥った状態(ケトアシドーシス)で危険な目に遭ったという話は見たことはまだありません。
インスリンが正常に働く人には関係のない話なのかもしれません・・・
逆にいえば、糖尿の気がある人は気を付けなければいけないダイエット法だということ。
いや、それ以前にやってはいけないダイエット法かもしれません。
糖尿改善のためダイエットに取り組む人は多いでしょうからね。
僕個人的には、糖尿病と関係ない人にも良くないダイエット法だと思っています。
糖質が不足した場合の代替エネルギー源は脂質だけではありませんからね。
アミノ酸(たんぱく質が分解された物質)もまた代替エネルギー源に使用されるんですよ。
意外と無視されていませんか?この事実。
つまり脂肪だけではなく筋肉を構成しているアミノ酸もエネルギー源になるので、
筋肉も落ちてしまい疲れやすい身体になります。
基礎代謝だって落ちますよ、これじゃ。
そもそもケトン体は、本来は飢餓状態に陥った時にエネルギー源が枯渇しないよう、体内が緊急手段として代替エネルギー源として産生されるものであって、ケトン体産生はいわば応急処置なんですよ。
この状態を続けるってのはとても不自然なことだとは思いませんか。
(美味しい話には裏があると思った方がよい SHIBA)