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【健康】 糖尿病最新事情(前編) がん細胞の増殖も合併症?

どうもSHIBAです。

糖尿病の何が怖いって、その合併症の多さですよね。

血糖が毛細血管を傷つけることでおきる障害として網膜症。最悪失明することも。

それから腎不全含む腎症。しびれや傷みを伴う神経障害などがあります。

また動脈硬化が冠動脈で進めば心筋梗塞や狭心症、
脳血管で進めば脳梗塞などの脳卒中やそれに伴う認知症へと発展します。

足の血管が詰まれば壊疽(えそ)を患うことも。

とにかく、合併症の多さが糖尿病の特徴です。

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そして、近年の調査では、
糖尿病によりがん発症のリスクが高まるという事実が確認されてきています

糖尿病のある人はそうでない人と比べ、がんのリスクは1.2倍上がるらしく、
とりわけ大腸がん、すい臓がん、肝臓がん、腎臓がん、胃がん・・・て消化器系はおしなべて顕著かな?

厚労省によれば、今のところはまだ合併症のリストにがんはありませんが、
そのうち加わるかもしれませんね。

http://www.mhlw.go.jp/topics/bukyoku/kenkou/seikatu/tounyou/result.html
厚生労働省:糖尿病を放っておくとどうなるんだ?

がんが現時点で合併症として扱われていないのは、
糖尿病との因果関係が科学的に解明されていないからかもしれません。


しかし、調査の結果からは関係があることははっきりしているので無視はできません。

実際に僕の父親も糖尿病でありながらがんを発症しているので個人的にも関心の高い問題です。


さて、がんとの関係が科学的に解明されていないといっても、インスリンが関与している可能性が高いことは示唆されています

インスリンとは血糖値が一定値以上に上昇しないように調節するためにすい臓から分泌されるホルモンのこと。

肥満や運動不足など何らかの原因でインスリンの作用が弱くなり、血糖を肝臓や筋肉などの細胞に取り込めなくなり慢性的に血糖値が高くなる状態が糖尿病なわけですが。


通常、糖尿病になる前に「高インスリン血症」の状態になります。

あ、今さらですが、ここで言う糖尿病とは2型の話ですよ。当たり前ですが。

肥満になるとインスリンの働きが低下するので、体はそれを補うためにインスリンの分泌量を増やして血糖値を下げようとします。

肥満になるとインスリンの働きが悪くなるのは、肥満細胞から分泌されているアディポサイトカインのため。

アディポサイトカインには善玉と悪玉があり、善玉の「アディポネクチン」はインスリンの働きを高め、悪玉の「TNAα」は逆にインスリンの働きを阻害します。


『【健康】 メタボと生活習慣病と動脈硬化の関係 ~内臓脂肪が溜まると怖い本当の理由~ 』 参照


肥満になると、つまり脂肪細胞が肥大すると善玉のアディポネクチンの分泌が減り、悪玉のTNAαの分泌が優位になるため、それでインスリンの効きが弱くなるんですね。

インスリンの効きが悪くなるというのは、単にインスリンの量が減るという意味ではありません。

ブドウ糖を必要とする細胞にはブドウ糖を取り込むための扉を持っています。
でも自力で血糖を取り込めるわけではなくて、インスリンの働きが必要になるわけですが、細胞にはインスリン受容体があって、インスリンがこのインスリン受容体と結合することでブドウ糖を取り込む扉が開くわけです。

インスリンの効きが悪くなるというのは、インスリンの量が足りていても上手くインスリン受容体を刺激できないために細胞にブドウ糖を取り込めないということなんです。

そのため体は血糖値を下げるために、更なるインスリンの分泌をします。
肥満になると高インスリン血症になりやすいのはそのためです。

で、

インスリンとがんと何の関係があるのか?というと。

インスリンとよく似た構造をしている物質に「IGFー1」と呼ばれるというものがあります。

これは、成長ホルモンの刺激にともなって肝臓から分泌される物質で、
筋肉や骨、内臓、神経など人体の多くの器官で細胞が成長するために必要不可欠なものなんですが。

困ったことにがん細胞の増殖をも促進しちゃうんですね。

しかも、

IGF-1受容体もまたインスリン受容体によく似た構造のタンパク質なので、
インスリンは間違ってIGF-1受容体に結合したりする
からさあ大変。

なんと、過剰に分泌されたインスリンが次々と誤ってIGF-1受容体と結合してしまい、
がんの増殖を促進してしまうことに・・・

なんていう研究報告も出てきています。

高インスリン血症が続くと、インスリンを分泌しているすい臓は疲弊し、やがてほとんど分泌しなくなり、慢性的に血糖値が高い糖尿病となります。

正式に糖尿病になり、インスリンが殆ど分泌されないのであればIGF-1受容体を刺激することも減り、がん細胞の活性化は治まるのではないか?

と思いたくもなりますが、

がん細胞は、糖尿病によって溢れているブドウ糖を栄養にして大量に取り込むので結果的に増殖を続けるという。

なんともやっかいな存在です。


だからこそ、肥満改善のため、また血糖値を下げるために「運動」は有効な手段としてよく取り上げられます。

運動によるエネルギー消費には、そのエネルギー源としてブドウ糖を消費するので当然ですよね。

でも勘の良い人はこう気付く人もいるかもしれません。

「肥満の予防や糖尿病の予防という意味なら分かるが、すでに糖尿病になってしまっている場合には、インスリンが働かないわけだからいくら運動をしたって血糖値は下がらないのでは?」と。

確かに。ブドウ糖が細胞に取り込めなくては血糖値は下がりませんからね。

でもご安心ください。

運動によってブドウ糖が取り込める別の方法があるんです。


・・・つづく

『【健康】 糖尿病最新事情(後編) 運動が糖尿病改善に有効なワケ』


(インスリンを制する者、糖尿病を制す SHIBA)