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【入浴】 免疫力を高める入浴法(後編)


深部体温を上げると免疫力は高くなる。

深部体温を効率よく上げるには熱い温度よりもぬるめの温度の方が良い。

それは副交感神経を刺激することで一酸化窒素(NO)が産生され、血管が拡張し血流が良くなるためである。

熱い温度は皮膚表面(表面体温)は明らかな上昇を示すが、 交感神経を刺激して血管が収縮されるので血流が悪くなるために深部体温まで同じように上昇するわけではない。

仮に同じように深部体温も上昇したとしても、交感神経が優位すぎる状態では免疫力は高まらない。

という話を前回しました。

『【入浴】 免疫力を高める入浴法(中編) 』 参照


ただし、敢えて熱めの温度に浸かることで免疫力を高める入浴法も存在します。

それはHSP(ヒートショックプロテイン)入浴法

HSPとは、傷ついた細胞を修復するタンパク質で、ストレスを受けると産生され、免疫力も高まると言われています。

どんなストレスでもHSPは産生されますが、その名のとおり温熱による刺激が一番増加するらしいです。

「あれ?ストレスは免疫力を低下させるんじゃないの?」と思ったアナタ。

いい質問ですねぇ~。

ストレスは溜め込むと体に悪いものですが、適度なストレスはむしろ必要なものなんですよ。

『【健康】 「免疫力のバランス」とはどういう意味?⑨ストレスは敵か? 』 参照


HSPの効果を得るには、体温を2℃上げるとHSPは産生されるらしいので、平熱が36度台だとすると38度台まで体温を上げる必要があります。

一般的には

40℃のお湯で20分間
41℃のお湯で15分間
42℃のお湯で10分間


で体温が2℃上がると言われています(炭酸系の入浴剤を使用すれば時間は短縮できる


ただし、気をつけなければいけないのは、HSP入浴法は危険を伴うこと。

40℃ならともかく、42℃のお湯は確実に交感神経を刺激しますので、 心拍数の増加や血圧の上昇を伴います。
心臓や動脈硬化に心配がある人にはとても勧められたものではありません。

また、疲れやストレスが溜まっている状態のときにHSP入浴をすると、
ただでさえ交感神経が優位すぎるところへさらに交感神経を刺激する行為となり、これでは自律神経のバランスを崩すことになります。

疲れやストレスが溜まっているときは、ぬるめのお湯でリラックスする方が効果的です。

HSP入浴法は休みの日とか良いかもしれませんね。
こんなの毎日するとかえって健康に良くないですよ。事実、HSP入浴法は4日に一度で良いと言われています(効果は3日持続する)



質の高い睡眠に繋げる


さて、入浴には質の高い睡眠に繋げることができるという効果もあります。

睡眠は自律神経を整えるのに大切な要素。

ヒトは体温が少し下がっている過程で眠くなる習性があります。
ヒトは体温が下がっていくと代謝も下がるため、エネルギーを調節しようと眠くなるんですね。

だから入浴で一度体温を上げることはとても有効です。
一度体温を上げないと下がる過程をなかなか得られないの眠くなりにくい(そのため冷え性の人は寝付きが悪い)


さて、ここで思い出して欲しいのが38℃のお湯で入浴した場合の体温の変化。

2016514162725.jpegのサムネイル画像


入浴時間が5分間と15分間のどちらの場合でも、出浴直後よりも出浴30分後の方が体温は上昇していますよね。
これは一般的にぬるいと言われる38℃のお湯でも湯冷めをしなければ体温は下がらないことを意味しますが、
そのため逆に「体温が下がる過程を得る」ことが難しそうです。

38℃のお湯は副交感神経に働きリラックス効果を得ることはできますが、入眠効果は弱いということになります。



40℃のお湯で15分間(入浴剤使用)がベスト?


では一体、免疫力を高める入浴法は何か?そろそろ答えを決めましょう。

ポイントは

 ●深部体温を上げる
 ●副交感神経を刺激して自律神経のバランスを整える
 ●HSP効果を得る
 ●体温が下がる過程を得る


これら条件を全てクリアするのはズバリ

炭酸系の入浴剤を使用した40℃のお湯に15分間入浴すること。


実は以前に紹介した研究のデータによると、
40℃のお湯に15分間入浴した場合、出浴直後で1.40℃、出浴30分後で0.63℃の体温上昇が計測されています。

2016515162037.jpeg


40℃であれば副交感神経を刺激する範囲内で、NO産生による血行促進が見込めます(深部体温の上昇)


また、HSP入浴法では、HSPを産生するためには体温は2℃上げなければならず、40℃のお湯の場合20分間入浴する必要があるが、これは炭酸系の入浴剤を使用することで幾分短縮できます(長湯することは個人的にはあまりお勧めしない)

仮にHSPが産生できなくても、そもそも毎日入浴するならばHSP入浴法にはこだわらなくても良いことになりますけどね。


そして、入眠効果を得るための条件である出浴直後から30分後にかけての体温下降の過程がはっきりとあること。


以上のことから、この入浴法を就寝30分前~2時間前に行うのが免疫力を高めるベストであると結論付けます。

とはいっても、あくまでも個人的な意見ですが・・・


(SHIBA)


参考資料 「入浴法および入浴習慣が心身に及ぼす影響に関する研究」 金沢大学


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『【入浴】 免疫力を高める入浴法(前編)』
『【入浴】 免疫力を高める入浴法(中編)』