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【健康】 サウナを科学する② デトックス効果(後編)


「デトックス」という言葉は当たり前のように使われているが、学術的には定義されておらず、一般的には「毒素や老廃物の排出」という意味で用いられているようです。

しかし、ここでいう毒素とは何のことかですら曖昧で、しかもサウナでいくら発汗しても汗に含まれる成分の99%は水であり、残りの1%の大部分も塩化ナトリウム(食塩)でしかなく、とても発汗でデトックスできるとは言い難い

ただし、体外毒素、つまり元々体内には存在しない水銀、カドミウム、アルミニウム、鉛などの有害物質は、便や尿では排出されないようです。

そしてこれら体外毒素は唯一発汗でのみ排出されると言われています。

発汗と言っても汗腺から出る汗のことではなく、皮脂腺から出る皮脂と一緒に混じって出るとのことで、つまり皮脂の分泌が活発なほど体外物質を排出できるということになります。

皮脂の分泌は思春期に多く、とりわけ男子学生の肌に脂がたまってテカっているイメージがしやすいかと。

年齢と共に皮脂の分泌は減っていくので、デトックスをするなら意図的に分泌させなければなりません。

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さて。

その皮脂が分泌されるには30kmの走行に相当する運動をすることが条件となるようです。

いやいや。普通に考えれば これはかなり条件が厳しいです。

ところがサウナを利用すれば皮脂を分泌するのは簡単になります。

というのは、サウナを利用すると汗をかきますよね。
体温を下げるために汗腺から汗が出るわけですが、そのうち汗が出尽くします。
それでも体温を下げることを止めるわけにはいかないので、汗が出尽くすと今度は皮脂腺から皮脂を出すそうなのです。

この時に、皮脂と一緒に体外毒素が出ると・・・そういうわけです。

でもこれ、方法はサウナに入るだけなので方法としては簡単ですが、「汗が出尽くした後に」ということはかなり長い時間待つことになりそうです。

人によっては心臓への負荷や脱水症状が心配ですね。

その点、岩盤浴だと時間を短縮できるそうですよ。


ちなみに汗が出尽くしたかどうかを判断する目安ですが、最初ベタベタしていた汗がサラサラな汗に変わった時。

汗はベタベタしているものですが、やがて皮脂が分泌されると汗と皮脂が混ざってサラサラな皮脂膜ができるんです。

皮脂膜は天然の保湿クリームと言われ、細菌から肌を守ったり潤いを逃がさないために重要な役割を持っています。臭くもない。

そのためかサウナ後に洗い流さなくても良いという論調もありますが、しかし多すぎる皮脂は毛穴の詰まりを招きますから一概に賛同できるものかどうかは疑問です。個人的には、皮脂に体外毒素を含むのであれば洗い流す必要があると思います。



●結論


一般にデトックスといえば肝臓で解毒され、排便や排尿によって排出されるもの。

発汗そのものにデトックス効果があるとは言い難い。

もしサウナにデトックス効果があるとすれば、唯一皮脂腺から排出される水銀、カドミウム、アルミニウム、鉛などの体外物質に対してでしょう。

ですが現実的に考えて、日常的に健康に害を与えるほど摂取しているのか?という疑問もあります。

考えすぎなような気もしますし、サウナにはデトックス効果があるというはっきりとした根拠は見当たりません

ただし、その先にある美肌効果は得られます

サウナで血行が良くなることで新陳代謝が盛んになりますから、肌の細胞にとっても効果が期待できます。

「毒素が排出されるから肌に良い」のではなく、「ターンオーバーが活性化されるから肌に良い」のだと言えそうです。


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