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健康・入浴法

【入浴】 「疲労感・全身倦怠感」の入浴法 ~疲れを放置しない~


倦怠感とは「だるい」「しんどい」「疲れやすい」などといった日常にありふれた症状のことです。

「疲労感」と「倦怠感」という2つの言葉は、しばしば違う意味として区別されたり同義語として扱われたりしますが、医学的には疲労感は倦怠感の内に位置づけられているようです。

ふだんは元気な人でも激しい運動長時間の労働睡眠不足などににより疲労感を感じることがあります。
このような生理的な理由による疲労(感)は十分な休息や睡眠をとることで回復します

入浴も有効で、適切な入浴をすることで疲れの取れ方が格段に良くなります。

一般的に倦怠感といえばこのような生理的疲労感を指しますが、全身倦怠感の原因には病的な疲労感が隠れている場合もあります

例えば何らかの悪性腫瘍が潜んでいる場合や感染症にかかっている場合、心臓や肝機能などに障害がある時やホルモンバランスの異常によることもあります。食欲不振や強い不安からくる精神的な理由による場合もあります。

同じ疲労でも、よく「肉体的な疲労と精神的な疲労」などと分けて考えられることがありますが、この一般的に言うところの精神的な疲労は病的疲労感に分類されます。

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全身倦怠感の分類

●生理的疲労感 ・・・ 
原因疾患なし (運動、労働、睡眠不足等) 
●病的疲労感  ・・・ 非器質的疾患(精神的・神経的な疾患)
            器質的疾患(感染症・循環器疾患・肝障害・内分泌疾患・代謝疾患・悪性腫瘍等)
            慢性疲労症候群(原因不明の疲労感が6か月以上続き、日常生活に支障をきたす疾患)



ここでは肉体的な疲れ、つまり生理的疲労感についての入浴法を中心に紹介します。 



◆生理的疲労感(肉体的な疲れ)の入浴法


主な原因は過度な運動・長時間の労働・睡眠不足など。

肉体疲労の蓄積は活動と休息のバランスの乱れが原因となりますので、この場合の疲労感を軽減するには効果的な休息や睡眠をとることです。

疲労に関係しているのは自律神経の中枢です。
ここから血圧や呼吸・体温など生命を維持するための調節をする指令が出ています。

自律神経の中枢の細胞は、過度の運動や長時間労働などがストレスとなって発生する活性酸素によって傷つきます

この細胞の傷が疲れの正体です。

しかしヒトの体はこの傷を修復する機能も持っているわけですが、この修復機能が最も働くのが睡眠中

ですので睡眠が不足すると修復が遅くなり疲れが取れないので、睡眠不足も疲労感の原因となるわけです。

この状態を放置すると、やがて自律神経の機能が低下するので様々な病的疲労感の原因となっていきます。

例えば血圧の調節機能が低下すると低血圧となって立ちくらみを起こしやすくなったり、呼吸の調節機能が低下すると心不全となって呼吸苦や頻脈を起こしやすくなったり、代謝機能が低下すると糖尿病の進行が進んだり肝障害を起こしたり・・・

そうならないためにも、疲労にはしっかりとケアをすることが重要です。

質の高い睡眠を得るには入浴はとても効果的です。


入浴法のポイント

①質の高い睡眠につなげること
②代謝を促進させる
③入浴によるエネルギー消耗を抑える
④心臓に不安のある人はサウナ浴
⑤入浴前にコップ1杯の水分補給



ここで言及しているのは全身倦怠感の入浴法なので、過度な運動による部分的な筋肉の疲労である筋肉痛や、事務系の仕事などによる肩の筋肉の緊張で起こる肩こりなど、局所的な疲労に対する入浴法については除外します。


『【入浴】 「筋肉痛」の入浴法 ~温冷交互浴とHSP入浴~』 参照

『【入浴】 「肩こり」の入浴法 ~炭酸ガス系の入浴剤やアロマで効果的に改善~』 参照



①質の高い睡眠につなげること

入浴は、疲労回復を目的とするならば睡眠の1~2時間前に入りましょう

入浴によっていったん深部体温が上昇しますが、入浴後に時間をかけて深部体温が下がりかけている過程でヒトは眠たくなる習性があります。
また、そうしたタイミングで入眠することが一番深い眠りにつけます。

目安となるお湯の温度と入浴時間は

39℃のお湯に20分間
40℃のお湯に15分間


深部体温が1℃上がると言われています。

入浴後はいきなり冷たいものを飲んだり、冷房や扇風機で火照った体を冷やさないようにして下さい。
手足の先から熱を放出することで徐々に深部体温が下がるようにしないと入眠効果はありません。


②代謝を促進させる

細胞に酸素や栄養が不足すると代謝が悪くなります。
それが皮膚の細胞であれば肌トラブルの原因になりますし、筋肉細胞であれば疲労の代謝産物である乳酸がたまりやすくなって疲労の原因となります。

代謝を促進するには体温を上げること。

お風呂に入ると温熱効果が得られ血管が拡張されるので、細胞の代謝産物で出てくる二酸化炭素や老廃物をスムーズに回収できます。結果、疲労の回復を早めます。

ただし、体温を上げれば良いからといって42℃以上のような熱い温度は交感神経を刺激してしまい逆効果となりますのでご注意下さい。


代謝を促進して回復を早める入浴剤としてはクエン酸風呂をおすすめします。

クエン酸風呂には乳酸値の低下(回復)を促進することが認められていて、疲労回復効果があるとされています。


『【入浴】 家庭でできる「クエン酸風呂」』 参照


③入浴によるエネルギー消耗を抑える

入浴時間は長いとそれだけで体力を消耗します。
そのためできれば入浴時間は短縮したいものです。

お湯の温度を高くすれば早く深部体温が上がるので入浴時間を短縮できると思いがちですが、熱い温度では交感神経を刺激してしまい、お風呂でリラックスできなくなります。
疲れを感じているのに入浴でリラックスできないなんて本末転倒です。

そこで入浴剤に工夫をしてみることが有効です。

炭酸ガス系入浴剤は血行促進効果が高いので体温を上げやすい入浴剤です。
血行促進効果のある入浴剤を使用すれば、同じお湯の温度でも深部体温を1度上げるための入浴時間をおよそ5分程短縮できると考えられています。

また、家庭の風呂を炭酸風呂にする方法もあります。


『【入浴】 家庭でできる「炭酸風呂」』 参照


なお、入浴時間は短縮するためとはいえ、動作は急がなくても構いません。
ゆっくりとした動作は酸素消費量を少なくする効果があります。

浴槽に浸かっている時はゆっくりと深呼吸しましょう。
入浴時間は短くてもリラックスして副交感神経を優位にすると疲れが取れやすくなります。


④心臓に不安のある人はサウナ浴

浴槽浴は水圧がかかるので、少なからず心臓に負担がかかります。

心臓に不安のある人にはかえって疲れを増悪させてしまう可能性があります。

全身浴ではなくて半身浴するのも方法の一つですが、全身浴の場合と同じだけ温まるには少し入浴時間を増やす必要がありますので、これはこれで疲れやすくなってしまいます。

水圧がかからないという意味ではサウナ浴をおすすめします。

サウナにも疲労回復効果がありまして、高温サウナよりも低温サウナの方が負担は軽いです。


『【健康】 サウナを科学する③ 疲労回復効果』 参照


横になれる岩盤浴も負担が少なくていいですね。


⑤入浴前にコップ1杯の水分補給

入浴前に水分を補給しておくことで、余分な水分を押し出しやすくなります。
体内の水分が不足すると血流が悪くなって疲労が蓄積してしまいます。



◆病的疲労感の入浴法


全身倦怠感は、運動や仕事の疲れによる生理的なものでないとすると、何らかの疾患が原因となっている可能性があります。

生理的疲労感は休めば回復するのに対し、病的疲労感は休むだけでは解決しません。原因となる疾患に対する適切な治療・改善が必要です。

そのため、休んでも倦怠感が続く場合は、自分の倦怠感の原因が何なのか?という見極めが重要であり、重大な疾患が隠れている場合もありますから、簡単に「疲労のせい」と自分で決めつけないで医療機関を受診しましょう。

特に倦怠感の出現が急激である場合は、肝障害心不全などの可能性があります。もし原因が臓器にあるのならば緊急な対応が必要です。
全身倦怠感以外に随伴する症状として黄疸浮腫腹水などがあるならば肝不全。浮腫呼吸困難頻脈などを伴うようなら心不全が疑われます。


『【入浴】 「心不全」の入浴法 ~ぬるめ、浅め、早め~』 参照

『【入浴】 「肝炎」の入浴法 ~肝臓に負担をかけないこと~』 参照

『【入浴】 「脂肪肝」の入浴法 ~代謝機能を高める~』 参照



また、夏に多い急速な倦怠感の原因には脱水症電解質異常があります。
随伴する症状としては吐き気手のしびれ肌の乾燥が見られます。熱けいれんを起こす場合もあるので「ただの夏バテだろう」と甘く見てはいけません。
加齢とともに異変に気付きにくくなるので高齢者は特に注意が必要です。


『【健康】 高齢者が熱中症にかかりやすい本当の理由』 参照


このように、何らかの病因があるときは倦怠感以外にもその疾患に特徴的な症状を随伴するため、これら情報を見逃してはいけません。

休息をとっても状況が改善されず、また倦怠感以外に随伴症状がある場合は、病的疲労感と思われますので放置しないで診てもらいましょう。



関連記事

『症状別の入浴法』

【健康】 入浴中に心筋梗塞や脳梗塞を起こしやすい本当の理由と意味を知ろう!


お風呂のトラブルとして心筋梗塞脳梗塞が多いことはよく知られています。

特に冬場の寒い日。

これは、暖かい部屋から冷えた脱衣場や浴室への寒暖差や、脱衣による行為により、血圧が急上昇(血管が収縮)することで血の巡りが滞る(虚血)ことが原因です。

心臓の冠動脈や脳に動脈硬化のある人は、その動脈硬化のある場所で血流が止まり、その先の細胞に酸素や栄養が届かなくなることで心筋梗塞や脳梗塞が起きやすくなるわけです。


・・・と、ここまでは誰でも知っていること。


問題なのは「寒くない日でもお風呂で心筋梗塞や脳梗塞が起こる」ということ。

極端な話、夏のすごく暑い日だって起こりえます。

全く寒暖差がないのにどうしてか?

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実はお風呂で心筋梗塞や脳梗塞になる原因は脱衣場や浴室の環境的要因ばかりではありません。

湯船に浸かっているときにも危険はあります。

なぜだか分かりますか?

ひとつは42℃以上の熱いお湯に浸かった場合。
熱さによって交感神経が刺激され血圧が上がります。

もうひとつは、全身浴の場合。
水圧が心臓を圧迫しますので、心臓に問題のある人や動脈硬化のある人にはリスクを伴います。

このように湯船に浸かっているときにも血圧が上がる要因はあるということです。

だから動脈硬化のある人は気を付けなければならない。

動脈硬化のある人にはぬるい温度で半身浴が適している・・・と、そう思いますよね。


しかし!!  (問題はここから)


ぬるい温度で半身浴をしている場合でも心筋梗塞や脳梗塞になる場合もあるんです。

このような入浴法ではふつう血圧は上がりません。むしろ下がります。

それなのに心筋梗塞や脳梗塞になるのはどうしてか?
不思議だと思いますでしょ。


結論から言いますと、これは「体温が上がるから」

え?・・・と思うかもしれませんが、そういうことです。


温めのお湯に入浴すると副交感神経が優位になって血管が拡張します。

これにより血行が促進されます。

また、体温が上がることでも血流は増加します(熱放散のため)

この時。注目すべきは、血行が良くなって血流が増加しているのは皮膚血管だということです。

体温が上がると熱放散のため血流は皮膚周辺に集まってきます。さらに体温が上がれば発汗しなければならない。

それに引きかえ、動脈硬化の起こりやすい場所といえばどこでしょうか。

そうです。大動脈や心臓の冠動脈、脳の動脈や頸動脈、そして腎臓など体幹部分に動脈硬化が多いですよね。

何が言いたいか、もうお分かりですよね。

お風呂で温まると、皮膚周辺の血流は増加するが、その代わり体幹部分、つまり動脈硬化のある血管の血流は悪くなるので、そこで虚血を起こすと脳や心臓の細胞は酸素や栄養が届かなくなり急激に機能が停止してしまいます。

(一応、末梢動脈にも動脈硬化は起こりますが、末梢動脈の場合は手のしびれや冷えの原因にはなりますが心疾患などとは無縁)

また、体温が上がって発汗することで血液は水分を失いドロドロになりやすく、これも虚血の原因となります。


というわけで、動脈硬化のある人は、入浴には常に心筋梗塞や脳梗塞のリスクを伴うということになります。

動脈硬化がある人はお風呂に入ってはいけないという意味ではなくて、入浴の前後にコップ一杯ぐらいの水分補給をしっかり行い、長湯をしないことが肝心です。
 

【入浴】 家庭でできる「炭酸風呂」


当館のような温浴施設でよく見られるようになった「人工炭酸泉」

ヨーロッパでは天然の炭酸泉が昔から「心臓の湯」と言われるほど入浴療法として定着していて、とても健康に良いことが分かっています。

冷え性や高血圧の改善はもちろん、詳しくは後述しますがリウマチや変形性膝関節症のような関節炎の抑制、椎間板ヘルニアや座骨神経痛のような疼痛の緩和、末梢血管障害や褥瘡の治癒力促進など、その効果は多岐に渡っています。

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そんな炭酸泉と同じような効果を家庭のお風呂でも実感できることはご存知でしょうか?

作り方はとても簡単。
用意する物は重曹クエン酸だけ。

目安は一般的な浴槽(200リットル前後)のお湯に重曹を大さじ3杯、クエン酸を大さじ2杯入れるだけ。
これだけで炭酸風呂の完成です。


炭酸風呂とは高濃度の炭酸ガス(二酸化炭素)が溶けたお風呂のこと。

炭酸ガスは水が高温になるほど溶けずに空気に抜けやすい性質があるので、お風呂の温度はぬるめの35~38℃程度に設定しましょう。
温浴施設の人工炭酸泉も温度はぬるめになっているはずです。

ちなみに重曹とクエン酸はそれぞれ単体でも重曹風呂やクエン酸風呂として入浴剤の役割を発揮します。


『【入浴】 家庭でできる「重曹風呂」』 参照

『【入浴】 家庭でできる「クエン酸風呂」』 参照

重曹とクエン酸を混ぜると炭酸風呂となりますが、重曹風呂とクエン酸風呂の両方の効果が得られるのかと思いきや、全く別の作用が働くため全然違う効果が得られます。



◆炭酸風呂の作用


●血管拡張作用

炭酸ガス(二酸化炭素)は水に溶けやすいだけでなく油にも溶けやすいという特性があります。
そのためヒトの皮膚や粘膜から浸透しやすく、浸透部位の血管を拡張させて血流をよくする作用があります

ふつうのお風呂に入るだけでも体が温まって副交感神経が優位になり血管は拡張されます。
しかし、炭酸風呂には炭酸ガス(二酸化炭素)自身に血管を拡張させる作用があるのでより血管が拡張され血流が促進されます。

ふつうのお風呂に入浴すると血流が2倍になるとしたら、炭酸風呂は10倍にもなるとさえ言われています。


●ボーア効果による酸素供給促進作用

炭酸風呂の最大の特徴は血管拡張よりもボーア効果かもしれません。

ボーア効果とは簡単に言うと「二酸化炭素の濃度が高くなることで酸素を取り込もうとする作用」のこと。

血管の拡張作用もボーア効果によるものと考えられますが、ボーア効果の最大の魅力は細胞への酸素の供給が促進されることです。


例えば人工炭酸泉による入浴実験で、閉塞性動脈硬化症や褥瘡などに対し改善効果があることが認められているんですが、これは単なる血流改善だけでは説明がつかず、改善された理由は炭酸浴によってボーア効果が得られたからだと考えられているんですね。

ちょっと分かりにくいと思うので、もう少し詳しく説明しますね。

ご存知のとおり、体の細胞は血液が運ぶ酸素と栄養をもらって働いていますよね。

酸素は赤血球内のヘモグロビンと結合して全身の組織に運ばれていますが、ヘモグロビンから分離されない限り細胞へは供給されません。

ヘモグロビンから酸素が分離されなければ細胞は酸素を得ることができず酸欠状態になります。
特に疲労している部位や怪我をしている組織周辺の細胞は十分な酸素が供給されないと回復が遅くなります。
炭酸ガス(二酸化炭素)にはヘモグロビンと結合している酸素を分離させる働きがあるので炭酸風呂は治癒力を促進すると考えられているんですね。

そもそもヘモグロビンから酸素が分離されやすくなるには、その細胞が酸素をたくさん必要となる状態にならなければなりません。

酸素をたくさん必要となる条件とは「二酸化炭素濃度が高くなる」「pHが低下する(酸性に傾く)」「体温が上昇する」などがありますが、運動をした時に呼吸が苦しくなることを連想すると分かりやすいかもしれません。

運動によって使われた筋肉の細胞は酸素をたくさん消費しているので、その周辺組織の二酸化炭素濃度は高くなります。
二酸化炭素濃度が高くなるとpHは低下します。
運動により増加する乳酸によってもpHは低下します。
しかも体温が上昇します。
これら一連の結果全てがヘモグロビンから酸素を分離する要因になります。

これがボーア効果。

炭酸浴によってこれと同じような効果が得られているということです。


ボーア効果の何が凄いかって、低温の入浴によっても血行促進や酸素の供給が促進されるってこと。

例えば急性の炎症を起こしたとき、その患部を温めると症状は悪化しますよね。ふつうは冷やさなければならない。

しかし冷やしてばかりいると、炎症を起こした部分は代謝抑制作用(細胞の働きを鈍らせること)によって炎症が抑えられますが、患部周辺の血流は悪く、細胞に十分な酸素が行き渡らないのでなかなか回復はしません。

ところが低温での炭酸浴では、動物実験ではありますが急性膝関節炎の治療に対して有効であることが示唆されているんです。

低温での炭酸浴をすることで炎症を抑えつつ、かつ炭酸浴による血流促進効果とボーア効果で患部に酸素が供給されるために治癒力を高めているものと推測されているんですね。



◆炭酸浴の効果


血管拡張作用による血流促進とボーア効果による酸素供給促進が、これまでに以下のような症状に好影響をもたらしていると考えられてきています。


●血管拡張作用による効果

・冷え性
・高血圧
・心不全

などをはじめとする、血管拡張による血流改善が影響する症状全般

心不全に対しては血管拡張作用により心臓の負担が軽くなるので炭酸浴は心臓に優しいとされています。
東欧では古来から炭酸泉が療法に活用されていたほどです。

『【入浴】 「心不全」の入浴法 ~ぬるめ、浅め、早め~』 参照



●酸素供給促進作用による効果

・リウマチ
・椎間板ヘルニア
・脊椎管狭窄症
・坐骨神経痛
・腰痛
・肩こり
・筋肉痛
・関節痛
・生理痛
・閉塞性動脈硬化症
・糖尿病
・褥瘡
・不眠症


などなど・・・

ボーア効果によって治癒力を高められるの、で炎症の抑制疼痛の緩和血行障害や損傷の回復に良い影響を与えるとされています。これが炭酸浴最大の魅力でしょう。


例えば肩こりは、原因の一つに肩の筋肉の酸素不足がありますが、このような場合の入浴は炭酸浴が適しています。

『【入浴】 「肩こり」の入浴法 ~炭酸ガス系の入浴剤やアロマで効果的に改善~』 参照


筋肉痛も炭酸浴によって酸素の供給が促進されれば回復が早まります。
そのためスポーツ選手の疲労回復に活用されています。

『【入浴】 「筋肉痛」の入浴法 ~温冷交互浴とHSP入浴~』 参照


糖尿病にも効果があると言われていますが、糖尿病の合併症である末梢血管障害に対しては特に有効だと思われます。
血管拡張作用に加えて酸素の供給促進作用により、治癒力を高めることが期待できます。

『【入浴】 「糖尿病」の入浴法② ~糖尿病患者の場合~』 参照


不眠症は炭酸浴によって疲労回復と自律神経の改善が見込めるので効果が期待できます。
※自律神経の改善が見込めるのは血管拡張作用によって副交感神経が優位になるから

『【入浴】 「不眠症」の入浴法 ~就寝の1~2時間前に入浴する~』 参照


炭酸浴の効果はまだまだ可能性を秘めています。
認知症の予防にまで研究が進んでいるようです。

美容と健康のために、今後はさらに注目と活用が広がっていくことでしょう。
 

【入浴】 家庭でできる「クエン酸風呂」


クエン酸(C?H?O?)は、柑橘類や梅干し、スポーツドリンクなどに含まれているので疲労回復物質として有名ですが、その他にも健康や美容にも効果があると考えられています。

クエン酸による効果

・疲労回復効果
・美肌効果
・ミネラルの吸収を高める効果
・殺菌、体臭予防効果
・痛風の改善
・肝機能の向上



これらの効果は経口摂取した場合のものですが、実はクエン酸は皮膚からも吸収されることが分かっています。
そのためクエン酸風呂においても同様の効果が期待されているわけです。

ホームセンターなどでクエン酸を買ってきて、一般的な浴槽(200リットル前後)であれば、お湯にクエン酸を大さじ2~3杯程度入れるだけでクエン酸風呂のできあがりですから簡単です。


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ちなみにクエン酸に重曹を混ぜてから浴槽に入れると炭酸風呂になります。

『【入浴】 家庭でできる「炭酸風呂」』 参照



◆疲労回復効果


クエン酸が疲労の回復に効果があるといわれるのは、ヒトの細胞内のミトコンドリアにおいてクエン酸がクエン酸回路の間で働いているから。
もう少し詳しく言うと、糖質や脂質などをエネルギーへと変換する代謝経路の中にクエン酸回路というものがあって、そこでエネルギーを得ています。

ですので、クエン酸回路の働きが鈍くなると十分なエネルギーを作り出せない状態になります。これが俗にいう「代謝が悪い」状態です。

代謝が悪いと疲労はなかなか回復しないので、そこでクエン酸を摂ると良い・・・というわけです。

ところが、このクエン酸。本当に疲労回復に効果があるというエビデンスはまだ確立されていないとも言われています。
もっと言えば、外部から取り込まれたクエン酸がクエン酸回路に利用されるとは証明されていない(細胞内のクエン酸回路のあるミトコンドリアまで届かない)

基本的にはクエン酸は生体内において、オキサロ酢酸とアセチルCoAとの反応によって生成すると考えられています。

しかし、これまでの実験からはクエン酸を摂取した方が若干ながら疲労回復力が向上していることが認められていることも事実。
とりあえず、クエン酸にはグリコーゲンの再補充を早め、乳酸値の低下(回復)を促進しているということだけは分かっています(エネルギーにブドウ糖を使わず乳酸を利用、消費することで疲労前と同じ状態に戻している)

だからクエン酸を摂取することは疲労回復に一定の効果が期待できる。というのが一般的な常識となっています。



◆美肌効果


美肌効果というと大げさかもしれませんが、クエン酸によって代謝がよくなれば肌においては皮膚の新陳代謝の促進になります。
古い角質がなかなか剥がれない肌の人には期待したくなる効果です。



◆殺菌、体臭予防効果


皮膚上には常在菌がいて、善玉菌である表皮ブドウ球菌などが皮脂をエサにして分解された脂肪酸により皮膚が弱酸性に保たれることで悪玉菌(アルカリ性を好む)の繁殖を抑えています。
ボディソープや石鹸はアルカリ性であることが多いので、これらで体を洗うと皮脂などを洗い流すことができる代わりに善玉菌たちも殺菌されます。しかし正常な肌であればすぐに新たな皮脂の分泌と善玉菌の繁殖ができるので元の状態に戻ります。

ところがカサカサで汗や皮脂が十分に分泌されていない肌では、善玉菌は繁殖できないので肌を弱酸性に保つことができず弱アルカリ性に傾いた状態です。
これは黄色ブドウ球菌など悪玉菌にとって好都合な環境なので悪玉菌が繁殖、そして炎症を起こしてしまう原因となります。

『【入浴】 「乾燥肌」の入浴法 ~保湿とバリア機能が大切~』 参照


アトピー肌の人の肌はアルカリ性に傾いている場合が多く、クエン酸風呂に入ることで肌を一時的に弱酸性にし、悪玉菌を殺菌する効果が期待できます。

また、クエン酸が汗腺に吸収されると体臭の原因となるアンモニア(アルカリ性)を抑えるので体臭予防にもなります。

ただし、これらの効果はあくまでも一時的なもの。

これは正常な人の肌をアルカリ性の石鹸などで善玉菌を殺菌してもそのうち元の状態に戻るのと同じこと。
悪玉菌にとって好ましい環境の肌である限り、一度殺菌してリセットしても再び善玉菌ではなく悪玉菌が繁殖することになります。

とはいえ、入浴という行為は汗腺機能を改善することでもあり、しっかり汗をかく習慣を身に付けることで汗腺から質の良い汗が出るようになるだけでなく、皮脂腺からの皮脂分泌も正常化してきます。善玉菌は皮脂をエサとして活性化し、悪玉菌の繁殖を抑えます。

また、アンモニアは代謝が悪いときに発生しやすいので、クエン酸によって代謝機能が改善できればアンモニア臭も減少することになるでしょう。



◆肝機能の向上


肝機能と代謝は深い関係にあります。
基礎代謝が最も消費されるのは筋肉でも脳でもなく、実は肝臓

ちなみに基礎代謝の内訳は、以下の通りです。
 ・肝臓 :27%
 ・脳  :19%
 ・筋肉 :18%
 ・腎臓 :10%
 ・心臓 : 7%
 ・その他:19%

代謝を促進して肝機能の働きを助けてあげましょう。


『【入浴】 「脂肪肝」の入浴法 ~代謝機能を高める~』 参照

『【入浴】 「肝炎」の入浴法 ~肝臓に負担をかけないこと~』 参照




関連記事

『【入浴】 家庭でできる「炭酸風呂」』
『【入浴】 家庭できる「重曹風呂」』


 

【入浴】 家庭でできる「重曹風呂」


重曹とは「炭酸水素ナトリウム(NaHCO?) 」のこと。

掃除の薬品に使用されているイメージが強いので「こんなのお風呂に入れて大丈夫かな」と思われるかもしれませんが、市販されている入浴剤に重曹(炭酸水素ナトリウム )が含まれていることが多いことからも分かるように、むしろ入浴剤として大活躍しています。

重曹のpHは8.4(水溶液では8.2)弱アルカリ性

重曹の特徴はこの弱アルカリ性に尽きるといっても過言ではありません。

弱アルカリ性であるために

・油脂を乳化する
・タンパク質を分解する
・酸性物質を中和する


といった特徴を持っています。


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◆美肌効果


皮脂や角質で覆われている皮膚表面は弱酸性に保たれているので、重曹によってこれらは柔らかくなって洗い落としやすくなります。

そのため重曹風呂は、体臭(皮脂が酸化すると嫌な臭いを出す)や背中ニキビ(皮脂の溜まり過ぎが原因)の予防に良いと言われています。

足の臭いが気になる場合は、重曹のお湯で足湯をすると消臭効果が期待できます。

また角質(タンパク質でできている)は古くなるとガサガサになりますが、重曹風呂によって角質を削りツルツルにします(ピーリング効果)

「重曹風呂には美肌効果がある」と言われるのはこうした理由によります。


ただし、「角質を削るということは、肌の弱い人には向いていないのでは?」という疑問があるかもしれません。

実は重曹はボディソープや石鹸よりもpHが低いので肌に優しいとも言えるんです。

ボディソープや石鹸で体を洗うと肌が荒れるという人もいますよね。そういう場合は、それらの使用をやめて重曹風呂に浸かるだけにすると良いかもしれません。

また、重曹には研磨作用によるスクラブ効果があるので、低刺激ではありますが重度の敏感肌の人は要注意かもしれません。

だから入浴の最後にはシャワーをして重曹を洗い流した方が良いですね。
そして入浴後は保湿ケアをしっかりすること。必要な皮脂まで落としているかもしれませんからね。


さて、家庭の風呂で重曹浴をする方法ですが、用意するものは市販の重曹を買ってくるだけ。

重曹は掃除用・工業用の物でも、食品用と成分は同じなので問題はありません(粒子の大きさが違うとかその程度の差)

一般的な浴槽(200リットル前後)のお湯に重曹を大さじ2~3杯程度入れるだけ。
乾燥肌やアトピー肌のような敏感肌体質の人は大さじ1杯から始めるとよいでしょう。

お湯は38~40℃のぬるめの方が良いと言われています。

重曹は無味無臭です。ですから入浴剤としてはつまらないかもしれません。
でも無味無臭のおかげで残り湯を洗濯(油汚れに強い)などに活用できるメリットもあります。

入浴剤らしくするなら重曹風呂にアロマ精油を数滴垂らしてみると良いでしょう。

さらなる消臭効果を期待するなら柑橘系やハーブ系などがおすすめです。
ただし柑橘系は少し肌がチクチクするかもしれません。

ちなみにアロマ精油を垂らすと、お湯に油が混ざるため残り湯は活用できません

 

【健康】 女性も注意!痩せているのに「脂肪肝」のワケ


最近は太ってもいないのに健康診断で「脂肪肝」と指摘されてビックリされる女性が多いそうです。

肥満でもないのに脂肪肝になるということで注目されているようです。


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脂肪肝とは肝臓がメタボのようになった状態を指します。

脂肪肝の原因は肥満飲酒が一般的な原因です。

しかし痩せていても脂肪肝になるその理由は栄養が偏っている栄養不足であると考えられています。

特に女性に多いのは糖質の摂り過ぎ

糖質を摂取すると血糖値が上がりインスリンが分泌されます。
インスリンが分泌されると血糖値が下げるだけでなく、タンパク質や脂質の合成も同時に行っています

これは、インスリンにはエネルギー源を蓄える役割があるからです(タンパク質や脂質は糖質が枯渇した時にエネルギー源として必要な栄養素)

通常、摂取した糖質は、消化されたのちブドウ糖などに分解され小腸で吸収されてまずは肝臓に取り込まれます(これはインスリンの作用によるものではない)

肝臓に取り込まれたブドウ糖の大部分はインスリンの作用によってグリコーゲンとして肝臓に蓄えられ、残りのブドウ糖は血中に放出されますが、インスリンが作用している間は肝臓からの糖放出を抑制します。
そして、肝臓にて余分なブドウ糖はインスリンによって中性脂肪に変換され貯蓄されます(インスリンが働くと血中のブドウ糖が減るので血糖値は下がるが肝臓に脂肪分が貯まる)


糖質の摂取 → 血糖値の上昇 → インスリンの分泌 → 中性脂肪の貯蓄


『【健康】 分かっているようで知らない「甘いものを食べると太るワケ」』 参照


そのためインスリンは「肥満ホルモン」と呼ばれることもありますが、たとえ肥満化しなくても肝臓にはしっかりと脂肪が蓄えられているはずです。

肥満化しなくても肝臓に脂肪がたまる理由はこうです。

肝臓から放出された中性脂肪は、血液を通して全身をめぐりますが、どの細胞にもエネルギー源として取り込まれなかった中性脂肪は再び肝臓に戻ってきます


また、そのような生活を続けていると、やがてインスリンの効きが悪くなって血糖値が下げられなくなり糖尿病になります。

糖尿病もまた脂肪肝の原因です。

それは、インスリンには血中の中性脂肪を分解するホルモン感受性リパーゼという酵素を抑制する働きがありますが、インスリンの効きが悪くなるとリパーゼの活性を抑制できず、中性脂肪より分解された脂肪酸が肝臓に取り込まれ、肝臓に脂肪が蓄積されるからです。

インスリンは働き過ぎても働かなくても肝臓に脂肪がたまるので、糖質の摂り過ぎは脂肪肝リスクを高めます。



では、糖質の摂取を制限すれば良いのか?

糖質の摂り過ぎが脂肪肝の原因になるというのなら糖質の摂取量を抑えれば良いということになりますよね。


ところが過度な糖質制限も実は問題ありなんです。

とりわけ女性に多いのが糖質制限ダイエット

これなら確かに痩せることができます。ダイエットとしては有効な方法です。

しかし、その代わりに脂肪肝になるリスクは高まるんですね。

なぜか。


それは、糖質が不足するとエネルギー不足にならぬよう、全身の血中から脂肪を肝臓に集めるため。

せめて糖質の代わりにタンパク質を摂取するのであればあまり問題にはなりませんが、
タンパク質まで制限するような過度なダイエットは脂肪肝リスクをさらに高めます。

先ほど、中性脂肪は肝臓から全身に運ばれるといいましたが、このときに中性脂肪はタンパク質と結びついて「リポタンパク」を形成してから血中に放出されるという特徴があります。

そのため、タンパク質まで不足していると、リポタンパクが作れないので中性脂肪が肝臓から放出されずたまり続けることになるんですね。

タンパク質は糖質が不足した場合のエネルギー源として消費されるので、糖質を制限するとタンパク質も不足しやすくなるため注意が必要です。


糖質は摂り過ぎても取らなさ過ぎても脂肪肝リスクになるということが分かります。

問題は摂取量ではなく、消費量なんです。

運動不足などにより中性脂肪が消費されない状態が続くと、肝臓にどんどん中性脂肪がたまるので脂肪肝リスクが高まります。

だからエネルギーを消費しないと脂肪肝になります。

女性に多い「○○制限ダイエット」や「○○抜きダイエット」は、痩せることはできても脂肪肝になる可能性を高めてしまうようです。


さらに女性が脂肪肝になりやすい理由が女性ホルモン。

女性の場合、肝臓の働きを助ける女性ホルモンが加齢によって減少することで脂肪肝のリスクになることが分かっています。

女性ホルモンであるエストロゲンには、血中の脂肪を皮下脂肪へとため込む作用があります。
閉経後はエストロゲンが減るので、血中の脂肪を皮下脂肪へとため込むことができず、その代わり肝臓にためてしまうようです。

マウスの実験では、エストロゲン欠損マウスは脂肪肝になり、エストロゲンを投与すると脂肪肝が抑制されることが分かっています。


女性に意外と多い脂肪肝の危険因子。

脂肪肝は放っておくと慢性肝炎や肝硬変に発展するので甘くみてはいけません。

特効的な予防方法はなく、食生活や運動習慣の改善で自分の身を守るしかなさそうです。



関連記事

『「脂肪肝」の入浴法 ~代謝機能を高める~』




 

【健康】 「寝る時にくつ下を履くのは冷え性対策には逆効果」というのは本当か?


どうもSHIBAです。

冷え性で困っている人の中には

「眠る時はくつ下を履かないと寝付かない」

と言う人は多いと思います。


しかし、最近では

「くつ下を履いて寝ると、冷え性には逆効果」

だという考え方が定着しつつあります。

よくテレビやネット、雑誌などで言われていることなので、冷え性に関心のある方なら一度は耳にしたことがあるかもしれません。

医療に携わる専門家ですら「くつ下を履くのはダメ」と言うことがあるので、何の疑いもなく鵜呑みにしている人も多いでしょう。


だけど本当にくつ下を履くのは逆効果なんでしょうかね???
僕には疑問に感じます。


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くつ下を履いて寝てはいけないという理由として挙げられる主な根拠は次のとおりです。


●足首が締め付けられて血行が悪くなるから
●くつ下の中でかいた汗が蒸れて冷えるから



くつ下を履くと血行が悪くなるんですか?

汗が蒸れて冷えるというのなら他の下着にも同じことが言えますがどんなんでしょう?
汗は全身から出るものですが、これでは全裸で寝なければいけないということになりますよ。

そんなことが理由であるというのなら、締め付けない物や通気性の良い物を履けば問題ありませんよね。

いまいち説得力に欠ける理由です。


唯一、それらしい理由が

●眠りにつくときは体温が下がるものである。しかし、くつ下を履くと熱がこもり、熱放散ができなくなるので体温調節が上手くいかず、逆に寝付きにくくなる。


というものです。

つまり、根拠はヒトの入眠メカニズムによるということです。

これは半分正解で、確かにヒトは深部体温が下がると眠たくなる習性があります。

※深部体温と言うのは臓器や脳など体の中心部の体温のこと

眠くなる時は深部体温が少し下がりますが、これは代謝を下げて体内のエネルギーを節約するためだと言われています。

この下がっている時こそ入眠のタイミングであることは間違いありません。

だから「くつ下を履くと熱がこもり、体温が下がりにくくなるから逆効果」であるというわけなのでしょうが、ここで大事なポイントが2つあります。


(1) 深部体温が下がる過程で眠たくなる

(2) 放熱をする時は手足が温かくなる


重要なのは「深部体温が下がる過程で眠たくなる」ということです。

ここが見誤りがちなんですが、冷え性の人が寝付きにくいのは深部体温の「下がる過程がない」ためなんですね。
もともと冷えている人は、一度体温を高めておいて、徐々に下がる過程を作る必要があります。

『【健康】 冷え性で寝付きが悪くなる理由と改善法』 参照


冷え性の人は手足が冷たい状態(皮膚血管が収縮していて血流が悪い状態)であり、つまりそれは熱放散ができずに深部体温が温かいままになっているか、もともと深部体温が低くてこれ以上下げることができない状態にあると考えられます。

冷え性にもタイプがあって、深部体温を下げようにも高血圧などが原因で末梢血管の血流が悪く、なかなか熱放散ができないタイプや、血行障害はないけれど深部体温が低いために低体温にならぬよう皮膚血管を収縮させて熱放散を防ぎ、その代わりとして手足が冷たくなるタイプなど人によって様々なんですね。

これを解決させるには 「皮膚血管を拡張させて血流を改善し、熱放散を促進する」か 「一度深部体温を高めて、深部体温が下がる過程を作り出す」のどちらか、もしくはその両方が必要になります。


皮膚血管が拡張すると熱放散も盛んになるので深部体温は下がります。
深部体温が下がっている過程においては手足が温かくなる(放熱中だから)ものであり、赤ちゃんが眠りにつくとき手足が温かくなることからも理解しやすいかと思います。

だから「くつ下を履くと熱がこもり、体温が下がりにくくなるから逆効果」というのは何か違うような気がします。

何度も言いますが、深部体温が下がる過程においては手足が温かくなるものなんですよ。
反対な言い方をすると、足が温かいということは深部体温を下げる条件でもあるということ。足が冷えてると下がらないんです。

ちなみに夏になると寝付きにくくなるのは深部体温が高いため。だから深部体温を下げるために足裏が熱いと感じることが夏にはよくある。
これは熱放散が行われている証拠です。

少なくとも、くつ下を履くことで足が温かい状況を作ることはできます。

だから直接的な冷え性改善にはならないにしても、「逆効果」だとまで言うのは誇張的だと思うわけです。


むしろ、それなりの効果は期待できると思いますよ。

足が冷たくてくつ下を履く人の心理って、入眠するために履くというよりも、「足が冷たい」ことが苦悶(ストレス)となっていて、とりあえずその状態から逃れたいという気持ちが大部分を占めているんじゃないでしょうかね?

足が冷たい。それ自体がストレスに感じていると交感神経が優位になり、より血管が収縮して血の巡りが悪くなります。
しかしくつ下を履いて足先を温めると、ストレスから解放されて副交感神経が優位となり血管が拡張すると予想できます。

冷え性の改善とまではいかなくても、血管が拡張すれば熱放散がしやすくなるので、 くつ下を履いた方が幾分寝付きやすいはずなんですけどね。

「くつ下を履くと熱がこもって放散できない」と言うけれど、実は熱放散ができるようになったから足が温かくなっているという側面もあるのではないでしょうか(これは僕の希望的推論)

とにかく、冷えを我慢しているよりはマシなはずですよ。


僕は冷え性ではありませんが、したり顔で「くつ下を履いて寝るのはダメだ」と簡単に言う人って冷え性で悩んでいる人の気持ちを考えていないのではないだろうかと勘ぐってしまいます

 

【健康】 冷え性の最大の原因は○○骨かも


女性に共通する悩みともいえる「冷え性」

冷え性対策としてあれこれ試しているが苦労が絶えない。

その理由は「体質が改善されない限りは解決しない問題」だからです。


女性が男性に比べて冷え性になる人が多い理由の一つが筋肉の量だと考えられています。

人が体温を維持するための熱を産生するのは主に筋肉での代謝によるものなので、筋肉量の少ない女性は発熱量があまりないために体温がりやすい傾向にあります。

そうなると、ヒトの体というのは大事な脳や内臓を守るために、手足の末端の血管が収縮して血液を体の中心部へ集めます

その代わりに手足の先が冷える。それが冷え性のメカニズムです。


『【健康】 脚の細い人には「冷え性」が多い?』 参照


こうなると血流が悪くなるので、手足の先まで血の巡りをよくしてあげなければいけません。

しかし女性の場合、とても大きな障壁があります。

それが「肩こり」


厚労省の調べ(平成22年国民生活基礎調査)によると、女性の最も訴えの多い自覚症状が「肩こり」であることが分かっています。


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肩こりは首から肩、背中にかけて大きく展開する「僧帽筋」の血流が悪くなることで感じる「コリ」で、女性にはやはりこの僧帽筋が男性に比べて少ないことが肩こりになりやすい原因となっているようです。

僧帽筋のような大きな筋肉がこってしまうと、僧帽筋による発熱量は減るばかりでなく、その周りの血流も悪くなるので冷え性になると考えられています。

では女性はあきらめなければならないのか?といえばそうでもない。


キーワードは「肩甲骨」

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僧帽筋と繋がっているのが肩甲骨で、肩こりの人の多くはこの肩甲骨が歪んでいるとも言われています。

姿勢が悪かったり同じ姿勢が続くと肩甲骨が歪んでしまうので、やがて僧帽筋がこったり血流が滞ったりするようです。

肩甲骨の歪み方は人によって違いがありまして、

●左右の肩甲骨の高さが違うタイプ
●両肩甲骨がおじぎするように前へ傾いているタイプ
●肩甲骨を背中側から見たとき、ハの字に開いているタイプ


など様々で、特にハの字タイプは肩が上まで上がらなくなる原因にもなります。


そういうわけで、肩甲骨を積極的に動かすことは、肩こりの解消になるばかりか、肩こりによる冷え性の改善にも効果が期待できます。

肩甲骨のストレッチはいろいろあるので、興味のある人は自分で調べてみるのもよいでしょう。

超簡単なストレッチとしては

1.両手をダラ~ンと垂らした状態で肩だけググゥ~っと上げる
2.5秒キープしてから、肩の力をストンと脱力する


又は

1.両手の指先を肩の上にチョコンと当てて
2.肩を軸に腕をクルクルと前回り、後ろ回りに回す


又は

1.両手を揃えて顔の前に出し、手のひらを顔に向ける
2.肘と肘をくっつける
3.そのまま両腕の手から肘までくっつけたまま、両腕を上にあげる


又は

1.両手を後ろ手で組む
2.組んだ状態で肘を伸ばしたまま腕を上に上げる
(両肩甲骨が寄せられる)



このように寄せたり離したり回したりするだけで、きっと筋肉がほぐれて血行が良くなるはずですよ。

場所を選ばないのでいつでもどこでも気軽に行えるのが嬉しいですね。


関連記事

『【健康】 「肩こり」の入浴法 ~炭酸ガス系の入浴剤やアロマで効果的に改善~』
『【健康】 「冷え性」の入浴法 ~誤解だらけの冷え性対策~』



 

【健康】 「免疫力を高める」とはどういう意味?


どうもSHIBAです。

毎年この風邪をひきやすい時期になると「免疫力を高めよう」とよく言われますよね。

今回は、この「免疫力を高める」とはどう意味なのかを考えてみます。

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「体温が1℃下がると免疫力は30%低下する」という話は聞いたことがありますでしょうか?
 
今では結構常識になってきているので耳にしたことがある人は多いと思います。

これは風邪の原因となる細菌やウイルスといった病原体は低温の環境を好む特性があるからです。

われわれの体内の免疫細胞たちは日々これら病原体と闘って健康を守ってくれているわけですが、
体温が下がるということは敵である病原体に有利な環境を与えてしまっていることになります。

だから「体温が1℃下がると免疫力は30%低下する」と言われているんですね。


しかし、ここでこんな疑問を感じた人はいないでしょうか。
 
「体温が下がると免疫力は低下する」とは言うけれど「体温が上がると免疫力は高くなる」とは言わないのはなぜ?・・・と。

もしそう感じたなら鋭い疑問だと思います。
だってそうでしょ。体温が下がると免疫力が低下するなら、体温を上げれば免疫力は高くなるはずだから、風邪を予防するなら体温を上げれば良い、ってことになるでしょ普通。

・・・でもそういう話は聞かない。

一応、一説では「体温が1℃上がれば免疫力が5~6倍高くなる」と言われることも在ることはある。
しかし真偽のほどは分かりません。


実はですね。

体温は上げれば上げるほど免疫力が高くなるってわけではないんです。

結論から言いますと、免疫細胞にとってベストな温度は37℃台らしいんです。

37℃といっても深部体温での数値。

深部体温とは脳や内臓など体の中心部の体温のことで、一般に腋に挟んで計る体温は表面体温と言い、深部体温より1℃ほど低くなります。

深部体温で37.5℃が免疫細胞にとって一番ベストであれば、表面体温は36.5℃の平熱が良いということになりますよね。

つまり何が言いたいのかと申しますと、われわれの平熱の状態こそが一番免疫力の高い状態だということです。

実はふだんから常にベストコンディションで過ごしているわけですね。
だからこの状態から「体温が下がると免疫力は低下する」と。そういうわけです。

平熱よりも体温が上がったところで免疫細胞にとってベストな環境になるわけではないんです。

もちろん、平熱より低い状態からであれば「体温が上がれば免疫力は高くなる」と言えるでしょうね。

ここまでの話、ガッテンして頂けましたでしょうか?(某番組のパクリかい)


しかし、またここで新たな疑問が浮かぶかもしれない。
 
では「風邪をひいたとき、発熱(37.5℃以上になる)するのはなぜ?」 ・・・と。

そうですよね。

細菌やウイルスなどの病原体の感染を許してしまい風邪をひいた場合、免疫細胞たちは病原体を退治するために頑張らなければいけないわけですが、免疫細胞にとって平熱がベストなら発熱する必要はないはずですよね。

その答え。発熱する理由はこうです。

高温下においては免疫細胞たちにとっても決して望ましい環境ではない。
しかしそれ以上に病原体にとって活動しにくい条件なので結果的に免疫細胞にとって有利な状況になる、というわけ。

そのため相対的に「免疫力が高まる」と言えなくもないんですね。

発熱とは、病原体が体内に増えにくい環境を作り、病原体にとって不利な状況にするための生体防御反応だということです。

だからこうもよく聞くでしょう?「風邪をひいたときに薬で無理やり熱を下げるのは良くない」と。


しかしここでまたまた疑問。
 
だったらなぜお医者さんは熱を下げようとするの?免疫細胞が闘っているのを邪魔してない?・・・と。

これは、病原体がしぶとくて、なかなか退治できない状態が続くと、免疫細胞にとってもしんどい状況となって我慢比べになるからです。
体温が高すぎたり熱が下がらない日が続くと危険なのは、体は病原体を退治しようと頑張っているんだけど正常な細胞の方が先に参ってしまいますからね。

そんなわけで、ここまでの話をまとめると、体温が上がると免疫力は「高くなる」というより「病原体に対し有利になる」ということになるでしょうね。
そういう意味からも、入浴は冷えた体を温めるので免疫力をベストな状態するということで風邪予防には効果がありますよ。
 
 

 

【健康】 お風呂で高血圧改善!自分で押せるツボ6つ+α


入浴で温まると血流が改善されたり、リラックス作用をもたらすので血圧の改善に効果がありますが、
どうせなら入浴中にツボを刺激してやることで、さらに血圧を安定させることができますので、ぜひ試してみてはいかがでしょうか。

高血圧に効果があると言われているツボは実はたくさんあります。

その中から、お風呂に浸かりながら自分でも押せ、かつ効果が期待できそうなツボを選んでみました。



高血圧にはまず最初は、後頭部のむくみや首のこりなどのこりをほぐすことがポイントとなるようです。

やっぱり脳の血流が悪いと危険なことにもなりかねないからでしょうね。

そして次には、手や足の冷えを防ぎ、上半身ばかりがのぼせないようにすることだそうです。

高血圧の人は末梢血管の血流が悪く冷え性であることが多く、手や足の先が冷えるかわりにそのぶん上半身に熱がこもりやすい、いわゆる「冷えのぼせ」になることがあります。


したがって、頭部、手、足にあるツボが重要になってきます。

具体的には頭部からは百会(ひゃくえ)」「降圧帯(こうあつたい)、手は合谷(ごうこく)」「内関(ないかん)、足は足三里(あしさんり)」「涌泉(ゆうせん)

「降圧帯」は耳の内側上部にあるツボで、その名のとおり血圧を下げるツボとして有名です。左右の耳を同時に押すと良いと言われていますが、押すというより上下に20~30回ほどこする方がいいみたいですよ。

「合谷」は何にでも効く万能ツボとして有名。血管を拡張させる働きがあると言われ、深呼吸しながらここを圧すと即効性があるそうです。


さて。

この6つのツボだけでも血圧を下げる効果が期待できますが、この6つのツボに加え、特有の症状に対するツボ圧しも加えてやることで、より効果を高めることができると思いますので試してみて下さい。


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◆肩のこりを伴っている場合

高血圧になる原因のひとつに肩こりがあります。肩こりを解消することで血圧が下がる場合もありますので、首や肩のこりをほぐしてみましょう。
こりの解消と降圧効果の両方に効果が期待できるのは百会」「風池(ふうち)」「肩井(けんせい)」「曲池(きょくち)」「合谷の各ツボ。
「風池」は余分な熱を排出するので、風邪の症状や頭痛の緩和も期待できます。


◆イライラ感が強い場合

イライラしている時は自律神経の交感神経が優位になっており、血管が収縮に働くので血圧が上がると考えられます。
乱れている自律神経のバランスを整えるツボを押すことで血圧が改善されます。
具体的には十宣(じっせん)」「内関(ないかん)」「人迎(じんげい)がお勧め。
どちらもストレスやイライラの解消に効果が期待できます。


◆体がだるい場合

血圧が高いと体に負担をかけます。心臓は多くのエネルギーを消費するので心疾患を併発しないよう気を付けなければなりません。狭心症や心筋梗塞の予防に良いと言われているのが神門(しんもん)
すでに体がだるい、疲れを感じるという場合は足三里がお勧めです。「足三里」は足の疲れや胃の不調などに効果が期待できます。


◆目の疲れ、かすみがある場合

眼の使い過ぎで目が疲れることは誰にでもありますが、一過性の目の疲れならともかく、慢性的に疲れていたりかすむ場合は高血圧が原因となっている可能性もあります。この場合、目の周りをマッサージしても回復しません。
すでに名前の挙がったツボや、血圧を下げつつ目の疲れをとるツボ太陽(たいよう)を試してみて下さい。
加えて頭が重たく感じる時は百会ですっきりさせます。


◆冷えや月経不順など女性特有の症状がある場合

おすすめは三陰交(さんいんこう)
内くるぶしから指4本分上に上がったところで、スネの骨の内くぼみに位置します。
冷え性だけでなく、むくみや生理痛、更年期障害などにも効果があると言われ、女性にとってとてもありがたいツボです。
押すだけでなく温めても効果があります。足湯は冷え対策に効果がありますが、そのためにはこの位置までお湯に浸けましょう。


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