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健康・入浴法

【健康】 シャワー浴のメリット。 浴槽浴よりもシャワー浴が適しているのはどんな場合?


入浴には体を清潔にする、爽快感やリラックス感を得る、血行を促進する、疲れを回復する・・・など、様々な効果があります。

しかし、湯船に浸かる浴槽浴と、シャワーだけで済ますシャワー浴とでは、その効果の違いがはっきりとしています。

浴槽浴には例えば「温熱効果」「水圧効果」「浮力効果」の3大効果がよく知られていますが、これらの効果はどれもシャワー浴では不十分で、浮力効果にいたってはシャワー浴には完全に無関係です。

はたして浴槽浴とシャワー浴とでは、どちらの方が健康に良いのか?という疑問は昨今よく話題になりますが、言うまでもなく浴槽浴にはシャワー浴では得られない効果が数多くあり、比較するようなことでもありません。

・・・と、簡単に結論付けてしまってはシャワー浴にはメリットが無いように思われてしまうので、ここでは「どんな場合にシャワー浴が適しているか」を紹介致します。


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◆こんな場合にはシャワー浴がオススメ!



●この後に仕事や勉強など頑張らなければいけない場合

入浴後も仕事や勉強を続けなければならない時、もしくは朝風呂の場合は、42℃のシャワーや湯船で短い時間サッと刺激してあげると身体がシャキッと目覚めて効果的です。

これは熱めの温度により交感神経が刺激されるからで、ヒトは自律神経が交感神経優位になると緊張状態となり集中力が高まります。

反対に、湯船でゆっくり温まってしまうと、気持ち良くなって副交感神経優位となり、リラックス状態となってしまい、仕事や勉強の前には適していません。


●眼が疲れている場合

疲れ目を感じる時は、浴槽浴でも良いのですが、温かいシャワーを目元に当てると効果があります。

ただし、ぬるいと効果がみられなかったという報告があり、少し熱めの方が期待できそうです。

眼精疲労の場合も同様です。

目を温めるだけでなくシャワーが目の周りのツボを刺激しますからマッサージ効果も得られます。


●歯周病が気になる場合

歯茎にシャワーを当てると、その刺激が歯茎の血行を良くし、歯周病の予防になると期待されています。


●口内炎がある場合

シャワー浴のついでに、口の中をよくゆすぎ、口内を清潔にしておくことはとても大切なことです。


●鼻血が出ている場合

鼻血が出ている時に入浴すると逆効果になるので、通常は時間を空けてから入浴するべきですが、時間が無い場合はシャワー浴にすると良いでしょう。


●便秘の場合

本当は浴槽浴の方がお勧めですが、時間が無い場合はシャワー浴時にお腹にシャワーを当ててあげると良いでしょう。
強めの水圧で、お腹に熱いシャワーとぬるいシャワーを交互に当てるとより効果が見込めます。


●痛風発作時

痛風をお持ちの方は、無症状である中間期(間欠期)は入浴した方が良いとされていますが、痛風発作時は基本的には入浴は厳禁です。
痛風発作時はぬるめのシャワーで我慢しましょう。


●低血圧の人

低血圧の人は朝の目覚めが悪いことが多いとよく言われています。

副交感神経優位の睡眠状態から交感神経へのスイッチの切り替えがうまく働かないために脳への血流が悪いということが考えられますが、これは低血圧が原因というより、自律神経の機能の問題だと言えますね。

このような朝は、熱めのシャワーで交感神経を刺激すると効果が期待できます。


●気管支喘息があり、入浴すると喘息発作が出る場合

気管支喘息の場合、入浴で寛ぐことが副交感神経を優位にし、喘息発作を招く怖れがあります。
事実、喘息の発作はリラックスしている時に起こりやすいものです。
リラックスした状態は筋肉が緩むので、さらに気道が狭くなるからです。

風呂上りに休もうとしている時に、決まって苦しくなりやすいのはそのためです。

こんな場合はシャワー浴でもかまいません。ただし、湯冷めには注意しましょう。


●帯状疱疹で、二次感染のおそれがある場合

皮膚に破れた水疱があったり、びらん、潰瘍がみられる場合の体の保清は、シャワー浴となります。

皮膚病変には石けんを使用せず軽く洗浄し、消毒後、医療機関で出された外用薬を塗布しましょう。

頭部や顔に皮疹がある場合は石けんを使用せずに洗浄しましょう。


●思いっきり泣きたい時


健康と何の関係があるんだ?と思われるかもしれませんが(笑)

涙には浄化作用といってストレスを緩和する効果があるんですよ。「泣くとすっきりする」というのは本当です。

とはいえ、大声で泣きたくでも人目が気になるもの。そこでお風呂です。

布団の中で泣くよりお風呂で泣いた方が人目も気にならないし、
声が出てもシャワーの音で誤魔化せるし、なんたって泣いたあと顔を洗って出てこられる利点がありますよ。


●発熱(高熱時)の場合

風邪のひき始めや微熱程度であれば入浴は問題ありません。

子どもの場合は、「熱があるかないか」よりも、「元気があるかどうか」「食欲があるかどうか」で判断しましょう。

ただし、高熱時は体力の消耗が激しいのでシャワー浴か体を拭くだけにして、皮膚を清潔に保ちながら様子を見ましょう。

おたふくなど炎症部位がある場合は、腫れているところにはシャワーを当てないようにして下さい。


●痰が絡んでいる場合

シャワーの湯を上から口の中に注ぎこみながらうがいをすると、通常のうがいよりも痰を切りやすくなります。


●運動の直後に入浴する場合

運動直後の入浴は良くないとされています。

それは、運動ですでにエネルギーを消費しているわけですから、すぐに入浴するとさらに体力を消耗してしまうからです。

そのため、運動後の入浴は1時間空けるのが良いとされています。

どうしても汗を流したいという場合はシャワー浴が適しているでしょう。


●浴槽に浸かると胸やけがする場合

その胸やけ、逆流性食道炎かもしれません。
浴槽浴による水圧によって胃内圧が上昇して逆流している可能性もありますので、この場合はシャワー浴に切り替えてみるのも方法のひとつです。



・・・と、ここまで徒然なるままに書き出してみましたが、

きっとまだまだシャワー浴の利用法があると思います。

書き足すことがあれば追記します。
 

【入浴】 「閉塞性動脈硬化症」の入浴法 ~足浴によるフットケア~

 
閉塞性動脈硬化症とは、動脈の血管の壁にコレステロールなどが付着して、動脈そのものが狭くなったり詰まってしまい、血液の流れをふさいでしまう病気です。
動脈硬化が進むことで生じますが、これが冠動脈で起これば狭心症や心筋梗塞、脳の血管で起これば脳梗塞になるわけですが、閉塞性動脈硬化症は主に下肢、つまり下半身の動脈に起こります。「足梗塞」と表現するとイメージしやすいかもしれません。
 
閉塞(血管が詰まること)を起こすと、その先の組織に酸素や栄養を送り届けることができなくなるので、当然さまざまな障害が現れます。
 
初めのうちは足が冷たく感じたり、足の血色が悪くなったりしますが、症状が進展すると最終的には足に潰瘍ができたり壊死に至ったりします
 
 
高血圧などの生活習慣病や喫煙の習慣が閉塞性動脈硬化症の原因として挙げられます。
 
加齢や肥満も危険因子となりますが、特に
 
・高血圧、脂質異常症の場合は通常の2~3倍
・糖尿病、喫煙者の人は通常の4倍
 
も発症リスクが高くなるとも言われています。
 
 


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◆入浴上の問題リスト◆

 
#1 動脈閉塞による冷感やしびれを感じる
#2 高血圧などの基礎疾患がある
#3 皮膚の局所において炎症症状がみられる
 
入浴には血管拡張作用があるので血流の改善が期待できますが、閉塞性動脈硬化症とは基本的に動脈硬化症なので、狭心症など他の動脈硬化症を併発することも多く、場合によっては入浴(全身浴)は心臓に負担がかかるので注意が必要になることもあります。
そのため下肢の閉塞性動脈硬化症には温熱療法として足浴(足湯)が有効とされています。
 
 
 
◆入浴法◆
 
 
<入浴上の問題>#1 動脈閉塞による冷感やしびれを感じる
 
<入浴目標> 早期の対応により血流が改善される
 
 
閉塞性動脈硬化症の治療には早期発見、早期治療が大切とされています。
初期症状である足のしびれや冷感を感じる場合は、早期の診断が求められますが、症状が坐骨神経痛にも似ているために自己判断しがちなので注意が必要です。
 
症状が軽い段階では、足浴(足湯)による温熱療法が有効です。
それも炭酸浴による足浴。
 
炭酸浴は血管拡張作用が高く、通常の入浴よりも血流が4~5倍にもなるという研究報告があります。
 
足浴には、足の清潔を保ちながら、血管拡張作用による血流の改善が期待できます。
 
また、炭酸浴には組織への酸素の供給を促進する作用が高く、これが血行障害への治療などにも応用できるとして、最近は人工炭酸泉による治療効果への研究が進んでいるようです。
 
 
 【閉塞性動脈硬化症の足浴法】
 
  37~38℃ 15分間
  39~40℃ 10分間
 
 
血行障害への温熱療法としてホットパックがよく用いられますが、血流が閉塞している局所においては熱が放散されず火傷を生じる危険性があるのに比べ、炭酸浴による温熱作用は安全性が高いという利点があります。
 
ただし、効果の持続性はないので、フットケアの一つとして行いましょう。
 
 
ちなみに足浴後にしびれを感じる場合があるようです。
 
血栓が詰まって症状が悪化している可能性もありますが、血流は悪化する過程だけではなく、改善される過程でもしびれを感じることがあります。
 
正座から立ち上がろうとした時のしびれをイメージすると分かりやすいかもしれませんが、それまで血の流れが滞っていた場所の血行が急に良くなった場合に、ジンジンと感じることがあるのと同じです。
 
 
 
<入浴上の問題>#2 高血圧などの基礎疾患がある
 
<入浴目標> 原疾患の治療、改善を行うことで閉塞状態を進展させない
 
 
閉塞性動脈硬化症の危険因子として、高血圧や糖尿病といった疾患が根本的な原因となることがあります。
 
このような場合、原疾患に対する治療や改善が必要となります。
 
高血圧や糖尿病には血圧のコントロールも大切で、入浴においては血圧の急上昇を防ぐため38~40℃の湯温を守りましょう。
また、心臓への水圧負荷の小さい半身浴がお勧めです。
 
入浴前後の水分補給も重要で、体内の水分が不足すると血液の濃度が増して血栓が詰まる危険性が高くなります。
 
 
 
 
 
 
<入浴上の問題>#3 皮膚の局所において炎症症状がみられる
 
<入浴目標> 皮膚の清潔を保ち、病変を観察した時は医師に知らせる
 
 
入浴でも足浴でも、血行促進することは疼痛を緩和し、感染を予防することでもあります。
血液には、酸素や栄養を運ぶ働きだけではなく、発痛物質を流したり、白血球(免疫細胞)の活性化を促進したりする役割もあるからです。
 
浴後は足をしっかりと乾燥させましょう。ただし、下肢の循環状態が悪化してくると皮膚が乾燥しがちになりますので、この場合は保湿ケアが重要となります。
 
爪の手入れも気を配り、深爪が原因で細菌が入り感染するということがないようにしましょう。
 
足の病変をよく観察し、白癬、カンジダやタコ、うおの目などを発見した場合は医師に報告するようにしましょう。
 



関連記事

『症状別の入浴法』


 

【健康】 最近多い「男性の冷え性」とは


冷え性といえば「女性の悩み」というイメージがありますが、最近は男性にも冷え性で困っている人は多いようです。

冷え性というのは、一般的には自律神経のバランスが乱れることで血流が悪くなって、特に手足の先に冷えを感じる症状のことを言います(他のタイプもある)

でもどうしてここ近年、男性の冷え性が増えてきているのでしょうか?

その理由は、男性が優しくなったせいではないか?と言われています。

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おそらく男性にも、以前から冷え性の人はたくさんいたかもしれないのです。本人が気付いていないだけで。

というのは、かつての男性に多い冷え性とは、ビールなどに代表される冷たいの飲み物を好む習性が男性にはあり、内臓は冷えているが筋肉量が多く、基礎代謝が活発なために手足はポカポカしているので、自分が冷え性であるとは気付かないタイプの「内臓型冷え性」だったと思われます。別名「隠れ冷え性」というくらいですから、本人も冷え症を自覚しにくい傾向にありました。

女性が男性よりも冷え性が多いのは、筋肉量が男性よりも少ないので基礎代謝量も低い。つまり熱が作られないからだと考えられているんですね。


ところが近年の男性は、以前よりも女性化しているというか筋肉量が少なくなっているのかもしれません。

特に体を動かす機会の少ないオフィス生活、デスクワークが中心の男性にはその傾向が強く出ているように思います。

昔よりもエアコンが充実している環境ですから、冬でも冷たい物を摂る男性は多いですよね。それが冷えを助長しているとも知らず。

しかも今の男性は昔よりも抗ストレス力も弱くなっているような気がします。


なかでも一番の原因は「姿勢の悪さ」にあるという指摘もあります。

姿勢の悪さから梨状筋と呼ばれるお尻にある筋肉がこわばって、そのために坐骨神経が刺激され自律神経を乱し、脚全体の筋肉の血流が悪くなって冷え性に進展すると・・・こう考えられているようです。


これらの症状に心当たりのある男性は、まず冷たい物を控え、筋肉を動かすこと、例えば運動でなくてもストレッチをするだけでも効果は得られるので、生活習慣の見直しをする必要があります。

熱の材料となるタンパク質も意識して摂ると良いそうです。

血行を促進するには入浴が効果的ですが、入浴だけでは効果は一時的になるので、入浴は睡眠と合わせてセットで考える必要があります。

就寝の1~2時間前に入浴すると、質の高い睡眠へと繋げることができ、自律神経の乱れも整われていくと考えられています。


『【健康】 「冷え性」の入浴法 ~誤解だらけの冷え性対策~』 参照

 

【健康】 梅干し1日1個で、冬は風邪予防!夏は熱中症予防!

 
毎年夏と冬に梅干しを1日1個食べるようにしています、どうもSHIBAです。
 
そのおかげか、ここ2年半ほど全く風邪をひいていません。
 
夏と冬に梅干しを食べるようにしているのは、夏は熱中症予防のため。冬は風邪予防のためです。


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熱中症対策で一番注意しなければいけないのは脱水です。
 
暑い時のヒトの体温調節は発汗によって行われています。
かいた汗が蒸発する(気化する)ときに、皮膚表面の熱が奪われることで体温は下がりますが、脱水状態になると汗がかけなくなってしまい、熱が体内にこもって熱中症を起こしてしまいます。
 
そのため、熱中症対策として水分の補給が重要であることは当然ですが、水分補給と併せて電解質(主にナトリウム)の補給も重要です。
 
血液のナトリウム濃度は一定に保たれているので、水分のみを摂取するとナトリウム濃度が低下してしまうのでヒトの体をナトリウム濃度を一定に保とうとして汗を大量にかきます(余分な水分を排出してナトリウム濃度を保つため)
 
しっかり水分を取っているのに脱水になるのはこのタイプです。

 
また、ナトリウムが不足すると、神経や筋肉に悪影響が出て、脚がつったり、力が入らない(しびれ)状態になります(「熱けいれん」という)

 
そういうわけで、熱中症予防には水分補給だけでなく電解質(主にナトリウム)も必要です。
 
近年は食塩の摂り過ぎが問題になっていますが、大量に汗をかくような時期は反対に不足しないように気を付けなければなりません。
 
味噌汁を飲む習慣も水分と塩分(ナトリウム)を効率よく補給できるので優れものでオススメですが、
梅干しにはさらに夏バテ防止も期待できるのが魅力です。
 
梅干しに含まれるクエン酸には疲労回復作用があるので、熱中症だけでなく夏バテの予防にもなるんですね。
 
 
冬の寒い季節においては、風邪の原因となる病原菌たちが増殖しやすい環境ですが、体力が落ちたとき、抵抗力が低下した時に免疫力が弱まり風邪をひきやすくなります。
 
ここでもクエン酸による疲労回復作用が免疫力を維持することになりますので、梅干しには風邪予防にも効果が期待できます。
 
 
また、クエン酸には殺菌作用があり、口内をきれいに殺菌することで、病原菌(歯周病菌含む)たちがのどの奥に感染するのを防ぎます。
 
時折、「梅干しの殺菌作用はたいして効果が期待できない」という噂がされることもありますが、梅干しが持つ殺菌作用の真骨頂は、だ液の分泌を促進することにあると思います。
 
だ液にはリゾチームという殺菌作用のある酵素が含まれていて、だ液の分泌が少ないと歯周病の原因になると言われるほどです。
 
ちなみに食事の時よく噛んで食べることも、だ液がたくさん分泌されるので、消化に良いだけでなく、風邪予防にもなりますね。
 
 
まあ、そんなわけで夏と冬には梅干しを1日1個食べていますが、このおかげかどうかは立証できませんけど熱中症や風邪とは今のところ無縁ですよ。
 

 

【入浴】 「脂漏性皮膚炎(脂漏性湿疹)」の入浴法 ~生活習慣と洗髪方法を見直す~

脂漏性皮膚炎とは、皮脂の分泌が盛んな場合に起こる炎症、湿疹のことで、かゆみを伴ったりフケが出たりします。
 
皮脂の分泌が多い頭皮や顔のTゾーン、わきの下、太ももの付け根などによく起こります。
 
好発年齢は幼児20代以降の成人で、それぞれ原因は違ってきます。
 
幼児の場合は生まれて2週間~4週間に多くみられ、代謝が活発で皮脂の分泌も盛んなうえ、皮脂腺の発達が未熟なために詰まりやすく、そのために炎症を起こしやすいようです。
軽症な場合は成長と共に治っていきますが、アトピー性皮膚炎に変化する場合もあります。


『【入浴】  「アトピー性皮膚炎」の入浴法 ~掻痒感の軽減を優先する~』 参照
 
 
成人における脂漏性皮膚炎の原因は、マラセチア真菌と呼ばれるカビの一種が皮脂をエサとし、その時に分解して出た遊離脂肪酸が酸化されて毛穴が詰まったり、汗に混じった脂肪酸が皮膚を刺激すると考えられています。
つまり、マラセチア真菌の増殖が原因となります。
 
皮脂分泌は男性ホルモン(テストステロン)が司っているため、成人の脂漏性皮膚炎の原因は皮脂をエサとするマラセチア真菌によるわけです(男性ホルモンは女性にもあります)
 
マラセチア真菌はカビの一種ですから、高温多湿の環境を好み、梅雨の時期などに増殖しやすいという特徴があります。
症状がニキビと似ているため間違えやすいかもしれませんが、皮膚科へ行かないで自己判断をしていると悪化する可能性があります。

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◆入浴上の問題リスト◆
 
 
#1 入浴しても湿疹が治らない
#2 洗髪するとかゆみを感じたりフケが出る
 
脂漏性皮膚炎を悪化させる因子には皮脂の過剰分泌やストレス、脂っこい物の摂り過ぎなどがあります。
お風呂に入ることで皮脂を洗い流し皮膚を清潔にすることや、浴槽に浸かってリラックスすること、そして温まることで血行を促進して脂質の代謝を促進するなど、入浴には様々な効果が期待できます。
しかし、最終的には体質を改善しない限り、症状は繰り返されると考えられます。
 
 
 
◆入浴法◆
 
 
<入浴上の問題>#1 入浴しても湿疹が治らない
 
<入浴目標> 生活習慣の改善と併せて行う
 
 
マラセチア真菌によって分解された脂肪酸を放置していると脂漏性皮膚炎が悪化します。
 
そのため入浴によって皮膚を清潔にすることはとても大切で、ストレスを緩和したり血行を促進するなど、入浴には脂漏性皮膚炎にとってとても効果が期待できます。
 
ところが、処方された抗真菌薬を使用しているにもかかわらず、入浴しても症状が良くならない。あるいは、反対に湿疹や炎症が悪化してしまうという場合もあります。
 
抗真菌薬でも副作用として?痒感や接触性皮膚炎になる場合もありますので、まずは医師に相談することをお勧めします。

 
それから入浴法の前に生活習慣の見直しをしましょう。
 
たとえどんなに入浴によるケアにによって症状が良くなったとしても、生活面に問題があればそれを改善しないことにはまた悪化を繰り返すので、生活習慣の改善は必要条件となります。
 
 
・脂っこい物、甘い物、辛い物の食べ過ぎ
  【根拠】 皮脂の過剰分泌の原因になる
・ストレス
  【根拠】 自律神経系やホルモンのバランスが乱れる
・便秘
  【根拠】 腸の運動が悪くなり、腸から血中に有害物質が吸収されやすい
・ビタミンB群(特にビタミンB?)の不足
  【根拠】 脂質の代謝が悪くなる
・睡眠不足や疲労の蓄積
  【根拠】 免疫力が低下する
・運動不足
  【根拠】 汗や皮脂が汗腺や皮脂腺に詰まりやすくなる

 
入浴には上記の問題に対して、皮脂を洗い流し、自律神経系やホルモンのバランスを整え、老廃物を流し、代謝を良くし、免疫力を高め、発汗する作用がありますが、全て入浴で解決できるわけではなく、生活習慣の改善も併せて行うことが重要です。
 
 
入浴法としては、ぬるめの38~40℃のお湯に15~20分間の入浴が目安です。
 
リラックスしてしっかり温まることが目的です(熱めのお湯は皮膚と交感神経を刺激するので逆効果となります)
 
リラックスすることの重要性は、脂漏性皮膚炎がストレスによる影響が大きいことからも明確です。
 
ストレスによって自律神経系やホルモンのバランスが乱れることが、どうして脂漏性皮膚炎の原因となるのか?
 
それはストレスによって自律神経が交感神経優位に傾くと、ストレスに対抗するホルモンであるコルチゾールが副腎皮質より分泌されますが、このコルチゾールには男性ホルモン(テストステロン)の分泌を増やす作用もあるので、そのため皮脂の過剰分泌に及ぶというわけです。
 
さらにストレスの慢性化による免疫力の低下はマラセチア真菌の増殖を許してしまいます。
 
 
また、しっかりと発汗する習慣を身に付けることも重要です。
 
運動不足で汗をかく習慣がないと、皮脂も詰まりやすくなり、そこにマラセチア真菌が増殖する原因となります。
カビは湿気のこもったところが好きなので、入浴で発汗して、毛穴に詰まった古い皮脂はしっかりと出してしまいましょう。
 
 
 
<入浴上の問題>#2 洗髪するとかゆみを感じたりフケが出る
 
<入浴目標> 正しい洗髪を行う
 
 
頭皮湿疹は脂漏性皮膚炎によくある症状で、大粒のフケが出ることがあります。
 
頭皮湿疹への対処は、洗髪を丁寧に行うことです。
 
ところが「しっかりと洗髪していてもかゆい。フケが出る」というようなことがあります。
 
このような場合はいくつか確認すべきポイントがあります。

 
・お湯の温度はぬるめにしましょう。

・シャンプーは低刺激性のものを使用しましょう。

・爪を立てないで、頭皮を傷つけないよう優しく洗いましょう。

・整髪剤やカラーリング剤が刺激の原因になる場合もあります。

・1日に何度も洗髪をする必要はありませんが、中には2回洗髪することで症状が緩和される人もいるようです。ただし、皮脂欠乏性による頭皮湿疹だった場合は皮脂の洗いすぎになってしまうので逆効果になります。

・シャンプーやリンスのすすぎ残しも原因となります。

・洗髪後はドライヤーで完全に髪を乾かしましょう。濡れているとカビが繁殖しやすい条件となります。


 
シャンプーを変えたり正しい洗髪を行っても同じ症状が続く場合は医師に相談しましょう。



◆おすすめのアロマバス◆


成人の脂漏性皮膚炎の場合、入浴する時にはマラセチア真菌の増殖を抑える作用のある精油はもちろん、マラセチア真菌のエサとなる皮脂の過剰な分泌を抑えるための精油を用いたいものです。
皮脂の過剰分泌の要因であるストレスを緩和する精油も有効です。

また、脂漏性皮膚炎は女性よりも男性が多い理由として男性ホルモンとの関係が示唆されていますが、女性においても
月経前(生理前)には女性ホルモンのバランスが乱れるために、皮脂の分泌が増えて脂漏性皮膚炎になることがあるようです。イライラしやすくなったりしてストレスの影響を受けやすいのも関係があるのかもしれません。
このような場合は、女性ホルモンのバランスを整えてくれる精油をブレンドしてみるといいでしょう。

精油は直接浴槽に垂らすより、基剤で希釈して用いましょう。
ただし基剤にキャリアオイルを使用する場合は、どのキャリアオイルでも良いわけではありません。
酸化しやすいオイルはかゆみの原因になりますし、酸化しにくいオリーブ油でもベタつきやすく脂性肌には向いていません。
脂性肌にはサラサラしたオイルが向いていますが、しかしそれ以前に油はマラセチア真菌のエサとなってしまうという話もあります。
そこでお勧めは
ホホバ油
ホホバ油はサラサラしていて、皮脂の分泌バランスを整える働きがあると言われています。そしてなにより、主成分はワックスでありマラセチア真菌のエサとなることはありません。


アロマバスの例


皮脂の分泌が過剰な場合
 ホホバ油 小さじ2
 
シダーウッド 2滴
 パルマローザ 2滴
 ゼラニウム 2滴

 (皮膚を引き締める精油たち。またどの精油にも抗真菌作用があり、特にシダーウッドはマラセチア真菌に強い。)
 ※妊娠中・授乳中・乳幼児の使用は控えましょう。シダーウッドを
ティートゥリーに替えても可。


月経前に症状が表れたり悪化する場合
 ホホバ油 小さじ2
 
クラリセージ 2滴
 サイプレス 3滴

 (女性ホルモンのバランスを整える相性の良い組み合わせ。月経前の不快な気分をクラリセージが抑え、皮脂の分泌過多をサイプレスが抑える)
 ※妊娠中・授乳中の使用は控えましょう。敏感肌の人はサイプレスを
ゼラニウムに替えても可。炎症の程度が強いときはカモミール・ジャーマンを1滴加えてもいいですよね。


肌が乾燥しているのに脂漏性皮膚炎になる場合、またはしっかり洗って皮脂を落としているのに脂漏性皮膚炎になる場合①
 天然塩 大さじ2
 
ラベンダー 2滴
 サンダルウッド 2滴

 (幼い子の肌にも優しい組み合わせ。サンダルウッドは保湿に働き、ラベンダーが免疫を強化し、皮膚のターンオーバーを正常化させる)
 ※妊娠中・授乳中の使用は控えましょう


肌が乾燥しているのに脂漏性皮膚炎になる場合、またはしっかり洗って皮脂を落としているのに脂漏性皮膚炎になる場合②
 天然塩 大さじ2
 
ローズウッド 1滴
 フランキンセンス 2滴

 (乾燥肌の改善に効果が期待できるだけでなく、荒れた皮膚状態の正常化を促進する。スキンケアの定番ブレンド。しかも抗真菌作用あり)
 ※妊娠初期の使用は
控えましょう。炎症の程度が強いときは天然塩に
カモミール・ローマン1滴に替えると、炎症を抑えつつ保湿に作用します。


乾燥しているのに湿疹が出る理由は、マラセチア真菌だけではなく正常な皮膚を守ってくれている他の
常在菌までもいなくなってしまっていることが考えられます。しかも乾燥すると皮膚バリア機能も免疫機能も低下するためにマラセチア真菌の増殖を許してしまうようです。
ここは発汗作用のある
天然塩を使用して毛穴に詰まっている皮脂を出してしまう方が良さそうです。毛穴に詰まっている皮脂がマラセチア真菌のエサとなっている場合が考えられますからね。



【アロマバスの注意点】
・人によってはアレルギー反応が出る場合があります。
・精油によっては皮膚や粘膜への刺激が強いものがあります。パッチテストを行ってから使用しましょう。



(最終更新日:2017/4/5)



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『症状別の入浴法』

 

【健康】 あくびは我慢しない方がいい?


大事な会議なのに睡魔に襲われあくびが出そうで困る。

そんな時どう乗り切っていますか?

僕の場合は、人の目をごまかして誰にも気付かれないようにあくびをしています、どうもSHIBAです。


だって、いくら我慢してもキリがないんだもんね。

でも「あくび」が出る原因を知れば、これは仕方のないことだと納得できるかもしれません。

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とはいえ、あくびが出るメカニズムは解明されていません。

一般的な説では、脳が酸素不足を起こしているときの、酸素を取り込むための反射的な反応だと考えられているようです。

つまり、眠い時や疲れている時は脳が酸素不足になっていて、脳の働きが悪くなっている状態だということです。

ということは・・・

人前ですると失礼だとか気持ちが弛んでいるからだとか言われるあくびですが、
あくびは眠くて我慢できないこの状況を改善するためにするわけですから、他人の話をちゃんと聞こうとするならばむしろあくびをした方が良い、ということにはなりませんか?

そういうわけで、これからは会議中や授業中みたいな状況で眠くてあくびが出そうな場合、相手のことを思うならば我慢せずに思い切ってあくびをしましょう。
あなたの気持ちが相手に伝わるかどうかは保証しませんけどね・・・


僕の場合、車の運転中に意図的にあくびをすることがよくあります。

単調な道を走っているときなどは特に眠くなりがち。
本気で眠たい時は車を止めて休憩するべきですが、運転中に睡魔を感じたら、僕は敢えてあくびをするようにしています。

方法は簡単。あくびをする真似をするだけで本当にあくびが出ます。

あくびをしたいなぁと感じていなくても、自分からあくびをすることでアラ不思議。少し頭がスッキリするではありませんか。

もし運転中の睡魔を克服する方法に悩まされている人は一度試してみるといいですよ。

ガムを噛んだり飲み物を飲んだり、またはタバコを吸ったりといろいろ試されているかと思いますが、あくびほど簡単で効果のある方法はありませんよ。

ただし、効果の持続は短いです。だから何回でもあくびをすることにはなると思います。

というか、そこまで眠いたいときは休憩しろよ!って話ですよね・・・

 

【入浴】 「胃食道逆流症(逆流性食道炎)」の入浴法 ~食後2時間は入浴しない~

 
食後に胸やけがする。酸っぱい物が口まで上がってくる(呑酸)、またゲップがよく出る。
 
それらの症状、逆流性食道炎かもしれません。
 
逆流性食道炎は、胃酸や胃内容物が食道に逆流することによって生じる病態です。
 
主症状は胸やけ、呑酸、胸痛など。
 
食道に炎症があれば「逆流性食道炎」ですが、最近では食道に炎症がない場合(非びらん性の場合)でも症状があれば「非びらん性胃食道逆流症」といい、これら逆流症による不快な病態を総称して「胃食道逆流症(GRED)」と呼んでいます。
 
主な病因としては、「下部食道括約筋(かぶしょくどうかつやくきん)の筋力の低下」「胃酸分泌の亢進」「食道・胃運動機能異常」などがあります。
危険因子としては生活習慣(ストレス、喫煙、高脂肪食)、胃内圧の上昇(肥満、便秘)、刺激物(アルコール、コーヒー)や薬物の影響などがあげられます。
 
下部食道括約筋とは食道と胃のつなぎ目にあたる筋肉で、この筋力が低下すると胃液などの逆流を許してしまいます。
下部食道括約筋はふだんは閉まっていて、食べた物を飲み込む時に一旦緩んで食道から胃へと食べた物を送っています。


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胃液には強い酸性の胃酸が含まれています。
胃そのものは胃壁に強い粘膜があるため胃酸から保護されていますが、
食道の粘膜は弱いので胃液が逆流すると胃酸によって炎症を引き起こしてしまうわけです。
 
胃液には胃酸粘液(ムチン)ペプシノーゲンなどがあります。
 
胃液の種類
働き
胃酸
胃酸は強い酸性で、胃から先に細菌が入らないように殺菌作用がある他、ペプシノーゲンを活性化してペプシン(タンパク質を消化する酵素)に変え、タンパク質の消化を進める働きがあります。
粘液(ムチン)
粘液(ムチン)は胃の粘膜を保護する働きがあります。胃内容物によって傷つかないのも、胃酸によって胃が炎症を起こさないのも、ペプシンによって胃自身の細胞が消化されないのも全て粘液が胃壁をコーティングして守ってくれているからです。
ペプシノーゲン
胃酸で活性化されるとタンパク質の消化酵素ペプシンになる
 
 
◆入浴上の問題リスト◆
 
 
#1 胸やけや呑酸などの不快な症状がある
#2 ストレスによって食道粘膜の過敏性が高まり、適正範囲の胃酸逆流でも胸やけなどを感じる
#3 腹圧がかかることで胃内圧が上昇し、胃内容物が逆流する
 
加齢とともに機能低下してきた下部食道括約筋を鍛えることは残念ながらできません。
そのため、対策としては胃酸の酸性度を抑えるか、胃内容物の食道への逆流を引き起こす要因を改善する必要があります。
 
 
 
◆入浴法◆
 
 
<入浴上の問題>#1 胸やけや呑酸などの不快な症状が生じる傾向にある
 
<入浴目標> 食道・胃の運動機能を改善して胃酸の酸性度を上げない
 
 
まず、胃食道逆流症(逆流性食道炎含む)にとっての入浴法には重要な鉄則があります。
それは、最低でも食後1時間、できれば食後2時間は入浴しないこと。
 
これは食後の消化活動には数時間要しますので、食後すぐに入浴をすると消化をするために胃腸に集まっていた血流が全身(主に皮膚血管) に拡散し、消化活動の妨げになるからです。
胃内容物がいつまでも胃に留まっていると、胃酸もずっと胃内に留まっていることになり、逆流する可能性が高くなってしまいます。
 
そういうわけで、胸やけや呑酸など不快な症状を生じやすい人は、食後に入浴する場合は2時間空けましょう。
だからといってその間、横になって休んでいてはいけません。横になると胃内容物が逆流しやすくなります。
 
 
さて。
胃液の分泌は自律神経と大きく関係しています。
簡単に言えば、副交感神経が優位になると胃液の分泌が亢進され、交感神経が優位になると胃液の分泌が抑制されます

 
【自律神経による胃の運動と胃液分泌の調節】
 
●副交感神経
胃の平滑筋を刺激 → 胃のぜんどう運動を促進↑
胃の壁細胞を刺激 → 胃酸分泌↑
胃のG細胞を刺激 → ガストリン(消化管ホルモン)を分泌↑ → 胃壁細胞を刺激 → 胃酸分泌↑
胃のECL細胞を刺激 → ヒスタミンを分泌↑ → 胃壁細胞を刺激 → 胃酸分泌↑
※ECL細胞からヒスタミンの放出を促すのは副交感神経から放出されたアセチルコリンによる作用と、G細胞のガストリンによる作用とがある。
 
●交感神経
胃の平滑筋を促進 → 胃のぜんどう運動を抑制↓
胃粘膜血流を減少 → 二次的に胃液分泌を抑制↓
胃の壁細胞を刺激 → 胃酸分泌を抑制↓
胃のG細胞を刺激 → ガストリン分泌を抑制↓ → 胃酸分泌を抑制↓

 
 
38~40℃は副交感神経にとっての適温です。

胃腸の周りには自律神経(交感神経、副交感神経)がビッシリ張り巡らされています。

食事をする時は交感神経(興奮、快楽)が優位になりますが、
食後は副交感神経(リラックス)が優位に働いて胃腸の消化活動を促進しています
(食後に眠くなるのは副交感神経が優位になることも要因)
 
なので、入浴によって副交感神経の邪魔をしてはいけません。

熱いお風呂(例えば42℃以上)は交感神経を刺激してしまい、消化活動を低下させてしまうので、逆流性食道炎には逆効果になる可能性があります。

・・・が、しかし!

人によっては熱めのお風呂の方が症状が和らぐという方もいらっしゃいます。

これは胃酸過多が原因の逆流性食道炎の人には有効なのかもしれません。

 
熱い風呂に入ることで交感神経が刺激され、消化活動が低下、つまり胃酸の分泌が抑えられているからだと考えることができます。
 
しかし、これは誰にでも当てはまることではなく、後述しますが、人によっては交感神経を刺激しても効果が得られるとは限りません。

 
 
<入浴上の問題>#2 ストレスによって食道粘膜の過敏性が高まり、適正範囲の胃酸逆流でも胸やけなどを感じる
 
<入浴目標> ストレスを緩和し、逆流症の症状を起こりにくくする
 
 
入浴や足浴、マッサージなどのリラクセーションを行って、心身の安静を保つことはとても効果があります。
 
ストレスは交感神経を刺激し、胃酸分泌過多、粘液分泌減少、粘液血流障害を招くと考えられています。
 
と聞くと「え?交感神経は胃酸の分泌を抑えるから、逆に良いんじゃないの?」と思われるかもしれません。
 
確かに交感神経は胃酸分泌の抑制に作用しますが、胃酸の分泌促進に作用するのは自律神経だけではないんです。
 
食べ物が胃に入り胃壁が伸展されると、壁内神経叢を介する反射回路が働いて自律神経とは関係なく胃液が分泌されます。
 
なお、ストレスによる交感神経の刺激は胃粘液の分泌を減少させるわけですから、胃酸と粘液のバランスが乱れ、相対的に胃酸過多に傾くわけです。

そのため胃粘膜が弱くなりますが、ただでさえ弱い食道粘膜はさらに弱くなり、多少の胃酸逆流でも不快な症状が生じてしまうと考えられます。
 
 
【自律神経以外による胃液分泌の調節】
 
●胃液分泌の促進
胃内容物が直接胃の壁細胞を刺激 → 胃酸分泌↑
胃内容物にタンパク質の分解産物(アミノ酸やペプチド)や刺激物(アルコールやコーヒーなど)があった場合 → G細胞を刺激 → ガストリンを分泌↑ → 胃壁細胞を刺激 → 胃酸分泌↑
 
●胃液分泌の抑制
胃内部(幽門部)のpHが2.5以下になる
胃から十二指腸に脂肪が送られる → 十二指腸壁から胃酸およびガストリンの分泌を抑制するホルモン(セクレチン、GIP)が分泌
 

 
<入浴上の問題>#3 腹圧がかかることで胃内圧が上昇し、胃内容物が逆流する
 
<入浴目標> 生活習慣や行動を改善し、腹圧を上げない

 
腹圧がかかるような行動は、胃内圧の上昇を招き、胃液の逆流が起きやすくなりますので注意しなければなりません。
 
入浴でいえば、例えば前かがみになってシャワーしないことなどが言えると思います。
 
また、便秘は腹圧を上げる要因となりますから、便秘があればこれを改善するようにしましょう。
 
 
 
 
「浴槽に浸かると胸やけがする」という人は、浴槽浴による水圧によって胃内圧が上昇して逆流している可能性もありますので、この場合はシャワー浴に切り替えてみるのも方法のひとつです。ただし、浴槽浴のようなリラックス効果は期待できなくなります。
 
 
最後に、胸やけと便秘の両方に効くツボを紹介します。
 
ひとつは「天枢(てんすう)」といって、おへその両側で親指の幅2本分離れたところにあるツボで、軽くへこむ程度に押し込み、その周辺を円を描くようにマッサージを加えるとさらに排便を促進されます。
 
足三里」は膝下外側のくぼみから、親指の幅3本分下がったところにあるツボで、消化機能を促進させて便秘にも効くと言われています。
 


◆温泉なら炭酸水素塩泉(重曹泉)


飲泉が楽しめる温泉がありますよね。

胃酸過多による食道炎の場合なら、空腹時にアルカリ性炭酸水素塩泉(重曹泉)を飲むと、胃酸が中和されると言われています。

逆流性食道炎に合う泉質なので、飲泉のできる炭酸水素塩泉(重曹泉)の温泉へ行かれた時は試してみてはいかがでしょうか。



関連記事

『症状別の入浴法』

 

 

【健康】 入浴中に鼻血が出る理由について


お風呂に入っているときに鼻血が出たことのある人は多いのではないでしょうか。

空気が乾いていると皮膚が傷つきやすいので、多湿である浴室で鼻血が出るのは意外だと思われるかもしれません。

しかし入浴により血圧が変動したり血流が増加するので、鼻の粘膜が薄い、あるいは弱い人は出血しやすい傾向にあるといえます。
鼻の毛細血管は特に細いので傷つきやすいようで、その代わり出血もすぐ止まるのが特徴です。

たまたまであれば問題ありませんが、お風呂に入るたびに鼻血が出るようなら気になりますよね。

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高血圧糖尿病をお持ちの人は血管が傷つきやすいので鼻血が出やすいようです。

花粉症になる人も血管が拡張しやすい体質なうえに敏感肌なので、ついつい鼻を触り過ぎて出血してしまいがちです。

いずれの症状とは関係のない人でも偏食を好む人は鼻血が出やすいようです。

これらの危険因子をお持ちの方で血液がサラサラになる薬を服用している場合は注意が必要です。


ちなみに止血方法ですが・・・

今ではご存知の方も多いと思いますが、上を向いたり、鼻の根元を指で押さえても効果がないと言われています。

正しくは前かがみになり、小鼻を両側からつまんで、そのまま血が止まるのを待つことです。

鼻の上の方ではなく小鼻をつまむのは、出血箇所を圧迫することで血が止まるからです。


なお、入浴中に鼻血が出た場合は風呂から上がった方が賢明です。
長湯すればするほど血が止まりにくくなりますよ。


 

【健康】 「真っ暗な方が眠りやすい」というのはウソ?


皆さんは夜眠るときは「完全真っ暗」派でしょうか、それとも「少し明るい」派でしょうか。

僕は昔から豆電球だけつけて寝る少し明るい派です、どうもSHIBAです。

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近年は睡眠の研究結果から「質の高い睡眠を得るには真っ暗よりも少し明るい方が良い」というのが正しい説になってきているようです。

中にはどちらでもなく「電気をつけっ放しで眠る」派も少数ながらいらっしゃるようですが、明るい状態で眠ることは健康上よくないことは既に認められています。

これは明るい環境で眠ると暗い環境で眠った場合に比べてメラトニンというホルモンの分泌が少ないと言われているからです。
※メラトニンは昼と夜との生体リズムに大きく関係するホルモン

また、電気をつけたまま寝る習慣は肥満になりやすいというデータもあるらしく、これが本当かどうかは知りませんが睡眠に良くないことは確かなようです。


問題は、真っ暗よりも少しだけ明るい方が良いとされる理由ですね。

この根拠は「ヒトは真っ暗になると不安を掻き立てられる生物」だかららしい。

ヒトは太古より、獣などの外敵から襲われることがないよう火を焚いて寝る習慣があり、それは「暗闇が危険なものである」とずっと感じてきたからだという説があります。

確かに我々は肝試しでも分かるように暗闇で周りが見えないと不安になりますよね。

まあ、眠るときは話は別だ!と「完全真っ暗」派の人は言うかもしれませんが、ヒトというものはそういう生き物らしいです。

とはいえ「誰がなんと言おうが真っ暗の方が寝やすいんじゃ!」という人がいるのも事実。

ただ、脳科学的には、眠っている時の脳波を調べてみると、少し明るい方が深い眠りにつけているという報告もあるようです。

つまり、真っ暗だと入眠しやすいとしても眠りは浅い。ということになります。


でもまあ、ここまで言っても「誰がなんと言おうが真っ暗の方がスッキリ眠れるんじゃ!」という人もいるでしょう(笑)

よくテレビなどで「それは間違っています」とか専門家がしたり顔で言っているのを見かけますが、 理屈がどうであれ個人差はあるだろうし、実際真っ暗な方がしっかり眠れている人もいるわけですから真っ暗な方が眠れる人はそれでいいんじゃないでしょうか。
 

【入浴】 子どもの入浴法 ~「ネフローゼ症候群」の場合~


ネフローゼ症候群とは、何らかの理由で尿から大量のタンパク質が出てしまい、それによって血液中のタンパク質(特にアルブミン)が少なくなった病態のことです。

小児に多く発症し、好発年齢は2~6歳で、男子に多いのが特徴です。

主な症状は尿の泡立ち浮腫体重増加など。


通常、血液中のタンパク質は、腎臓の糸球体を通過できないので、血液中にとどまります。
ところが、ネフローゼ症候群では何らかの異常でタンパク質が糸球体を通過してしまい尿とともに流れ出てきます(タンパク尿という)

タンパク尿は泡立つ特徴があるので、おしっこの「泡立ち」はネフローゼ症候群のサインとされています(ただし、健康な人でも激しい運動や入浴後、発熱時には、一時的にタンパク尿が出ることがあると言われている)

尿から大量のタンパク質が流れ出すと、血液中のタンパク質(特にアルブミン)が減少します。
これを「低タンパク血症低アルブミン血症)」といい、膠質浸透圧(こうしつしんとうあつ)が低くなるため血管の水分が血管外(組織間液)へ滲みだして体に浮腫(むくみ)が現れます。

※膠質浸透圧とは、簡単に言えば「水分を血管内に保持する力」のこと。

体がむくめば、その分だけ体重は増加します。

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ネフローゼ症候群の場合、お風呂に入ってよいかどうかは医師に相談して下さい。

「タンパク尿が落ち着いているときなら入ってもよい」というのが一般の見解ですが、その判断を自分で判断してはいけません。

かといって、入浴しないのも問題です。

むくんでいる皮膚の細胞は細菌に対する免疫力が低下しやすいので、お風呂に入って清潔を保ち、また負担のない程度に体を温めてやることで免疫力を下げないようにすることはとても意味があります。

気を付けなければいけないのは、小児の場合、ネフローゼ症候群により血管内の水分が血管外へ滲み出すことで血圧が低下しやすい可能性があるということ(成人の場合は逆に血圧が高くなることもある)
めまいや貧血のようなふらつきには注意しましょう。とりわけ、湯船から出る時に急に立ち上がることで起こりやすい起立性低血圧には注意が必要です。


そこで足浴(足湯)ケア。足浴(足湯)は体に負担をかけずに、浴槽浴と同じく血管を拡張させ組織間液の還流を促します。

静脈還流(心臓に戻る静脈の血流のこと)が阻害されると浮腫が増強するので、足浴(足湯)は安全な療法として有効です。


なお、むくみを改善しようとマッサージしても、通常のむくみに対するマッサージと同じような効果は期待できません
一般にはリンパマッサージなどは血流やリンパの流れを改善してむくみを解消する方法として有効ですが、ネフローゼ症候群によるむくみはリンパの流れが悪いために起こるわけではないからです(ネフローゼ症候群の浮腫は低タンパク血症に起因する)


浴槽浴に最適なお湯の温度と入浴時間については、病態によって個人差があるので医師の指示に従って下さい。



関連記事

『「子育て」としての入浴法』


『子どもの症状別入浴法』